GDIとNODがついに歴史的和解？　EA，コマコンシリーズの最新作，「Command & Conquer 4」の制作を発表

　Electronic Artsは，SF RTSであるコマンド＆コンカーシリーズ最新作「Command & Conquer 4」（以下，C&C4）を2010年春に発売すると発表した。
　宇宙から飛来した，人類の脅威でありながらも究極のエネルギーを秘めた鉱物“ティベリウム”（あるいはタイベリウム）をめぐる戦いを描くストーリーが最新作でも展開されるようだ。

　Command & Conquer 4は，2007年に発売された「Command & Conquer 3 Tiberium Wars」の続編だ。C&Cの名を冠する作品としては，2008年に発売された「Command & Conquer: Red Alert 3」があるが，こちらはタイムマシンによって歴史が変わった世界で，世界制覇を目指すソ連，米英連合，そしてEmpire of the Rising Sunという三つの勢力が激突するという外伝的なRed Alertシリーズで，今回発表されたC&C4と直接のつながりはない。

　C&C4は，C&C3のエンディングからしばらく後，西暦2062年からスタートする。地表のほとんどをティベリウムによって覆い尽くされた地球では，人類がまさに滅亡の危機に瀕していた。
　危険でありながら，エネルギー源として重要なティベリウムをめぐって戦争を繰り広げていたGDI（Global Defense Initiative）とNOD（Brotherhood of Nod）だったが，NODを率いるリーダーのケイン（Kane）は，人類を絶滅から救うためGDIに歩み寄りを始める。和解など到底不可能と思われていた両者の間に，果たして何が起こるのか？　そしてケインの本当の目的は何か？　という謎をはらみながらも，人類の絶滅は刻一刻と迫っていた……。

Command & Conquer 3 Tiberium Wars

Command & Conquer: Red Alert 3

カットシーンが実写なのがC&Cシリーズの特徴

　ゲームの詳細については未発表だが，これまで犬猿の仲だったGDIとNODの間に新たな関係が築かれるということがプレスリリースに書かれている。もちろんこの協調が見せかけだけなのか，本当に両者が手を取り合っていくのかといったところは不明だが，コマコンシリーズをプレイしてきた人にとっては，かなり衝撃的であるとともに，期待を抱かせるものになっているだろう。
　なおマルチプレイに関しては，GDIとNODによる一騎打ちといったモードのほか，最近のマルチプレイで流行となっている協力（Co-op）モードや，最大5人対5人による新たなマルチプレイモードが実装される予定だ。

　開発はEA Los Angelesが行い，現時点では2010年春にPCのみでの発売が予定されている。ゲームの公式サイトは「こちら」で，現在のところはプレスリリースのほかにアートワークが1点と，本作の発売を告げる販促用ムービーが公開されているだけだ。
　本作の最新情報は，公式サイトのほかにFacebookやTwitterなどでも随時発表される予定になっている。

Command & Conquer: Generals

　C&Cシリーズを初めて知った，あるいはあまり良く知らないという人のために，簡単におさらいしておこう。1995年に発売されたシリーズ第一作，「Command & Conquer」は，それまであまり一般的でなかった“リアルタイムストラテジー”というゲームシステムを広くゲーマーに知らせることになり，大ヒットした（C&Cが最初のRTSというわけではないが）。開発を行ったのはWestwood Studiosで，それまで「Lands of Lore」や「Nox」といったファンタジーRPGなどで名を知られていたが，2003年にElectronic Artsによって買収され，EA Los Angelesとなった。
　ティベリウムをめぐるGDIとNODの戦いは，この第一作から始まっており，Tiberianシリーズとして現在に至っている。

　タイムマシンによって歴史が改変されてしまったもう一つの地球で，アメリカやソ連が激突するというRed Alertシリーズの第一作「Command & Conquer: Red Alert」は，C&C発売の翌年，1996年に発売されている。発売当時の現代を舞台にしたミリタリーRTSだが，設定からも分かるように，SF要素を大胆に取り入れた架空の兵器が続々と登場する。Red Alertシリーズの最新作となるCommand & Conquer: Red Alert 3では，日本を思わせるEmpire of the Rising Sunという新勢力が特徴だ。

Command & Conquer: Renegade

　上記の2シリーズがコマコンのメインストリームだが，2002年に発売された「Command & Conquer: Renegade」はスピンオフといえる作品だ。GDIとNODの戦いという設定は変わらないが，RenegadeはFPSになっている。プレイヤーはGDI軍の将校となって，NODを相手に危険なミッションに挑んでいくというストーリーが展開するが，残念ながらそれほど大きなヒットとはならなかったようだ。
　ちなみに，スピンオフ第2弾として「Tiberium」と名付けられたFPSが計画されていたが，こちらはキャンセルされている。


　2003年には，再びゲームスタイルをRTSへと戻した「Command & Conquer: Generals」が発売された。本作ではアメリカ，中国，そして世界規模のテロリスト集団GLAという三つの勢力が争うという新たな世界設定が用意され，第3のRTSシリーズを形成している。
　このように，1995年から連綿と作り続けられ，シリーズ内に大きなストーリーの流れを複数持つコマコンシリーズは，現在までに全世界で3000万本を超える売り上げを誇る世界的な大ヒットシリーズとなっているのだ。

キャンセルされた「Tiberium」。スクワッドもののFPSになるとされていた