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[インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは
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印刷2026/09/23 09:00

インタビュー

[インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

 Lizard Smoothieが手掛ける「Shape of Dreams」PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch 2)は,MOBAとローグライトを融合させたアクションゲームだ。2025年9月にリリースされ,2026年9月時点で150万本のセールスを記録する大ヒット作となった。

画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

 先日(2026年9月17日),NEOWIZの仲介・協力のもとで家庭用ゲーム機版を発表し,同時に発売するというサプライズを見せた。今回4Gamerでは,そんなLizard Smoothieの代表であり,本作のリード開発者を務めるシム・ウンソプ氏にメールインタビューを実施した。
 学生2人のプロジェクトからスタートした開発の経緯や,操作系における試行錯誤,そして家庭用ゲーム機版に合わせてアップデートされた新要素について語ってもらったので,その内容をお届けしよう。

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[2026/09/18 01:18]

リード開発者のシム・ウンソプ氏(左)と,共同創業者のカン・ギピョ氏
画像ギャラリー No.001のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは


学生のプロジェクトから法人化へ


4Gamer:
 改めて「Shape of Dreams」を開発した経緯を教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 2023年1月,私を含めた大学生2名でLizard Smoothieチームを結成し,「Shape of Dreams」を開発し始めました。2人ともMOBAとローグライトが好きだったのですが,両方を融合させたゲームがないと考え,開発に至りました。
とはいえ,当初は「就活時に提出できるものがあれば」という程度の,「趣味寄り」のプロジェクトでした。

 ですが,GIGDC(韓国の公的機関が主催・後援するインディーゲーム制作の大会)の学生部門で受賞し,その後に参加したメンタリングプログラム,そして人生で初めてのゲームショウだった東京ゲームショウの見学を通じて,商業化に対する夢を持つようになりました。

 以後,さまざまなインディーゲームのイベントやコンテストを通じて,「Shape of Dreams」を披露しつつ,2年間デモ版を運営しました。プレイヤーからのフィードバックを通じてゲームを改善・アップデートし,2年9か月にわたる開発の末,2025年9月にリリースしました。

画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

4Gamer:
 どれくらいの人数で開発を行っているのでしょうか。

シム・ウンソプ氏:
 最初はコンピュータ工学を専攻していた2名の大学生が始めたプロジェクトでしたが,現在は5人規模のチームへと成長しており,法人化もしています。

4Gamer:
 人数が増え,法人化することで,開発やタスク管理,意思決定などにどのような変化がありましたか。

シム・ウンソプ氏:
 当初は私と共同創業者のカン・ギピョの2人だけだったので,企画と開発を2人で分担していました。意見が分かれた場合は,2人でじっくり話し合って決めるという形でした。
チームメンバーが増えたあとは,プログラミング,企画,アート,3Dモデリングなど,各自が担当する分野が明確に分かれました。それぞれの才能を信じ,それぞれの領域を守るという方針も,次第に確固たるものになってきています。
 そうしたなかで,アート,モデリング,ビジュアル,オリジナリティなど,多くの分野でより高い目標を掲げられるようになり,私たちが作りたいゲームにより近いものを制作しやすくなったのは良かったと思います。
チームは大きくなりましたが,それでも一般的な企業よりは人数が少ないため,今でも迅速に動けるのが良い点だと思います。


MOBAとローグライトの融合を実現したゲームデザイン


4Gamer:
 シムさんは,どのようなゲームをプレイしていますか?

シム・ウンソプ氏:
 「Heroes of the Storm」「Risk of Rain 2」「League of Legends」をもっとも多くプレイしていました。ほかにもMOBAゲーム,アクションローグライト,サバイバルゲームをプレイしています。

4Gamer:
 「Shape of Dreams」の開発で,影響を受けたゲームはありますか。

シム・ウンソプ氏:
 もっとも影響を受けたのは「Risk of Rain 2」と「Heroes of the Storm」です。
 「Risk of Rain 2」は特有の完成度の高いローグライト性,果てしなく成長する楽しさ,そしてゲームを壊す楽しさという,3つの主要な面白さで大きな影響を受けたゲームです。
 「Heroes of the Storm」は,個性豊かなキャラクターによるプレイ性や,戦闘の手ごたえを具現するのに,とても参考になった作品です。
 ほかにも,探検要素やマップの生成などの部分で,「Faster Than Light」のようなローグライトゲームからインスピレーションを受けたりもしました。

