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本作は,最弱のゾンビ・デイビィが,敵を喰らって能力を奪う「スタイルイート」や,身体を改造する「ボディハック」を駆使しながら異世界ダンジョンへ挑む“爆速成長アクションRPG”だ。
開発のGPTRACK50は,「バイオハザード」「デビル メイ クライ」「戦国BASARA」など,数々の作品に携わってきた小林裕幸氏が立ち上げたゲームスタジオ。本作は同スタジオのデビュー作となる。
4Gamerではこれまでも,イベント会場で開発陣に直接話を聞いたり,体験版や先行プレイを通じて本作を追ってきた。そしていよいよ発売を迎える今回は,小林氏,ディレクターの佐々木栄一郎氏,アートディレクターの田中現績氏の3人に集まってもらった。
最初の企画から現在の形へとどう変わっていったのか。パンクなアートや“爆速成長”のゲームサイクルはどう作られたのか。GPTRACK50の立ち上げから「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の完成まで,これまでの歩みをじっくり振り返ってもらった。
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最初の企画書から残ったのは“ゾンビだけ”?
4Gamer:
今日はよろしくお願いします。
この記事が掲載されるころには,「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の発売日を迎えています。今はどのようなお気持ちですか?
小林裕幸氏(以下,小林氏):
正式リリース版はもう仕上がっているので,「あとは皆さんに遊んでもらうだけ」という気持ちですね。今から「やっぱりここは作り直す!」ってできないですし(笑)。
佐々木栄一郎氏(以下,佐々木氏):
(笑)。今も発売後に向けたパッチ対応は続けていますけど,リリース版そのものはもう完成していますからね。それを届けられるという気持ちがまずあります。
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4Gamer:
小林さん,佐々木さんにはSummer Game Festやgamescom,東京ゲームショウと,いろいろな場所でお話をうかがってきました。なので私も勝手に当事者のような気分で,発売を迎えるのが嬉しいです(笑)。
ゾンビが死者に恋をした。小林裕幸氏率いるGPTRACK50の新作「Stupid Never Dies」は,愛しい人のためにダンジョンへ潜り,食べて変身して強くなるアクションRPG
SGF Play Days会期中に,GPTRACK50が開発中の「Stupid Never Dies」のクローズドセッションに参加。プロデューサー小林裕幸氏らスタッフの説明と実機プレイで,死者に恋したゾンビが食べて変身して強くなるアクションRPGの手触りを確かめた。
「ステューピッド・ネバー・ダイズ」小林裕幸氏&佐々木栄一郎氏にインタビュー。体験版の反響と発売に向けた取り組みを聞いた[TGS2026]
東京ゲームショウ2026で「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の開発陣にインタビュー。体験版への反響や,操作性を改善する調整パッチ,「遊べば分かる」本作の魅力をどう伝えていくかなど,GPTRACK50の小林裕幸氏と佐々木栄一郎氏に聞いた。
これまでは主にゲームプレイについて聞いてきましたが,今回はいよいよ発売ということで,「ステューピッド・ネバー・ダイズ」がどう始まり,ここまで作られてきたのかを振り返っていただければと思います。
まずはあらためて,GPTRACK50を立ち上げた経緯から聞かせてください。
小林氏:
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僕自身,ゲーム業界で30年以上仕事をしてきましたけど,そういう機会って,やっぱりチャンスがないとなかなか巡ってこないんですよね。業界全体を見ても,オリジナル作品を立ち上げる機会はどんどん減っている現状もあります。
自分の年齢も含めて,これから先にあと何タイトル作れるだろう,どんなゲームを作っていけるだろうと考えたときに,「やっぱり新しいものを作りたいな」と思ったのが始まりです。
4Gamer:
新しいゲームを作ることが,まず出発点にあったんですね。
小林氏:
はい。それで,そのためにクリエイターを集めて立ち上げたのがGPTRACK50でした。
「アクションゲームが好きな人たちに,新しいアクションゲームを届けよう」というところからプロジェクトをスタートしています。
佐々木のように以前一緒にゲームを作ったメンバーもいれば,田中のように完全に初めましてのクリエイターもいる。そうやって人が集まり,30人弱ぐらいのコアメンバーになっていきました。
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4Gamer:
佐々木さんと田中さんはそれぞれ,どのタイミングで参加したんですか?
