その「時のオカリナ」が,発売から28年の時を経て,2026年11月5日にNintendo Switch 2 向けのフルリメイク作品として帰ってきた。
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先行プレイの機会を得て,当時オリジナルを遊んだ筆者が久しぶりに訪れたハイラルで感じたのは,「知っているけれど,新しい」という感覚だ。見覚えのある風景や人物にも新たな発見があり,物語の受け止め方にも,当時とは違うものがあった。
いまは子を持つ親になったことも,その理由のひとつかもしれない。遊びながら,この冒険を子どもはどう楽しむだろう,と考えることがあった。自分が好きだった絵本や小説を子どもにも読んでほしくなるように,「時のオカリナ」もまた,次の世代に触れてほしいと思える作品だからだ。
本稿では,原作を遊んだ一人として感じた懐かしさと新しさ,そして次の世代にもこの冒険を勧められると感じた点を,実際のプレイを踏まえてお伝えしたい。
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記憶のなかの風景がより鮮やかに。見覚えのある風景に息づく人々の暮らし
まず目を引かれたのは,物語の始まりとなる「コキリの森」の風景。トレイラーでも何度も見ていたが,実際に自分で歩いてみるとやはり違う。
森を包む薄い霧や,木々の間から差し込む光,足元に茂る草木。絵本のような味わいがありながら,どこかに本当にありそうな森の空気は,オリジナルで親しんだ「時のオカリナ」の雰囲気をそのままに,記憶のなかの風景をより鮮明にしてくれる。
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外の世界から離れて暮らしているコキリ族。木々を覆う苔やキノコ,起伏のある地面を眺めながら歩いていると,森の奥深くで生活している様子が伝わってくる。初めてこの場所を訪れる人にも,コキリ族が人々の暮らす土地から隔たった森で暮らしていることは自然と伝わるはずだ。
森を離れて訪れるハイラル城下町でも,見覚えのある景色につい足を止めてしまう。広場のにぎわいに加え,店先や家の前に置かれたものまで見ていくと,ここで人が暮らしている気配が増しているのだ。
遠くにハイラル城が望めることもあり,街全体はかなり広く感じられる。それでいて,実際に歩き回る感覚はオリジナルとそれほど変わらない。歩き慣れた広さのまま,街の暮らしが前よりも身近に感じられた。
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そして,何より印象に残ったのは,森を抜けて初めて「ハイラル平原」に足を踏み入れたときだった。
ハイラル平原は,これから訪れるさまざまな土地をつなぐ,冒険の中心となる場所。原作でも森を抜けた瞬間に本格的な冒険の始まりを感じた覚えがある。
今回は,この先の展開を知っている筆者もあらためて胸が高鳴った。目の前の景色から,この先に待つ冒険まで想像させてくれる“世界の見せ方”が,とても素晴らしかったのだ。
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これから遊ぶ人にも体験してほしいので詳しい演出は伏せるが,その見せ方には,「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」など,のちの“3Dゼルダ”タイトルを経てきたからこそのものを感じた。
オリジナル当時は,画面に描かれた景色の先を自分の想像で補っていた。今回は,そんな当時のプレイヤーの思い出のなかにあるハイラルを大切にしながら,今の技術や表現でその広がりまで描いてくれたのだ。
それらの風景を引き立てる音楽も,聴き覚えのある曲の響きが豊かになっている。原作の世界の規模感や空気を生かしながら,広げすぎずに音の表情を深めたようなアレンジが心地いい。「これは新しい曲かな?」と思うものも,昔からそこで流れていたように自然になじんでいた。
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発表当時から話題となったドールのようなキャラクターモデルは,とくに自分なりのイメージを持つ原作ファンにとって気になるところかもしれない。
筆者は実際に遊んでいて違和感は覚えなかった。むしろ,豊かな表情や身ぶりが絵本のような風景によく合っていて,昔から語り継がれてきた物語に触れるような親しみも感じられた。好みが分かれるところはあるかもしれないが,彼らが動き,話す姿を見てこそ,しっくりくるデザインだと感じた。
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歩いて,走って,ときどき立ち止まる。新たな操作で深まるハイラルでの冒険
「時のオカリナ」の物語に次の世代にも触れてほしい。そう思う筆者が,今回のリメイクを遊ぶまで気にしていたのが,操作まわりだった。
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原作は今の3Dアクションにつながる仕組みを生んだ作品だが,3D空間での操作を手探りで形にしていた時代の感覚も残っている。「NINTENDO 64 Nintendo Classics」※を通じて今もNitendo SwitchやSwitch2で遊べるとはいえ,操作に戸惑い,冒険や物語の面白さに触れる前にやめてしまうのでは,という気がかりがあったのだ。
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それが本作では今のゲームとして自然に遊べるようになり,操作に戸惑うことなく冒険や物語を楽しんでもらえる。次の世代にも勧めたいと思っていた筆者にはうれしい変化だ。
それでいて,原作で慣れ親しんだ動かし方も残されている。たとえばジャンプ斬りは,ジャンプしてから攻撃ボタンを押しても出せるし,敵に注目した状態からAボタンで繰り出すという原作に近い操作でも使える。
とっさに指が覚えている動かし方にも応えてくれるので,なじみのある操作がそのまま便利になった感覚だ。
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個人的にありがたかったのは,ダッシュの追加。本作では子どもと青年,2つの時代のリンクを操作するが,愛馬エポナに乗れる青年時代に対し,子ども時代は基本的に徒歩で移動する。
