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Epic Gamesは生成AIを全面的に活用する「AIファースト」の開発体制へと舵を切っている。かつてメタバース構築を目指した「Epic 5.0」の次なる段階として,AIによるゲーム開発の変革を狙っているようだ。一方で,AIを用いた既存ゲームの無断複製問題なども浮上しており,著作権への対応も迫られている。Epic Gamesが描く未来と,そのジレンマを追う。
“AIファースト”へ舵を切るEpic Games
Epic Gamesのティム・スウィーニー(Tim Sweeney)CEOが,ゲーム開発における生成AIの利用に強気な姿勢を見せている。同氏は2026年10月23日,Steamが導入しているAI生成コンテンツの開示義務を批判。「将来的にはほとんどのゲーム制作でAIが使われるようになるため,特別な表示は不要だ」との考えを示した。
本連載の「第771回:830人を解雇してまで次の段階に進むEpic Games」で紹介したとおり,大規模なリストラを断行した同社はエンジン開発やパブリッシングの枠を超え,エコシステム全体を包含するプラットフォームホルダーへの転身を掲げた「Epic 5.0」構想を進めてきた。その中心にあったのが,Unreal Engineや「フォートナイト」を基盤とするオープン・メタバースである。
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スウィーニー氏は10月12日,開発者がAIを最大限に活用する組織改革を進めていることを表明している。Bloombergの報道(※リンク)によれば,社内には「もはやコードは手で書かない」との通達もあったという。
この方針はDisneyとの共同プロジェクトにも及び,Anthropicの「Claude」などを活用した新作シューターの開発が進められている。プログラムだけでなく,アートアセットの制作工程に至るまで見直しが行われているようだ。
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さらに,フォートナイトのPC版におけるドライバ起因の問題の発見や,Epic Games Launcherの刷新にもAIが活用されている。
ワスマー氏は,エンジニアがAIに指示を出しながら開発を進めるスタイルへと移行したと説明する。AI導入の遅れによるリスクを危惧する同社の姿勢からは,メタバース構想に欠かせない膨大なコンテンツ制作のハードルを下げ,多くのクリエイターが参加できる環境を急ピッチで整えようとする意図がうかがえる。
AIによる開発の民主化と,著作権を巡る矛盾
一方で,AI技術の進歩は既存の知的財産権を揺るがす事態も引き起こしている。
10月26日に海外メディアのKotakuが報じた(※リンク)ように,生成AIを活用して既存のゲームをWebブラウザ上で動作させる非公式プロジェクトが相次いで登場した。
Epic Gamesはフォートナイトの非公式ブラウザ版に対して,Microsoftも「Minecraft」などの無断移植に対して,DMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請を行った。インディー作品でも同様の問題が発生しており,「ReVamp」を開発中のDigital Sun GamesはAIによる複製を警戒し,実施予定だったプレイテストの一般公開を見送るなど,影響が広がっている。
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従来,既存ゲームの解析には高度な技術が必要だったが,AIの普及により,そのハードルは大きく下がった。AIの積極的な活用を推進するEpic GamesやMicrosoftが,自社の著作物がAIで複製された際に強硬な姿勢を取ることへの矛盾を指摘する声もあるが,スウィーニー氏は「AIの学習」と「著作権侵害(無断複製)」は区別されるべきだと主張している。
他方で,スウィーニー氏はUnreal EngineやMetaHumanの出力をAIの学習に利用することへの制限を,今後のライセンス規約から撤廃する方針も明らかにした。ただし,Unreal Engineで制作された個々のゲームについては,開発者がAI学習を許可するかどうかを決められるとしている。
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もっとも,大企業であれば法的措置で対抗できても,小規模な開発チームにとってその負担は大きい。本連載の「第872回:AIが加速させるゲーム供給過多,冷めていくゲーマーの心と財布」でも触れたように,Steamでは新作の供給過多が問題となっている。
AIによって開発速度がさらに上がれば,「中途半端なゲームの量産」に拍車がかかり,プレイヤーのゲーム熱を冷ましかねないという懸念もある。
「Epic 5.0」が掲げたオープン・メタバースを支える環境整備として,AIの活用は理にかなっている。しかし,クリエイターの権利や利益を守る仕組みが伴わなければ,プラットフォームの健全な成長や多様性は失われかねない。
Epic Gamesが進めるAI革命の成否は,技術の進歩そのものだけでなく,クリエイターとの信頼関係をどう築くかにかかっている。
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著者紹介:奥谷海人
4Gamer海外特派員。サンフランシスコ在住のゲームジャーナリストで,本連載「奥谷海人のAccess Accepted」は,2004年の開始以来,4Gamerで最も長く続く連載記事。欧米ゲーム業界に知り合いも多く,またゲームイベントの取材などを通じて,欧米ゲーム業界の“今”をウォッチし続けている。























