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2022年,ポーランドのワルシャワを拠点として,トマシュキェヴィチ氏のほかCD PROJEKT REDなどで数々のRPGを手がけてきた開発者たちを中心に設立。2026年9月3日にリリースされた「The Blood of Dawnwalker」が発売初週末に世界累計販売本数100万本を突破するなど,デビュー作にして大きな成功を収めている。
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「サイバーパンク2077」や「ウィッチャー」シリーズのディレクター,コンラッド・トマシュケイビッチ氏が新スタジオRebel Wolvesを設立
コンラッド・トマシュケイビッチ氏が,新スタジオ「Rebel Wolves」を設立したことが明らかになった。CD PROJEKT REDでは17年以上にわたって開発チームの実質的リーダーとして活動してきた同氏だが,今後はシングルプレイヤー専用のダークファンタジーをテーマにした新作を開発していく予定だという。
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- ライター:奥谷海人
2026年10月,ポーランド外務省などの協力による日本と韓国のゲーム業界関係者向け視察プログラムに参加した4Gamerは,そんな注目のRPGスタジオであるRebel Wolvesを訪問した。
現地では,グローバルマーケティング責任者のパヴェウ・パナシウク(Paweł Panasiuk)氏から,スタジオ設立の経緯やゲーム制作の考え方,開発体制について説明を受けた。本稿ではその内容を中心に,Rebel Wolvesが目指すRPG作りと,スタジオの様子を紹介していこう。
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[インタビュー]「ウィッチャー3」「サイバーパンク2077」の開発者が設立した新スタジオRebel Wolvesは,何を目指すのか?
「ウィッチャー3」「サイバーパンク2077」に携わり,現在は新スタジオRebel Wolvesを率いるコンラッド・トマシュケイビッチ氏にインタビューする機会を得た。同スタジオは現在,NetEase Gamesの戦略的投資を受けてシングルプレイのオープンワールドRPGを開発中だ。スタジオ設立の経緯や,新作で目指していることなどを聞いた。
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- ライター:箭本進一
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株式市場のプレッシャーから離れ,自分たちのRPGを作る
Rebel Wolvesの設立には,ベテラン開発者たちのある思いがあった。
「私たちは,急かされることなく,株式市場からのプレッシャーも受けず,ひとつのプロジェクトに集中して取り組める環境を作りたいと考えました」。そう説明するパナシウク氏によれば,創業メンバーの多くは,それまでさまざまな企業でRPG開発に携わってきた経験を持つ。そのため,新しいスタジオで取り組むジャンルについても迷いはなかったという。
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「私たちはRPGをよく知っています。だから,本格的なRPGを作ろうと考えました」。スタジオが設立された2022年当時,開発チームは約20人。コンセプトアートの制作や物語の執筆からスタートし,徐々に規模を拡大していった。今回の訪問時点でスタッフ数は約160人に達している。
パナシウク氏が強調したのは,この4年間でゲームを開発するだけでなく,スタジオそのものをゼロから作り上げてきたことだ。
開発するのは,シングルプレイヤー向けのストーリー主導型RPG。ゲーム内課金などに頼らず,一度購入すれば作品のすべてを楽しめる,いわば昔ながらのパッケージ型ゲームを志向している。
また,RPGというジャンルにはすでに数多くの作品があることを認めながらも,そこに自分たちならではの新しい要素を加えたいという。
Rebel Wolvesは設立後,作品のクリエイティブ面については独立性を維持しつつ,NetEase Gamesからの戦略的投資を受けて開発体制を拡充。こうした環境のもとで生まれたのが,スタジオ初のオリジナルタイトル「The Blood of Dawnwalker」だ。
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プレイヤーの選択を物語の中心に。「The Blood of Dawnwalker」が目指したRPG
プレゼンテーションでは,「The Blood of Dawnwalker」の制作を通して,「A STUDIO BORN OUT OF LOVE FOR RPGs」(RPGへの愛から生まれたスタジオ)を掲げる同スタジオのRPG作りに対する姿勢が語られた。
「The Blood of Dawnwalker」は,14世紀ヨーロッパを舞台とするオープンワールドのダークファンタジー・アクションRPGだ。
描かれるのは,黒死病の流行によって人間社会が混乱に陥った世界。そこでは,長く姿を隠していた吸血鬼たちは,その混乱に乗じて台頭していた。彼らの支配下に置かれたサンゴラ谷で,昼は人間,夜は吸血鬼として生きる青年コーエンの物語が描かれる。
