本作は,46の国と地域でオープニング成績第1位スタートを記録し,全世界における興行収入が6月21日時点で3億7841万ドル(約395億円)に達している(※関連記事)。これはゲームを原作とする映画では,全世界興行収入ランキング歴代1位の快挙だ。少なくとも歴戦のWarcraftプレイヤーや,「Hearthstone」で初めてシリーズに触れたというファンにとって,見逃せない作品であることに疑いを挟む余地はないだろう。
筆者は劇場公開に先駆けて試写会に参加できたので,主な見どころなどをゲームファン向けに紹介していきたい。
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Blizzardの看板作品「Warcraft」がついに実写映画化
ヒューマンとオークの果てなき戦いが迫力の映像に
映画の舞台となるのは,ヒューマンを中心にエルフやドワーフなどが平和に暮らす王国のアゼロス。この王国に,荒くれ者のオークの大軍が突然現れるところから物語は始まる。
オークはもともと,アゼロスから遠く離れた惑星のドラエナーをすみかとしていたのだが,とある事情によりこの惑星が荒廃してしまった。そこで,オークの呪術師グルダンが「ダークポータル」なるワープゲートを作り出し,種族丸ごとの大脱出を試みることになったのだ。緑豊かなアゼロスを新天地として定め,邪魔なヒューマン達を追い出してやろうという魂胆である。
しかし,グルダンが操る呪術は,オークに強大な力をもたらす一方で,この種族を死へと追いやる恐るべきものであった……。
オークはアゼロスへとなだれ込み,これを迎え撃つヒューマンとの戦いの火ぶたが切って落とされる。そんな中,オークの氏族を束ねるデュロタンと,ヒューマンの指揮官ローサーは,戦争以外の道を選べないか模索を始めるのであった。
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あらためて紹介すると,映画のモチーフとなった「Warcraft」は,Blizzard Entertainmentが手がける,長い歴史を持つゲームシリーズである。
Warcraftは当初,リアルタイムストラテジー(RTS)のジャンルで人気を博し,これまで「Warcraft: Orcs & Humans」(1994年),「Warcraft II: Tides of Darkness」(1996年),「Warcraft III: Reign of Chaos」(2002年)の計3作品が作られている。
続いて,MMORPGの「World of Warcraft」(以下,WoW)が2004年に登場。プレイヤー数が1000万人を突破してギネス記録を樹立するなど,今でもMMORPGジャンルを代表するタイトルだ。
また近年では,デジタルトレーディングカードゲームの「Hearthstone: Heroes of Warcraft」(PC / iOS / Android)が日本語にローカライズされており,これでWarcraftシリーズを初めて知ったファンも多いだろう。そのほか,BlizzardのIPを網羅したMOBA「Heroes of the Storm」にも,Warcraftを出典とするヒーローが多数登場している。
![]() Warcraftは,最初はRTSとして有名になったシリーズ。なかでもWarcraft IIIは「e-Sports」なんて言葉がまだ知れ渡っていない頃,世界中で対戦プレイが盛り上がっていた |
![]() WoWの拡張パックは現在もリリースされ続けている。5番目となる最新拡張パック「Warlords of Draenor」では,ついに惑星ドラエナーへと足を踏み入れることに |
![]() Hearthstoneには,Warcraftシリーズのキャラクターが多数登場。ヒーローはもちろん,各カードの名称や絵柄に至るまで,何かしらの形で関わっているのだ |
![]() Heroes of the Stormにおけるプレイアブルキャラは,Warcraft/Diablo/StarCraftなどの各IPからまんべんなく選出されている。Warcraftのストックはまだまだ余裕がある感じだ |
初代Warcraftから始まりII,III,そしてWoWにかけて,メインストーリーは連綿と続いている。また,新たにリリースされるWoWの拡張パックなどを通じて,今もなお世界が広がり続けている。そして,この壮大な世界において常にメインコンセプトに据えられているのが,ヒューマンらの多種族による連合軍「アライアンス」と,オーク率いる「ホード」の2勢力による攻防だ。
今回の映画では,アライアンスとホードの「起源」にスポットが当てられている。つまり,映画の大筋のストーリーは初代Warcraftをベースに作られているのだ。ここで圧倒的な知名度を誇るWoWではなく,あえて22年前のWarcraftを採用している点からも,世界観を大切に描こうとしていることがうかがえるだろう。
