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インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン4」レポート【後編】 本当の至宝(4宝)は,この迷宮そのものかもしれない
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印刷2024/01/29 17:38

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インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン4」レポート【後編】 本当の至宝(4宝)は,この迷宮そのものかもしれない

 インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン4」が,2024年1月20日と21日の2日間,都立産業貿易センター浜松町館にて開催された。

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 インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン4」が,2024年1月20日と21日の2日間,都立産業貿易センター浜松町館にて開催された。前回の約200を超える250もの団体・個人が出展していた本イベントから,気になったタイトルをいくつか紹介しよう。

[2024/01/24 08:00]

 主催側の発表によると,今回の参加者は2200名にも上ったとのこと。第1回は約600名だったので,4回目にして4倍近い規模へ拡大したことになる。
 なお展示スペースは初回の2倍で,開催日数は前回までの1日限定から2日間の開催に。参加者は大きく増えたが,取材中の感触としては主催側が目指す「快適に試遊できる環境」はしっかり保たれていると感じた。これは本イベントの本当に素晴らしいポイントだ。

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過去記事でも紹介したことのある,Wonderland Kazakiriの「Cassette Boy」。パズル要素のあるアクションアドベンチャーで,“カメラの角度を変えた時に見えなくなってしまったものは存在しなくなる”ルールが面白い。とにかく試遊機の数が多く,作品に対する意気込みを感じた
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[2023/07/16 21:08]

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ミライノ制作所の「せかいを旅する猫」は,ネコの調査員が世界中を旅し,さまざまな知識を学んでいくエデュケーションソフトだ。出展されたバージョンはまだ開発初期のものだったが,ラストの一枚絵の雰囲気がなんともよかった

土佐錦モチーフの人魚が「贈答品」「かえで」「ブーケトス」……などと終始ささやき続け,妙な空気が生まれていたスタジオスレッジハンマー「マイメードのえむすび」のブース。過去記事にもあるが,1万近い膨大な語数を自動生成などに頼らず,声優さんに吹き込んでもらったという労作である
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 「東京ゲームダンジョン」のレポート記事だが,出展作品の多さから,これまでもかなりタイトルを絞って紹介してきた。しかし,前回からさすがに限界が見えてきたこともあり,今回は前編と後編に分けてお届けする。
 後編となる本稿では,「尖ったコンセプト」「独自の世界観」を持つ作品を紹介していこう。

「東京ゲームダンジョン」公式サイト



●ネコと会議で和解セヨ
出展者:ArrayCats

意外と不便な多数決
ネコにも役立つボルダ式投票法を学ぶ

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 なかなかキュートなネコちゃんたちのビジュアルに,ちいさなお子さんや女性グループがよく足を止めていた作品だ。しかし,ゲームを見かけだけで判断するのは早計かもしれない。それによくよく見ればこのタイトルは……。

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あえて詳しくは語らないが,ネットで見かけるアレのパロディ

 ゲーム内容は,3匹のネコちゃんたちの主張をしっかり読み取り,「ボルダ式投票法」やその考え方の応用で“単純な多数決に頼らず,全員がまあまあ妥当と思える”結論にたどり着くことを目指すというもの。
 各人(ネコだけど)それぞれの主張に,これまた各人(ネコだけど)が順位や点数をつけて妥協点を探っていくのだが,なにぶん争っているのはネコなので,代わりに考えてあげるのがプレイヤーの役割だ。かなりロジカルな内容だが,筆者は熱中してプレイしてしまった。

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 ArrayCats(@ArrayCats)代表のアレイスター・クロウリー氏によれば,「サークルで作る次の作品を決めようとしたとき,メンバーの意見が割れて多数決では決められない状況になってしまった。そのとき知ったボルダ式投票法の素晴らしさを伝えるべく制作した」そうである。現バージョンに要素を追加したものをSteamで販売する予定だという。

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サークルもこれに似た状態になったのだろう


●脳みそジャーニー
出展者:megamittz

大変! この子,脳みそがないんです!!
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 脳みそを奪われてしまった少年「モンプチ」が,相棒(?)のジャックと一緒に,失われたアイデンティティを取り戻す旅をするアドベンチャーゲームだ。ドット絵とレトロかわいいビジュアルの組み合わせが,「漫画家やイラストレーターをキャラクターデザインに起用した8ビット機時代のゲーム」を思い出させてエモい。

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 脳みそがなくても動けるモンプチだけに,即死トラップにひっかかっても即リトライできる。“死ぬことだってかすり傷”なのだ。死にざまをコレクションしていく図鑑もあるので,前向きな気持ちで死ねる。

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 旅の途中で出会う人々は全員どこかヘンテコで,不条理かつシュール&コミカルな物語が展開していくとのこと。こちらから体験版をプレイできるので,モンプチのことが気になった人はぜひどうぞ。

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「脳みそジャーニー」Steamストアページ



●ハリアナイト
出展者:nito

敵は強大,だがその行動はすべてお見通しだ!
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 「針穴に糸を通すような」という言い回しがあるが,「ハリアナイト」はまさにその心持ちになる。細い勝ち筋を通してバトルに勝つ,そんなパズル的コマンドバトルを楽しめるのだ。

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次のバージョンでは,説明役の“王様”を消すかもしれないそうだ。残ってほしい気もする