小林氏:
佐々木は10月1日に来る予定だったんですけど,少しずれて11月1日です。
4Gamer:
GPTRACK50の発表が2022年11月だったので,ちょうどそのタイミングですね。創立メンバーということだ。
小林氏:
そうですね。会社の設立自体はその1か月ほど前の10月1日なんですが,佐々木が加わってからスタジオとして本格的に動き始めたので。
田中は少し参加の形が違っていて,最初は外部からプロジェクトに関わってもらっていたんです。
田中現績氏(以下,田中氏):
当時はGPTRACK50と同じグループに属する会社に所属していて,プロジェクト自体には2023年ぐらいから関わっていました。その後,2024年の春にGPTRACK50に入り,今に至るという感じですね。
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4Gamer:
かなり早い段階から関わっていたんですね。
小林氏:
そうですね。当時はアートのメンバーが誰もいなかったんですよ。最初はゲームデザイナーとエンジニアだけで,アートディレクターもずっと探していました。
そこに田中が加わって,同じ時期にほかのアートメンバーも入ってきた。1年弱ぐらいアート担当がいない状態だったので,本当に「やっと来てくれた!」という感じでしたね(笑)。
4Gamer:
では,そんな「新しいアクションゲームを作りたい」という思いで立ち上げたスタジオの1作目となる「ステューピッド・ネバー・ダイズ」は,どんなアイデアから生まれたんでしょう。
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小林氏:
企画自体は,会社のスタートとほぼ同時ですね。
スタジオを立ち上げるにあたって,「どんなゲームを作るのか」という企画書を出す必要があったんです。でも,その時点ではまだ僕しかいなかったので,1人で8ページぐらいのアクションアドベンチャーの企画書を作りました。
4Gamer:
それが「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の原型に。
小林氏:
いや,そこはちょっと違って(笑)。
主人公がゾンビというところは一緒なんですけど,いまのデイビィみたいな情けない感じではなくて,もっとかっこいい大人のゾンビでした。
そのゾンビが敵の軍団と戦うような企画で,まずはそれでスタジオ設立の話を通したんですね。
それから佐々木たちコアメンバーが集まったところで,「じゃあ,これをたたき台にしてゲームを考えましょう」と話し始めました。
そうしたら,僕の企画書にあった要素がどんどん削られていって(笑)。
4Gamer:
削られ,削られ。
小林氏:
そう。ほとんど何もなくなった時期もあります(笑)。
4Gamer:
そこまで(笑)。
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小林氏:
さすがに「この企画で話を通しているのに,全部なくなったらまずいだろう」と。だから,「ゾンビだけは絶対に残して」と言ったんですよ。
4Gamer:
「話が違うじゃないか」と言われないための,最後の一線がゾンビだった。
小林氏:
そこからですね。今の「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の原型ができていったのは。
その企画を佐々木があらためてプレゼンして,承認をもらって開発をスタートしています。
だから,僕が最初に作った企画書の内容は,ほとんど残っていないんですよ。
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4Gamer:
最初の企画からは大きく姿を変えたわけですね。では,今の「ステューピッド・ネバー・ダイズ」の形ができてからはどうでしょう。
小林氏:
そこから先は,本当にこのままだよね。ほとんどブレていない。
佐々木氏:
そうですね。ここまで変わらないのも珍しいと思います。
最初に考えた企画やゲームの設計は,基本的な構成に関して言えば,ほぼ何ひとつ変えずに完成まで持ってこられています。
4Gamer:
ゲームサイクルもですか。
小林氏:
ゾンビが敵を食べる。スタイルチェンジする。ボディハックする。30分でレベルが爆速で上がる。
そこはもう最初からありました。絵は何も決まっていなかったですけどね。
4Gamer:
ゲームの基本的な仕組みは,かなり早い段階で決まっていたんですね。
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食べて,奪って,強くなる! そんな“爆速成長”アクションRPG「Stupid Never Dies」の体験版を紹介
GPTRACK50が開発する3DアクションRPG「ステューピッド・ネバー・ダイズ(Stupid Never Dies)」の体験版「ファーストバイトデモ」が配信中だ。敵を殴って,食べて,能力を奪いながら爆速で強くなる。本作ならではのゲームサイクルを楽しもう。
小林氏:
作り始める段階で,企画そのものはしっかり固めておきたかったんですよ。
それで「合宿をやろうぜ」と言って,土日に初期メンバーで集まりました。当時はオンラインでの打ち合わせが中心だったので,大阪のホテルに缶詰めになって,集中的に話し合ったんです。
あれはかなり有効でしたね。いろいろなことが一気に決まりました。
4Gamer:
一度,顔を合わせて話せたのは大きかった。
小林氏:
そうですね。当時はまだオフィスもなかったので,そこでぎゅっと話を詰められたのは大きかったです。今のゲームの骨子も,そこでできたと思います。
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絵も物語もないところから「ファンキーゾンビアクション」の見た目を作る
4Gamer:
ゲームとしての形はかなり早い段階で決まっていた一方で,その時点ではまだ絵はなかったんですよね。
田中さんが参加したときには,どんな形で企画を渡されたんですか?