「The Blood of Dawnwalker」先行プレイレポート。昼夜で人と吸血鬼が切り換わるダークファンタジーアクションRPG
2026年9月3日発売予定の「The Blood of Dawnwalker」を,発売に先駆けてプレイ。重要なNPCですら選択次第で死んでしまう緊張感ある物語,パリィに方向の概念を取り入れた戦闘,昼夜で人と吸血鬼が切り換わる。ナラティブ・ディレクターのヤコブ氏へのグループインタビューの様子もお届け。
……と,ゲームの詳細はこちらのプレイレポートを読んでいただくとして,プレゼンテーションでの話に戻ろう。
数々のRPGを手がけてきたRebel Wolvesの開発者たちは,こうした「The Blood of Dawnwalker」の世界を描くうえで,単純な善と悪の対立にとどまらない物語を重視している。
本作では吸血鬼が必ずしも悪として描かれているわけではない。吸血鬼たちは人間を支配する一方,自らの血を用いて病人を治療し,食料や水を与え,税を免除することもある。人によっては,かつての領主よりも良い支配者だと考えているという。
このように善悪を単純に分けられない世界で,プレイヤーは自分自身の判断によって物語を進めていく。
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そうした自由度を象徴するのが,「30日と30夜」という期限と,従来のメインクエストとサイドクエストの区分にとらわれない設計だ。
コーエンの目的は,吸血鬼ブレンシスに捕らえられた家族を救うこと。しかし,プレイヤーが必ず家族を救わなければならないわけではない。たとえば敵の血液輸送を妨害したり,有力な配下を倒したりすることで,ブレンシスの勢力を弱体化させることができる。場合によっては敵と取引するという選択もある。
30日と30夜が経過しても,そこでゲームオーバーにはならない。家族を救えなかった場合には,物語の目的そのものが救出から復讐へと変化していく。
パナシウク氏は,こうした構造について「完全に非線形なゲームを作りたかった」と説明する。
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また,コーエンが昼と夜で異なる能力を持つことも,プレイヤーの選択肢を広げている。
昼は人間として人々と交流し,剣や魔法を使って戦う。夜は吸血鬼の能力で壁や天井を移動し,人間の姿では侵入できない場所に入り込むこともできる。
吸血鬼としての血への渇望も,ゲームプレイに影響する要素だ。これを放置すると,会話中の相手を襲ってしまい,進行中のクエストに失敗したり,別の解決方法を探す必要が生じたりする。
正しい遊び方も,唯一の正史もない。プレイヤーの行動によって物語が分岐し,何度でも異なる展開を楽しめる。その自由度を実現することが,本作の大きな目標だった。
さらに,Rebel Wolvesは「The Blood of Dawnwalker」を単発作品ではなく,長期的に展開するサーガの第一作として位置付けている。別ジャンルへ方向転換するつもりはなく,今後もRPGとしてこの世界を掘り下げていく考えを示した。
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開発中の姿をそのまま見せる。プレイヤーとのコミュニケーションを重視
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ただし,ここに至る道は平坦ではなかった。実績のない新スタジオによる新規IPだっただけに,発売前にプレイヤーからの信頼を得ることが大きな課題だったからだ。
そこでRebel Wolvesが採用したのは,開発中のゲームをできる限りそのまま見せるという方針だった。ゲームプレイ映像を公開する際も,映像用に一部分だけを磨き上げるのではなく,その時点で実際に動いているゲームを紹介した。
「これが今のゲームの状態です。開発を進めていますので,ぜひ意見を聞かせてください」という姿勢で,戦闘システムやレベルデザイン,クエストデザインなどについて積極的にフィードバックを求めてきたという。
質疑応答では,実際にプレイヤーの意見を取り入れて改善した例も紹介された。
そのひとつが,三人称視点のカメラだ。
開発チームの内部では特に問題視されていなかったが,公開した映像に対して,戦闘中のカメラをもう少しキャラクターから離してほしいという意見が寄せられた。
そこで,戦闘中と探索中のそれぞれで,カメラの距離を近くするか遠くするか,プレイヤーが選択できるようにしたという。
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戦闘の操作方法についても,同様の対応が行われた。
本作では上下左右の方向を指定して攻撃するシステムを採用している。しかし,すべてのプレイヤーがこうした操作を好むわけではない。
そこで,攻撃方向を細かく指定せず,ボタン入力だけで攻撃できる別の操作方法も用意した。
パナシウク氏によれば,これは,戦闘操作よりも物語を楽しみたいプレイヤーにとって有効な選択肢になったという。
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完成した作品を一方的に届けるのではなく,開発段階からプレイヤーと対話し,その意見を作品に取り入れていく。こうした姿勢は,発売後の対応にも引き継がれている。
