![]() |
アイスホッケーの選手は,スティックの先端にある平たい部分,パックを捉える「ブレード」に布テープを巻いて試合に臨む。もともとは木製のスティックが割れたり傷んだりするのを防ぐためのもので,今ではブレードを守るだけでなく,パックが滑りにくくなって扱いやすくなり,パスも正確になるという理由で巻かれておるそうじゃ。
そこから生まれたのが「tape to tape」という言い回しじゃ。パスを出した選手のテープから,受け取る味方のテープへ,ぴたりとつながったパスをそう呼ぶ。
この言葉をタイトルに掲げた「Tape to Tape」は,アイスホッケーにローグライトの要素を組み合わせたゲームじゃ。
ローグライトでスキルもあると聞けば,相当はちゃめちゃな中身を想像するじゃろう。実際,対戦相手には不正をする審判や,おならで相手を吹っ飛ばすお姫様までおる。ところが動かしてみると,手触りはちゃんとアイスホッケーなのじゃ。
![]() |
氷の上を滑る挙動がしっかり再現されておるぶん,最初は選手が思ったところへ行ってくれず,感覚をつかむのに苦労した。それでも数試合こなすうちに手に馴染んできて,細かい切り返しも,パックを運ぶドリブルも思いどおりにできるようになる。
パックの動きも同じように物理的で,パスやシュートが途中でスティックや選手の体に当たり,思わぬ方向へ跳ねていくこともしばしばじゃ。
そしてなによりキーパーが強い。正面からただ打っても,まず決まらん。パスを回して相手の守りを崩し,キーパーの体勢がずれたところで打つ。結局,点を取るにはパスをつなぐしかないわけじゃな。
こうした試合を1回ずつ楽しむアーケード型のホッケーゲームとは違って,このゲームでは試合を重ねながらチームを強化していくローグライトのキャンペーンが主軸になっておる。
マップ上でルートを選びながら進み,行き先では選手の能力値を鍛えたり,新しい特性を覚えさせたり,審判を買収したりすることもできる。そして1試合でも負ければ,そのランは終わりじゃ。
![]() |
イベントや施設系のマスには,ひと癖あるキャラクターたちが待っておる。医務室に寄れば「チームのため」と称して選手を1人生贄に捧げることになるし,胡散臭い代理人はアゴの割れた,とんでもなく使えない選手を売り込んでくる。
編成によっては控え選手をベンチに抱えておくこともでき,ケガ人が出れば出場メンバーを組み直すことになる。
![]() |
基本戦術は,あくまでパスをうまく回して攻めることじゃ。そのうえで,誰にどんな役割を持たせてどう攻めるかを決めるのが,いわゆるビルドになる。
例えばワシの場合は,まずシュートを打つ選手を1人決めて,シュートに関するパークはすべてそいつに集める。そいつへパスを送る役も決めておき,こちらにはパス関連のパークを集める。あとはこの2人の連係で得点を狙うわけじゃ。
![]() |
ワシのあるランでは,70%の確率でシュートが強力な一撃(クリティカル)になるパーク「グラスキャノン」が出て,これをシュート役に渡したらそれだけでバシバシ点が入るになった。
そこへ,クリティカルが出るたびに味方全員を強化するパークまで出てきて,シュートを撃つたびにチーム全体が強くなっていった。こんな感じでビルドがかみ合った瞬間の気持ちよさは,まさにローグライトそのものじゃな。
![]() |
とはいえ,うまい話には裏がある。グラスキャノンは,クリティカルが出なかったシュートでスティックが折れてしまうパークなのじゃ。3回に1回近くは折れる計算で,大事な場面でスティックがバキバキ折れて,何度も頭を抱えたぞい。
ほかにもパワーアップには,相手選手を空高く放り投げてしまうような無茶なものまである。試合中に突然殴り合いが始まることもあって,このあたりの荒っぽさはいかにもアイスホッケーらしい。
![]() |
キャンペーンで当たる相手チームは,それぞれ独自の戦い方で挑んでくる。審判だらけのチームは変な言いがかりをつけて得点を取り消してくるし,
試合をする条件として関税を求めてくるカナダ代表や,大富豪の集まり,なぜかサッカー選手のチームまで出てくる始末じゃ。そして最後に待ち構えるのが,ホッケーを世界から消してゴルフ場を増やそうとたくらむゴルファーたち。もうめちゃくちゃじゃな。
![]() |
そんな本作は10月23日に正式リリースされたのじゃが,そこで追加されたのが「スクワッド」じゃ。ランの最初に選ぶチームの型のようなもので,どれを選ぶかによって試合のルールや選手の集め方が変わり,フリーエージェントを雇ってチームを組むもの,昔ながらのパックの動きで遊ぶもの,体当たり主体で戦うもの,大きく振りかぶる強打しか打てないもの,オフサイドの反則が加わるものなど,全部で19種類ある。最初から選べるのは6つで,残りはキャンペーン中のチャレンジを達成すると開放されていく。
操作は,選手全員を切り替えながら動かすことも,1人に絞ることもできる。ワシはセンター(攻撃の中心になるポジション)を担当して,守りはCPUに任せきりじゃった。守備はワシが下手に動かすより,CPUのほうがよほどうまいからじゃ。慣れないうちは1人を操作するのがオススメじゃ。
![]() |
ローカルマルチもかなり盛り上がる。「右から上がるぞ!」「後ろ空いとる!」と声をかけ合いながらパスを回すのも楽しいが,敵を吹っ飛ばすはずのおならが味方に誤爆したり,投げたスティックが変な方向へ飛んで味方をノックアウトしたりと,笑ってしまう場面も多い。オンラインマルチには対応しておらんが,Steam Remote Play Togetherを使えば離れた友人とも遊べるぞ。
キャンペーンのほかにも,実在のチームをもじったチームを選んで1試合だけ戦うクイックプレイや,トーナメントが用意されておる。選手やチームを自分で作ることもでき,ローカルなら最大10人まで同時に対戦できる。
![]() |
審判は言いがかりで得点を取り消し,お姫様はおならで暴れ,こちらはこちらでスティックを折りながらクリティカルを狙う。見た目はめちゃくちゃなホッケーじゃが,パスをつないで相手の守りを崩し,点を取るという基本は最後まで変わらなかった。
はちゃめちゃな要素の下で,ちゃんとスポーツゲームとして遊べるのじゃ。アイスホッケーに詳しくなくても,ローグライトでビルドを練るのが好きな者や,友人とソファに並んでわいわい遊びたい者には試してほしい一作じゃ。































