男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ：第582回「未来に楽しみがあると前向きになれる」

著者近影

　最近は，この連載で新型コロナウイルスの影響なんかについて語ってなかったんだけど，そろそろいろいろな問題がいろいろなところに飛び火してきましたねえ。
　私としては世の中の興味が政治に向くのは悪いことではないと思うんです。家にいるとニュースに触れる機会も増えるわけだしね。不平不満も出てくるでしょう。
　ただ，芸能人や著名人が政治について口にすると，別の問題が出てくると私は思っていて。芸能人や著名人がいわゆる一般の人と違うのは，好感度ってものがあってですね。政治について口にしてしまうと，好感度に影響が出てしまいかねないんですよ。
　というか，ほとんどの場合，下がっちゃう。政治の話が分かっているとか分かっていないとか，歌手だからとかそういう話ではなく。好感度の調整も仕事の一部であるわけで。そう考えると，芸能人って大変だなあって思うのよね。
　なので，逆に言えば好感度の上下を踏まえたうえでであれば，政治について口にしてもいいと思うの。人間は何を思うのも基本的には自由だしね。ただ，政治の話だけにとどまらず，芸能人は仕事として好感度を背負っているのは事実でしょうね。この一週間で一瞬だけ話題になった“政治を口にする覚悟”って，そういうことなのかなあと私は思うのです。
　まあ，もちろん私も嫌われる覚悟ができていないんで口にしないんですけど。……ってことを口にしてみる。どちらにせよ，なんとなくネットに触れている中で，二分される信条とは別の誹謗中傷を目にする機会が増えるのはイヤだなあって話でした。

　というわけで，ここでは前向きに。いろいろなイベントが中止になって，近い将来に楽しみを見出しづらい現在だけど。ゲイムは，比較的これまで同様に楽しみを提供してもらえるジャンルだと思うのよね。あ，もちろん今年のTGSが中止になったという残念なお知らせはあったけれど。そして，毎年TGSで何かしらのお仕事をさせてもらってきた私としては，収入の面での打撃があるんだけど。
　でもゲイムの場合はほかの興行スタイルのエンターテイメントとは違って，楽しみにしているタイトルの発売延期はあり得るけど，軒並み発売中止になったりはしていないじゃない。そのうえ，新作の発表があったりもするわけですよ。ここがいい。「今はまだ死ねない！」っていう前向きな気持ちになれる。今のコロナ禍にあって，そういうところがゲイム業界のいい部分かなあと思うの。
　具体的に言うとね，こんなご時世なのに私的に楽しみにしていたタイトルの発売日が，ついに発表されたのですよ。その名も「Stellaris: Console Edition」。正確に言うと，海外では1年以上前に発売されたタイトルが，日本語化されて発売されるということなんだけど。
　ジャンルとしては宇宙を舞台にしたストラテジーゲイムね。私が好物としている骨太なシミュレーション。ランダムに生成された宇宙を探索して資源を確保して外交と内政と戦争を行うという国取りゲイムよ。
　これだけでも面白そうなのに，宇宙ならではの要素，多くの宇宙人やら文明やら技術やらが登場するの。自由度も高そうだし，プレイごとに違う歴史を作れそうだし，本当に面白そう。けっこうな楽しみなのよね。


　ちょっと真面目な話をすると，私はプロレスラーで人様に見てもらうことが仕事なわけです。でも，別に「感動を与えよう！」とか「人生を変えさせよう！」と思ってプロレスをヤっているわけじゃなく。「頑張って戦おう」としているだけなのですよ。あくまで自分のため。ほかの人は知らないけど，私はね。だから，何かを感じ取ってもらえればラッキーくらいのもんです。
　ただ，それでもたまに言われる「あの日のあの試合，感動しました」だったり「あの試合，面白かったです」がやっぱり嬉しいのよ。そう思われたくてヤっているわけじゃない。でもそうやって試合を見て前向きな気分になってくれる。これは理屈抜きに嬉しいの。
　もちろん，私の試合を面白く思わない人もいるでしょう。それは軽い気持ちでゴメンとは思う。ただ，前向きになってくれる人がいるなら，嫌われてまでヤッて良かったなとも思うの。
　……っていうことが，職業的に仕方がないとはいえこのご時世でなかなか思い通りいかないわけですよ私としては。そもそも無観客でしか試合ができていないからね。そんな中，発売日の発表を見て前向きな気持ちにさせてくれるゲイムってジャンルはスゲイんだなと，あらためて感じるのよね。
　だから，ひとまずこのゲイムが発売される予定の8月27日までは生き延びようと思うのです。別にゲイムじゃなくても何でもいいのよ。「生きよう」と思うきっかけなんて。でも，目標があるほうがそれに向かって頑張れるからね。そして，今は中止になるものが多い中でゲイム発売日は新しく発表される。この事実のなんと頼もしいことか。ペンペン草も生えないような荒れ地に花が咲くようなもんよ。
　だから，ゲイムを作ってる人は自信を持って働いてくださると幸いです。生活に必要なインフラに関わってくださる人にはもちろん感謝だけど，逆に言うとその仕事だけが仕事じゃないから。社会は皆で回ってる。エンターテイメントに好感度はついて回るけど，好きな人も嫌いな人もいて，全部ひっくるめて世の中だからね。
　少しでもいい世の中にしたいんで，あまり働けてない私はちゃんと感謝するとしますよ。ゲイム作ってくれてる人，携わってくれてる人。ありがとう。いいゲイムを待っています。それまで生きます。という感謝の気持ちを込めて，また来週。Stellaris，めちゃくちゃ楽しみです。

今週のハマりゲイム
PlayStation 4：「FINAL FANTASY VII REMAKE」
Nintendo Switch：「Winning Post 9 2020」
iOS：「龍が如く ONLINE」
iOS：「ハンドレッドソウル」
iOS：「ウイニングイレブン カードコレクション」

■■男色ディーノ（プロレスラー）■■ ディーノ選手が所属するDDTプロレスは，5月23日，動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」にて，「DDT TV SHOW！#4」を18：30より配信します（試合開始は19：00）。ディーノ選手は先週に引き続き，アイアンマンヘビーメタルチャンピオンとして，アントーニオ本多選手と対戦予定。ディーノ選手は「会社から嫌がらせをされている気が」とぼやいていましたが，きっととんでもない試合を見せてくれることでしょう。