ウルトラワイドの有機ELディスプレイやNUCにも注目。ノートPC以外にも気になるASUSの新製品をまとめてチェック

　既報のとおり，ASUSTeK Computer（以下，ASUS）は，1月初旬に行われた「CES 2024」で新型PCや周辺機器など，数多くの製品を発表した。CES 2024のASUSブースは，およそ半分をゲーマー向けブランド「Republic of Gamers」（以下，ROG）の製品が占めており，力の入れようを感じさせる内容となっていた。本稿ではとくに注目すべき製品を紹介したい。

ROG製品の展示エリア

　ROG製品で目を引いたのは，小型ベアボーンPCの「ROG NUC」だ。もともとIntelが行っていたNUC（Next Unit Computing)）事業をASUSが引き取り，同社製品として展開する第1弾製品のひとつとなる。
　Intelブランドでは派手なドクロマークが印象的だったゲーマー向けNUCだが，ROG NUCの外装はROGのシンボルマークがあるのみで，比較的落ち着いたデザインに変わった。公称本体サイズが144（W）×112（D）×41（H）mmというコンパクトな筐体に，IntelのノートPC向け新型CPU「Core Ultra」の「Core Ultra 9 185H」や「Core Ultra 7 155」を，GPUにはNVIDIAのノートPC向け「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」を搭載可能だ。

ROG NUC。手前にあるゲームパッドと比べると，本体のコンパクトさが分かる

スタンドは横置きにも対応する

　内部には最大3枚のM.2 SSDを搭載できるほか，DDR5 5600MHzのSO-DIMMスロットも2基備える。インタフェースも豊富で，前面にSDカードスロットとUSB 3.2 Gen 2 Type-A×2，3.5mmミニピンヘッドセット端子，背面にHDMI×1，DisplayPort 1.4×2，とUSB 3.2 Gen 2 Type-A×2，2.5Gb LANを搭載している。電源は容量330WのACアダプタが付属するとのことだ。

　ディスプレイ製品では，39インチサイズの「ROG SWIFT OLED PG39WCDM」と，32インチサイズの「ROG SWIFT OLED PG32UCDP」という2つの有機ELディスプレイに注目したい。いずれもASUSが第3世代と呼ぶ有機ELパネルを採用することで，従来製品と比べて輝度が向上したのに加えて，文字や線のにじみや映像ブレなどを軽減しているという。

　ROG SWIFT OLED PG39WCDMは，解像度3440×1440ドットでアスペクト比21：9，垂直最大リフレッシュレート240Hz湾曲型パネルを採用したディスプレイだ。パネルの曲率が曲率800R（＝半径800mmの円を描くカーブ）と，かなりきついカーブを描いており，高い没入感を実現したそうだ。

ROG SWIFT OLED PG39WCDM。正面から見ても湾曲していることが分かるくらいきついカーブを描いている

展示機は標準搭載のスタンドではなく，新製品のでぅスプレイアーム「ROG ERGO MONITOR ARM」が取り付けられていた

　一方のROG SWIFT OLED PG32UCDPは，解像度3840×2160ドットの平面パネルを採用した製品で，2種類の画面解像度と垂直最大リフレッシュレートを表示できる「デュアルモード」を備えているのが特徴だ。
　ROG SWIFT OLED PG32UCDPの「デュアルモード」は，ASUS製ノートPC「ROG Zephyrus Duo 16」の2022年モデルに搭載していた「ROG Dual Spec Panel」に近い仕組みで，解像度3840×2160ドットで垂直最大リフレッシュレート240Hzと，解像度1920×1080ドットで垂直最大リフレッシュレート480Hzという2つの解像度とリフレッシュレートをOSDメニューから切り替えられるという。

ROG SWIFT OLED PG32UCDP。ディスプレイ上部にあるライトバーも「ROG AURA MONITOR LIGHTBAR」もCES 2024に合わせて発表となった新製品だ

　そのほかに，ROGブランドのゲーマー向けノートPCも実機が展示されていた。製品ラインナップや主なスペックは，既報のとおりで，薄型モデルの「Zephyrus」シリーズでは，有機ELディスプレイやCore Ultraの採用など，新たな取り組みを盛り込む。

