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音楽制作の定番モニターヘッドフォンとプロレベルのマイクを備え,ゲーマーのみならず配信者にも人気を博しているオーディオテクニカのピュアアナログヘッドセット「ATH-M50xSTS」。
そんなATH-M50xSTSシリーズに,ワイヤレス接続に対応した新製品「ATH-M50xSTS-WL」が登場した。
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デジタル接続にもかかわらず,設定アプリ不要という潔さも目を引く本製品をじっくり評価してみよう。
今回は,榎本 涼氏による製品の解説とテストに加えて,夏上シキ氏による各種ゲームでの評価を行っている。
●目次
高性能ヘッドフォン&マイクがワイヤレス化
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4Gamerでも以前に紹介したアナログ接続のATH-M50xSTSをUSB接続対応にしたのが「ATH-M50xSTS-USB」。さらにワイヤレス接続に対応させたのが,ATH-M50xSTS-WLとなる。
【PR】オーディオテクニカの配信者向けヘッドセット「ATH-M50xSTS」は,配信の音声に本物のプロオーディオ品質をもたらす逸品だ
2月17日に発売されたオーディオテクニカのストリーミングヘッドセット「ATH-M50xSTS」は,ゲーム実況を含む配信用途を想定したヘッドセットだ。同社のプロ向けモニターヘッドフォンに,同じく同社製コンデンサマイクをベースにしたマイクを組み合わせたもので,配信音声の品質を上げるのに役立つ。その実力を詳しく見ていきたい。
ATH-M50xSTSは高性能なアナログヘッドセットゆえに,マイク入力にプロ用コンデンサマイクで必須の「ファンタム電源」を要した。それをATH-M50xSTS-WLではワイヤレス接続にしたことで,ファンタム電源は不要になり,大きく導入のハードルが下がったわけだ。
扱いやすくなるのはゲーマーや配信者にとって朗報だろう。
ATH-M50xSTSシリーズの違いを,簡単にまとめておこう(表1)。
| 接続方式 | ファンタム電源 | |
|---|---|---|
| ATH-M50xSTS | アナログ接続 | 必須 |
| ATH-M50xSTS-USB | USB接続 | 不要 |
| ATH-M50xSTS-WL | 独自方式ワイヤレス&USB接続 | 不要 |
ヘッドフォン部分は,プロオーディオ制作で使われる「モニターヘッドフォン」の人気製品,ATH-M50xがベースとなっている。
ATH-M50xは,録音時にミュージシャンやボーカリストが装着して,音をモニターするときに使用するヘッドフォンだ。そのため,音漏れを抑えた密閉型のエンクロージャが使われている。つまりATH-M50xSTS-WLなら,配信用に高品位なオーディオを音漏れせずにモニターできるわけだ。
マイク部分のAT20も世界中で使われているプロ用マイクがベースである。ATH-M50xSTS-WLなら,1台でプロがモニターに使用するヘッドフォンと,録音用のマイクが手に入ることになる。
コンパクトなエンクロージャと大きなマイク
それでは外観から見ていこう。
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つや消しの黒色を主体として銀色のパーツをあしらった本体は,ATH-M50x本体そのもので,そこに大型のマイクを備えたブームマイクを取り付けている。いかにも業務用オーディオ機器風の外観で,「仕事で使うかっこいいヘッドセット」だ。
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エンクロージャは小型で,実測約100×82mmのイヤーパッド部分に,直径約65mm,厚みが約20mmの円形のイヤーキャップがついている。
イヤーキャップには銀色の円が埋め込まれ,中央にオーディオテクニカのシンボルマークがエンボス加工されている。
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実測重量は約363gだった。バッテリーを内蔵してワイヤレス動作に対応したにもかかわらず,ATH-M50xSTSと比べても30gほどしか増えていない。