小林氏:
本当に「こういうゲームだから,ここに絵を付けてください」ぐらいの感じだったよね(笑)。
田中氏:
そうですね。「ファンキーゾンビアクションです」という感じで(笑)。
小林氏:
そのワード自体は田中が加わってから決めたものだけど,「そういう雰囲気で!」という話をしたね。
4Gamer:
田中さんは初めて企画を見たとき,どう思いましたか?
田中氏:
「うわ,面白そうだな」と思いました。でも同時に,「なんだこれは。じゃあ,これをどう料理するんだ」と(笑)。
そこから楽しかったですね。
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4Gamer:
本当に,当時は絵的なものはなかったんですよね。
小林氏:
なかったです。
ただ,開発メンバーが作ったゲームのモックはあったので,田中には企画書と一緒に見てもらいました。
当時の開発メンバーはUnreal Engineでの開発が初めてだったので,勉強や研究も兼ねて,既存のアセットを使ったテストゲームを作っていたんです。それを見せてゲームとしてやりたいことも伝えつつ……というところから始まっています。
一方で,アートより先にストーリーを走らせていました。「まずシナリオを作ろう」と。僕がちょっとせっかちだったので(笑)。
4Gamer:
主人公の絵もない段階で,ですか?
小林氏:
はい。主人公の絵どころか,設定も決まっていない(笑)。
シナリオ自体はそこから1年ぐらいかかりましたけど,今の物語の骨になるところは先にできていて。ストーリーを作りながらキャラクター設定も決まっていきました。
その流れで「じゃあ田中さん,これお願いします」と,2Dアートを頼んでいったんです。
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4Gamer:
ライブ感があるというか,面白い作りですね。
田中さんは,そこから現在のアートディレクションをどう固めていったんでしょう。
田中氏:
外部から関わっていた時点で一度リサーチもしていて,ふわっとしたイメージ自体はありました。
そこから「何がこのゲームをユニークにするんだろう」というところを探していく感じでしたね。
4Gamer:
キャラクターだと,最初に手をつけたのはデイビィですか。
田中氏:
はい。ゾンビが主人公で,ディレクターの佐々木がパンク好きで,ゲームのイメージもパンクがあると。
パンクとゾンビって,ものすごく面白い組み合わせじゃないですか。だから,「この2つをどう料理していくか」というところから始めました。
4Gamer:
実際の画面を見ていると,「これは一体どんな引き出しから持ってきたんだろう」と気になるものがかなり多いです。
田中氏:
いろいろリサーチもしましたが,佐々木とはアートやカルチャーの好みがかなり近かったんです。
パンクもそうですし,手描きっぽい表現やコラージュなんかも,「これで何か面白いことができないか」と話しながら試していきましたね。
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佐々木氏:
さまざまなジャンルの既存作品を見ながら,「この色使いはありか」「キャラクターはもっと丸いほうがいいか,角張っているほうがいいか」と,OK,NG,その中間ぐらいに仕分けていきました。
4Gamer:
好みが近いからこそ,実例を並べながら,「自分たちが好きか」だけでなく,「今回のゲームに合うか」まで擦り合わせていったんですね。
佐々木氏:
そうです。そうやって,このゲームに合う答えを探していった感じですね。
4Gamer:
私も最初に絵を見たとき,第一印象で「これ,間違いなく好きなやつだぞ」と思ったんですよ。
私自身パンクが好きで,コラージュやカットアップ,サンプリングみたいに,いろいろなものを持ってきて混ぜる表現にも惹かれるところがあって。「ステューピッド・ネバー・ダイズ」のアートにも,そういうパンク的なアティチュードがあるなと感じました。
こういうのって,好きな人には感覚的にすぐ伝わるところがありますよね。
小林氏:
そうなんです。田中と佐々木と僕も,世代を含めて感覚がかなり近かったので,3人の間では「こういうことだよね」という理解がすごく早かったんです。
ただ,そこから先が大変でした(笑)。
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4Gamer:
その“感覚”を,今度は開発チーム全体に共有しないといけない。
小林氏:
そうそう。この感覚が近い人同士で話しているぶんには,ただ楽しいんですよ(笑)。
でも,僕らの中では分かっているものを,ほかの人にも分かる形で伝えないとゲームにはならない。
そこで,キャラクターや背景,UIそれぞれについて,かなり細かいスタイルガイドを作りました。
これまでの作品では,ゲームが完成したあとに試行錯誤の結果をまとめる意味でスタイルガイドを作ることもありました。でも今回は逆で,作り始める段階から「この作品が目指しているものを分かってもらうためのスタイルガイド」を用意したんです。
佐々木氏:
GPTRACK50の中で認識をそろえるためというのはもちろんですが,今回は外部の協力会社さんもかなり多かったので,そうした方々にも作品が向かっている方向をきちんと共有する必要があるわけです。
カラー番号まで決めるような具体的な指定もありますし,もっと感覚的な部分では,僕たちの言葉をほかの人にも分かる形に“翻訳”してもらうようなこともしていました。
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4Gamer:
概念的なところまで言葉にしていった。
小林氏:
やりました。「ファンキーゾンビアクションとは何か」とか,「そもそもファンキーとは何か」とか。
オリジナルのゲームって,みんなの中に共通する正解の記憶がないので,どうしても迷うんですよ。
だから,「この作品はこっちを目指すんだ」というディレクションをちゃんと示さないといけない。
ただ,言葉だけでは伝わりにくい部分もあるので,映画だったり,アニメだったり,絵だったり,いろいろな参考資料も使いました。
4Gamer:
分かります。「パンク」と一言で言っても,バンドやアーティストによって見た目もアティチュードも違いますよね。いろいろな例を見ることで,目指す雰囲気をそろえていくような。
小林氏:
そうそう。真似をするという話ではなく,言葉だけでは伝えにくい雰囲気を具体的なものを見ながら共有して,チーム全体のイメージをそろえていった感じですね。
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3つのレイヤーで整理し,コラージュの“なんでもあり感”を生かす
4Gamer:
アート面で印象的なのが,コラージュの使い方です。画面にはいろいろなものが飛び込んできますし,UIもかなり攻めていますよね。
一方で,アクションゲームとしては視認性とのバランスも難しそうです。
佐々木氏:
そうですね。
コラージュという手法自体が面白いよね,というところから始まったんですけど,コラージュって無限にできるんですよ。何を持ってきても成立してしまう。
4Gamer:
何でもありで面白いけど,ルールを決めないと収拾がつかなくなる。
どのようにそれを回避したんですか?
佐々木氏:
画面上の表現を3つのレイヤーに分けました。
ひとつ目が,3Dで描かれるゲーム世界のレイヤー。その上にHUD(ヘッドアップディスプレイ)のレイヤーがあって,最後にデイビィの感情を表すレイヤーがあります。
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4Gamer:
コラージュを使っているのは,主にHUDですね。
佐々木氏:
ええ。体温計だったり,ヘッドセットだったり,缶バッジ,ピンバッジだったり。
「あれをどこから持ってきたのか」と言われたら,「デイビィのポケットに入っていそうなもの」です(笑)。
4Gamer:
体温計を持っているのが面白いですね。ゾンビだから体温ないんじゃないかって(笑)。
佐々木氏:
でも,なんか変に持っていそうじゃないですか(笑)。
そんなイメージでコラージュとして持ってきたものは,ゲームの表現とは違ってかなりリアルな質感で描いています。
3Dのゲーム世界と実物感のあるHUDでは見た目にも異質感が出るので,情報としても見分けやすくなるんです。
4Gamer:
そして3つ目が,デイビィの感情。これが気になります。
佐々木氏:
デイビィが何かを見て思ったことだったり,高揚した感情だったりを,落書きとして画面に重ねています。
敵が登場したときなどに描き込まれる落書きがありますよね。あれはデイビィの感情や妄想なんです。
4Gamer:
ああ。あの落書きは,HUDのコラージュとはまた別なんですね。
画面はごちゃ混ぜなのに,どこか整理されて見える理由が分かりました。
佐々木氏:
3Dのゲーム世界,実物をコラージュしたHUD,デイビィの感情を描く落書き。それぞれに別のルールを持たせています。
コラージュの自由さを生かしながら,ゲームとしては整理された画面に。そのための3つのレイヤーなんです。
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4Gamer:
では,ゲーム世界のレイヤーではどうでしょう。
敵には巨大なものもいれば,羽をバッと広げるキャラクターもいて,カラフルなエフェクトも重なります。スピーディーなアクションと,派手な演出を両立させる難しさはありませんでしたか?
佐々木氏:
最初にルールとして決めたのは,「アクションを邪魔するものは全部NGにする」ということです。
逆に言えば,そこさえ邪魔しなければ,あとはちょっと悪ふざけしてもいいよ,ぐらいの感じでした。
田中氏:
なので,アート側は一度「やりすぎかな」というぐらいまで入れてみるんですよ。
4Gamer:
作っている本人が「こんなにやっていいのかな」と不安になるくらい。
田中氏:
そうですね(笑)。
もちろん視認性は大前提です。そのうえで,「どうやってアートとして盛り上げるか」を考えて,まず大胆に入れてみようと。
4Gamer:
その2Dのデザインを,実際に3Dで動かしていく段階ではどうでしたか?
