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3Dグラフィックスベンチマークの大定番「3DMark」の最新事情。無料版インストーラも公開中
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印刷2023/05/26 17:00

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UL Benchmark 3DMark

発売元:UL(旧称:Futuremark)


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 UL Solutionsのベンチマーク部門であるUL Benchmark(旧称 Futuremark)が展開する3Dグラフィックスベンチマークテストアプリケーション「3DMark」は,最初のバージョンが2013年2月に公開されて以来,アップデートを重ねて10年が経過した。2014年には,FuturemarkがULに買収され,2018年にはFuturemarkブランドが消滅して「UL Benchmarks」に切り替わるといった大きな変化はあったものの,3Dベンチマークソフトにおける定番中の定番として,10年間変わらぬ高い評価を得ているソフトウェアだ。
 本稿では,3DMarkの解説とアップデートの紹介を行うとともに,UL Benchmark公式ミラーでのインストーラを配信する。

2023年12月20日:Version 2.28.8217(最新版)

2013年5月7日:Version 1.1.0
2023年1月16日:Version 2.25.8056
2023年5月10日:Version 2.26.8092
2023年5月26日:Version 2.26.8098
2023年6月12日:Version 2.26.8113
2023年8月14日:Version 2.27.8155
2023年8月18日:Version 2.27.8160
2023年9月14日:Version 2.27.8176
2023年9月25日:Version 2.27.8177
2023年11月11日:Version 2.28.8205
2023年11月17日:Version 2.28.8213


 なお,2022年10月のVersion 2.25.8043以前の情報を確認したい場合は,3DMarkの旧紹介ページを,2018年11月のVersion 2.6世代以前の情報を確認したい場合は,バージョンアップ履歴ページを参照してほしい。

 ちなみに,3DMarkのルーツは,フィンランドのゲームデベロッパであるRemedy Entertainmentが,1997年に公開したフレームレート測定機能を持つ3Dメガデモ「Final Reality」まで遡れる。メガデモから3DMarkに至る経緯については,2006年に掲載した西川善司氏の記事に詳しいので,興味がある読者は読んでみるといいだろう。

 ルーツから数えれば,実に25年という長きにわたって3Dベンチマークの定番として君臨してきただけに,信頼と実績という点で,3DMarkに比肩する3Dグラフィックスベンチマークテストはないと言っても過言ではない。

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 2013年にリリースされた当初,3DMarkにおける大きな目玉は,「マルチプラットフォーム化」であった。当時はスマートフォンやタブレット端末における3Dグラフィックス機能や性能が急速に向上していた時期でもあり,さまざまなプラットフォームを横並びで比較できることは,大きな意味を持っていたからだ。
 10年後の現在も,3DMarkには,クロスプラットフォームで性能のテストが行えるテスト「Wild Life」「Wild Life Extreme」を提供しており(関連記事),Windows搭載PCだけでなく,iOS端末やAndroid端末とも性能を比較できるようになってはいる。
 しかし,3DMarkの無料版である「3DMark Basic Edition」では,このテストは実行できず,これ以外のテストはWindows専用という現状を鑑みれば,現在の3DMarkにおいて,マルチプラットフォームが目玉ではないのは明確だろう。

 一方で,Windows版3DMarkの機能やベンチマーク項目は,大幅に拡充されており,毎年,新機能や新テストが追加され続けている。
 当初,3DMarkに組み込まれていたテストスイートは,「Ice Storm」「Cloud Gate」「Fire Strike」の3種類であったが,今ではDirectX 12の性能をテストする「Time Spy」や「Speed Way,ノートPCやARM版Windowsの統合GPU向けのDirectX 12テスト「Night Raid」が追加されている。逆に,設計が古くて時代にそぐわなくなったIce StormやCloud Gateは,サポートが終了して事実上廃止となった。

2023年5月時点における3DMarkのベンチマークテスト
※2022年10月10日以前のAdvanced EditionにはSpeed Wayが含まれていなかった。2022年10月10日以前にAdvanced Editionを購入したユーザー向けに4.99ドルで「Speed Way Benchmark DLC」が配布されている
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 3DMarkには,リリース当初から「Basic Edition」「Advanced Edition」「Professional Edition」という3種類のエディションがあった。基本のテスト3種類だけを実行できるBasic Editionは無料であるが,一般向けのフル機能版であるAdvanced Editionは,34.99ドル(約4720円,2023年5月現在)だ。また,Advanced Edition相当のSteam版も販売中で,そちらは3900円となっている。Steam版は,割り引き価格での販売が行われることもあるので,3DMarkのフル機能版を安く手に入れたいときは,Steamをチェックするといい。
 一方,Professional Editionは法人ユーザー向けのサブスクリプション方式となっており,年額で1695ドル(約22万8500円,2023年5月現在)とかなり高額だ。

 リリース当初,エディションごとの差異は,テストにおけるカスタマイズ機能の有無や,ベンチマークスコアの扱いといった機能面にあった。しかし,現在はそれだけでなく,テストできる項目が大きな違いとなっている。
 というのも,3DMarkはダウンロードコンテンツ(DLC)としてテストを追加できるよう,当初から設計されており,Advanced EditionやProfessional Editionに対しては,10年間で多くのテストが加わったからだ(※古くなってサポートが終了したテストもある)。

Basic Editionでは,多くのテストがグレーアウトしたうえ鍵マークが付いており,実行できない
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 Advanced Editionには,特定のグラフィックス機能をテストして性能を測る目的で,8種類の「Feature tests」(機能テスト)や,CPU性能テストである「CPU Profile」が組み込まれた。Feature testsは,新しいグラフィックス技術が登場するたびに拡充されているので,今後も新たなテストが追加される可能性が高いだろう。
 そのほかにもAdvanced Editionには,ストレージ性能を測る有料の追加テスト「Storage Benchmark」(2.99ドル,Steamでは310円)も追加できる。

 Professional Editionには,Advanced EditionおよびDLCのテストがすべて含まれるほか,XML形式でスコアを出力(エクスポート)する機能や,バッチファイルを使った自動実行,UL Benchmarksが企業向けに開発している自動化システム「Testdriver」を使ったベンチマークテストの展開やリモート実行といった機能を備える。Testdriverを利用することで数百台,数千台といった複数のPCのテストを一度に行うことが可能だ。
 各エディションごとの主な違いを表1にまとめてみよう。

