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印刷2019/11/25 12:00

プレイレポート

「The Sinking City 〜シンキング シティ」,ゲームをプレイするだけでは分からないかもしれないマニア向けな要素を紹介

 洪水によって水浸しになったアメリカ東海岸の街を覆う影を描くホラーアドベンチャーゲーム「The Sinking City 〜シンキング シティ」PC / PS4 / Switch / Xbox One 以下,シンキング シティ)のPlayStation 4向け日本語版が,オーイズミ・アミュージオから発売されてから半月ばかり。すでにその独特な世界観に浸っているプレイヤーも多いことだろう。

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 同社から春先に発売された,シンキング シティと同じくクトゥルフ神話を下敷きにしているPlayStation 4用アドベンチャーゲーム「コール・オブ・クトゥルフ」PC / PS4 / Xbox One)が,基本的には作品内で完結し,事前知識の少ない人でも楽しめた作りであったが,シンキング シティは怪奇小説家ハワード・フィリップ・ラヴクラフトの小説をはじめ,クトゥルフ神話に連なる数多くの先行作品にまつわる情報やシンボルはもとより,開発元であるFrogwaresの過去作品へのオマージュが散りばめられた,たいそうマニアックな作り込みがされている。

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 海外では2018年10月に発売されたアドベンチャーゲーム「Call of Cthulhu: The Official Video Game」(PC / PS4 / Xbox One)の日本語版,「コール・オブ・クトゥルフ」(PS4)が,オーイズミ・アミュージオより2019年3月28日に発売となる。本稿ではその内容を紹介するとともに,その背景である「クトゥルフ神話」について解説する。

[2019/03/21 00:00]

 本稿では,シンキング シティをプレイしているだけでは分からないかもしれない,そうしたマニア向けの要素について,過度のネタバレにならない範囲で紹介していこうと思う。

画像(002)「The Sinking City 〜シンキング シティ」,ゲームをプレイするだけでは分からないかもしれないマニア向けな要素を紹介

 シンキング シティの主人公は,ボストンで私立探偵を営むチャールズ・リード。かつては米海軍所属の軍人で,第一次世界大戦時は潜水艦,USSサイクロプスに乗り組んでいたという人物である。
 時に1920年代の終わり頃,アメリカ合衆国の各地で奇妙な幻覚や悪夢に苛まれる人々が出現し,他ならぬリードもまた,自身を蝕む狂気に悩まされる一人だった。原因の調査を進めた彼はやがて,マサチューセッツ州のオークモント――どういうわけか,地図に載っていないという港町の存在に辿り着く。6か月前,数週間にわたって嵐が荒れ狂い,水位の上昇によって街の大部分が海と川に飲み込まれたその街では,ほかの地域とは比べ物にならぬ規模の集団ヒステリーが発生し,あろうことかこの世ならぬ怪物の姿までもが目撃されているのだという。

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 ヨハネス・ヴァンダー・バーグという名の人物の協力を得て,リードは唯一,ほかの地域とこの街を結ぶ郵便船に便乗して,オークモントへと旅立った。孤島と化したこの街でリードを待ち受けるものは,希望へと続く道標か。それとも破滅へと連なる落とし穴なのか……。


オークモントの怪事件


 シンキング シティの事件が起きている年代と場所について,直接的に得られる情報は「1920年代」「マサチューセッツ州の海岸沿いの街」くらいのものであるが,作中の描写からある程度しぼり込むことができる。

 手がかりになるのは,インスマスという村についての言及だ。ゲーム開始時,オークモントにはインスマス人(インスマウザーズ:Innsmouthers)と呼ばれる,魚を思わせる奇妙な顔をした住民たちが棲み着いている。ある人物によれば「警察がインスマスの村を焼き尽くして以来,この街に蔓延した」ということだ。

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 ここで言及されているのは,H・P・ラヴクラフトが1931年に執筆した「インスマスを覆う影:The Shadow over Innsmouth」という小説に描かれた事件のことである。成人のお祝いで,植民地時代の古風な佇まいを残すニューイングランド地方を旅行していた一人の大学生が,ちょっとした偶然や気まぐれからマサチューセッツ州のインスマスという奇妙な漁村に滞在し,そこから命からがら逃げ出す羽目になる。そして,青年の報告を受けてインスマスに警察が介入し,大量の逮捕者が出たというのが「インスマスを覆う影」に描かれた事件の顛末である。

