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会場には,これまで公開されていなかった開発資料や初期デモ映像,キャラクターの立像などが並ぶ。さらに,会場中央には「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」の映像を直径6mの巨大なスクリーンに投影する360°映像インスタレーションも設置されている。前日の内覧会の取材を通して,展示内容を紹介しよう。
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小島監督の創作の原点から「DEATH STRANDING」誕生までをたどるFIRST PHASE
展示は大きく3つのフェーズに分かれており,小島監督の創作の原点から,コジマプロダクションの設立,「DEATH STRANDING」シリーズの開発,そして現在開発中の新作へと,時間の流れに沿ってたどっていける構成になっている。
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最初の「FIRST PHASE」では,スタジオ初の作品となった「DEATH STRANDING」が生まれるまでを紹介している。
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展示のなかでも興味深いのは,小島監督が高校時代に安部公房の「なわ」を題材に執筆した感想文だ。ゲームクリエイターとして知られるようになる以前の,小島監督の創作に対する関心がうかがえる貴重な資料となっている。
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また,「DEATH STRANDING」の構想初期に制作されたプロトタイプ版の映像も初公開。新川洋司氏が手がけたデザイン原画の現物や,小島監督による直筆の修正が入った資料,トレイラー制作で使用された小道具なども展示されている。
完成したゲームを遊ぶだけでは分からない,アイデアやデザインが形になっていく過程を知ることができるのも見どころだ。開発工程の紹介や制作スタッフへのインタビューなどもあり,さまざまな人の手によって1本のゲームが作り上げられていく様子が伝わってくる。
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「DEATH STRANDING 2」の制作を通して見える技術と開発環境の変化
続く「SECOND PHASE」の中心となるのは,「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」の開発だ。
同作の制作は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けており,このエリアでは,そうした状況のなかで開発を進めるために活用された技術や制作環境について紹介されている。
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このほかにも,エンディングの初期案や各国でのロケハン映像など,制作過程を知ることができる資料が並ぶ。映像や音響の技術に関する展示に加え,サウンドの収録風景を収めた映像や,音と連動するハプティクスの体験も用意されている。
完成した作品の映像表現を鑑賞するだけでなく,それを実現するためにどのような技術が使われ,どのような試行錯誤があったのかを知ることができるエリアだ。
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開発中の新作「OD - KNOCK」の世界に触れるTHIRD PHASE
最後の「THIRD PHASE」では,現在開発中の新作「OD - KNOCK」に関する展示が用意されている。
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目を引くのは,同作のプロモーション映像に登場した赤い扉を再現した展示だ。実際に扉をノックすると,扉と壁の隙間からカードが落ちてくる仕掛けになっており,映像で見た不思議な光景を会場でも体験できる。
さらに,プロモーション映像の撮影で使用された小道具も初公開されている。
作品の全貌がまだ明かされていない「OD - KNOCK」だが,その独特な世界観の一端に触れられる展示となっている。
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大型展示やオリジナルグッズも見逃せない
3つのフェーズを通じて楽しめるのが,キャラクターの立像や大型の映像展示だ。
会場では本展のために制作された3体の立像が初公開されているほか,入口にはコジマプロダクション設立10周年を記念した実物大の10周年ルーデンスも登場する。
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また,会場中央に設置された360°映像インスタレーションでは,本展のために編集された「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」の映像が上映される。開発資料をじっくりと見る展示とはまた違った形で,作品の世界観を楽しめる。
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ほかにも,映画やアニメなどの派生作品の展示,会場の周辺で「DEATH STRANDING」の世界が現実として立ち上がるARコンテンツ(制作はNiantic)などもある。