表1 エディションによる主な機能の違い
Basic Edition Advanced Edition Professional Edition
ベンチマーク設定のカスタマイズ
ゲーム性能の目安表示
テスト個別のインストール
デモのスキップ
スコアをローカルPCに保存
コマンドラインによる自動実行
イメージクォリティツールの利用
XML形式へのエクスポート
Testdriverによる展開
電話およびメールによるサポート

 一方,各エディションで実行できるテストの違いは表2のとおりだ。

表2 各エディションで実行可能なテスト
Basic Edition Advanced Edition Professional Edition
Time Spy
Time Spy Extreme
Night Raid
Fire Strike
Fire Strike Extreme
Fire Strike Ultra
Speed Way ※1
Wild Life
Wild Life Extreme
Port Royal ※2
CPU Profile
Storage Benchmark ※3
GPU Stress Tests
DirectX Raytracing feature test
Mesh Shader feature test
PCI Express feature test
Sampler Feedback feature test
VRS feature test
NVIDIA DLSS feature test
Intel XeSS feature test
AMD FSR feature test
※1 2022年10月10日以前のAdvanced Editionには含まれないが,DLCとして追加購入できる
※2 2019年1月8日以前のAdvanced Editionには含まれていないが,DLCとして追加購入できる
※3 DLCとして追加購入できる



Basic Editionでも実行できる基本のテストを解説


 多数のテストを擁する3DMarkだが,無料のBasic Editionで実行できる3つのテストが基本といっていいだろう。それぞれの概要は次のようなものだ。

Time Spy
 DirectX 12に対応するGPUを搭載したゲーマー向けPC向けベンチマークテスト。

Time Spyのテストシーン
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Night Raid
 DirectX 12に対応する統合型グラフィックス機能(統合GPU)やエントリー市場向けのGPUを搭載したPCに適したベンチマークテスト。

Night Raidのテストシーン
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Fire Strike
 DirectX 11の性能をテストするベンチマークテストで,DirectX 12に対応しない古いGPUでも実行できる。

Fire Strikeのテストシーン
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 2023年5月の時点で,新作PCゲームの多くは,DirectX 12対応となっている。つまり,Time Spyのスコアが現在のゲームにおけるグラフィックス性能の目安として最も重要と言っていいだろう。
 Night Raidも同じくDirectX 12を使用したベンチマークテストだが,UL Benchmarksによると,Time Spyでは負荷が高すぎて比較に適さない程度のスコアしか得られないPCに適したテストであるという。UL Benchmarksは,主に統合GPUを想定しているようだが,エントリー市場向けの単体GPUにも活用できるだろう。

 最後のFire Strikeは,3DMarkが初登場した当時からあるDirectX 11ベースのベンチマークテストだ。DirectX 11は,主流だった時期が長いために対応タイトルが多く,いまでも多数のゲームがプレイされている。また,eスポーツ系タイトルやインディーズタイトルは,現在もDirectX 11ベースの新作が多い。作られてから10年が経ったベンチマークテストではあるが,比較的,グラフィックス負荷が軽いタイトルを中心にプレイしているゲーマーにとって,Fire Strikeのスコアは重要な意味を持っている。
 一方で,2023年時点で最高クラスの性能を持ったGPUが相手になると,Fire Strikeは設計が古すぎるのか,性能を正確に反映できないこともあるのが注意すべき点だ。

 各テストの概要やテストシーケンスを見ていこう。


●Time Spy


 「過去を覗き見ることができる未来の『Time Spy』が,博物館を訪れて美しい展示物を見てまわっていると,何者かの襲撃を受け……」というシーンを描くTime Spyは,2016年にWindows 10とともに,新しいグラフィックスAPIとして登場したDirectX 12に対応したテストとして,3DMarkに組み込まれたベンチマークテストである(関連記事)。
 余談だが,ストーリーの意味をUL Benchmarksが詳細に解説したことはないようだが,DirectX 12がもたらすゲームの未来を暗示したシーンが描かれているという説が一般的なようだ。

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 そんなTime Spyは,DirectX 12のもっとも基本的な機能レベル(Feature Level)である11_0を使って開発されていることが特徴だ。Feature Level 11_0は,DirectX 12が登場した当時に主流だったDirectX 11向けのグラフィックスカードでも対応可能で,DirectX 12のマルチスレッドレンダリングといった機能的なメリットや性能面の優位性を享受できるものだった。
 もっとも現在では,Feature Level 11_0止まりのGPUだとプレイできないゲームが出てきており,ベンチマークとしてはやや古めといって差し支えない。それもあって,最新のGPU向けに「DirectX 12 Ultimate」の性能をテストするSpeed Wayが登場したわけだ。

 話を戻すと,Time Spyのレンダリング解像度は2560×1440ドット,Advanced Editionで実行できる高解像度版「Time Spy Extreme」のレンダリング解像度は3840×2160ドットである。テストシーケンスは「Graphics test 1」「Graphics test 2」「CPU test」の3種類だ。

 Graphics test 1とGraphics test 2は,GPU性能を測定するシーケンスで,どちらもCPU性能がフレームレートを制限しないように,CPU負荷を最小限に抑えた設計となっている。
 Graphics test 1は,ガラスやパーティクルといった透明なエレメントを,順不同で描画できる「A-Buffer」を使ってレンダリングする処理に重点を置き,Graphics test 2はレイマーチング法を使って,視点からポリゴンまでの空間をライティングする「ボリューメトリックイルミネーション」(関連記事)の処理に重点を置いている。
 GPUを使ったポストプロセスも非常にリッチで,被写界深度,発光,レンズリフレクションを多用する仕様だ。

 Graphics test 1,Graphics test 2は,実行中にフレームレートを計測して,その結果をスコアに反映する。

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Time Spy Graphics test 1の1シーン
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Time Spy Graphics test 2の1シーン

Time Spy CPU testの1シーン
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 一方,CPU testは,オープンソースの物理シミュレーションライブラリ「Bullet Open Source Physics」(以下,Bullet Open)を使用して,一連のシーンを描くテストシーケンスである。CPU testで描かれるシーンは,群体をシミュレートするボイドシステムと,剛体およびフェザーストーンアルゴリズム(※関節やアームにかかる力を計算する手法)を使った物理シミュレーションという2種類の構成要素でできている。

