2020年3月5日,新型コロナウイルスの流行を受けて,3月20,21日に開催予定だったロック/メタルフェス「KNOTFEST JAPAN 2020」の開催が延期になると発表された。やむを得ない対応とはいえ,Tシャツ付きの2日通し券(2万7600円)を購入して楽しみにしていた筆者は,しばしフリーズした。
そんなわけで,「KNOTFEST JAPAN 2020」に出演予定だったバンドとオフィシャルMVの紹介により,本稿でメタルフェスを開催したい。「なぜゲームメディアでメタルを……」と思うかもしれないが,実は「KNOTFEST JAPAN 2020」出演バンドはゲームとのタイアップ歴を持つものが多く,メタルとはゲームに縁深いものなのだ。
今回はゲームとバンドの関係性が中心となるため,「KNOTFEST JAPAN 2020」における目玉のひとつであるCRAZY N' SANEなどはスルーすることになるが,そこはご容赦いただきたい。
■Survive Said The Prophet
Survive Said The Prophetは,2011年に結成し,インディーズでコアな人気を集めた5人組ロックバンド。メジャーデビューした2018年以降は「BANANA FISH」や「ヴィンランド・サガ」といったTVアニメとのタイアップが増えている。
PlayStation Storeではソニー・インタラクティブエンタテインメントによってPS VR専用のVRコンテンツ「Survive Said The Prophet VR EXPERIENCE」が配信されており,PS4でプレイできる。これは,2018年に開催されたライブから「HI | LO」「3 a.m.」「UPLIFTED」の3曲を複数の視点を切り替えながら視聴できるというもの。聴ける楽曲も,視点の位置に応じたミキシングが施され,臨場感あるライブ観覧を楽しめる。また,Survive Said The Prophetメンバーが選曲した,ゲームプレイ向けのSpotifyプレイリスト「Songs for PlayStation selected by Survive Said The Prophet」も公開されている(関連記事)。
このほか,ボーカルのYosh氏は「ボーダーブレイク エックス」のオープニングテーマ曲「STAIRWAY TO GENERATION」や,「FINAL FANTASY VII REMAKE」のテーマソング「Hollow」でボーカルを担当している。
■ANTHRAX
ANTHRAXは,Metallica,Megadeth,Slayerと並んで“スラッシュメタル四天王”と称される大御所バンドだ。とくにPublic EnemyのChuck Dさんとコラボレーションした「Bring the Noise」の採用例は多く,「Tony Hawk's Pro Skater HD」や「True Crime: New York City」など9タイトルで採用されている。そのほかの採用例は「トライアルズ ライジング」(PC / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch)には「You Gotta Believe」,「NHL 12」には「I’m Alive」など。
そんな個性の強いパワフル&メロディアスなサウンドにより,1999年のメジャーデビューから爆発的な人気を獲得。ゲームおよび関連コンテンツとのタイアップも早く,2002年にはKONAMIのPS2用ソフト「EVOLUTION SNOWBOARDING」に「Spit It Out」,映画「バイオハザード」の挿入歌に「My Plague」が採用された。そのほかには,Capcom USAの「Final Fight: Streetwise」(PS2 / Xbox。日本未発売の「ファイナルファイト」シリーズタイトル)に「Pulse of the Maggots」,エイチームの「レギオンウォー」(iOS / Android)に「Sulfur」など(関連記事)。
とくに筆者のお気に入りなのが,「フォールアウト」シリーズタイトルの「Fallout: Brotherhood of Steel」(PS2 / Xbox)に採用された「People = Shit」。「People equal shit! People equal shit!」と連呼する同曲は,英詞がよく分からないという人でもノリやすいだろう。
2017年にはガンホー・オンライン・エンターテイメントがサービスを行うPS4用タイトル「LET IT DIE」の企画“100+ BAND UNITE”に参加。これは100組のバンドが“レットイットダイ”をテーマにした楽曲を制作して参加するというもので,Ailiph Doepaは「Let it Die〜Requiem of my Soul〜」を提供している。
ゲームとのタイアップ歴は無いが,カプコンの「DmC Devil May Cry」(PS3 / Xbox 360)にインスパイアされたという「Devil's Party」や,ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「Wipeout」シリーズと同じく“未来的な超高速レースに恐れを持たず飛び込む”ようなイメージの楽曲「wipeout」(名称の一致は偶然だという)などをリリースしており,ゲーマー的に見逃せないバンドだ。
しかし2005年に発売のDVD「Debu Vs Debu」にはクイズゲーム「マキシマムザ亮君の挑戦状」,2008年に発売のDVD「Deco Vs Deco 〜デコ対デコ〜」には「亮君の挑戦状II〜亮君の不思議なダンジョン〜」といった,レトロゲームをオマージュした,隠しコンテンツを見るためのミニゲームを収録。さらに2015年に発売のBlu-ray&DVD&CD「Deka Vs Deka 〜デカ対デカ〜」では,ついにゲームがメインとなってしまい,「START UP DISC」に収録されたDVDプレイヤーズゲームをプレイしてパスワードを入手しないと,他のDVDおよびBlu-rayの内容を見られなかった。
■NOISEMAKER
北海道発のロックバンド・NOISEMAKERは,“日本一のDIYロックバンド”を謳っており,作詞・作曲・サウンドメイクはもちろん,アートワークなども自身らで手掛けている(近年は外部アーティストとのコラボも実施)。北海道のロックシーンを盛り上げるべく「KITAKAZE ROCK FES」を2018年から主催しており,今年も5月30日に札幌芸術の森 野外ステージで開催となる予定だ。
■MARILYN MANSON
Marilyn Mansonさんがリードボーカルを務めるMARILYN MANSONは,ハードロックにポップテイストと宗教的なアンチテーゼを盛り込んだスタイルを基調として,多彩なテイストの楽曲をリリースしている。
MARILYN MANSONもMansonさん自身のキャラクター的な個性が強いためかゲームとのタイアップはそれほど多くないが,「Spawn: Armageddon」に「Use Your Fist And Not Your Mouth」,「The Darkness」(PS3 / Xbox 360)に「Cruci-Fiction In Space」が採用されており,“コミックテイストかつハードコア”な作品との親和性の高さがうかがえる。そのほか「Saints Row: The Third」(PC / PS3 / Xbox360)に「Arma-goddam-mortherfuckin-geddon」,「WWE 2K16」に「Deep Six」など。また,国内ではサクセスからPS2版が発売された「AREA-51」に宇宙人役で出演しており,自身のミステリアスな雰囲気とマッチした怪演を聞かせてくれる(関連記事)。