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インディーゲーム展示イベント「DREAMSCAPE #5」でビッグねこゲームス(@big_neko_games)が展示していた「アワイとコチ〜一筆絵巻〜」(PC / BROWSER)は,古びた絵巻の上に「一筆書き」で線を引き,ふたつの存在をそれぞれのゴール「帰り灯」へと導く物理パズルアドベンチャーだ。
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開発者の竹内玄信氏が「キュビズム的な発想で作った」と語る本作。それは……どういうことなのか? と一瞬だけ身構えたが,実際にプレイしてみれば理解できるだろうと,早速遊んでみることにした。
迷わず行けよ。行けば分かるさ(それはまた別の「道」)。
簡単そうに見えて混乱必至
本作でプレイヤーができることはとてもシンプル。黒いキャラクター「アワイ」のいる場所からゴールに向かって一筆書きで線を描くことだけ。フリーハンドで引くので,微妙に曲がったり,思い通りに引けなかったりもするが,まあそこはあまり気にしなくても大丈夫。
スマホの縦持ちでも可能な操作で,竹内氏によれば「ちょっとした隙間時間にも遊べる」ゲームデザインにしているとのこと。
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線を描き終えると,アワイとともに白いキャラクター「コチ」も動き出す。アワイは描かれた線をたどって動く一方,コチはその線に触れると,角度や速度に応じて跳ね返り,進む方向が変化する。2体をゴールに導くにはちょっと頭をひねらなくてはならない。
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考え方としては,ビリヤードやブロック崩しなどでも意識する入射角と反射角である。平らな面にまっすぐ当たればもとの方向に戻っていくし,右から45度の角度で当たれば,左45度に跳ね返っていくというアレだ。
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序盤のうちは簡単にコチをゴールへ導けるが,コチに経由させる「旗」が画面上に増えていくと,一筋縄(一筆書きだが)ではいかなくなる。どんなふうに反射させるかを逆算し,一筆で線を引こうとするうちに,だんだんと頭が混乱してきてしまう。
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さらにステージが進むと「風」まで吹いてきて,ゴルフゲームなどと同じように,コチの軌道が微妙に曲がる。なるほど,コチとは「東風」のことだったか……などと思考をめぐらす余裕もなくなってくる。なかなかに手ごわい。
ちなみに竹内氏に聞いてみたところ,名前の由来は「東風」で合っていた。もちろん,アワイは間(あわい=空間的な隙間,物と物のあいだ,境界)である。
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一筆の線から広がる多角的・多面的な思考
竹内氏は「一本の線が異なる役割を果たす」本作について,キュビズム的思考で発想したと語っていたが,それはこういう意味合いなのかもしれない。
美術史におけるキュビズムとは,単一の視点(遠近法)を解体し,上下左右,多角的なアングルから捉えた対象を1つのキャンバス上に再構成する試みを指す。だからその考えに基づいてピカソが描いた人物は,サイコロの展開図を強引に組み合わせた(?)ような顔になるわけだ。
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本作においては,1つのオブジェクト(線)に対して「アワイの視点(道)」と「コチの視点(壁)」というふたつの機能を同時に持たせている。その「絶対的な視点を排し,ひとつの線を2つの視点,いやプレイヤーを含めれば3つの視点で見るような思考」をキュビズムになぞらえていたのだろう。
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ステージが進むにつれて「紙の破れ」や「消える筆跡」といったギミックも登場し,手順の工夫が求められる問題や,単なる角度計算だけでは解けない問題も増えていくという。
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さらにアワイとコチの世界は,ゲームだけでなく小説でも表現されている。「同じ世界を異なる形式で描いた2つの作品」を通して,アワイとコチを多面的に見つめる楽しみ方もできる,というわけだ。
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1つのルールや視点に縛られない本作のパズル体験に興味を持った人は,ぜひ体験版などに触れてみてほしい。
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