冒険のなかでハイラル平原を何度も行き来することになるが,歩いていると目的地が少し遠く感じられることもある。当時は少しでも速く進もうと,回転アタックを繰り返していた。もちろんそれは開発側が想定した使い方ではないが……でんぐり返しで平原を進み続けるのは,冒険の雰囲気に少しそぐわない感じもあった。
今回はダッシュがあるので,先を急ぎたいときには,そのまま走っていけばいい。通常の移動も軽快に感じられ,平原を行き来する足取りも軽くなった。
Rスティックでカメラを自由に動かせるようになったことも大きい。遠景に目を向けたり,夕日の沈む空を眺めたりと,移動しながら景色を楽しめる。新しくなったハイラルを,好きな方向に目を向けながら駆け回れる。それだけでも,目的地へ向かう道中がずいぶん楽しくなった。
こうした操作の改善で,移動中にもふと景色に目を留める余裕ができた。その何気ない時間や“間”が,ハイラルの世界により深く浸ることにもつながっていると感じる。
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知っている物語に,新しい思いを。振り返り,手渡したい冒険がそこにある
最後に物語について。かつて体験したお話はそのままに,細かな表情や追加された会話,ボイスの入ったイベントシーンによって,人物の気持ちがより伝わってくる。話を大きく広げるというより,一つひとつの場面を深めたような印象だ。
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詳しい展開は伏せるが,序盤からひとつ挙げるなら,リンクがコキリの森を旅立つくだり。オリジナルをプレイした当時の筆者には,森を去るリンクに対するコキリ族たちの反応が少しそっけなく感じられたことを覚えている。
その後の展開でコキリの森への思いは変わっていったが,この時点では,皆に見送られて旅立つというより,どこかなじみきれなかった場所を立ち去るような感覚があった。
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本作では,彼らがそれぞれの言葉でリンクへの気持ちを伝えてくれる。そのやり取りから,ここで暮らしてきたリンクと彼らとの関係が見えてきて,森を離れるときの気持ちも変わった。そこから,先ほど触れたハイラル平原へと出る場面につながる。この流れが,とてもよかったのだ。
原作の雰囲気はそのままでも,こうした細かな変化によって,知っている場面から新しく受け取るものがある。冒頭で「知っているけれど,新しい」と伝えたのは,こういうことだ。
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もうひとつ,個人的に伝えておきたいのが妖精ナビィのこと。
原作に引き続き,道案内や助言で冒険を助けてくれるが,本作では何気ない場面でもよく話して,リンクを励ましたり,何かを見つけたときに褒めてくれたりする。
ちょっとした発見にも反応が返ってくると,こちらもうれしくなるものだ。ナビィが一緒に見つけて,一緒に喜んでくれることで旅もさらに楽しくなった。
それらの変化は会話や物語に限らない。ダンジョンの探索や謎解き,強敵との戦いにも,今のゲームとして作り直すなかでさまざまな手が加えられている。オリジナルを遊んだ人も,懐かしさを感じながら,あらためて考えたり驚いたりする新しい冒険を楽しめるはずだ。
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以前,Switch版「夢をみる島」の記事でも触れたが,そういう年頃に出会った作品だからこそ,心に残っているものも大きい。ゲームとしての面白さはもちろん,そこで体験した物語も,当時読んだ絵本や小説と同じ棚に並ぶような,大切なものになっている。
Switch版「ゼルダの伝説 夢をみる島」プレイレポート。初めてでも久しぶりでも楽しめる,新鮮さと懐かしさの両方が詰まった作品の魅力を紹介
任天堂から本日発売となる「ゼルダの伝説 夢をみる島」は,1993年に発売された同名ゲームボーイ作品のSwitch版だ。初めての人に「夢をみる島」で楽しんでほしい点を紹介しつつ,かつてGB版をプレイした人には“あのころの気持ちが蘇る”本作の魅力をお伝えしよう。
本作を遊んで感じたのは,3Dアクションの名作を今のゲームとして楽しめるようにすることが,その物語を次の世代へ届けることにもつながっているということだ。いまは子を持つ親になり,一緒に遊ぶSwitch2で,自分が好きだったこの冒険を勧められる。子どものころに読んだ本をわが子に手渡すようなことが,ゲームでもできるようになったのは,やはりうれしい。
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もちろん当時遊んだ人にも,もう一度このハイラルを訪れてほしい。今回の先行プレイでは,筆者も気がつけば最後まで遊び切っていた。進め方によるが,1日1〜2時間ほど遊べば,ひと月もかからずエンディングにたどり着けるくらいのボリュームだ。原作を覚えていればもっとすいすい進められるだろう(寄り道も豊富なので,もちろんじっくり時間をかけて遊びたい人も楽しめる!)。
大人になってゲームから離れていた人も手に取りやすい。これまでの出来事や今の目的は「時の軌跡」で確認できるので,少し間が空いても冒険に戻れるからだ。子どもや家族のために買ったSwitch2が家にあるなら,自分でも,毎日少しずつ本を読み進めるように冒険を楽しんでみるのもいいと思う。
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世界をひたすら広げるのではなく,なじみのある場所や物語を深く描き直した本作には,プレイ時間の長さから想像する以上に,出会いや発見に満ちた物語がぎゅっと詰まっている。
そしてそれは,かつての冒険を思い返しながら歩く人にも,初めてハイラルを訪れる人にも,どこか懐かしく,それでいて新しい。長く語り継がれてきたお話に触れるような手ざわりと親しみが,この「時のオカリナ」にはある。今のゲームとして生まれ変わったこの物語を,それぞれの冒険として楽しみ,そして今度は誰かに語り継いでほしい。
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