 同作によれば,インスマスに手入れがあったのは1928年2月のこと。つまり,シンキング シティの出来事は,1928年のおそらくは後半から翌年末にかけての時期に起きたということになる。
 また,「インスマスを覆う影」の作中描写から,インスマスが位置しているのはマサチューセッツ州東海岸北部,ニューベリーポートとグロスター――それぞれ,インスマスのモチーフとなった漁港でもある――の間に広がる塩沼(ソルトマーシュ)地帯のどこかだと考えられている。オークモントがインスマスからそれほど離れていないことを踏まえて地図を眺めてみれば,おおよその位置を絞り込むことができるだろう。
 ちなみに,現実のグロスター沖合は,北米有数のクロマグロの漁場である。オークモントの漁師の家にクロマグロが何匹も吊り下げられているのは,そのあたりを意識しているのかもしれない。

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 ところで,「インスマスの村が焼き尽くされた」というのは,小説本編にはない記述である。では,ゲームのオリジナル要素なのかというと決してそうではない。これは,ラヴクラフトがある程度書き進んだものの,破棄することになった未定稿に出てくる設定で,シンキング シティ制作陣のマニアぶりがうかがえるポイントなのである。
 手前味噌ながら,「インスマスを覆う影」とその未定稿は,筆者が翻訳・編纂したラヴクラフト作品集「クトゥルーの呼び声」(星海社)に収録されている。インスマスの位置を示す推測的な地図も掲載しているので,興味のある人は参照してみてほしい。


グランドファミリー


 オークモントでは,グランドファミリーと呼ばれる,ブラックウッド家とスログモートン家,カーペンター家の3つの一族が顔役として権勢を振るっているという設定だ。
 これは,マーシュ家と彼に従った高級船員達に連なるウェイト家,ギルマン家,エリオット家の4名家が牛耳っているというインスマスの設定を踏襲したものだろう。
 この街は元々,近隣の土地では嫌われているインスマスと,例外的に交流を保ってきたところであるらしい。街の顔役であるグランドファミリーのうち,インスマスからの移住者たちの後ろ盾になったとされるブラックウッド家は,町中に見られる看板からはインスマスの顔役である(「インスマスを覆う影」参照)マーシュ家の親類で,共に缶詰工場を操業していたことがうかがえる。
 そもそも,ブラックウッドという家名そのものが意味深だ。ラヴクラフトが多大なる影響を受けた英国の怪奇作家に,アルジャーノン・ブラックウッドという人物がいる。そして,彼の「いにしえの魔術」という作品は,「インスマスを覆う影」の元ネタのひとつと目されているのである。

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 インスマスとの縁ということであれば,ほかにもある。オークモントに古くからあって,主人公も部屋を借りることになるホテルの名前は「悪魔の岩礁:Devil's Reef」というのだが,これはインスマスの沖合に存在し,住民にとって重要な意味のある岩礁なのである。のみならず,オーナーであるヴィクター・オルムステッドは――このホテルの1階で目にすることのできる手紙から判明するのだが,この人物は「インスマスを覆う影」の語り手であるロバート・オルムステッドの親戚で,事件後に行方をくらました彼の身を案じているらしいのだ。

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 ちなみに,ロバート・オルムステッドという名前は「インスマスを覆う影」本編に書かれておらず,ラヴクラフトが執筆に先立って作成した「覚書」に出てくるので,この作品を読んだにもかかわらず知らないという人が多いかもしれない。

 なお,半人半魚めいたインスマス人たちに負けず劣らず,大型類人猿を思わせる異様な風貌をしているのが,グランドファミリーのスログモートン家の者たちだ。オークモントに上陸した主人公が2番めに遭遇することになる一族の家長,ロバート・スログモートンによれば,彼の父が「とある王家と縁を結び,我々子孫はそのお陰で皆この洗練された外見に恵まれた」ということだ。
 主人公が乗ってきた郵便船カロン号の船室にポスターが貼られていた,「高貴なる穴居人グロームル:GROMR The Noble Traglodyte」と題するコミックないしは小説とも,何かしら関係があるのかもしれない。この人物とその一族は,ラヴクラフトの小説「故アーサー・ジャーミンとその家系に関する事実」「ラヴクラフト全集4」(東京創元社)に収録)と,ラヴクラフトが愛読していた作家エドガー・ライス・バローズの小説シリーズ「類猿人ターザン」がモチーフになっていると考えて良いだろう。

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オークモント地名考


 地図に載っていないというから,いかにも小さな村なのかと思いきや,地図を眺めている限りでは,オークモントはなかなかに広く,発展した町である。洪水の影響で止まってしまってはいるとはいえ,街路には路面電車やバスが走り,町の中心にはアイビー・リーグの大学に決して劣らない規模の大学すら存在する。