 Graphics testと同じように,実行中にフレームレートを計測して,その結果をスコアに反映する仕様だ。CPU testで行うシミュレーションは,極めてCPU負荷が高いため,少なくとも単体GPUを搭載したPCならば,GPU性能はスコアにほとんど影響を与えない。ただ,CPU testがレンダリングするフレーム数は一定となっているので,CPU性能によって実行時間が変化する点がGraphics testとは異なる。

 なお,Time SpyとTime Spy Extremeでは,CPU testにおけるボイドシステムのベクトル演算に使用する命令セットが異なる点には注意が必要だ。Time Spyでは「SSE3」までの命令セットを使用するが,Time Spy ExtremeではCPUが対応していれば「AVX2」までの拡張命令セットが使われる(※カスタム設定では,AVX512まで対応できる)。
 さらに,Time Spy Extremeでは,フレームレートに代わり平均フレームタイム(※1フレームの描画にかかった平均時間)がスコア算定に使われるという違いもある。こうした違いがあるため,Time SpyのCPU testとTime Spy ExtremeのCPU testでは,まったく傾向が異なる結果が出ることも少なくない。


●Night Raid


 DirectX 12テストであるTime Spyは,レンダリング解像度が2560×1440ドット以上で,描かれるシーンもGPUにとって負荷が高めの処理が中心だ。DirectX 12登場後,ほどなくしてIntelやAMD製の統合GPUもDirectX 12に対応したが,それらのGPUでTime Spyを実行すると,性能を比較することが非現実的なほど低いスコアしか得られないという問題が生じた。

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 そうした事情もあり,2018年に3DMarkに加わったのが「Night Raid」だ(関連記事)。Night Raidは,統合GPUやエントリー市場向けのGPU,さらにARM版Windowsに対応していることが特徴のテストだ。ARM版Windowsは,2018年当時に期待されていたほどポピュラーになってはいないが,同環境で実行できる貴重なGPUベンチマークテストのひとつである。

 Night Raid(夜襲)というタイトルどおり,ドローンやロボットの襲撃シーンが描かれるNight Raidは「Graphics test 1」「Graphics test 2」「CPU test」という3つのテストからなる。レンダリング解像度は1920×1080ドットだ。

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 Graphics test 1は,ディファードレンダリングを用いたGPUベンチマークで,スクリーンスペースリフレクションやアンビエントオクルージョンを使った光の陰影表現や,レンズ効果やブルームを用いたポストプロセス処理に重きを置いている。

Night Raid Graphics test 1の1シーン
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 Graphics test 2は,一般的なフォワードレンダリングを用いたGPUベンチマークで,テッセレーションを用いたシーンのレンダリングや,ポストプロセスに被写体深度の表現を追加しているので,Graphics test 1よりも,やや処理負荷が重いテストだ。

Night Raid Graphics test 2の1シーン
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 両テストともに実行中にフレームレートを計測して,スコアに反映する仕様だ。Time Spyに比べると,Graphics test 1,Graphics test 2ともにポリゴン数を大幅に減らしており,統合GPUでも計測に十分なフレームレートが得られるよう工夫されている。

 一方のCPU testは,Time Spyと同じくBullet Openを使用したボイドシミュレーションと,ミドルウェア「Umbra」を使用したソフトウェアによるオクルージョンカリングを使って,CPUの性能を測定するものだ。スコアに反映するのはテスト中に計測されるフレームタイムである。
 なお,ベクトル化の処理は,デフォルトでは「SSE3」まで,カスタム実行では「AVX512」までの命令セットを使用するように設定できる。

Night Raid CPU testの1シーン
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●Fire Strike


 3DMarkのリリース当初から存在する「Fire Strike」は,3DMarkを代表するベンチマークテストと言っていいだろう。煮えたぎる溶岩の上にかかる橋で,2人の異形の戦士が戦う様子を描いたグラフィックスシーンは,3DMarkリリース当時の主流グラフィックスAPIであったDirectX 11の機能をフルに使って描かれている。

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 レンダリング解像度は1920×1080ドット。Advanced Edition以上では,レンダリング解像度が2560×1440ドット相当になる「Fire Strike Extreme」と,4K解像度相当になる「Fire Strike Ultra」も加わり,より高負荷のテストが行える。

 テストシーケンスは「Graphics test 1」「Graphics test 2」「Physics test」「Combined test」の4種類だ。そのうち,Graphics test 1,2は,DirectX 11におけるGPU性能を測るテストである。すべてのテストでフレームレートを計測して,1秒あたりの平均フレームレートによってスコアを算出する仕組みだ。

 Graphics test 1は,ジオメトリとイルミネーションの処理に焦点を当てたテストとなっている。パーティクルは半分の解像度で描画するが,シーンには100個のスポットライトと140個のポイントライトが配置されており,複雑な光の表現が行われる。さらに,コンピュートシェーダを用いたポストプロセス処理も使われており,そこでもGPUに負荷を加えている。

Fire Strike Graphics test 1の1シーン
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 Graphics test 2は,パーティクルの描画とGPUを使用した流体シミュレーションに焦点を当てたテストで,Graphics test 1よりもGPU負荷が高い。パーティクルはフル解像度で描画しており,またGraphics test 1では使っていない動的なパーティクルイルミネーションも使用する。シーンに配置したスポットライトは6個で,ポイントライトは65個と,Graphics test 1よりも少ないが,パーティクルの流体シミュレーションにコンピュートシェーダを使うそうだ。
 Graphics test 2のポストプロセスも,やや負荷の高い処理で被写体深度のエフェクトを使用する。

Fire Strike Graphics test 2の1シーン
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 Fire StrikeのPhysics testは,Bullet Openを使ったソフトボディのシミュレーションを実行する。やや設計が古いテストではあるが,Time SpyのCPU testに比べると,CPUコア数に応じて比較的,素直にスコアを上げていく傾向があるようだ。

Fire Strike Physics testの1シーン
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 最後のCombined testは,Graphics test 1,2を構成する要素を組み合わせたGPU性能テストと,Bullet Openを使用した剛体の物理シミュレーションを組み合わせて,CPUとGPUの双方に負荷をかけるテストである。


2023年時点の最新GPUに適したベンチマークテスト


 Basic Editionで実行できる3種類のテストは,最新GPUの機能をフルに使うものではなくなっている。最新GPUの機能や性能をテストするのであれば,Advanced Editionに含まれるテストも実行するのが適切だろう。
 ここでは,4Gamerでも折に触れて利用しているテストを中心に,Advanced Editionのテストについても見ていきたい。