画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

4Gamer:
 日本の文化(ゲームやアニメ)から影響を受けたところはありますか。

シム・ウンソプ氏:
 「Shape of Dreams」の開発に直接的な影響を受けたとまでは言えませんが,学生時代から「ジョジョの奇妙な冒険」のような,ドーパミンが弾けるようなアニメーションが好きでした。
 「Shape of Dreams」の打撃感,アクション性など,“根っこの面白さ”を活かすために非常に注力しましたが,その過程で「大乱闘」のようなパーティ格闘ゲームだけでなく,さまざまな作品からたくさんのことを参考にしたと記憶しています。

 カン・ギピョは,「ELDEN RING」をプレイしており,とくにゲームの全体的な雰囲気や戦闘スタイルを構成するときや,ボスとキャラクターのスキルなどを制作するときに多くのインスピレーションを得ていました。

4Gamer:
 本作の魅力として,MOBA特有のエイムや攻撃,立ち回りのシビアさと,ローグライトのビルドによる爽快感があると思います。これを両立させるために開発でもっとも苦労した点や調整があれば教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 もっとも難しかったのは,MOBA特有の操作感を残しつつ,操作の負担を軽減することでした。ストップムービングやカイティング(),通常攻撃キャンセルなど,慣れれば上達する要素は,可能な限りそのまま残したかったのです。

※カイト=凧から来る用語。敵を凧あげのように引っ張りながら距離を維持し,逃げ撃ちや時間稼ぎを行う

 一方で,MOBAの操作に慣れていない方にとっては,移動や照準,複数のスキル入力を同時に行うことがかなり負担になる可能性がありました。実際のプレイテストでも同様の声が挙がり,当初は乗り気ではありませんでしたが,プレイヤーのフィードバックを受けてWASD操作を追加したところ,予想外に好評だったことを覚えています。

 「このゲームにはこの操作法が必要だ」と判断し,その後も改善を続けていきましたが,スキルやキャラクターのゲームプレイが2つの操作法(今ではゲームパッドを含めて3つ)でスムーズに動作し,快適にプレイできるようにする工夫にも,思った以上に頭を悩ませました。

 また,ゲームメカニクス(ゲーム内でできる操作や仕組みなど)をシンプルにすればするほどゲームへの参入は容易になりますが,ベテランプレイヤーは退屈してしまいます。
 逆にメカニクスが複雑だと,ベテランプレイヤーは喜ぶものの,新規プレイヤーにとっては非常に困難な体験になりかねません。
 この2つをどう両立させるか,体験をどのようにうまく設計すべきかについて,多くの悩みがありました。

 私たちが選んだ方法は,複雑なゲームメカニクスを,プレイヤーを教育しながらゆっくりと1つずつ追加していくというものでした。
 ゲームをプレイしながら獲得するスキルは,概して説明や動作がシンプルで,プレイヤーはプレイを通じてそのスキルを習得していきます。ゲームを進めながら,このスキルにエッセンスを割り当てるほど機能が拡張され,複雑なインタラクションの網が広がっていくんです。

 こうした過程のなかで,プレイヤーは戦闘を続けながら新しいインタラクションを徐々に習得していくため,初心者でも大きな問題が生じることはなく,ベテランプレイヤーも満足できるようになります。


家庭用ゲーム機版への挑戦と外部スタジオとの協業


4Gamer:
 今回,マルチプラットフォーム化することになったきっかけや,理由があれば教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 PC版をリリースして以来,プレイヤーの皆様から「家庭用ゲーム機でもプレイしたい」という要望をずっといただいていました。以前はコンテンツ開発に集中していたため余裕がありませんでしたが,パブリッシャの協力のおかげで,さまざまなプラットフォームで「Shape of Dreams」を皆様にお届けできるようになりました。
 「Shape of Dreams」は,ゲームパッドでプレイしても,独特の戦闘感触やアクション感を十分に味わえるゲームですので,良い方向性だと考えています。

4Gamer:
 マルチプラットフォーム化での追加点や変更点はありますか。

シム・ウンソプ氏:
 今回のマルチプラットフォーム化は,大規模なアップデートと並行して進めているので,多くのものを追加できました。キャラクターのストーリーが強化され,新しいラスボスとエンディングが追加されます。
 また,リリース以来初となる新たなプレイアブルキャラクター「ケトゥス(Cetus)」が登場するほか,数多くのコンテンツを追加しました。

画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

 外部スタジオの助けを借りて,家庭用ゲーム機版で円滑なプレイが可能になるように,数多くの最適化作業を進めました。これらの変更点はPC版にも反映される予定なので,すべてのプラットフォームで改善を感じられると思います。