左エンクロージャには端子やボタンなどがある。手前側から,USB Type-C端子,接続状態を示す青色LED,電源ボタン,そして音量調整ダイヤル「ボリュームスイッチ」という並びだ。
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ボリュームスイッチは,普通に上げ下げすると音量調整,長押ししながら上げ下げすると,サイドトーンの音量調整になる。
どちらも最大または最小音量になると,異なる音程のビープ音が鳴る仕組みだ。また,ダイヤルを短く押し込むと,サイドトーンをオン/オフできる。
電源ボタンは,内蔵のマイクノイズリダクション機能の切り替えボタンも兼ねる。3秒間長押しすると電源オン/オフ。短く押すたびに「Noise Reduction Off」「Noise Reduction Low」「Noise Reduction High」と音声ガイダンスが流れ,ノイズリダクションがOff→Low→Highの順に切り替わる。
イヤーパッド部分は実測約25mm,エンクロージャ全体では約50mmの厚みがあった。イヤーパッドは2種類付属しており,ユーザーが取り外して交換できる。
本体に最初から取り付けられていたのは,外周部分が合皮素材,肌に当たる部分がメッシュ素材という通気性と快適性を重視した「通気性タイプ」だ。
一方,ATH-M50xと同じものと思われる付属の合皮素材イヤーパッド「高遮音タイプ」は,音質や遮音性を重視する用途向けだろう。
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どちらのイヤーパッドにも,ストッキング……というよりはスポンジのように若干厚みのあるスピーカーネットが貼られている。
なお,イヤーパッドは別売も予定しているとのこと。
イヤーパッドを取り外すと,スピーカーグリルが現れる。プラスチックのグリルでスピーカードライバーが覆われており,若干前方から聞こえるように傾いて取り付けられていた。
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製品資料によると,スピーカードライバーは45mm口径。上下に7つずつ穴が開けられていて,その上から紙テープのようなものが貼られている。
ATH-M50xSTSでもそうだったが,この穴はおそらく空気穴だ。紙テープで覆うことで,少しだけ音が漏れる設計で,これによって繊細な音響チューニングを行っているのだろう。
「ATH-M50x」の銘がエンボス加工されたアームは,オーディオテクニカらしい2点留めだ。
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アームは「L」「R」と表示されている部分で折りたためて,コンパクトに収納できる。
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可動部は前方に約90度,後方にも同じく約90度回転する仕組みだ。かなり可動域が広く,前面後面どちらの方向でも魚の開き状態にできる。
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可動部の広さと柔軟さは,スタジオで使用されるモニターヘッドフォンの直系らしい点でもある。もともと音楽制作のときに,片耳だけで聞くように180度上下反転させたり,90度前後させて首にかけたまま聞けるようにするためだそうだ。
スライダーは内蔵式で,片手でも簡単に長さを調整できる。
金属素材の外側部分に目盛が打ってあり,10段階の長さに調整可能だ。強度を維持するためか,裏側にはつや消し黒色のプラスチックが貼られていた。
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実測約35mm幅のヘッドバンドは,表面がビニールで覆われ,大きくオーディオテクニカのロゴとブランド名が印刷されている。内側はゴム素材で覆われていて,薄いクッションが詰められている。
ヘッドバンドの両端はプラスチックで,右裏に「ATH-M50xSTS-WL」の名があり,左裏には技適情報を掲載したシールが貼られていた。
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ブームは柔らかく,狙ったところにピタッと設置できる扱いやすいタイプで,跳ね上げるとマイクミュートになる。
ブーム長はマイク込みで約120mmだ。
