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本作は,2010年にリリースされたサバイバルFPS「メトロ2033」の続編にあたるタイトル。核戦争により荒廃した世界で,主人公のアルチョムが,人類が生き残るための術を探すというストーリーが描かれる。
4Gamerは,本作の日本語音声収録現場を取材することができた。
アソシエイトプロデューサーの赤石沢 賢氏には,ゲームのローカライズ作業がどのように進められているのかを,主人公アルチョムの声を担当する声優のてらそままさきさんには,“声で伝えること”の機微を語ってもらっている。
単なる“翻訳作業”と思われがちなローカライズという作業が,実はかなりの困難を伴うものだということが分かる内容となっているので,じっくりと読み進めてほしい。
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幾度もの修正を経て完成する日本語ローカライズ
![]() スパイク・チュンソフト 海外事業グループ アソシエイトプロデューサー 赤石沢 賢氏。これまでに「Red Faction: Guerrilla」「セイクリッド2」「ウィッチャー2」「メトロ2033」などのローカライズを担当した |
本日はよろしくお願いします。赤石沢さんは今回の「メトロ ラストライト」以外にも,ローカライズタイトルを多数手掛けられていますよね。ローカライズするタイトルはどのように決めるのでしょうか。
赤石沢 賢氏(以下,赤石沢氏):
それはもちろん遊んで面白いタイトル……なのですが,当然好き勝手に選べるわけではありません。面白い海外タイトルを見つけても,例えばそのメーカーの日本法人などがあれば,ウチがローカライズするわけにはいかないですよね(笑)。
4Gamer:
会社の問題は仕方がないですね。面白いタイトルといっても,いろいろなタイプがあるかと思いますが……。
赤石沢氏:
今で言うと,“尖ったタイトル”に目を光らせています。ちなみに,1つのタイトルを日本語化するのには,だいたい3か月から半年程度の期間が必要です。現在弊社のローカライズの部署には5人が所属して,それぞれ複数タイトルを並行して担当しています。
4Gamer:
ひとくちにローカライズといってもいくつかの工程があるかと思いますが,作業の手順をご説明いただけますか?
赤石沢氏:
体で覚えている作業なので,言葉でうまく説明できるかわかりませんが……。ローカライズ作業は,デベロッパから,開発途中のロムに加えてテキストやボイスといったデータや資料などを受け取ることから始まります。
その資料を元に翻訳作業を行うのですが,すぐには取りかからないことが多いですね。というのも,早めに着手したところで,開発過程のアップデートによってゲームの内容がどんどん変化してしまい,せっかくの作業が無駄になることが多いからなんです。ローカライズを行う側としては「ギリギリまで待つ」ことが大事になります。
4Gamer:
スタート時点からギリギリですか。具体的にはどれくらいの時期から作業を始めるのでしょうか。
赤石沢氏:
海外で一発目のマスターディスクが完成したあたりからですね。そこまでは物量と内容の把握や,台本の一部を翻訳業者に出すくらいにとどめます。アップデートがあればその細かい情報をもらって,タイトルごとの担当者が逐一変更点を把握しておく。開発会社もアップデートの度に資料を修正するわけではないのですが,どこが変更された,削除されたという“流れ”を把握しておけば,確認作業が楽になります。
4Gamer:
マスターアップのタイミングですと,開発側が最も忙しい時期ですよね。状況を確認するのも大変そうですが。
赤石沢氏:
「忙しいところ申し訳ないんだけど,ひとつだけ教えて!」って感じですね(笑)。実際に返答がすぐに来ないこともあるので,あらかじめファーストパーティーの生産部門に「●●ってタイトルの,マスター入れの進捗状況を教えてください」と連絡をしておいて,そちらからも進捗状況を把握できるようにしています。
4Gamer:
いろいろと根回しが必要なんですね。
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赤石沢氏:
「そろそろマスター版が完成するぞ」というタイミングになったら,“ブラッシュアップ”と呼ばれる作業に入ります。外部の翻訳者に翻訳を進めてもらっていた台本を,ゲームと照らし合わせながら,実際に収録するものへと近づけていく作業です。