小林氏:
チームにアクションゲーム開発の経験者が多かったことが大きかったですね。
田中が作った2Dの絵を3Dにして,アニメーションを付け,さらにエフェクトを重ねる。
それぞれのセクションに,アクションゲームとしてどこを見るべきか分かっているメンバーがいるので,違和感があればすぐに声が上がるんです。
だから,全部できあがってから「これはアクションとして成立しない」となることがあまりなかった。少人数だったこともあって,確認や修正もかなり早かったですね。
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ヴァンパイアらしさと肉体改造をどう両立するか
4Gamer:
キャラクターを作るなかで,「これは困ったぞ」というものはありましたか?
田中氏:
一番時間がかかったのはドラグルですね。
4Gamer:
“串刺し公”の異名を持つ,「四公爵」最古参のモンスター。いわゆるヴァンパイアですね。
田中氏:
はい。本作の敵は,モンスターでありながら,オーバーテクノロジーによる肉体改造も施されています。
なのでドラグルも,一目で「ヴァンパイアだ」と分かることと,本作ならではの機械的な異質さを両立させなければいけない。そこにはかなり時間がかかりました。
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4Gamer:
どうやって形にしていったのでしょう。
田中氏:
まず一度,分かりやすいヴァンパイアを作りました。
そこからオーバーテクノロジーやボディハックの要素を段階的に足していく。やり方自体はシンプルですね。
小林氏:
ただ「ヴァンパイア」と一言で言っても,人によってイメージがかなり違うんですよ(笑)。
佐々木氏:
チーム内でもいろいろありましたね。僕は細身で低血圧っぽいイメージだったんですけど,格闘ゲームに出てくるような,筋肉のあるパワーキャラを思い浮かべる人もいて。
4Gamer:
ああ。血を飲んでタフな姿になった感じの。
小林氏:
そうそう。いろいろな方向性があるけど,崩しすぎると今度はヴァンパイアに見えなくなる。そのさじ加減は難しかったですね。
4Gamer:
本作にはザコからボスまでさまざまな敵がいますが,オーバーテクノロジーの見せ方にも段階があるんでしょうか。
小林氏:
そこはルールを作りました。
ザコは装備を少なめ,エリートはそこそこ,ボスは多めにする。
ただ,付けすぎてもやりすぎになるし,少なすぎると本作らしさが弱くなる。そこは田中と結構やり取りしましたね。
佐々木氏:
ゾンビ,ヴァンパイア,狼男,ハーピーと,世界中の人が見て分かるモンスターを選んでいるので,元のシルエットを大きく崩しすぎることもできません。
その中で,どう本作ならではの要素を加えるかというところですね。
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田中氏:
まずモンスターとして分かる形を作って,そこに本作ならではの要素を重ねる。そこからは,ほかのモンスターも進めやすくなりました。
ドラグルはそのバランスがかなりうまく出せていて。ドラグルができたことで,モンスターをどうデザインしていくかという作り方も見えてきました。
小林氏:
ドラグルは,音楽もかなり早い段階で作ったんですよ。
まだステージができていない段階で,イラストをもとにボス曲を作っています。
佐々木氏:
本作はパンクを大きな軸にしていますけど,何もかもパンク一辺倒にしたかったわけではないんです。
「どこまで表現の幅を広げても『ステューピッド・ネバー・ダイズ』として成立するのか」という最初のテストケースになったのがドラグルでした。
中世のゴシックホラー的な雰囲気を入れても成立する。それが見えたことで,作品全体の幅も広がりましたね。
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ボスを倒すとBGMまで奪える。さらにパンクの精神でリミックス
4Gamer:
アートもそうですが,音楽もかなり気になるところです。先にプレイさせてもらいましたが,ステージごとにまだいろいろな曲がありそうですよね。
小林氏:
音楽は大事な要素で,ゲームのテーマになっているパンクの何にも縛られない自由さや勢い,精神性みたいなところは音楽面でも出しています。
ジャンルとしてはパンクに縛られず,いろいろな曲があるのでそれは楽しみにしてほしいんですが,ひとつだけ音関連の遊びを。このゲームには,ボスを倒すとそのボスのBGMを奪える仕組みがあります。
4Gamer:
ああ。ドロップアイテムにレコードがありましたね。
佐々木氏:
はい。ボスのBGMを,パンクの精神でリミックスした曲が手に入るんです。
そのレコードをセットすると,通常の戦闘曲をリミックス版に変えられます。
小林氏:
ボスを倒したご褒美として,「曲をもらえる」という報酬を作ったんです。
これは本当に後から入れたもので,途中で僕が急に「これやろう」と言い出して,サウンドチームに無茶ぶりしました(笑)。
佐々木氏:
「でも,そういうのってパンクじゃない?」みたいな話になって(笑)。
小林氏:
そうそう。そしたら音楽好きのゲームデザイナーが「やります」と乗ってくれて。
言い出したこっちが「え,本当にやるの?」って(笑)。
4Gamer:
お願いした側が(笑)。
音楽そのものは,かなり早い段階から作っていたんですか。
小林氏:
そうですね。シナリオと並行して,アートと音楽も走らせていました。
ポップパンクでいくという方向性は決めていたので,まず「主題歌を早く作ろう」と。
デイビィとジュリアの2人が歌っているような曲にしたかったので,ボーカルも探して選びました。
4Gamer:
デイビィとジュリアという構図も,かなり早い段階から音楽に入っていたんですね。
小林氏:
そこは同時進行ですね。
2Dの絵ができたキャラクターはそれを見せたり,ゲームが動くようになれば実際の戦闘を見せたりしながら,曲を作っていきました。
主題歌から始めて,ドラグルのボス曲,戦闘曲と増やしていった感じです。
たとえば狼男のヴォルフガングは,ゲーム中で戦う機会が何度かあるので,彼だけボス曲を4バージョン作っています。
4Gamer:
ひとりのボスに4バージョンもあるんですかっ。
小林氏:
あります。なぜ何度も戦うのかはネタバレになるので言えませんけど,毎回同じ曲では変化がないですからね。
それぐらい,音楽にもかなり力を入れています。
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「ゾンビは雑魚」から生まれた,最弱の主人公デイビィ
4Gamer:
少し話を戻して,主人公について聞かせてください。
この最弱なゾンビという主人公像は,どこから生まれたんでしょう。
佐々木氏:
ゾンビを主人公にすると決めたときに,いわゆる「ゾンビあるある」をいろいろ考えたんです。
そのひとつが,「ゾンビって雑魚だよね」ということでした。
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4Gamer:
特にゲームだと,やられ役になることが多いですね。
佐々木氏:
そうなんです。僕ら自身,これまでゲームを作るなかで,そういう扱いをすることも多かったですし(笑)。
だったら,そんな弱い存在が強いやつに勝っていく話にしたら熱いんじゃないかと。
けんかもしたことがない。女の子と付き合ったこともない。
そんなやつが,いろいろな経験をしてきた強いやつらに勝っていく。下克上の物語にしよう,というところからですね。
4Gamer:
ジュリアという,愛する女性の存在も最初からあったんですか?
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小林氏:
いや,本当の最初はいなかったです。
まず「下克上ゾンビものをやろう」というところがあって,シナリオを詰めていくなかで「やっぱりヒロインがほしいよね」となり,そこからジュリアができていきました。
4Gamer:
もうひとつ,かなりピンポイントなんですが,ずっと気になっていたことがあります。
デイビィがトイレに流されて異世界ダンジョンへ行くという発想は,一体どこから出てきたんですか?
ショッピングモールが拠点というところまではゾンビものとして分かるんですが,そこから「じゃあトイレに流そう」は,どうしてそうなったんだろうと(笑)。
小林氏:
……覚えてないんですよ(笑)。
4Gamer:
(笑)。
佐々木氏:
たしか,シナリオ会議で出たんだと思います。
ホームであるショッピングモールと異世界ダンジョンの位置関係を,ホワイトボードに書きながら考えていて。
「上から下へ行く」としたときに,「じゃあ,この動線を何でつなぐ?」となって,そこから出てきたような気がします。
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小林氏:
ああ,それで田中に「博士が作ったトイレ」という設定だけ渡して,イメージを作ってもらったんだっけ。
しかも,そのときは博士の絵もまだなかったよね。
田中氏:
なかったですね。
4Gamer:
「博士が作ったトイレ」の情報だけで描いたと(笑)。
田中氏:
そうですね(笑)。
4Gamer:
その博士についても聞きたいです。
どう見てもかなり危ない人なんですが,単なる「おかしい人」ではないですよね。
デイビィをトイレに流すのも相当なのに,本人は「いや,普通でしょ?」ぐらいに思っていそうな妙な説得力があります。
佐々木氏:
そこまで読み取ってもらえると嬉しいですね。
博士はかなり細かく設定していて,善悪の判断基準や倫理観まで決めています。
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小林氏:
シナリオ会議でも,「博士をどうするか」はかなり議論したね。
佐々木氏:
最初は,もっと狂気に寄せた案もあったんです。
でも,そこまでやると「こいつのこと,誰が好きになるの?」となって(笑)。
物語の中で何度も出てくる重要なキャラクターなので,そこは調整しました。
4Gamer:
本人なりの行動原理があるから,ただの狂人には見えないんですね。
見た目の“半分人間”という感じも絶妙ですが,最初から今の姿だったんですか?