4Gamer:
 少人数のインディーゲーム開発チームとして,外部スタジオの協力を得るうえで感じた苦労や学びがあれば教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 今回,NEOWIZが仲介してくれた外部スタジオと協業を行うことになりました。外部スタッフが開発に協力するのは,私たちのような小規模チームにとっては初めての経験だったため,多くの点で困難がありました。

 外部スタジオの役割は移植と最適化の2つに限定されていましたが,私たちの開発チームとしても,継続的に確認し,意思決定しなければならないことが多くありました。互いの作業をどこまで分担するかを決め,必要な内容を即座に伝えるというプロセスが頻繁にありました。
 また,私たちは家庭用ゲーム機関連の開発について何も知らない素人だったため,このプロセスはさらに困難でした。

 とくに家庭用ゲームの制作・リリース過程では,複数のプラットフォーム企業との調整が必要なことや,ビルドの認証・検証のプロセスがSteamよりもはるかに長く複雑であることを痛感しました。このため多くの時間がかかり,スケジュールも非常にタイトになりましたが,幸いにも大量のコーヒーとエナジードリンク,そして残業が私たちを救ってくれました(笑)。
 次に同様の作業や協業を行う際には,今回よりもスムーズかつ迅速に進められるのではないかと考えています。


大ヒットの反響とプレイヤーからの声,今後の展開


4Gamer:
 リリースしてから3か月で100万本(※2026年9月時点で150万本)を達成しましたが,そのときの感想を教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 正直に言って,ここまで売れるとは思いませんでした。とても喜んでいまして,とくに私たちのゲームの志向を多くの人が愛してくださったことに感謝しています。
 「Shape of Dreams」は,“私たちがやりたいゲーム”を作るために努力したゲームなので,多くの方々に受け入れていただけた喜びが,とても大きかったです。

4Gamer:
 現時点でプレイヤーから多く寄せられているフィードバックには,どのようなものがありますか。

シム・ウンソプ氏:
 まず,ビルドのバリエーションが豊富で,プレイヤーごとに異なるプレイ感覚を楽しめるという点については,好意的に受け止めていただいています。
どんなプレイスタイルを望むプレイヤーにも,それに合ったキャラクターが存在し,そのキャラクターを自由自在に試せる「遊び場」を提供すること。それは私たちが追求するもっとも重要な楽しみの1つであるため,この点がうまく伝わっていることを嬉しく思います。

 ただ,最近はベテランプレイヤーが増えたため,高難度でも(敵が)弱すぎる,あるいは高難度におけるビルドの多様性などについて,ゲームを深く理解されている方々からのフィードバックが数多く寄せられています。
 できるだけ多くのプレイヤーに楽しんでいただけるよう,現在真剣に検討を進めています。

画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / [インタビュー]家庭用ゲーム機版も発表された「Shape of Dreams」。少人数チームが直面した外部協業の苦労やゲームデザインの裏側とは

 また,先ほど紹介した冷気を操るキャラクター「ケトゥス」について,「かっこいい」というフィードバックも少しずつ寄せられていて,とくにうちのアート担当が大変喜んでいます。

4Gamer:
 今後の予定について,話せる範囲で教えてください。

シム・ウンソプ氏:
 いまも多くの方々に私たちのゲームを応援していただいているため,その気持ちが続く限り,私たちもアップデートや改善を続けていく予定です。とくに新コンテンツに関しては,すでに多くの企画が進行中です。

 長期的には「Shape of Dreams」の世界観を広げ,さらに多くのものをお見せしたいと考えています。その過程において,「楽しいゲームプレイでプレイヤーの心を掴むことが最大の価値」だと考えており,私たちが好きなゲームやジャンルを通じて,皆様に楽しさを届けたいと思っています。

4Gamer:
 最後に,4Gamer読者へのコメントをお願いします。

シム・ウンソプ氏:
 「Shape of Dreams」は,私たちが好きなゲームを自分たちで作りたいという思いから始まりました。当初は学生2人による小さなプロジェクトでしたが,私たちに新しい世界を見せてくれた東京ゲームショウ,そして多くの方々がプレイしてご意見をお寄せくださったおかげで,ここまで来ることができました。

 スピーディなアクションやローグライトがお好きな方は,ぜひ一度プレイしてみてください。MOBAが好きでも嫌いでも,友達と一緒にプレイしても,一人でプレイしても,きっと楽しめるはずです。夢の中でお会いしましょう!

 インタビューの機会をくださった4Gamerの関係者の皆様,そして長い文章をお読みいただいた読者の皆様に,心より感謝申し上げます。

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