訪問時には,日本語版での流血表現などの変更に関する問題にも言及があり,修正アップデートを準備していることが説明された。実際に取材の2日後となる10月22日にはアップデート1.1が配信され,PC(Steam)版での流血・残虐表現の制限が一部例外を除いて撤廃されている。
「The Blood of Dawnwalker」,Steam版の日本語版で流血表現規制を撤廃へ。来週配信のアップデート1.1で対応
Rebel Wolvesは,「The Blood of Dawnwalker」のアップデート1.1を配信すると発表した。注目は,Steamで配信中の日本語版における流血・ゴア表現の規制撤廃だ。日本語版ではオープニングが規制によって丸ごとカットされていたが,これが復活し,あわせてスキルのリセット機能などが追加される。
約160人のチームを動かすのは,情報共有と柔軟な働き方
続く質疑応答では,スタジオの開発体制についても興味深い話が聞けた。
現在のスタッフ数は約160人。4年目のスタジオとしては多いが,大規模なRPGを世界に向けて発売するスタジオとしては決して大人数ではない。限られた人数で開発を進められた理由を尋ねられると,パナシウク氏は「個人的には,透明性が重要だったと思います」と答えた。
同スタジオでは2週間に一度,全社員が参加するミーティングを開いているという。
そこでは,「戦闘システムで何が起きているのか」「ゲームプレイがどうなっているのか」といったゲームの開発状況だけでなく,「次の社内パーティーはいつなのか」まで,開発,経理,マーケティングといった部署に関わらず全員が同じ情報を把握するという。
働き方も柔軟だ。スタッフはオフィス勤務,完全リモートワーク,その両方を組み合わせたハイブリッド勤務から,自分に合った方法を選べる。パナシウク氏自身も,週3日はオフィスで働き,残りの日は自宅で仕事をしているという。
またスタッフは世界各地に分散しており,ポーランド国内で勤務するスタッフは110人から120人程度。フィリピン,ブラジル,スペイン,イギリス,フランスなど,海外から参加する開発者もいるそうだ。
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一方,パブリッシングに関わる社内チームはワルシャワに集まっている。頻繁に情報を共有し,連携する必要があるためだ。こうした柔軟な体制でありながら,開発スケジュール上のマイルストーンを達成できなかったことはないという。PlayStationとXBOX向けの認証も,最初の申請で通過できたと説明していた。
もうひとつ印象的だったのは,ゲームの企画を大きく変更しなかったという話だ。
もちろん,細かな改善やプレイヤーの意見を反映した変更は行っている。しかし,プロジェクト全体の方向性を途中で大きく変えることはなかったという。
パナシウク氏は,こうした方針によって不必要な変更に時間を費やさず,開発に集中できたと振り返っていた。
生成AIの利用について質問が出ると,プリプロダクションの段階ではAIによる仮音声を使用したものの,完成したゲームには使用していないことをパナシウク氏は強調した。
プリプロでAIを使用したのも,あくまでカットシーンの長さを見積もるため。台詞を文字で追うだけでは分からない尺を計るため,仮音声を用いていたという。声優による収録が始まってからは,仮音声をすべて実際の演技に置き換えている。
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「私たちは反逆者だ」。流行に左右されないゲーム作り
最後の質疑応答では,ゲームを作る際に,開発者自身のアイデアと市場の需要のどちらを重視するのか,という質問が投げかけられた。
これに対するパナシウク氏の回答は,「私たちはRebel Wolvesです。反逆者なのです。トレンドを追いかけたくはありません」という,スタジオの名前を体現するものだった。
自分たち自身が遊びたいと思うもの,楽しめるものを作りたい。トレンドを追うことがビジネス上有利であるのは理解しているし,流行している要素が自分たちの作品に合うのであれば,検討して取り入れることもある。しかし,市場で人気があるという理由だけでゲームの方向性を決めるわけではない。
今後については,「The Blood of Dawnwalker」のフォトモードやニューゲームプラスといった機能の追加に取り組みながら,サーガの次なる作品へとつなげていく考えも示された。
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大手スタジオで数々のRPGを手がけてきた開発者たちが,より自由な環境を求めて設立したRebel Wolves。プレイヤーに多様な選択を委ねるゲームデザインと,開発者が自分に合った働き方を選び,情報を共有しながら作品を作るスタジオの姿勢。今回の訪問からは,その両方に自由な創作を重んじる考え方が通底していることがうかがえた。
そうした開発者たちが自らの理想を形にした「The Blood of Dawnwalker」のあと,Rebel WolvesはどのようなRPGを生み出していくのか。一人のRPG好きとして,楽しみにスタジオの今後を追いかけたい。
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