そして会場内の特設ショップでは,展覧会オリジナルグッズを販売。BBPODをモチーフにしたクリアミニポーチや,設定画を使用したアクリルジオラマ,配送荷物風のショッパーなど,作品にちなんだアイテムが多数用意されている。
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ゲームだけでなく,ものづくりの過程にも触れられる展覧会
実は今回の展覧会,訪れる前はアートや映像の展示を中心とした,コジマプロダクションの作品世界やその雰囲気を楽しむものだと想像していた。
もちろん,そうした展示も見どころなのだが,実際に会場を歩いてみると,それ以上に印象に残ったのが開発資料の充実ぶりだった。
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スタジオの組織図から,ゲーム開発のフロー,アイデアが具体的な形になっていくまでの変遷,制作環境や技術的な試行錯誤まで。単に完成した作品を振り返るだけでなく,その裏側にある仕事の積み重ねを知ることができる。ちょっとした博物館を見学しているような感覚もあった。
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そう考えると,本展は「DEATH STRANDING」シリーズのファンはもちろん,ゲームに限らずモノづくりに携わっている人にとっても興味深い内容ではないだろうか。
とくに,多くの人が携わるプロジェクトで仕事をしている人なら,1つのアイデアを形にするまでの過程や,そこに関わる人たちの仕事にも,面白さを見いだせるかもしれない。
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「BEYOND THE STRAND:創造と挑戦の航路」は,2026年12月20日まで東京・麻布台ヒルズギャラリーで開催中だ。開館時間は平日12:00〜20:00,土日祝10:00〜20:00(最終入館は19:30)。なお,11月3日までの入場にはプレビューチケットが必要となる。チケットの購入方法や開催概要など,詳しくは公式サイトを確認してほしい。
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小島秀夫監督が語る創作への思いと,展覧会に込めたメッセージ
最後に,メディア内覧会で行われた小島秀夫監督の囲みインタビューから,いくつかの発言を紹介しておこう。
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小島監督は,コジマプロダクションでの創作について,ゲームや映画,漫画,音楽など,かつては別々のものだった表現が,デジタルの力によって1つにつながっていくことを目指してきたと語った。ゲーム制作からスタートしたスタジオではあるが,表現の形はゲームに限らず,映画やアニメ,音楽,インスタレーションなどにも広がっていくという考えだ。
また,自身がゲームのない時代に育ち,映画や音楽,絵画など,さまざまな文化に親しんできたことにも言及。そうした経験がゲーム作りにもつながっているという。
小島監督が大切にしているのは,ゲームの中で完結する体験だけではない。たとえば,ゲームを通じて知らなかった音楽やファッション,クリエイターに出会い,そこからプレイヤー自身の趣味や関心が広がっていく。自身も子供のころ,映画をきっかけに作曲家などを知った経験があり,ゲームにもそうした役割を持たせたいと考えているそうだ。
作品をともに作る俳優やミュージシャンとの関係についても話が及んだ。俳優とは時間をかけて互いの考え方を理解し合うことを重視し,音楽についても,完成した曲を提供してもらうだけでなく,ミュージシャンと一緒に作品を作り上げていくことを大切にしているという。
技術の進化については,ゲーム業界に入ってから約40年間で,かつて実現できなかった表現が次々と可能になり,クリエイターの選択肢が広がってきたことを振り返った。
その具体例として語られたのが,「DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH」の開発で使用されたテレプレゼンスシステム「窓」だ。コロナ禍でロサンゼルスの収録現場に行くことが難しくなり,当初は複数のスマートフォンやモニターなどを使って遠隔で指示を出そうとしたものの,うまくいかなかったという。そこで「窓」を導入し,離れた場所にいる俳優たちとコミュニケーションを取りながら収録を進められるようになった。
近年のAI技術についても話題に上った。小島監督は,これまでのデジタル技術の進化と同じように,AIによって作業の効率化が進み,創作のあり方も変化していくだろうと語る。
その一方で,モノづくりの面白さは,完成したものを手にすることだけではないとも話していた。例に挙げたのはプラモデル作りだ。完成すれば同じ形になるものでも,自分の手で組み立てていく過程に楽しさがある。創作においても,試行錯誤しながら形にしていく時間そのものに面白さがあるという考えだ。
そして今回の展覧会については,ゲームを楽しんでいる人たちに,その作品がどのような人々によって,どのような過程を経て作られているのかを知ってほしいという思いを語った。
完成したゲームだけでは見えない,開発に携わる人々の仕事や,アイデアが形になるまでの過程。そうしたモノづくりの面白さを伝えることも,今回の展覧会に込められたメッセージなのだろう。
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