●Speed Way


 先述したとおり,「Speed Way」は,DirectX 12 Ultimateに対応するベンチマークテストだ。

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 DirectX 12 Ultimateとは,Windows PCとMicrosoftのゲーム機「Xbox One」シリーズとの共通基盤として,同社が2020年に定義したグラフィックスAPIセットだ(関連記事)。DirectX 12に,以下に示す4種類の機能やAPI群を追加している。

  • DirectX Raytracing
  • Variable Rate Shading(VRS)
  • Mesh Shader
  • Sampler Feedback

 こうした事情があるため,Speed Wayを実行するには,DirectX 12 Ultimateに対応したGPUが必要だ。DirectX 12のFeature Level(機能レベル)で言うと,「Feature Level 12_2」に対応している必要があり,2023年前半時点でのミドルクラス市場向けGPU以上が該当する。エントリー市場向けのGPUだとレベル12_2に対応できていないものもあるので,Speed Wayを実行できないPCも少なくはないわけだ。

 そんなSpeed Wayのテストシーケンスは,Graphics testのみ。Time SpyやFire Strikeのように,CPU性能を測定するテストは含まれず,レンダリング解像度が異なる高負荷版テストもない。ただ,GPUに対するコマンド生成を,CPUの論理コア数分のスレッドで行うので,CPUのマルチスレッド性能が低い場合,Speed Wayのスコアに影響を与える可能性があるそうだ。

 Speed Wayでは,未来のガレージを舞台に,レースに出場するバイクの整備シーンが描かれる。シーンを描画するSpeed Wayのグラフィックエンジンでは,DirectX 12 Ultimateで加わったMesh Shaderを使っている。
 Speed Wayで重点を置いているのは,レイトレーシングを用いた動的なボリュメトリックライティングや透明なサーフェスの描画,レイトレーシングベースの間接照明やグローバルイルミネーションといった要素だ。また,パーティクルの描画には,GPUを用いた非同期GPU演算による物理シミュレーションを使用する。
 ベンチマークモードにおけるレンダリング解像度の初期値は2560×1440ドットで,実行中にフレームレートを計測して,フレームレートをもとにスコアを算出する仕組みだ。

Speed Wayの1シーン
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VS. Modeは,画面右下の目立たないところにスイッチがある
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 ここまでに紹介したテストにはなかったSpeed Wayの新しい要素は,ベンチマークモードのほかに,「VS. Mode」と「Interactive Mode」が用意されている点だ。
 VS. Modeは,UL Benchmarksのクラウド上にアップロードされている他のPCによるデータと比較しながら実行できる。一方のInteractive Modeは,パラメータをスライダーやボタンで変化させて,シーンの変化をリアルタイムに確認できるモードだ。

Interactive Modeで,時間帯を変更してみた
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●Wild Life


 3DMarkの特徴でもあったマルチプラットフォームベンチマークテストを受け継いでいるのが,「Wild Life」および「Wild Life Extreme」だ。Wild LifeはArm版を含むWindowsとAndroid,iOSに対応し,これらのプラットフォームを横断的に横並びで比較できるテストである。

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 Windows版とAndroid版はVulkan API 1.1を,iOS版はMetalを使うようになっている。iOSと他のプラットフォームではAPIが異なるが,エンジン部分は共通だ。ベンチマーク実行時のデフォルトの2560×1440ドットだ。先述のようにGraphics testのみで構成され,フレームレートをもとに総合スコアを算出する仕組みだ。

 Wild Lifeでは,異星の風景と自然界の様子が美しいグラフィックスで描かれる。技術的要素としては,CPUを用いたライトカリングが用いられていることがポイントだ。なお,Wild LifeにCPU性能を検証するテストシーケンスはないのだが,ある程度はCPU性能がスコアに影響を与える仕組みとなっている。
 また,シーンを通してライトやジオメトリ,ポストエフェクトの量が変化することで,さまざまな負荷における性能をテストできるよう工夫されているとのこと。たとえばポストプロセスでは,ブルームや熱による空気のゆらぎ(ヒートディストーション),ボリュームイルミネーション,被写界深度の処理を行っている。

Wild Lifeの1シーン
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 Wild Life Extremeは,Wild Lifeの高負荷版で,他の高負荷版テストとは異なり,レンダリング解像度を変えるのではなく,ポストプロセスや処理内容を変えることで負荷を高めているのが特徴だ。
 具体的には,「Asynchronous Compute」による並列レンダリングパスを使用しているほか,ジオメトリ負荷を1.25倍にしたり,シャドウマップを高解像度にしたりして,描画負荷を高めている。またポストプロセスでは,「Adaptive Screen Space Ambient Occlusion」(ASSAO)による陰影が加わり,アンチエイリアシングとしてTAAを用いるという。
 これらにより,Wild Lifeと比べてWild Life Extremeは,かなり処理負荷が高いテストになっている。PCでも,相応に高い性能を持つGPUがないと,高いフレームレートは得られないだろう。

Wild Life Extremeの1シーン
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 Wild LifeおよびWild Life Extremeには,「Unlimited Mode」というベンチマークモードが用意されているのも特徴のひとつだ。Unlimited Modeは,オフスクリーンで一定のフレーム数をレンダリングしてスコアを算出するモードである。たとえば垂直同期をオフにできないスマートフォンやタブレットでも,Unlimited Modeなら,その影響を受けることなくベンチマークのスコアを得ることができるわけだ。
 異なるプラットフォームを比較するのなら,ディスプレイの影響を排除できるUnlimited Modeを使ったほうが安全だろう。

Wild LifeのUnlimited Modeは,通常の[RUN]ボタンの下にある[RUN]ボタンで開始する
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●Port Royal


 Port Royalは,2018年にDirectX Raytracingが登場したのを受けて,2019年1月に加わったベンチマークテストだ。Port Royalは,海賊の宇宙港の様子がレイトレーシングをフルに使用した美しいグラフィックスで描かれる。
 レイトレーシングを使用する点はSpeed Wayと同じだが,こちらはDirectX Raytracingの登場初期からあったAPIを用いて実装した独自のグラフィックスエンジンを使用するという。Port Royalの実行には,DirectX Raytracingに対応したうえで,DirectX 12のFeature Level 12_1をサポートするGPUを必要とするものの,GPUがDirectX 12 Ultimateをフルサポートしている必要はない。