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大型でかなり厚みもあるマイク部分は,直径が実測約23mmで,厚みは約15mmだ。
マイクの心臓部ともいえるダイアフラムのサイズについては,製品資料では確認できなかったが,カージオイド型の単一指向性コンデンサマイクで,公称の周波数帯域は50Hz〜20kHzと帯域が広い。
マイクの外側,内側のどちらも,金属製と思しきグリルがはめ込まれている。相変わらず見栄えするマイクなので,配信時に顔出ししている配信者の「映え」にも貢献してくれそうだ。
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付属のつや消し黒色のUSBケーブルは,端子部分を除いて実測約212cmの長さがある。USB Type-Cへの変換ケーブルは,端子部分を除いて実測約11.6cmだ。ケーブルの太さはともに実測約3mm。どちらも同じビニール素材で覆われている。
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装着感は相変わらず良好で,300gを超えながらコンパクトな筐体はバランスがよく,ストレスなく装着できる。側圧も適度だ。
さすがは長年スタジオで活躍するATH-M50xをベースとしたヘッドセットだ。
ATH-M50xSTS-WLをPCに接続してみると
ATH-M50xSTS-WLは独自方式ワイヤレス接続とUSB接続に対応する。
専用の設定アプリは存在せず,設定変更はすべて,左側エンクロージャにあるボタンやダイヤルで行う。ヘッドフォン出力は,Windowsのシステムボリュームと連動する。
Windows 11のサウンド設定でどのように表示されるのかを確認しておこう。
次の画像は,ATH-M50xSTS-WLをワイヤレス接続した状態でのサウンド設定だ。
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ちなみに,ワイヤレス接続した状態で同時にUSBでも接続すると,両方のデバイスが同時に表示される。ただし,音が再生されるのはUSB接続だけだ。この場合はサウンド設定で,ATH-M50xSTS-WL-USBを選択する必要がある。
オーディオテクニカによると,この動作は安全性を考慮して,充電しながらのワイヤレス接続はできないようにしているためとのことだった。
ATH-M50xSTS-WLの主なスペックを示しておこう。
●ATH-M50xSTS-WLの主なスペック
- 基本仕様:2.4GHz帯独自方式ワイヤレス,USBワイヤード接続対応,密閉型エンクロージャ採用
- 公称本体サイズ:未公開
- 公称本体重量:約365g
- 接続インタフェース:USB Type-C(充電用),USBワイヤレスアダプタ
- 搭載ボタン/スイッチ:ボリュームスイッチ,電源ボタン
- バッテリー駆動時間:最大24時間
- スピーカードライバー:45mmドライバー
- 周波数特性:20Hz〜22kHz
- インピーダンス:未公開
- 出力音圧レベル:99dB/mW
- ノイズキャンセリング機能:なし
- 方式:バックエレクトレット,コンデンサ型
- 周波数特性:50Hz〜20kHz
- 感度:44.5dB@1kHz
- インピーダンス:未公開
- S/N比:未公開
- 指向性:単一指向性
- ノイズキャンセリング機能:あり
モニターヘッドフォン直系のクセのない音質傾向
ここまでの紹介を踏まえて,ATH-M50xSTS-WLをテストしていこう。
ATH-M50xSTS-WLはアナログ接続をサポートしないヘッドセットなので,ワイヤレス接続とUSB接続で計測する。
計測テストはいつもどおりPCで行い,PCのUSB Type-AポートにUSBワイヤレスアダプタとUSBケーブルを接続してテストした。サウンドデバイスは使用していない。
- ヘッドフォン出力テスト:ダミーヘッドによるヘッドフォン出力の遅延・周波数特性計測と試聴
- マイク入力テスト:マイク入力の周波数特性および位相計測と試聴
ヘッドフォン出力時の測定対象は,周波数特性と出力遅延の2点で,具体的なテスト方法は,これまでと同じく「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるヘッドフォン出力テスト方法」にあるとおりだ。