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 「オークモント:Oakmont」という地名は「オークの山:Oak Mount」,すなわちオークの樹が繁る山を意味している。英語のオーク(Oak)は一般に,ブナ科のナラ類(コナラ亜属)の落葉樹を指す名称である。古くは常緑樹の樫と訳されがちで,言葉としては間違いではないのだが,植生をよくよく確認すると実はその多くが誤訳だった。
 オークはヨーロッパの広い地域で聖なる樹とみなされ,ガリア(現在のフランスにあたる地域)に住んでいた古代のケルト人は,年古りたオークの大樹の下で儀式をおこおない,雄牛を生贄として捧げたという。このため,オークの樹には神聖さと同時に,異教の血生臭いイメージがついてまわるのだ。

 シンキング シティのオークモントはおそらく,ペンシルベニア州南西部の都市,ピッツバーグの郊外にある同名の町から取られたものだと推測される。1936年3月17日から18日にかけての集中豪雨によって引き起こされた「聖パトリックの日の大洪水」は,ピッツバーグを脅かしたのみならずオークモントをも水没させた。ちょっとした川と化したオークモントの街路にボートを出し,遭難した住民の救出にあたっている写真が残っていて,このあたりが本作のオークモントのイメージの源泉となったのではないだろうか。

 なお,「インスマスを覆う影」の作中時期に重なる1927年11月2日から4日にかけて,ニューイングランド地方のバーモント州において,やはり集中豪雨によって引き起こされた大洪水が起きている。このバーモント大洪水を下敷きに,ラヴクラフトが1930年に執筆したのが「闇に囁くもの」「ラヴクラフト全集1」(東京創元社)に収録)で,洪水の後に奇妙な生物の死骸が目撃されたという当時の風聞が取り込まれている。

 シンキング シティに描かれるオークモントの洪水も,やはり嵐による大増水が原因のようなので,ニューイングランド地方を襲った1927年,1936年と2度にわたる大洪水がモチーフになったのだろう。


ちりばめられたサインやシンボル


 ラヴクラフトは,未知なるものに対する人間の本能的な恐怖を重視したが,同時にまた,人間が物事を関連付けることで浮かび上がる恐怖を作品中で描いている。
 シンキング シティのそこかしこに登場する,文字や図像の形で盛り込まれたサインやシンボルの数々は,プレイヤーの心の中にそうした連想を生じさせ,深みへと引きずり込んでいく役割を担っている。
 その意味においてシンキング シティは,クトゥルフ神話というジャンルと,その周辺の作品にある程度通暁していたほうが,より大きな面白みを感じられる作品となっている。

 たとえば,主人公がかつて搭乗していた潜水艦USSサイクロプスの「サイクロプス:Cyclops」という英語には,「巨大な石積み」「サイクロプス様式の建築物」という意味があり,ラヴクラフトが小説作品などで好んで用いた言葉なのだと知っていれば,にわかに暗示的なものとなる。
 主人公が持っているドッグタグの裏面に浮き彫りにされているのは,「私たちが見ているもの,あるいは見えるものすべては,夢のなかの夢にすぎない:ALL THAT WE SEE OR SEEM IS JUST A DREAM WITHIN A DREAM」という,ラヴクラフトがこよなく愛したエドガー・アラン・ポオ「夢のなかの夢」と題する詩の一節である。

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 オークモントに渡る時に乗っていた郵便船のカロンという船名も,ギリシャ神話における冥府の川ステュクスの渡し守の名前で,主人公が死地に向かっていることを示す。
 そして,主人公の頼もしくも謎めいた協力者であるヨハネス・ヴァンダー・バーグは,黄色い扮装に身を包んでいるが,「悪魔の岩礁」ホテルのある部屋や町中には「クトゥルフ神話TRPG」において「黄の印(イエロー・サイン)」と呼ばれている歪んだ形の黄色い文様が描かれ,「黄衣の王」と称する集団が暗躍しているという噂と相まって,プレイヤーの警戒心をかきたてる。

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 ストーリーに絡んでくることはなさそうだが,オークモントの町中でしばしば目にする看板も意味深だ。「ウェイトリーズ・ハウスホールド・ケミストリー」というのはドラッグストアのチェーン店のようだが,ウェイトリーというのはラヴクラフトの「ダンウィッチの怪異」「ネクロノミコン」の物語(星海社)に収録)に出てくるニューイングランド地方の旧家である。
 また,しばしば見かける「WEST M.D.」という看板は「ウェスト医学博士」――ラヴクラフトの「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」「ラヴクラフト全集5」(東京創元社)に収録)のことだろう。