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 Port Royalのテストシーケンスは,Graphics testのみだ。CPU性能を測定するテストはないが,Speed Wayと同様に,CPU側で論理コア数分のスレッドを使ってGPUにコマンドを発行する関係で,CPUのマルチスレッド性能がスコアに影響を与える可能性はあるという。ただ,レンダリングにおけるCPU側の負荷は軽いため,GPU性能に見合うCPUが搭載されていればCPUの影響は大きくないとのことだ。

 技術面で特徴的な点としては,ボリューメトリックライトマップの生成に,テッセレーションを用いた独自の処理を使っていることが挙げられる。テッセレーションによって,メッシュのデータ量を抑えながらリアルなライティングの表現を可能にしているそうだ。
 そのほかにも,レイトレーシングを使用した完全なシャドウの表現や,透明なサーフェスの描画を行っている。またポストプロセスでは,GPUを使用したブルームや被写界深度の効果が加えている。

Port Royalの1シーン
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 ベンチマークにおけるレンダリング解像度は,2560×1440ドットに固定されている。実行中にフレームレートを測定して,平均フレームレートをもとに総合スコアを算出する仕組みだ。Speed WayよりもGPUの要件がやや緩いのだが,レイトレーシング性能を見るベンチマークとしては,現在でも有効だろう。


●CPU Profile


 2021年6月に3DMarkに加わった「CPU Profile」は,CPUの性能を測定するベンチマークテストだ。Port RoyalやSpeed Wayといった,比較的最近になって3DMarkに加わったベンチマークテストには,CPU性能を計測するシーケンスが含まれていないので,その代わりという面もあるのではないだろうか。

CPU Profileの1シーン
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 CPU Profileにおけるテストは,物理シミュレーションライブラリの一種で,群体をシミュレートするボイドシステムである。使用する拡張命令セットは,SSE3が半分で,残りの半分がAVX2までとのこと。ゲームにおいて,1種類の拡張命令セットだけを物理シミュレーションに使うことは少ないので,ボイドシステムに使用する命令セットをテスト中に変えることで,よりゲームに近いCPU性能の評価ができる,というのがUL Benchmarksの主張だ。

CPU Profileの起動画面
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 CPU Profileのデフォルトでは,CPUが実行可能な最大スレッド数と,16,8,4,2,1スレッドの順でボイドシステムのシミュレーションを実行して,それぞれの性能評価と総合スコアを算出する仕組みになっている。UL Benchmarksによると,8スレッドの成績はDirectX 12対応ゲームの性能と相関が強く,4および2スレッドの成績は,DirectX 9のように古いAPIを使用するゲームとの相関が強いとのこと。また,8スレッドは,Time SpyのCPU testと強い相関のあるスコアが得られるそうだ。

CPU Profileの実行結果画面
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 シミュレーションの実行時間はごく短く,実行スレッド数を変えるたびに一定のインターバル時間を開けているので,その間にCPUを冷却できるよう配慮している。ゲームでは連続してCPUに高負荷が生じ続けることは少ないので,この点もゲームに近いと評価していいだろう。

 なお,デフォルトでは,たとえば4コア8スレッドのCPUでも16スレッドのテストを実行するが,カスタム実行を選べば,必要のないスレッド数のテストはキャンセルできる。必要に応じてカスタム実行を使うといいだろう。


●Storage Benchmark


 先述したとおり,Storage BenchmarkはAdvanced Editionにも含まれない別売りのDLCだが,ゲームに特化したストレージ性能を測定できる珍しいテストだ。

Storage benchmarkの起動画面
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 PCI Express(NVM Express,以下 PCIe)接続対応のSSDが普及して,PCにおけるストレージ性能は大幅に向上した。だが,単純な逐次(シーケンシャル)アクセス性能やランダムアクセス性能のテスト結果と,リアルなアプリケーションにおける体感的な性能は,相関が分かりにくいというのが正直なところだろう。
 3DMarkのStorage Benchmarkは,ゲームにおけるストレージアクセスパターンを再現して,平均のストレージ帯域幅を算出するテストだ。テストシーケンスに含まれるのは,以下の7項目となる。

  • 「Battlefield V」の起動からメインメニュー表示まで
  • 「Call of Duty: Black Ops 4」の起動からメインメニュー表示まで
  • 「Overwatch」の起動からメインメニュー表示まで
  • 「OBS Studio」を使って「Overwatch」のプレイを解像度1080p,60fpsで録画
  • 「Counter Strike: Global Offensive」を外付けSSDからSteamライブラリのフォルダへコピー
  • 「Epic Games Launcher」を使って「The Outer Worlds」をインストール
  • 「The Outer Worlds」でゲームを保存

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 これら実際のゲームタイトルを使ったストレージ操作を再現した,7パターンでテストを行う。7パターンの再現を3回ループさせて測定するので,ゲームにおける体感性能に近い正確なテストが可能というわけだ。
 テストでは,それぞれのアクセスパターン再現時の平均帯域幅と,平均ストレージアクセス時間を計測する。総合スコアは,平均帯域幅と平均ストレージアクセス時間から算出する仕組みだ。

Storage benchmarkの計測結果
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 ちなみに,かつてのPC総合ベンチマーク「PCMark 8」には,Storage testに類似のテストが含まれていた。しかし,現在の「PCMark 10」では,ストレージ向けのベンチマークにはゲームを使ったテストが含まれていない。PCMark 10ではできないゲーム特化型のストレージテストができるという意味では,価値があるテストであろう。


特定の機能や性能をチェックするFeature test


 Advanced Edition以降で利用できるFeature testは,特定の機能(Feature)をテストするもので,ある機能を使用したときの性能や,グラフィックス表現をチェックできる。Feature testでは,総合スコアは算出しないものの,フレームレートのような性能指標が提示されるので,ベンチマークとしても利用可能だ。
 Feature testは,WindowsやPCハードウェアに新たな機能が実装されるたびに追加されていて,2023年5月の時点で8種類がある。今後も順次,追加されていくだろう。

2023年5月時点でのFeature testラインナップ。サポートが終了して事実上廃止されたFeature testもある
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 4Gamerでは,Feature testのうち,「DirectX Raytracing feature test」など,一部のFeature testを利用するので,それらについて簡単に解説しておきたい。