一方,出力遅延のテストに用いるオーディオ録音&編集用ソフト「Audacity」だが,これまで使用していたバージョン3.3.3で突然エラーが出て,録音できなくなった。そのため,バージョン3.7.9を使用して,過去のテストと同様に,DirectSound APIを用いたテストを行った。
マイク入力の測定対象は,周波数特性と位相特性で,こちらも具体的なテスト方法は「4Gamerのヘッドセットレビューなどにおけるマイクテスト方法」にまとめている。
まずは,USB接続時における遅延を計測してみた。
ソニーの「INZONE H9」のテストで導入したやり方を踏襲し,RME製オーディオインタフェース「Fireface UCX」の設定で内部遅延を変更して,一番遅延が少ない結果が得られる値に設定したうえで計測を行った。
遅延の基準となるアナログ接続は,アナログヘッドフォンであるAKGの「K712Pro」を,PCI Express接続のサウンドカード「Sound Blaster ZxR」と接続した状態をリファレンスとして,ワイヤレス接続とUSB接続の遅延を比較する。
Fireface UCXの内部遅延はすべて48samplesに設定した。
ワイヤレス接続は約4msと基準値よりわずかに遅いが,USB接続に至っては約−31msと爆速である。ワイヤレス接続でも相当に速い。
しかも30回計測してすべて同じ値であったので,遅延の安定性も抜群といえる。遅延に関して気にする必要はなさそうだ。
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ヘッドフォン出力時の周波数特性は,Waves製アナライザ「PAZ Analyzer」で計測したデータそのものと,「データのうち,周波数特性がリファレンス波形とどれくらい異なるか」の差分を取った結果を示す。
レビュー内の表現は以下のようになっている。
- 重低域:60Hz未満
- 低域:60〜150Hzあたり
- 中低域:150〜700Hzあたり
- 中域:700Hz〜1.4kHzあたり
- 中高域:1.4〜4kHzあたり
- 高域:4〜8kHzあたり
- 超高域:8kHzより上
もう一点。今回のレビュー前に筆者は引っ越しを行っており,以前のテストと環境が異なる。使用機材は同じだが,部屋が変わると音響特性も変わってしまう。大きな差はないと思うが,前回までのレビューの計測結果との比較はできないと考えてほしい。
まずはワイヤレス接続で,本体にメッシュ素材のイヤーパッドを装着して計測を行ったグラフがこちらだ。
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低域はおおむね80Hzを頂点とした広範囲の山で,高域は4〜7kHzくらいが山のドンシャリ。250Hz〜3kHzくらいが谷となっている。
全体として大きな凸凹もなく,低域の山と高域の山の高さが同じで,谷はほぼフラットとクセのないあたりは,モニターヘッドフォンらしい特性だ。
16kHz以上の落ち込みが確認できるが,ここは測定環境による影響で気にする必要はない。
次にUSB接続で本体にメッシュ素材のイヤーパッドを装着して計測を行った。
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低域の頂点が60Hzになり,そこから重低域にかけての落ち込みが急になっているなど,明らかに低域の形状が違う。高域や谷の形状はやや異なるが,低域ほどの乖離は見られない。
ワイヤレス接続とUSB接続で周波数特性が異なる結果となった。
次にワイヤレス接続で付属の合皮素材イヤーパッドを装着して計測を行った。ベースとなったATH-M50xは合皮素材イヤーパッドが定番なので,こちらのほうがベースに近い音質傾向になると予測される。
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低域の頂点は同じく80Hz付近だが,80Hzからの落ち込みがメッシュよりやや急だ。一方,高域の形状はメッシュと似て4〜7kHz付近が高く,4〜5kHzが頂点になっている。
谷はフラットではなく,300Hz付近から高域に向けて徐々に強くなっていく。
最後にUSB接続で合皮素材イヤーパッドを装着して計測を行った。
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こちらも低域はワイヤレス接続と若干異なり,山の形状は60〜80Hz付近が頂点だ。谷から高域にかけてはほぼ同じといってよいだろう。
メッシュ素材イヤーパッドの低域が良好なのは,従来製品と比べて素材が変わったからかもしれない。
