台湾時間2016年5月30日,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,台北市内のイベント会場「Neo Studio」で,ゲーマー向け製品ブランド「
R.O.G.」(Republic of Gamers)の製品発表会を開催した。
一部は速報でお伝えしているが,
4Gamerでは発表会の後で,R.O.G.ブランドのマーケティングを統括する
Jackie Hsu(ジャッキー・シュー)コーポレート副社長と,R.O.G.製品のマーケティングに長年携わっている
Derek Yu(デレク・ユー)氏の2人に話を聞くことができたので,その内容も織り交ぜつつ,レポートしてみたいと思う。
特撮テレビドラマに出てくる悪の組織のボスのような,黒地に赤の差し色を伴った派手な衣装に身を包んだASUS会長のJonney Shih(ジョニー・シー)氏が「Commander in Chief」として登壇するところからイベントは幕を開けた。氏は,今年で10周年を迎えるR.O.G.の軌跡を振り返っている
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今度こそ成功なるか? ゲーマー向けモジュールPCのプロトタイプ「Project Avalon」
壇上のDerek Yu氏がProject Avalonを発表した
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今回の発表会における目玉は,
速報でもお伝えした「
Project Avalon」(プロジェクトアヴァロン)だ。ASUSは「ATX以降,さまざまに拡張されてきたフォームファクタの,新しい形」と,このProject Avalonを位置づけている。
会場で展示されたのは,その新しいフォームファクタのプロトタイプという位置づけで,このまま製品になるものではない。
Project Avalonのプロトタイプ
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Jackie Hsu氏(Corporate Vice President & GM of Worldwide Sales, ASUS TECHNOLOGY)
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大きめのキューブ型筐体に工夫があるのはもちろんだが,そこに搭載するパーツ類の形状までもを既存のATX系から一新するもので,Hsu氏は「業界のリーダーであるASUSであるからこそ挑戦できるテーマである」と自信を見せる。
実際,展示されている内部部品を見ると,モジュール化を実現するためにマザーボードの形状は既存のATX系とは似ても似つかない3次元的なものになっており,一面から見た限りではPCI Expressインタフェースがなく,I/Oインタフェースもない。これらはライザーカードの先でモジュール的に接続されるわけだ。
既存のマザーボードの入出力部位を別基板として分割させるアイデアがベースになっているイメージでいいだろう。
Project Avalonを構成するマザーボードと各種モジュール
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マザーボードはこんな形で,CPUソケットのある裏面にさまざまなライザーカードを差すことで,全体の機能を成している
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一例として示された,交換可能なI/Oパネルモジュール(左)。実際には,右のようなボックス型モジュールで提供されることになる
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ある意味,とても分かりやすいのが,前面に4段ある2.5インチ型ストレージ用トレイ
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Derek Yu氏(Special Assistant, ASUSTeK Computer)
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Yu氏は,「ATXなどの現在標準的なマザーボードは,すべてのコネクタが1枚の基板上に集約されているため,ケーブルの接続そのものの難度も,取り回しの難度も高い。また,各パーツの着脱も,とくにグラフィックスカードは大型化していてやりづらいうえに,カードがケーブルと干渉し,取り回しに格闘することも多いだろう。
Project Avalonは,こうした問題の一切合切からゲーマーを解放するために取り組んでいるのだ」と,その目的を語っている。
天板を外して上から撮影したところ。メイン基板にはCPUとメインメモリモジュールだけが載る。ケーブル類の往来はなく,すっきり
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先ほど写真で紹介したマザーボードは,CPUソケットの載る面が筐体内で仰向けの配置となり,そのほかのグラフィックスカードやストレージ,電源ユニット,冷却機構はそれを取り囲むような格好で配置されるので,Yu氏の言うとおり,メイン基板上を往来するケーブルはほとんどない。
会場では空冷モデルと液冷モデルがあったが,どちらも,ケーブルがない分,
液冷ユニットや,LEDの光が目立つ構造だ。
空冷モデルのカバーを外したところ。本体向かって左にグラフィックスカードが差さっていたが,もう片方,今回のデモ機では2連ファンがあるところにも,もう1枚のグラフィックスカードを差せるという
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液冷モデルの場合はシングルカード仕様となり,向かって右側には液冷用ラジエータを搭載することになる
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「他のメーカーやベンダーがこのプロジェクトに参入してくるかは分からないが,
現在,2社ほど興味を示してくれているところがある。今後の展開にぜひ注目していて欲しい」とHsu氏。
これまでも,モジュール型デスクトップPCのアイデアは,何度か出ては消えていった過去がある。その点,R.O.G. 10周年プロジェクトの一環として進んでいるというProject Avalonには,なんとか日の目を見てほしいところである。
R.O.G. 10周年記念製品はマザーボードと「GTX 1080 SLIをチカラワザで搭載したデスクトップPC」
いま10周年という話をしたが,10周年を記念して,最終製品として登場するのが確定しているのは2つ。1つは「
RAMPAGE V EDITION 10」マザーボードだ。
RAMPAGE V EDITION 10
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RAMPAGE V EDITION 10は,チップセットに「Intel X99」を搭載し,Broadwell-EおよびHaswell-E世代のCPUをサポートする製品で,CPUソケットはもちろん「OC Socket」仕様。「最低でも30%のオーバークロックが可能だ」(Hsu氏)。