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 また,町中に網目のように張り巡らされた街路の名前に注目してみると――制作陣はここでは大いに遊び心を発揮したようで,「アルハズレッド通り」「イエローキング大通り」「エイボン通り」のような,リアリティレベルを少しばかり落としたクトゥルフ神話由来のワードや,「アッシャー通り」のようなおそらくはエドガー・アラン・ポオの「アッシャー家の崩壊」から採ったワードなどが盛り込まれている。

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 ベーカー通りという街路も,シンキング シティの開発元であるFrogwaresが,名探偵シャーロック・ホームズもののアドベンチャーゲーム・シリーズを展開していたことを知っているプレイヤーであれば,面白みを感じられるネーミングだろう。ちなみに,2007年に発売されたシリーズ3作目「Sherlock Holmes: The Awakened」はクトゥルフ神話を題材にした作品だった。
 そのどこまでが本編に絡んでくるのかは分からないとはいえ,プレイヤーに周辺知識があればあるだけ,ハッとしたり,ゾッとしたり,ニヤリとしたりする瞬間が増えるに違いない。


イースターエッグ3選


 制作陣の遊び心溢れるマニアックなこだわりによって,細部が作り込まれているシンキング シティだが,筆者が発見したイースターエッグを紹介しよう。

・ルルイェ語の解読
 ストーリーを進めていくうちに,プレイヤーは幾度となく人間の言語では決してない,謎めいた言葉を耳にすることになる。これはルルイェ語(R'lyehian)と呼ばれる,クトゥルフ神を崇拝する種族が用いる,人間の発声器官では正しく発音することのできない人外の言葉なのだが,Yog-Sothoth.comという海外ファンサイトの掲示板において,熱心なファンが様々な神話作品を比較・解析してある程度の語彙を特定することに成功し,辞典として公開している。

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 残念ながら,PS4の日本語版では英語字幕を表示させることができないのだが,たとえばアルバート・スログモートンが口にする「クグアラァン フリイ グラァン ゲブ ハイ ングルイ ナフタグン:Cgrah'n hrii grah'n geb hai nglui nafthagn」という言葉を翻訳してみると,「我らが失われしものの従者も,失われしものも,ここではもはや眠っていない:Our lost one followers lost one here now not sleep」という具合に解読できる。おそらく,他のシーンの言葉もすべて英語訳,ひいては日本語訳が可能だと思われる。

・悍ましきワトスンの恐怖!
 アドベント西地区の電話ボックス横の壁には,「シャーロック・ホームズ 這い寄るワトスンの謎:Sherlock Holmes MYSTERY OF THE CREEPY WATSON」と題するベストセラー小説のポスターが貼られている。

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 先程少しばかり触れたFrogwaresの過去作関連かと思いきや,何とこのポスターは同社のホームズ・シリーズの1作目「Sherlock Holmes: The Mystery of the Mummy」が題材の,ファンメイドのジョークムービーが元ネタになっているのだ。
 当時の技術的な限界から,この作品ではプレイヤーが操るホームズの相棒であるワトスンについて,移動時にキャラクターが歩いてついてくるのではなく,視界から外れるたびに近くに再配置するというシステムになっていた。
 その結果,ちょっと油断するとワトスンが瞬間移動してプレイヤーを驚かせるという,制作陣の思ってもみなかった効果が生まれてしまい,当時,話題になったのである。


・この墓はひょっとして……
 最後に,リードハイツ南西のセントボルフ墓地で見かけた,とある墓について紹介しよう。セザール・ヴァルデス・ムノスという人物の墓で,「不思議な環境で生きた」という謎めいた墓碑が記されているのだが――これはひょっとすると,ラヴクラフトの「冷気」「ラヴクラフト全集4」(東京創元社)に収録)に登場するムニョス博士の墓なのではないだろうか。

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 原作小説において,ムニョス博士のフルネームは明かされておらず,舞台もマサチューセッツ州ではなくニューヨークなのだが,ラヴクラフト作品の中でも特に人気の高い作品であり,ちょっとしたファンサービスのようなものなのかもしれない。

 このようなイースターエッグはまだまだ眠っているし,筆者が見落としたものもあるに違いない。実のところ,これはさすがにストーリー進行上のネタバレになるだろうということで,紹介を差し控えたものも2つ3つある。
 すでにオークモントに足を踏み入れている探索者も,本稿で触れた点を踏まえつつ,あらためて観光を楽しんでみてはいかがだろうか。ただならぬこだわりによってディティールが作り込まれたシンキング シティは,クトゥルフ神話について一家言のあるマニアにこそ,お勧めしたい作品である。

「The Sinking City 〜シンキング シティ〜」公式サイト

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