ゲームで試聴その1:サウンドエンジニアによる評価
ゲーム試聴の前に,まずはステレオの音楽試聴を行った。ワイヤレスとUSBの違いだけでなく,イヤーパッドの素材の違いによる音質変化を確かめるため,メッシュ素材,合皮素材の両方をチェックした。
結果としてワイヤレス接続+メッシュ素材の聞こえ方が,ATH-M50xSTS-WLでは一番よかった。周波数バランスが良好で,解像度が高く聞こえ,細かい音やその定位を聞き取りやすいので,この組み合わせがおすすめだ。
USB接続は,ワイヤレス接続よりも若干低音が弱く,合皮素材イヤーパッドと組み合わせるほうが,むしろ高域が強めに聞こえる。
とはいえ,どちらも低音を強調してはおらず,モニターヘッドフォンらしく音をそのまま再生している印象だ。その分低音の迫力は抑えられるので,没入感を求める人は物足りないかもしれない。
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どちらのイヤーパッドでも,シンバルなどの高域成分を多数含む音がスムーズに聞こえ,耳に痛いというようなことはない。
ちなみに音量は十分で,筆者はWindowsのシステムボリューム「70」で満足のいく音量が得られた。
サラウンドゲームの試聴だが,ATH-M50xSTS-WLはバーチャルサラウンド機能がないので,PC上で動作するサードパーティ製のバーチャルサラウンドソフトウェアを使用する必要がある。
今回のサラウンド試聴には,世代的には少し前のRazerの7.1ch Surround Sound技術を使用した。面倒な手順はなく,出力先としてサウンド設定で「7.1ch Surround Sound」を選ぶだけだ。
今回はステレオ音楽試聴でお勧めの組み合わせとして挙げた,ワイヤレス接続+メッシュ素材イヤーパッドで試聴を行う。
●Fallout 4
まずはFallout 4だが,ヘリの前でぐるぐる回ると,少し向きを変えただけでも劇的に定位感が変わるのを聞き取れる。モニターヘッドフォンの面目躍如だろう。
飛行中のヘリのローター音も,きちんと右前方に定位し,エンジン音は後方から,着艦時の金属的な効果音も後ろからと,正しい位置で聞こえた。
おそらく7.1ch Surround Soundの影響で,低音はわりと強めだ。
●Project CARS 2
サラウンド定位は上々で,前方と後方の音の聞き分けや,敵車とすれ違うときの音源移動のどれも良好だ。
低音はFallout 4同様に強めで,ワイパー音も低音成分がそれなりに強い。こちらもATH-M50xSTS-WLではなく7.1ch Surround Soundが原因であろう。
縁石に乗り上げたときの音は,かすかに聞こえる程度だが,普段は聞き取れない小さい音まで拾えて,やはりモニターヘッドフォンとして優秀なのが分かる。
●MONSTER HUNTER:WORLD
MONSTER HUNTER:WORLD(以下,MHW)は,プレイヤーキャラの向きが変わると環境音の聞こえ方が変化するが,ATH-M50xSTS-WLではしっかり再現できている。
7.1ch Surround Soundの性質上,低音が強く高域が落ちるのだが,このタイトルだとそれがよく分かる。たとえば,木の階段を歩くと足音の低音がかなり強くなったり,環境音などの音の抜けはそれほどでもなかったりといった具合だ。
ただ,3タイトルを試聴してみて,ハードウェアの音響特性にクセがないと,少し前の世代であろう7.1ch Surround Soundでも結構使えるという興味深い結果が得られた。
せっかくなのでステレオ再生の試聴もしてみた。ステレオなので左右しかないが,定位の把握はしやすい。そして高域のキラキラ感は,7.1ch Surround Sound使用時よりも高まる。もちろん,こちらが本来のATH-M50xSTS-WLの周波数バランスだ。
低域は思ったより出ているが,7.1ch Surround Sound使用時ほど前に出てこない。モニターヘッドフォンらしく音の聞き分けがしやすいのは,ステレオでも同様だ。
ゲームで試聴その2:ゲームライターによる評価
ここからは,夏上シキ氏がゲーマーの視点でATH-M50xSTS-WLを使用した印象をお届けする。
ゲーマーや配信者は,長時間ヘッドセットを着用することも多いだろう。そこで今回は,快適さを重視し,通気性タイプ(メッシュ素材)イヤーパッドを装着してテストを行った。