Zephyrusシリーズ

14インチ級ノートPCの「Zephyrus G14」

16インチ級ノートPCの「Zephyrus G16」

Zephyrus G16の構造。本体やパネル背面はCNC削り出し加工が行われている

Zephyrusシリーズは，筐体の薄型化により電源コネクタの形状が変更となった。USB Type-Cポートとやや似ている点が少し気になる

　一方，eスポーツゲーマーやコアゲーマー向けを謳うノートPC「ROG Strix」シリーズでは，ノートPC向け第14世代Coreプロセッサの「HX」を採用しており，既存製品をベースとしつつ，スペックの底上げを行っているという印象だ。ZephyrusとStrixはどちらも高いスペックを備えたゲーマー向けPCだが，方向性の違いがはっきりと現れている。

ROG Strixシリーズの上位モデルであるROG Strix Scar

18インチ級ノートPCの「ROG Strix Scar 18」。

16インチ級ノートPCの「ROG Strix Scar 16」

性能対価格比を重視した「ROG Strix G」シリーズ。「ROG Strix G18」（左），「ROG Strix G16」（右）

　また，ROG製品としては，ゲーマー向け新型スマートフォン「ROG Phone 8」シリーズや薄型キーボード「ROG FALCON RX LOW PROFILE」，完全ワイヤレスイヤフォン「ROG CENTRA TRUE WIRELESS SPEED NOVA」なども展示されていた。

ROG Phone 8シリーズ

低背キースイッチを採用した薄型キーボードのROG FALCON RX LOW PROFILE

ROG CENTRA TRUE WIRELESS SPEED NOVA

　また，ROG製品以外では，「TUF GAMING」ブランドのゲーマー向けノートPC「TUF GAMING A15」と「TUF GAMING F16」の展示もあった。
　TUF GAMING A15は，15.6インチ級ノートPCで，CPUにノートPC向け「Ryzen 8000」シリーズを搭載する。GPUは「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」「GeForce RTX 4060 Laptop GPU」「GeForce RTX 4050 Laptop GPU」のいずれかを搭載する計3モデルをラインナップするという。

TUF GAMING A15。展示機はRyzen 9 8945Hを搭載していた

　一方のTUF GAMING F16は，16インチ級ノートPCで，CPUにノートPC向け第13世代Coreプロセッサの「Core i7-13650HX」を搭載する。GPUは，GeForce RTX 4060 Laptop GPUとGeForce RTX 4050 Laptop GPUから選択可能だ。

TUF GAMING F16

　ゲーマー向け製品の紹介は以上だが，最後に一般消費者向けの製品もいくつか紹介しておきたい。とりわけ注目したいのは，2つのディスプレイを搭載したノートPC「ZenBook Duo」だ。ASUSはこれまでも「Zenbook Pro 14 Duo OLED」など，2つの画面を備えたノートPCを展開してきたが，こうした製品の場合，メイン画面とサブ画面でディスプレイサイズが異なっていた。
　新たに発表となったZenBook Duoは，メインディスプレイとサブディスプレイに同じ14インチサイズで，解像度2880×1800ドットの有機ELパネルを搭載したのが見どころだ。2つの画面と外付けキーボードの組み合わせにより，さまざまなスタイルで利用できるという。

ZenBook Duo

縦長のディスプレイ×2枚としても使える

サブディスプレイの上にキーボードを乗せると普通のノートPCにも見える

　このほか，折りたたみ可能な有機ELパネルを採用したモバイルディスプレイ「ZenScreen Fold OLED MQ17QH」，サングラス型ディスプレイ「ASUS AirVision M1」なども展示されていた。

折りたたんで持ち運べるモバイルディスプレイのZenScreen Fold OLED MQ17QH

ASUS AirVision M1。片眼あたりの解像度は1920×1080ドットで，3軸加速度（3DoF）対応のトラッキングが可能だという

ROGのCES 2024特設サイト（英語）

ASUSのCES 2024特設サイト（英語）