●DirectX Raytracing feature test


 本テストは,DirectX Raytracing 1.1の機能をチェックするFeature testだ。
 レイトレーシングを使用したベンチマークであるPort RoyalやSpeed Wayは,現実のゲームに近づけるためにラスタライズとレイトレーシングを併用する描画エンジンが使っているが,DirectX Raytracing feature testでは,ラスタライズをほとんど使用せず,レイトレーシングのみの1パスでグラフィックスを描く。
 したがって,DirectX Raytracing feature testにおけるフレームレートは現実のゲーム性能を反映したものではないことに注意が必要だ。だが,GPUのレイトレーシング性能のみを横並びに比較するという目的であれば,DirectX Raytracing feature testをベンチマークとして利用することもできるだろう。

DirectX Raytracing feature testの1シーン
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DirectX Raytracing feature testでは,Interactive Modeを実行したり,ピクセルあたりのサンプル数を変えたりできる
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 DirectX Raytracing feature testのデフォルトのレンダリング解像度は2560×1440ドットだ。標準のテスト実行に加えて,「Interactive Mode」というテストモードもある。Interactive Modeでは,シーン内を自由に移動してスクリーンショットを撮影できる。
 なお,ピクセルあたりのサンプル数はデフォルトが「12」だが,カスタマイズも可能だ。

Interactive Modeの1シーン。画像下側に操作ガイドが出ている
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 実行には平均フレームレートが得られるので,ベンチマークとして使う場合は,フレームレートで比較することになる。


●NVIDIA DLSS Feature test


 NVIDIA DLSS Feature testは,NVIDIA独自の超解像技術「DLSS」のテストを行うFeature testだ。2023年5月の時点で,初代DLSSに加えて,改良版の「DLSS 2」および「DLSS 3」をサポートしている。
 当然ながら,NVIDIA DLSS Feature testを実行するには対応したGPUが必要になる。具体的には,DLSSおよびDLSS 2のテストにはGeForce RTX 20シリーズ以降が,DLSS 3のテストにはGeForce RTX 40シリーズが必要だ。

NVIDIA DLSS Feature testで画質比較をしている様子
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 DLSS Feature testでチェックできる項目は大きく2つある。DLSSを使用したことによるフレームレートの向上具合と,使用,非使用時の画質比較である。

 DLSS Feature testのデフォルトの表示解像度は2560×1440ドットだが,そのほかのオプションとして選択できる解像度はDLSSの世代によって異なる。DLSSでは,表示解像度1920×1080ドットと3840×1440ドットが,DLSS 2ではさらに7680×4320ドットが選択できる。一方,DLSS 3では1920×1080ドットが選択できない。

DLSS Feature testの起動画面
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 また,DLSS 2とDLSS 3では,画質モードの選択も可能になる。選択肢は「Quality」「Performance」「Ultra Performance」の3種類で,Ultra Performanceは7680×4320ドット時のみ選択可能だ。

 テストではPort Royalのリソースを使用しており,DLSS無効,DLSS有効の順でテストを行い,終了後にそれぞれの平均フレームレートを得る仕組みだ。無効と有効のフレームレートを比較することで,DLSSによるフレームレート向上具合を確かめられる。


●AMD FSR Feature test,Intel XeSS Feature test


 「AMD FSR Feature test」は,AMD独自の超解像技術「FidelityFX Super Resolution」(FSR)を,「Intel XeSS Feature test」は,Intel独自の超解像技術「Xe Super Sampling」(XeSS)をテストするFeature testだ。

 AMDは,Radeon RX 7900シリーズと同時に「FSR 3」を発表しているが,3DMarkのAMD FSR Feature testは,前世代の「FSR 2.2」に準拠したテストだ。FSRは,DirectX 12のシェーダモデル6.0を使用したポストプロセスによる超解像技術なので,AMD製GPUだけでなく,GeForce GTX 10シリーズ以降やGeForce RTXシリーズのNVIDIA製GPUや,Intel Xe GraphicsベースのIntel製GPUなどでも実行できる汎用性のあるテストとなっている。

 一方のIntel XeSS Feature testも,Xe GraphicsベースのIntel製のGPUを前提としたテストである。ただXeSSは,DirectX 12の「Shader Model 6.4」を使用するシェーダコードでAI処理系部分が作られているので,Shader Model 6.4対応のNVIDIAおよびAMD製GPUでも実行できる。

Intel XeSS Feature testでの画質比較
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 どちらもNVIDIA DLSS Feature testと同じく,超解像技術を使用することによるフレームレートの向上率および画質のチェックを行うテストだ。4Gamerでこれらをベンチマークテストに利用した例はまだないものの,今後は使うことがあるかもしれない。


●そのほかのFeature test


 残るFeature testは,4Gamerでベンチマークテストとして使用する機会があまりなさそうなので,ごく簡単に概要を記しておくにとどめたい。

 まず,DirectX 12 Ultimateにおいて加わった技術のテストと性能を検証するテストして,「Mesh Shader feature test」「Sampler Feedback feature test」「VRS feature test」が用意されている。いずれもテーマである機能を使用したデモと使用しないデモを実行したうえで,フレームレートを比較ができる。
 フレームレートの値をベンチマークテストとして利用することも可能だが,これらの要素の性能を調べる必要に迫られるケースはあまりない。特定の要素について詳細に分析したいときには,これらの機能テストが役立つ場合もあるだろう。

Mesh Shader feature testの1シーン
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Sampler Feedback feature testにおける処理の様子を画像化した状態
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 「PCI Express feature test」は,DirectX 12を使用した3Dグラフィックスデモを固定フレームレートで実行して,GPUとCPU間のデータ転送速度からPCIeインタフェースの帯域幅を調べるテストだ。PCIeは,3.0から4.0,5.0とリビジョンが進むたびに帯域幅が倍増していっているので,PCI Express feature testで確認できる実効帯域幅から,PCIeインタフェースが仕様どおり正常に機能しているかどうかを確認できる。

PCI Express feature testの1シーン
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Steamやミラーサイトからインストールが可能