また,マザーボードのUSB Type-AポートにUSBワイヤレスアダプタを差し込んで,ワイヤレス接続で使用した。特別なサウンドデバイスやイコライザは使用していない。
まずは,タクティカルFPS「Delta Force」のウォーフェアモードで試してみた。
音質は実に良好で,音源の聞き分けと定位感を求められるPvPシューターでは,とりわけ効果的に作用する。銃撃音はもちろんのこと,爆発音,車両の駆動音,ガジェット音など,常に複数のサウンドが鳴り響くウォーフェアでも,満遍なく音を拾ってくれる。
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また,音が別の音に埋もれることもなく,しっかりと聞き分けができる。重要なサウンドを聞き逃す心配がないのは,ゲーマーとして安心できる点だ。
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次に,バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」のゼロビルドモードでも試してみよう。
Delta Forceのウォーフェアモードとは異なり,常に銃撃戦や爆発音が鳴り響くわけではないゲームだが,遠距離で敵同士が交戦している銃声や,近距離での敵の足音など,音の判別が勝利につながる点に変わりはない。
また,不意に狙撃されたときなどは,発砲音の方位を掴めるだけでも,手近な遮蔽に身を隠すための判断材料になる。
実際のプレイ中,何かの音が一瞬だけした方向に目を向けると,身を隠すためには実にうってつけの小屋があった。
姿こそ見えていないものの,敵プレイヤーが潜んでいそうだ。
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そこで,効果範囲内のプレイヤーを吹き飛ばすアイテムを小屋に投げつけたところ,見事に敵が吹き飛ばされて,そのまま撃破に成功。
些細な音も逃さないATH-M50xSTS-WLのサウンドに救われた瞬間だった。
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ほかにも「Apex Legends」を筆頭に,さまざまなPvPシューターで試してみたのだが,フラット寄りのサウンドと適度に音場を掴みやすい定位感は,どのゲームでも役立つなと感じた。音を正確に再現するという基本に忠実だからこそ,環境を選ばない高いレベルの汎用性を持っている。
もちろん,ワイヤレス接続でも体感できる遅延はなく,安心して使用できたと付け加えておく。
また,フライトシューティングの「ACE COMBAT 8: WINGS OF THEVE」でも使用してみた。先ほどまでの競技系PvPシューターではないが,こちらでも使い心地は非常にいいという結論だ。
入り乱れる無線のボイス,ミサイル発射時の効果音,さらにはBGMと,同時に鳴り続ける音が潰れることなく耳に入ってくるので,シリーズ最新作として進化した音響を感じることができた。
モニターヘッドフォン系ならではの解像度の高い音は,ジャンルを問わずにゲームの音を楽しめるだろう。
続いて,マイク部分も確認してみよう。
手始めに自身の声を録音して確認したところ,声の強弱や息遣いまでしっかり録音できており,AT20をベースにしたという高品質ぶりを実感できた。
さすがにスタンドアロンのマイクに比べると,コンプレッションがかかる印象はあるが,ヘッドセット付属のマイクと考えれば非常に優秀と評価できる。
なぜゲーマーは高品質なマイクを欲するのか。その答えとして真っ先に挙げられるのは,間違いなくボイスチャットだろう。そこで,ボイスチャット用途で定番の「Discord」を用いて,ATH-M50xSTS-WLでフレンドとボイスチャットを行ってみた。
もちろん問題なしだ。そのままでも細かいノイズを拾いにくいため,アプリ側のノイズ抑制機能を使用する必要はない。タイプ音やクリック音が入らないように,「入力感度の調整」を行うだけで十分に対応できた。
なお,ATH-M50xSTS-WLにあるマイクノイズリダクション機能は,Off,Low,Highの3段階から選択できる。だが有効化時は,若干声が痩せるような印象を受ける。また,絶叫している最中に,Discordからノイズと判断されたのか,集音が途切れてしまうこともあった。
もともとノイズを拾いにくいマイクではあるので,必要に応じて有効化するのがおすすめだ。
プロ向けコンデンサマイク並みの音質
バトンを榎本氏に戻して,マイクの検証を行う。