小林氏:
半分機械という設定は途中からですね。
なぜそうなったのか。なぜ卵を研究しているのか。そのあたりは,ゲームを進めると分かります。
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4Gamer:
物語の核心に近い部分だと思いますが,デイビィとジュリアがその後どうなるのかは気になります。
一目ぼれに理由はいらないとして,そこからデイビィはどうやってジュリアのことを知っていくんでしょう。
小林氏:
最初は,スマートフォンに残されたデータからですね。
名前を知って,写真を見て,友達とのSNSのやり取りや自撮り動画を見る。そうやって,ジュリアがどんな人なのかを少しずつ知っていきます。
その中で,実はホラーやモンスターものが好きらしいということも分かるんですよ。
それでデイビィも,「だったらゾンビの俺でも,もしかしたら好きになってもらえるかもしれない」と希望を持つわけです。
4Gamer:
デイビィにも少し光が見えてくると。
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小林氏:
そうです。
それと……発売に合わせたインタビューなので,ここはもう言ってしまいますけど,ジュリアは途中で生き返ります。
プレイヤーキャラクターとして操作できるわけではありませんが,仲間としてデイビィの物語に関わっていきます。
4Gamer:
トレイラーやイメージカットにも生きている姿がありますし,やはりそうなんですね。
では,そこから2人の関係がどうなっていくのかは……。
小林氏:
そこは,実際にゲームを遊んで確かめてほしいですね(笑)。
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「30分で世界を救うRPG」。ゲームの仕組みはどう物語とつながる?
4Gamer:
ゲームシステムについては,これまでのプレイレポやインタビューでも触れてきましたが,あらためてその成り立ちを簡単に聞かせてください。
敵を食べて回復し,さらに能力まで奪うという仕組みは,やはりゾンビが主人公だから生まれたものなんでしょうか。
佐々木氏:
そうですね。いわゆる「ゾンビあるある」から考えていきました。
「ゾンビなんだから敵を食べるよね」「腕が1本,2本なくなっても戦えそうだよね」と。
もちろん,本当に腕をなくすゲームにするとアクションとして大変なので(笑),傷ついたら敵を食べて回復する。そこから,能力を奪うことも全部「食べる」にまとめました。
4Gamer:
だから,薬のような回復アイテムもなく,戦い続けること自体が回復や強化につながっている。
佐々木氏:
そうですね。
あともうひとつ,最初の企画書には「30分で世界を救うRPG」という言葉を書いていました。
普通のアクションRPGなら数十時間かけて味わう成長を,もっと短い時間の中にぎゅっと詰め込みたい。その考えから,今のゲームサイクルや「爆速成長」が生まれています。
4Gamer:
その30分という時間制限も,本作を特徴づける要素ですよね。
佐々木氏:
「30分で世界を救わなければならない」としたときに,一番分かりやすいプレッシャーが時間だったんです。
ただ,時間切れですべてを失うようにはしたくなかった。1回の挑戦は30分や15分で区切られますけど,物語やキャラクターの成長自体はその先まで続いていきます。
4Gamer:
遊ぶ側としては「失敗しても次につながる」と分かっているので,必要以上には焦らされない。
一方で,物語の中ではデイビィが本当に時間に追われていますよね。
佐々木氏:
そうなんです。
ジュリアが凍っているのは,廃墟になったショッピングモールのアイスクリームショップにある冷凍庫なんですよ。
博士がなんとか冷凍状態を維持していますけど,電力がいつまでも持つわけではない。だからデイビィには,「ジュリアが溶けてしまう前に何とかしなきゃいけない」という理由があるんです。
ゲームとしても物語としても,「時間と戦う」という感覚は共通して持たせています。
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4Gamer:
ただ,ゲームとしては制限時間というプレッシャーが強すぎると,今度は楽しさよりしんどさが勝ってしまう。
佐々木氏:
そうですね。
ドキドキはしてほしい。でも,「嫌だな」にはしたくない。そのバランスは最後まで調整しました。
スタイルチェンジも同じで,最初は奪った能力に時間制限を付けていたんです。でも,そうするとみんな「ボスまで取っておこう」と使わなくなってしまって(笑)。
4Gamer:
強いものほど温存してしまう。
佐々木氏:
そうなんです。
このゲームでは,食べて,スタイルを変えて,また別の敵を食べて変えていくことを楽しんでほしい。
だから最終的には今の形にして,「これを使いたい」と思いつつ,「次は別のスタイルに変えたい」とも思えるバランスを目指しました。
制限時間や成長曲線も含めて,そこは本当に最後まで調整していましたね。
小林氏:
完成前の最後の2,3週間も,制限時間とレベルの上がり方はずっと触っていたよね。
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「バカを真面目に作った」アクションゲーム。GPTRACK50の開発文化
4Gamer:
そろそろお時間なので,最後に振り返りを聞かせてください。
GPTRACK50を立ち上げて,「ステューピッド・ネバー・ダイズ」を作り続け,ついに発売を迎える。この道のりはどうでしたか。
小林氏:
もう発売になってしまうと,いい思い出しかないですね(笑)。
苦労は忘れるようになっているので。
佐々木氏:
いい思い出ですね。あと,開発は早かったなと思います。
小林氏:
かなり早かったね。
今の時代に,これだけぎゅっと集中して作れたのはよかったと思います。
ちゃんと考えるけど,短い時間で判断して次へ進む。そういうメンバーが多かったんですよ。
佐々木氏:
最初はWi-Fi環境すら「どうする?」というところからですからね。
「ハブがない。買わなきゃ」とか(笑)。本当にそこから始まって,よくこの時間でここまで作れたなと思います。
小林氏:
そうそう。だから本当によくこの時間で完走できたなって。
最後のメンバーが入ったのは2025年5月で,その2人がいなかったらここまで仕上げられなかったとも思います。
もちろん社内だけではなく,いろいろな外部スタジオにも協力してもらいました。そういう人たちも含めて,全員がいたからここまで駆け抜けられましたね。
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4Gamer:
“初めまして”から参加した田中さんはどうでしたか?