 2023年5月時点で,3DMarkの配布や購入元は,Steamが主流となっている。一方で,4Gamerを含めたミラーサイトからインストーラをダウンロードすることも可能だ。ただ,Advanced Editionの購入やアップグレード,DLCの購入といった作業はSteamのほうが容易なので,購入を検討しているのならSteamからのインストールをおすすめしたい。
 なおSteamでは,「Basic Edition」という名称は使っておらず,単に「デモ版」となっている点には注意してほしい。Steamにおけるデモ版とBasic Editionは同じものだ。

 インストールは,Steam上で「インストール」をクリックするか,ミラーサイトからダウンロードしたインストーラを実行するだけ。Steamからインストールした場合,ゲームなどと同様にSteamアプリケーションに3DMarkが追加される。

Steamの3DMark購入画面
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3DMark Basic Edition起動後の画面
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 ベンチマークの一覧で,鍵マークがあるのは,現在のエディションで実行できないテストだ。鍵がついているテストをクリックして開くと「UPGRADE」ボタンがあるので,それをクリックすれば有料のアップグレードに進める仕組みだ。

UPGRADEボタンの例
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 アップグレード方法は,Steam版とインストーラ版で異なる。
 Steam版は,UPGRADEボタンを押すと3DMarkがいったん閉じて,Steamのストアページが開き,Advanced Editionの購入に移動する。一方のインストーラ版は,「OPTION」タブが開いてライセンスキーの登録を求められる。そこで「BUY」ボタンを押すとライセンスキーの購入に進む形だ。

 話を戻すと,BENCHMARKSタブで鍵がついていないベンチマークは実行できる。とはいえ,表1でも説明したように,Basic Editionではベンチマークのカスタム設定を行えず,デモシーンの再生をスキップできない。Advanced Edition以上ではカスタム設定が可能で,Professional Editionではデモのスキップも可能だ。

 ベンチマークの実行は簡単で,「RUN」ボタンを押すだけである。実行が終わると結果が「RESULTS」タブに表示される。

Fire Strikeの起動画面。右にある「RUN」ボタンを押せば,ベンチマークが始まる
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 RESULTSタブでは,スコアに加えてテスト実行中のフレームレートの推移や温度,GPU負荷率,CPUおよびGPUの動作クロックの推移が確認できる。これをみれば,PCの性能だけでなく動作状態を含めてのチェックが可能だ。

Professional EditionにおけるRESULTSの画面。Advanced Editionも基本的には同様である
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フレームレートの推移やCPUおよびGPUの温度,GPU負荷,CPUやGPU,グラフィックスメモリの動作クロック変動を表で確認できる
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 なお,Basic Editionでは結果の保存やエクスポートがサポートできない。できるのはオンライン上での結果の比較のみだ。また,「Estimated game performance」(ゲームにおける性能の目安)も表示されない。

Basic Editionではオンラインに結果を出力して閲覧するほか,他のPCのスコアと比較もできる
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 一方,Advanced EditionではローカルPCへの測定結果の保存やロードが可能で,さらにProfessional Editionでは,XML形式で結果のエクスポートも可能だ。

 以上,3DMarkの概要を見てきたが,4Gamerでもベンチマークの定番中の定番として活用しているソフトウェアなので,いまだ実行したことがないというPCゲーマーがいたら,Basic Editionで構わないので一度は試してみることをおすすめしたい。利用しているゲーム用PCのウイークポイントが見えてくるので,今後のアップグレードの参考になるはずだ。


バージョンアップ履歴


Version 2.25.8056


 欧州時間2022年12月22日,バージョン2.25.8056が登場した。数多くの問題点を修正したマイナーアップデートとなっており,ベンチマークスコアへの影響はないとのことだ。

●Version 2.25.8056の新要素(Professional Edition)
  • DirectX 12ベースのテストやVulkanベースのテストなどGPUの選択が可能なテストにおいて,GPUを選択するコマンドラインスイッチを追加

●Version 2.25.8056で解決した問題(全エディションに共通)
  • Windows 10で実行したときに,OSのバージョンがWindows 10 21H2以降であるかをSpeed Wayが正しくチェックしなかった問題
  • Wild Life,Wild Life Extreme,Ice Stormにおいて,本来は無制限のカスタム実行に対応していないにもかかわらず,カスタム実行を行えた問題
  • 3DMarkのホーム画面からSpeed Wayを実行したときに,間違ったGPUが選択されることのあった問題
  • 3DMarkのUIを起動できないことのあった稀な問題
  • SSDのシリアルナンバー欄が,Systeminfoによる解析を妨げることのあった問題
  • Time Spyのデモで,カメラのポストエフェクトやレンズの反射表現に不正確なアンチエイリアシングが生じていた問題
  • Time Spyでログを出力するフォルダおよびファイル名にUnicode文字が含まれていると,テストに失敗することのあった問題
  • Time Spyで新しいDirectX 12の検証時にエラーや警告が表示された問題
  • Speed WayをVS. modeで実行したときに,FPSグラフがテストの正常に同期されなかった問題
  • 横方向に長いウルトラワイドディスプレイでSpeed Wayを実行したときに,Interactive ModeのUIが正しく表示されなかった問題


Version 2.26.8092


 欧州時間2023年3月30日,バージョン2.26.8092が登場した。
 別途掲載した記事にあるとおり,本バージョンは,新しい要素テストである「AMD FSR feature test」(以下,FSR機能テスト)をAdvanced EditionおよびProfessional Editionに導入したのが見どころである。

FSR機能テストのサンプル画像
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 ULによると,既存テストのスコアに対する影響はないとのことだ。

●Version 2.26.8092の新要素(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • AMD FSR feature testを追加


Version 2.26.8098


 欧州時間2023年4月20日,バージョン2.26.8098が登場した。
 本バージョンは,DirectX 12テスト「Speed Way」で生じていた不具合や,3DMarkのUIに関する問題を解消したマイナーアップデートである。マイナーアップデートの通例どおり,ベンチマークスコアに影響は及ぼさないそうだ。

●Version 2.26.8098で解決した問題(全エディションに共通)
  • 3DMarkのUIが正常に表示されないことのある問題

●Version 2.26.8098で解決した問題(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • CPU統合型グラフィックス機能と単体GPUの両方を使用しているハイブリッドグラフィック環境のノートPCで,「Speed Way」のコマンドライン実行に失敗することのあった問題
  • Speed Wayで高解像度の「カスタムラン」を実行したときに,一部のジオメトリが失われていた問題

●Version 2.26.8098で解決した問題(Steam Edition)
  • オンラインサービスにおける実績に関連したログ記録で生じていた問題(詳細未公開)