4Gamer:
ブラッシュアップについて,もう少し詳しく教えて下さい。
赤石沢氏:
ひとことでいうと,セリフの時間調節ですね。オリジナル音声の長さは動かせませんから,それと同じ長さで,かつ同じ意味の日本語にしないと,表現が破綻してしまいます。
イベントシーンやオープニング/エンディングなど,ストーリーに関わる部分から優先的に行っているのですが,この作業はすごく時間を要するので,実際には時間が足りず,収録までには間に合わないケースがほとんどです。
4Gamer:
確かに,単に訳すだけではなく,時間的に同じ長さのセリフにするというのは難しそうです。
赤石沢氏:
そんな感じなので,いざ本番になって声優さんに録音ブースで台本を読んでもらうと,オリジナル音声の長さから大きくはみ出してしまうことがあります。そこで,「前置きをなくしましょう」「このワードは削りましょう」といった具合に,尺(セリフの長さ)に合うように,その場で微調整をしていきます。掛け合いのセリフなどですと,片方だけ変えてしまうと会話が成立しなくなるので,相手側のセリフにまで修正をいれることもありますね。
4Gamer:
ブラッシュアップには,どれくらいの時間がかかるのでしょうか。
赤石沢氏:
今回の「メトロ ラストライト」の場合は,足掛け1か月程度です。ただ,さきほども少し話したように,翻訳者さんへ台本全部を一度に渡すことはありません。キャラクターごとに分けるなどして,お互いにパスを出しあうように段階的に作業を進めていきます。
例えば,主要な2,3キャラクターについては僕のほうで先行してチェックをして,そこでの用語や言い回しを翻訳さんにフィードバックして,他のキャラクター分が仕上がってくる,という感じですね。「俺」や「僕」「私」といった,キャラクターの一人称はそこで決めていきます。翻訳者さんに「良い感じにしておいて」とはお願いできないですから(笑)。
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4Gamer:
ブラッシュアップでは,やはり「意訳」が必要になるんでしょうね。
赤石沢氏:
可能な限りやります。とくに吹き替えの場合はそうですね。ゲームはインタラクトな遊びであると同時に,ストーリーが一方通行で完結するものではありませんから,できるかぎりユーザーにわかりやすい表現を心がけています。当然,読み言葉と話し言葉は違いますし,決めゼリフやストーリー上のキーワードなどは,わかりやすさを強調します。直訳では,その言葉が持つ本来の「伝えたい意味」が埋もれてしまうケースがあるので。
4Gamer:
意訳が多くなると,苦労も増えそうですが。
赤石沢氏:
はい。中でもアメリカ英語の罵り言葉の多さにはよく悩まされます(笑)。例えば外国人がボヤキの意味でよく口にする「Oh my god!」というセリフがありますが,直訳で「おお,神よ!」と何度も繰り返していたらおかしいですよね。ですから「なんてこった」「ちきしょう」「クソッ」といった言い回しに置き換えるのですが,そうなると今度は「Son of a bitch!」「Shit!」の訳ともかぶってしまったり。
場合によっては音声収録の現場で,吹き替えの演者さんにアドリブでいくつかのパターンをもらう場合もありますね。
4Gamer:
では今回の「メトロ ラストライト」のローカライズで苦労した点はどのあたりでしょうか。
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本作で印象深かったのはロシアの固有名詞ですね。「俺はトレチャコフスカヤの美術館から来たんだが,そのとき俺とトハとコソイが……」とか言われても,単語に振り回されてさっぱり内容が頭に入ってこない(笑)。
この場合「俺と友達2人が」としてしまえば,スッと入ってきますよね。もちろん,「トハとコソイ」が,後々のシーンの伏線となっていないことを確認してからですが。こうした端役のセリフは,収録現場で手直しするケースがほとんどです。
4Gamer:
場合によっては追加収録なども必要になりますよね。
赤石沢氏:
それは最後の手段です。収録作業というのは,スタジオを押さえたり,音響エンジニアさんを呼んだりと,いろいろと準備が必要になります。もちろん,声優さんのスケジュール調整や追加ギャランティーも発生しますし。
それを避けるために,収録時に別のパターンを頂いておいたり,少しだけセリフに間を開けていただいたりと,“保険”をかけた録り方をしています。
4Gamer:
簡単に「録り直し」とは言えないんですね。