田中氏:
まず,本当に知っている人が誰もいなくて(笑)。そこから,「作り方が全然違うな」と思うことはたくさんありました。
4Gamer:
それは,海外の制作現場に長くいたからというだけではなく。
田中氏:
それだけではないですね。そもそも使っている言葉が違うんですよ。
言葉っていうのは日本語か英語かという話ではなく,同じゲームを作っているのに専門用語が違う。最初はかなり戸惑いました。
4Gamer:
たとえば,どのような言葉が?
田中氏:
これ載るか分からないですけど……「大人壁」とか。
4Gamer:
大人壁?
佐々木氏:
ゲームの都合で,「ここから先には行けません」とする壁ですね。
4Gamer:
“大人の都合”の壁。
小林氏:
そう(笑)。僕や佐々木みたいなカプコン出身のメンバーが,つい使ってしまう言葉ですね。
いろいろな会社から人が集まっているので,最初は「内輪の言葉を使わないようにしよう」と意識していたんですけど,無意識に「大人壁」とか言っちゃう(笑)。
田中氏:
そういうところも含めて,これまで自分がいた開発現場とは空気がかなり違いました。
特に感じたのは,進んでいくスピードと豪快さですね。「全部やり直し」みたいなことがあまりないんですよ。
小林氏:
感性は大事にするけど,それだけで走らないメンバーが多かったんです。
ちゃんと計算して,スケジュールを立てて作る。「考えない」のではなくて,短い時間でちゃんと考えて,決める。
4Gamer:
ちょっと強引なつなげ方ではありますが,なんだかそこも「ステューピッド・ネバー・ダイズ」っぽいですね。
制限時間の中で爆速成長する(笑)。
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小林氏:
そうなんですよ(笑)。開発にも時間制限はもちろんあるわけで。
4Gamer:
それによってブーストがかかるというか,スタジオの作り方がちょっとゲームにもにじんでいる。
佐々木氏:
そうかもしれませんね。
ゲームデザイナーにはかなりロジカルな人が揃っていて,土台をしっかり作る。そのうえで,アートでは大胆なものをボンと乗せられる。そういうチームだったから,このゲームの形になったんだと思います。
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4Gamer:
では最後に,これから遊ぶ人に「ここを楽しんでほしい」というところを,お一人ずつお願いします。
田中氏:
アートは,本当に細かいところまでこだわって作りました。
まさにバカを真面目に作ったゲームなので,いろいろなところを見て「あはは」と笑ってもらえたら最高ですね。
佐々木氏:
制限時間のプレッシャーを乗り越える快感と「爆速成長」を楽しんでほしいです。
繰り返すたびに成長の仕方も変わりますし,「前回はこれが最強だと思ったけど,今回はこっちのほうが強い」と,新しい組み合わせを見つけられる。
ぜひ何度も遊んで,自分なりの強いビルドを探してほしいですね。
小林氏:
アクションゲームが大好きなメンバーが,アクションゲーム好きのために作ったタイトルです。
でも,アートやキャラクター,ストーリーにも力を入れているので,アクションが得意ではない人にも遊んでもらいたいですね。僕自身,そこまで得意ではないですから(笑)。
ゲームオーバーになっても,RPG的な成長で少しずつ強くなれます。まずは体験版からでも触ってみてください。
あと,この記事が載るころには,ジュリアの前日談を描いたショートムービーも公開されていると思います。ゲーム本編とあわせて,ぜひ見てください。
4Gamer:
私も正式リリース版で,あらためて「爆速成長」を楽しみたいと思います。本日はありがとうございました!
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