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Warcraftのコンセプトを忠実に再現
単なる敵役に留まらないオークの描写に目が釘付け
たとえばファンタジーを題材にした映画やゲーム作品などでは,「人間=主人公」「モンスター=倒すべき敵」といったシンプルな対立構造が描かれがちだ。そうした中,オークが単なる敵役ではなく,姿形が違うだけでヒューマンと同じ一つの種族として描かれているのは,この映画における最大の見どころといえるだろう。
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例えば大型のオークになると,その身長は8フィート(2メートル40センチ),体重は500ポンド(約227キロ)にも達する。まさに全身が筋肉の塊で,動作の一つ一つが荒々しく,躍動感に溢れているのだ。撮影時には,「地面を歩くというより,自分の足で地球を回すように歩く」という演技指導が行われていたという。
しかもオークは好戦的な一方で,彼らなりの正義や誇り高さを持ち合わせている。従来のどのファンタジー作品でも目にしたことのない,実に恰好いい種族として描かれているのだ。
それにしても,こんな連中が束になって襲い掛かってくるのだから,アライアンス陣営はご愁傷様というほかない。とはいえ,アライアンスはタイマンはさすがに分が悪いが,「アゼロスの守護者」ことメディヴを筆頭に,オークには無いチームワークを駆使して立ち向かっているので,このあたりの双方の戦術の違いなどにも注目して見てみよう。
![]() フロストウルフ氏族を束ねる,誇り高き戦士のデュロタン。妻と子を愛する彼の姿は,これまで乱暴者の印象が強かったオークに新たな魅力を吹き込んでいる。そんな彼も,グルダンの本性を知ってからは深く思い悩むことに |
![]() 邪悪な野望をひた隠しにオークを操る呪術師のグルダン。ダークポータル以外にもさまざまな面に影響を及ぼしており,たとえば元々褐色だったオークの肌が緑色に変色しているのも,グルダンの呪術によるものだ |
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ゲームの未経験者でも楽しめるのがうれしい
今後のシリーズ化にも期待大
繰り返しになるが,映画ではアライアンスとホードによる戦争の端緒が描かれている。つまり,Warcraftシリーズを知らない人でも,この入り組んだ世界を理解できるよう配慮されているというわけだ。そのため,鑑賞にあたってゲームの予備知識は必須ではない。
とはいえ,例えばHearthstoneのプレイヤーがこの映画を見たら,グルダンやメディヴなどのヒーローや,ストームウィンドやドゥームハンマーやマーロックなどなど,各カードの名称や絵柄の一つ一つが,Warcraftの世界にしっかり根差していることを実感できるはず。また,それによってより深くゲームを楽しめるようにもなるだろう。もちろん,WoW(MMORPG)やWarcraft III(RTS),そしてHeroes of the Storm(MOBA)も同様である。
また,これらはどれも各ジャンルを代表するタイトルでもあるので,もし映画を見て興味を持ったら,Warcraftの世界に一歩足を踏み入れてくれると個人的にも嬉しい。
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ちなみに,今回の映画ではひとまずの決着を迎えるものの,WoWまで続くWarcraftのストーリー全体を俯瞰すると,まだまだ序章に過ぎない。また,劇中には今後の展開に続きそうな伏線が,いくつか張られている。
Warcraft II以降のシナリオですでに明らかになっている部分としては,例えばグルダンが呪術を会得した経緯や,メディヴに秘められたとある謎は,シリーズを通しての大きな争点となる。そして,劇中で繰り返し登場するデュロタンの子は,その真の名前こそ語られてはいないが,ゆくゆくはホードを率いることになる英雄のスロールである。
映画の興行成績次第では,続編も期待できるだろうし,少なくともストーリーのネタのストックは十分にある。いつの日か,スロール達の新たな物語を劇場で見られることにも期待したい。
最後に少々マニアックな話を混ぜてしまったが,映画ウォークラフトは,シリーズに対する思い入れの度合いに応じて,さまざまな楽しみ方ができる作品だ。
1本のファンタジー映画として見ても「ロード・オブ・ザ・リング」に匹敵する超大作なので,7月1日の劇場公開を心待ちにしてほしい。


