 ゲームは,コマンドRPGのバトル部分のみで進行していく。画面左のタイムラインによって敵の行動はあらかじめすべて把握できる。必殺技や魔法を使えばダメージが倍になり,防御すれば受けるダメージが半分に。それらを踏まえて各ターンの行動を決め,勝ち筋を通していく。
 展開が怪しくなってきたら,タイムラインをクリックすることでいつでも任意のターンに戻れる。ひたすらに,納得がいくまでやりなおせるのである。

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 作者のnito氏(@drawing_ninjin)は,東京ゲームダンジョン4に出展されていたバージョンをunityroomで公開している。プレイした人は,ぜひ感想などを伝えてほしい。

「ハリアナイト」unityroomページ



●ミブリメモリ
出展者:we have 遊び心

シンプルかつ奥深い! 爽快斬撃アクション
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 わずか10日で作ったという横視点アクションゲーム。勝利条件は単純明快で,画面内の敵をすべて倒すこと。大剣で突く,振り下ろす,全周囲をなぎ払うという3種類の攻撃が可能で,3回攻撃するごとにその組み合わせによって多彩な強化状態が発生する。
 つまり,3回分の振り(ミブリ)を記憶(メモリ)して強化状態が決まるわけだ(タイトル回収)。

 強化状態には時間制限があるものの,効果を3つまで重ねられる。自分の気に入ったものを組み合わせて自由に戦えるので,3ウェーブにわたる敵襲を切り抜けながら強化を進め,激化する敵の攻撃に対抗しよう。

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ボス戦などもある

 本作は,日本工学院ゲームクリエイター科に通う学生チームの手によるものだ。リリース予定などは特に決まっていないそうだが,インディーゲームのイベントなどで見かけた際にはぜひプレイしてみてほしい。


●ライムの森で待つ
出展者:うにか

THE KILLER WAITS IN THE LIME FOREST.
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 舞台は,第一次世界大戦直後のアメリカだ。戦場帰りの作家・オリヴァーとその友人エドワードが,無垢なる少年を殺した犯人を追っていく物語が展開され,その中でオリヴァーたちの心の傷が次第に明らかになっていく──。

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「ディスコ エリジウム」の影響を感じさせる画面レイアウト

 ジャンルはポイント&クリック型のアドベンチャーだが,文面を組み合わせて手紙を書く,地面に穴を掘るなど,プレイヤーの思考や操作が伴う演出が随所に挿入される。プレイ中は,ストーリーを読み進めるだけではないナラティブな感覚が生まれる。

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 また,登場するのは1920年代の人々ということもあり,現代人とは少し異なる倫理観を持って生きているのもポイントである。現代とは少し違うからこそ,今を生きる我々へのメッセージがはっきりと浮き彫りになるのだろう。
 作者のうにか氏(@unica_striga)によれば,数時間でエンディングを迎えられる規模の作品となるそうだ。

「Waiting in the Lime forest」Steamストアページ



●シルヴァーレコードにおやすみを
出展者:青エビ購買部

虚空を旅したアンドロイドの航海記
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 とある惑星の地表にて,アンドロイドのNOVALYKA(ノヴァーリカ)が惑星探査機R-S70Uから受け取ったデータ。それは彼/彼女を100年間にもわたる虚空の旅へと誘う……。

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DRX-S70Uで検索してみると,ネーミングの意味合いがわかるかもしれない

 広大な宇宙を航行し,惑星を探査するアンドロイド・NOVALYKAの物語を描いたノベルゲームだ。作者のtyap氏(@paper_hamu)は,PC-9800シリーズ用のアドベンチャーゲーム群をリスペクトしているとのことで,あえて色数を絞ったスタイリッシュな色彩,グラフィックス部分とテキスト部分のフレームが区切られた画面レイアウトの作品を作り続けている。
 これを懐かしく思う人もいれば,目新しい表現だと感じる人もいるかもしれない。

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リスペクトしつつも,作者の感性が加わった表現になっていることが魅力

 宇宙探査機ボイジャーに積まれた「ゴールデンレコード」に着想を得たというこの作品は,BOOTHで無料配布中だ。20分ほどで読み終えることができるので,願わくばあなたにもこの「データ」が届きますように。そして“おやすみなさい”。

「シルヴァーレコードにおやすみを」BOOTHページ



 以上,「東京ゲームダンジョン4」のレポートを前後編に分けてお送りした。記事中でもお伝えした通り,すでに公開されているゲームもあるので,ぜひ気軽に遊んでいただければなによりだ。
 なお,イベントの限られた時間内では,気になったゲームを遊びきれない人はけっこういるもので,イベント後,出展したバージョンや体験版を公開する動きが広まっていけば,多くの人に歓迎されるはずだ(少なくとも筆者はうれしい)。

 自由な発想で作られた創作物には,作者からのプレゼントがいっぱい詰まっている。特に自分でもゲームを作ってみたいと考えている人は,ぜひ一度この場に訪れてみてほしい。東京ゲームダンジョンは小規模な作品の開発者にとって,まさに「至宝」と言えるイベントだ。

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恒例「らくがきスペース」も2倍の規模に。じっくり見るとなかなか楽しい

「東京ゲームダンジョン」公式サイト

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