Blizzard Entertainment，インタビューで大会規約に違反した香港出身選手の処分を発表。同社内からは，処分に反対する声も

　Blizzard Entertainmentは，現地時間の2019年10月8日，サービス中のオンライン対戦カードゲーム「ハースストーン」（PC / iOS / Android）の世界大会「Asia-Pacific Grandmasters」で10月7日，試合後のインタビューで大会規約に違反する行為があったと発表した。これにより，参加選手のであるBlitzchung選手（公式サイトの紹介記事）はグランドマスターの資格およびGrandmasters Season 2の賞金を剥奪され，10月5日から1年間，「ハースストーン」大会への出場を禁止された。また，規約違反に関与した2人のキャスターについても出演を停止したとのこと。

Hearthstone Grandmasters Asia-Pacific Ruling

　発表には，大会規約バージョン1.4のセクション 6.1（o）が引用されており，これには，特定の団体を怒らせる行為や，Blizzard Entertainmentのイメージを毀損するような行為があった場合，グランドマスターの資格と賞金を剥奪する旨が記されている。

　具体的な規約違反の内容について書かれておらず，また問題のインタビューを収めた公式映像も削除されているが，報道によれば，香港出身のBlitzchung選手がインタビューにおいて香港で起きている抗議デモのスローガンを発言したことが問題視されたという。さらに，キャスター2人もBlitzchung選手の発言が規約に反していることを理解していた。

　Blizzard Entertainmentは，今回の規約違反を非常に重く受け止めており，今後，こうした事態が起きないように必要な措置を講ずるとしているが，Blizzard Entertainmentの誰もが今回の決定に納得しているわけではないようだ。
　Blizzard Entertainmentで働いていたKevin Hovdestad氏は，本社の前にある像の足下の文字が紙で隠されている写真を，自身のTwitterに投稿した。そこには，「Gameplay First」や「Commit to Quality」など，同社の尊重する8つのコアバリューが刻まれているが，今回，そのうちの「Think Globally」と「Every Voice Matters」が紙で覆われているという。ちなみに前者は，世界中にいる同社のゲームのプレイヤーの多様性を尊重すべきであること，後者は，他人の意見に耳を傾け，尊重すべきだという意味だそうだ。
　不満の意志を示すため，傘をさして像の前に座り込んでいる人もいる増えつつあるとのことで，正確な状況は分からないものの，大きな問題に発展する可能性もありそうだ。