Version 2.26.8113


 本バージョンは,ノートPCやARM版Windowsの統合GPU向けのDirectX 12テストである「Night Raid」をVersion 1.1.5へと更新したもので,「ARM64」こと64bit Armアーキテクチャをサポートしたという。これにより,ArmアーキテクチャCPUを搭載する一部のWindowsデバイスで,Night RaidのCPUスコアが向上する可能性があるそうだ。

 マイナーアップデートであるため,Night RaidのGPUテストスコアや,それ以外のテストにおけるスコアには影響しないとのことだ。

●Version 2.26.8113の新要素(全エディションに共通)
  • Night RaidがARM64に対応


Version 2.26.8125


 欧州時間2023年3月30日,バージョン2.26.8125が登場した。
 本バージョンは,3DMarkが起動中に応答しなくなるまれな問題を解決したものだ。
 既存テストのスコアに対する影響については言及がないものの,テスト自体の修正を行うものではないので,影響はなさそうである。

●Version 2.26.8125で解決した問題(全エディションに共通)
  • 3DMarkが,UIの起動中に応答しなくなることのある問題


Version 2.27.8155


 本バージョンは,既報のとおり,WindowsおよびAndroid端末向けのレイトレーシングテストである「Solar Bay」を導入したものだ。

 それ以外には,インストール先がNTFSボリュームにマウントされたディレクトリ(=フォルダ)の場合に,一部のテストが失敗することのあった問題を修正しているとのこと。明言されてはいないものの,Solar Bayの実装以外はマイナーアップデートと考えていいので,スコアには影響しないと思われる。

●Version 2.27.8155の新要素(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • Solar Bayを追加

●Version 2.27.8155で解決した問題(全エディションに共通)
  • NTFSボリュームにマウントされたディレクトリに3DMarkがインストールされていると,一部のテストが失敗することのある問題


Version 2.27.8160


 欧州時間2023年8月17日,バージョン2.27.8160が登場した。
 本バージョンは,「Solar Bay」で生じていた不具合を修正するマイナーアップデートである。マイナーアップデートの通例どおり,ベンチマークスコアに影響は及ぼさないそうだ。

●Version 2.27.8160で解決した問題(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • Solar Bayでスコアをもとにした実績が解除されない問題
  • PC上で「Riva Tuner Statistics Server」(RTSS.exe)が実行されていると,Solar Bayのロードに失敗する問題


Version 2.27.8176


 欧州時間2023年9月14日,バージョン2.27.8176が登場した。
 本バージョンは,Vulkanベースのレイトレーシングテスト「Solar Bay」で生じていた不具合を複数修正するとともに,そのほかの問題をいくつか修正したものだ。マイナーアップデートであるため,ベンチマークスコアに影響を与えないのは通例どおりである。

●Version 2.27.8176で解決した問題(全エディションに共通)
  • 一部のハードウェア構成で,リザルト画面におけるGPU動作クロックに,間違った値が書かれる問題
  • HDR表示対応ディスプレイと接続した環境で,Wild Life ExtremeまたはSolar Bayを実行すると,そのあとで実行するプログラムの一部で色がおかしくなる問題
  • Speed Wayのリザルト画面で,「ゲームパフォーマンス予測」結果が正常に表示されないことのある問題
  • Solar Bayの実装を更新して,iOS版Solar Bayと一致するように修正。ベンチマークスコアに大きな影響は与えないしている
  • SystemInfoコンポーネントが破損していて測定結果が無効と判定された場合に,無効になったことをリザルト画面で通知するように修正


Version 2.27.8177


 欧州時間2023年9月19日,バージョン2.27.8177が登場した。
 「Solar Bay stress test」のリザルト画面が正常に表示されない問題を修正したマイナーアップデートである。ベンチマークスコアに影響は及ぼさないとのことだ。

●Version 2.27.8177で解決した問題(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • Solar Bay stress testで,リザルト画面に「error.result_missing」と表示され,結果が表示されないことのある問題


Version 2.28.8205


 欧州時間2023年11月8日,バージョン2.28.8205が登場した。
 本バージョンは,基本的にはマイナーアップデートで,各機能テストおよびストレステストにおいて,ベンチマーク結果のリザルト画面を追加したほか,「Port Royal」および「Speed Way」で確認された複数のバグを修正している。
 通例であれば,マイナーアップデートはスコアに影響を与えないが,今回はPort Royalのみ,GPUアーキテクチャによってはスコアが変動する場合があるとのこと。そのため,結果を比較する場合は,最新版でのスコアのみを比較するようにと,UL Benchmarkでは推奨している。

●Version 2.28.8205で解決した問題(全エディションに共通)
  • Port Royalにおいて,テストの実行中に影がちらつくことのある問題
  • Port Royalにおいて,エラーが表示されることなくテストが失敗することがあった問題
  • Port Royalにおいて,TAA(Temporal Anti-Aliasing)の処理で,視覚的な異常が生じることのあった問題
  • Speed Wayにおいて,「ByteAddressBuffer」のシェーダリソースビューに不適切なフラグが使用されるため,一部ハードウェアで適切なレンダリングができない問題


Version 2.28.8213


 欧州時間2023年11月15日,バージョン2.28.8213が登場した。
 本バージョンは,「Storage Benchmark」のリザルト画面で生じていた不具合などを修正したマイナーアップデートだ。マイナーアップデートの通例どおり,ベンチマークスコアに影響は及ぼさないとのことである。

●Version 2.28.8213で解決した問題(全エディションに共通)
  • Storage Benchmarkのリザルト画面で結果が間違った順序で表示される問題
  • 3DMarkのスタンドアロン版(Steam版以外のバージョン)で,インストールされているテストを更新するときに失敗することのあった問題


Version 2.28.8217


 欧州時間2023年12月11日,バージョン2.28.8217が登場した。
 Time SpyやNight Raid,Port Royalで「枠なし全画面ウィンドウモード」をオンにした場合に生じていた問題を解決したマイナーアップデートである。ベンチマークスコアに影響は及ぼさないとのことだ。

●Version 2.27.8177で解決した問題(Advanced EditionおよびProfessional Edition)
  • Time Spy,Night Raid,およびPort Royalにおいて,カスタム実行の「枠なし全画面ウィンドウモード」を有効にしても,通常の全画面と同じように動作してしまう問題


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