基板上で面白いのは,マルチGPU技術であるSLIおよびCrossFire用となる切り替えスイッチ「
SLI/CFX」を持つところで,これは,40もしくは28と,CPUごとにPCI Express 3.0のレーン数が異なるLGA2011-v3プラットフォームのCPUと組み合わせてマルチGPU構成をとるとき,そのレーン数配分を2-way用か3-way用かで明示的に指定できるという。レーン数を2-way用もしくは3-way用に最適化できるイメージだ。
左がレーン数切り替えスイッチ。その隣にある5ピン端子には,付属の小型基板を接続できるようになっており,そこで複数のファンコネクタを提供するとのことだ。右はI/Oインタフェース部。当然のようにデュアル有線LAN仕様
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もう1つは,「世界最強のゲーマー向けデスクトップPC」として発表された「
ROG G31 EDITION 10」だ。
ROG G31 EDITION 10。詳細は後述するが,右は専用の電源ユニットだ
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Hsu氏が「20リッターという本体の体積は,性能を考えればコンパクトサイズ」と強調するこのROG G31 EDITION 10だが,展示会場にあった実機の絶対的なサイズはそれほど小さくない。ブックサイズ風だが,「小型の」とは紹介したくないといったサイズ感だ。ただ,そんな本機が「GeForce GTX 1080搭載グラフィックスカードを2枚搭載した,SLI仕様のデスクトップPCである」(Hsu氏)と聞くと,「え!?」と驚く大きさではある。
どのようにして,このサイズでグラフィックスカードの2枚差しを実現したのだろうか。もしかして未発表のGeForce GTX 1080搭載MXMか……とも思ったが,Yu氏はそれを否定し,「SLI仕様のデスクトップPCでありながら,ここまで筐体を小さくできたことには,グラフィックスカードの物理的な設計,そしてそのレイアウト,特殊な冷却システムが貢献している」と述べている。
本体背面を見ると,2スロット仕様を採用するグラフィックスカードが,若干の距離を置いて2枚差さっているのが見える。インタフェースの並びは「GeForce GTX 1080 Founders Edition」と同じだ
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氏によると,ROG G31 EDITION 10が搭載するグラフィックスカードの基板自体は,「普通の」ものだそうだ。ただし,ROG G31 EDITION 10では底面吸気,天面排気仕様を採用することから,冷却機構をそれに合わせて最適化しつつ,マザーボードと「川」の字になるよう2枚並べているという。
グラフィックスカード2枚を筐体最下部にレイアウトしているのは,筐体最下部から吸入したフレッシュな外気を,まずはGPUの冷却に使うためとのこと。GPU用の冷却機構を通り抜けたエアは,そのままほかの部材を冷やしつつ,筐体の最上部から抜けていく。
非常によくできたデザインだが,実機を見て強烈だったのは,筐体の小型化と冷却能力強化の目的で,DC電源供給ボックスが外付けになっていることだ。展示会場では本体の横に並んでいたが,専用接続ケーブルには相応の長さがあったので,実際の運用にあたっては机の下に置くことを想定しているのだろう。
電源ユニットは外付け。「十分な」とは言えないかもしれないが,相応な長さのケーブルで本体とつながっている
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R.O.G.とSTRIXのダブルブランド? 新しくなったブランド戦略を聞く
R.O.G.とは別のブランドとして展開されてきた「
STRIX」が,今回,「ROG STRIX」として,正式にサブブランド化したのも,COMPUTEX TAIPEI 2016における大きなトピックの1つだ。
第1弾製品となるのは「
ROG STRIX GEFORCE GTX 1080」で,製品名からも容易に想像できるとおり,これはGeForce GTX 1080を搭載する製品で,3連ファンによる空冷ながら,カード側に用意された「OC mode」を選択すると,保証の範囲内で1936MHz動作を実現するというのが最大の特徴だ。
なお,クーラーは冷却性能が従来比で30%向上しており,動作音は従来よりも3倍静かだという。
ROG STRIXブランド初のグラフィックスカードとなるROG STRIX GEFORCE GTX 1080
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なお,Hsu氏には,これからのR.O.G.とSTRIXの棲み分けについて聞いてみたが,氏は「R.O.G.は,やや上級者,ハイエンド指向の強いエンスー向けのブランドに育ってきた。これは喜ばしいことなのだが,この
R.O.G.ブランドより若い世代や初心者に近い層のユーザーにも興味を持ってもらいたいと思い,新しくROG STRIXブランドとしてSTRIXを設定し直した。ROG STRIXブランドは簡単な使い勝手で素晴らしく高い性能が得られる製品だ。従来のR.O.G.ファンには,これからもR.O.G.に期待してほしいし,もちろん,それに応える製品も投入していく」と述べていた。
R.O.G.とSTRIXの位置づけに大きな変化はないということで,R.O.G.そしてSTRIXのファンは一安心といったところか。
このほかに発表会では,世界初の液冷対応ゲーマー向けノートPCとして登場した「
ROG GX700VO」の後継となる「
ROG GX800」や,G-SYNC対応で垂直リフレッシュレート180Hz対応の24インチワイド液晶ディスプレイ「
ROG SWIFT PG248Q」,バーチャル7.1chサラウンドサウンド入力に対応したUSB接続型オーバーヘッドヘッドセット「
ROG CENTURION」も登場している。これらについては,詳細が判明したら,会期中に続報をお伝えしたいと考えている。
ASUSが「世界最強のゲーマー向けノートPC」と位置づけるROG GX800。昔「GX800」というR.O.G.マウスがあったが,まあ,混乱はしないだろう。第6世代Coreプロセッサと,型番未公開のGeForceによるSLI構成を採用している。キーボードは約1677万色対応となり,液冷ユニット接続時の電源供給インタフェースが変わったりしているが,詳細は明らかになっていない
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垂直リフレッシュレート180Hz対応のROG SWIFT PG248Q。ただ,デモでは60fpsのキャプチャ映像を流しているだけで,180fpsの威力を確認することできず
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最近のR.O.G.製ヘッドセットらしい外観のROG CENTURION
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