それではマイクの入力周波数特性を見ていこう。ATH-M50xSTSは48Vファンタム電源が必要だったが,ワイヤレスのATH-M50xSTS-WLに外部電源は不要だ。これがどう音質に影響するのかは,気になるところだ。
ノイズリダクションのOff,Low,Highでどう音質が変わるかも見ていきたい。
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まずはワイヤレス接続で,ノイズリダクションをOffの状態だ。
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低域は125〜300Hzくらい,高域は3k〜16kHzくらいが頂点で,700〜1.1kHzくらいが谷底のドンシャリ型だ。
ATH-M50xSTSは低域と高域の山が等しかったが,ATH-M50xSTS-WLは低域より高域が10dB以上高い。電源の違いによるものだろうか。
なお,モノラルマイクなので位相は完璧だ。位相に差異がない場合は,図は省略する。
続いてはワイヤレス接続でノイズリダクションLowの状態だ。
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Offと基本形状は同じだが,125Hz以下と14kHz以上の落ち込みがより急峻になっている。あくまでも予想だが,重低域と超高域を落としてノイズを減らしているのかもしれない。
ワイヤレス接続でノイズリダクションHighは,ちょっと想定外の結果が出た。
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筆者の計測ミスではない。確かにスイープ音を収録したのだが,ほぼ無音になっている。つまり人間の声ではないスイープ音は,ノイズと判定されて除去されてしまうようだ。
Lowとまったく結果が異なるのは面白い。ノイズリダクションの設定がかなり違うのだと推測する。
USB接続でも検証してみよう。まずはノイズリダクションOffからだ。
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こちらは,ワイヤレス接続のノイズリダクションOffとほぼ同じ形状になった。
次はUSB接続でノイズリダクションLowの周波数特性だ。
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まったく同じではないが,ワイヤレス接続のノイズリダクションLowと極めて近い。
最後はUSB接続でノイズリダクションHighの結果となる。
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耳では聞こえないレベルで200Hz付近が反応している以外,こちらもスイープ音は除去されている。
実際に自分の声を録音して聞いてみると,スタジオグレードのコンデンサマイクの音がする。
周波数特性から推測して,高域が強く聞こえるかと思ったが,しっかり低音も拾っていて,コンデンサマイクのしっとりした質感になっていた。全周波数帯域にわたって音がスムーズだ。
ノイズも非常に少ない。ノイズリダクションOffでも,筆者宅で聞こえるレベルの環境ノイズは乗らなかった。
念のため,すぐ横にサーキュレータを置いて最大風量設定の状態でも収録してみたが,ノイズリダクションOffでもノイズは聞こえない。指向性が非常に高いマイクと推測される。
ノイズリダクションLow/Highは,Offと同様ノイズは乗らないし,音質変化もそれほど大きくない。ブラインドで試聴したら,どれがノイズリダクションOffか分からないレベルだ。
周囲の雑音がやや大きいプレイ環境の場合は,有効にするといいだろう。
サウンドデバイス不要で扱いやすく,遅延も少ない高音質なワイヤレスヘッドセット
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それがATH-M50xSTS-WLでは,ワイヤレス&USB接続になり,かなり導入しやすくなっている。
マイクの音質も良好で,相変わらず低ノイズだ。そして遅延は極小かつ安定している。
なんというか,すべてレベルが高い印象だ。没入感より「音の聞き分け」を重視するなら,ATH-M50xSTS-WLはとてもよい選択肢になるので試してほしい。
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