赤石沢氏:
はい。なので,開発途中のディスクや資料を元に作業を進めなけれればならないときはとくに気を使いますし,最近はアップデートによる修正があるので,海外版が発売された後もしばらくは気が抜けないですね。
4Gamer:
あぁ,確かにアップデートは厄介ですね……。
赤石沢氏:
英語版はもちろんアップデートを見据えて作られているんですが,ローカライズ側にはその意図まではなかなか伝わってこないんです。開発会社はローカライズにまで気が回らないことが多いですから(笑)。
その結果,親切心から日本語版だけに入れた解説などが,アップデートによって矛盾を生んでしまったり……。
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4Gamer:
そうなると,日本語としてアウトプットされるものには,すべて目を通されるということですか。
赤石沢氏:
そういうことになりますね。ただ,物理的に間に合わない場合,実際にプレイしながらゲーム進行やシナリオをチェックして,さほど重要でないと分かったキャラクターのセリフは,あとで不都合がでないよう無難なものにすることもあります。 例えば,海外タイトルには,街にいる人たちが好き放題にしゃべっているような“遊び”が非常に多いんですが,そういった部分は,ゲームの世界観を壊さない範囲で,ある程度簡略化することもあります。
4Gamer:
想像していた以上に多岐にわたる作業ですね……。
赤石沢氏:
言い方は悪いかもしれないですけど,泥仕事ですね。流れや手癖でどうにかなる作業ではないので,少しでも効率的になるよう,常に頭を働かせながらの作業を心がけています。
「メトロ ラストライト」の場合,テキストが書かれた表計算ソフトのセルが3万行くらいあるんですけど,作業が進んでくると「あのセリフは表のこのあたりにあったな」と覚えてしまいます(笑)。当然,開発メーカーによってテキストの管理の仕方もまちまちなので,それをいかに把握するかも重要です。
もちろんゲームも極力ビルドごとにやり込みます。やはり,そのタイトルが好きであることが一番大事ですから。愛着を持って「このシーンはこうでなくちゃ!」と接していないと,気持ちがもたないんじゃないですかね(笑)。
日本語にしないこともローカライズ
4Gamer:
プロデューサーとはいっても,かなり現場作業が多いようですね。
赤石沢氏:
私もこの業界に入ってそう感じました。もっと大きな現場を想像していたんですが,ローカライズ作業を実質的にほぼ1人でやっていると知って,カルチャーショックを受けましたね(笑)。私が入社した当時の海外グループは,グループ長のほかは,プログラマーとアシスタントが1人ずつでした。それでタイトル3,4本を抱えてましたから。
4Gamer:
それは人手が足りないでしょうね。
赤石沢氏:
PlayStation 2時代の話ですけど,今でもそれほど変わってないですね(笑)。
今,それで入社当時に驚いた話を思い出しました。プログラマーの人が,フォントテーブル(文字データをテクスチャ用のグラフィックスとして配列したもの)を開いて1ドットずつ修正しているのを不思議そうな顔で見ていたら,「文字はこれで表示しているんだよ」と説明されたんです。座標を指定してテクスチャデータを表示させていたという……。
4Gamer:
えっ,テキストデータを流し込めば出てくるものじゃないんですか。
赤石沢氏:
日本で作られたゲームの場合,システムが持っているフォントで表示していることが多いんですけど,海外の場合はグラフィックスを使って,凝ったフォントで表示することが多いんですよ。
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4Gamer:
なるほど……でもその場合,日本語だとかなり面倒な作業が発生しますよね。
赤石沢氏:
ええ。海外版は英数字だけで事足りますが,日本語ではひらがな,カタカナに加えて漢字が必要になって,データが膨大になります。そのデータを乗せようとすると,あらかじめ文字表示のために用意されたメモリ領域から溢れてしまって,表示がおかしくなったり,場合によっては起動すらできなくなったりするんです。なので,日本語ビルドの一発目が出てくるときが一番緊張しますね。
4Gamer:
テキストの問題がそこまで大きいとは思いもしませんでした。
赤石沢氏:
どうやってメモリ領域を確保するかが非常に悩ましいところで,海外のオリジナルにはあったフォントエフェクトを削って対応したケースもあります。また,フォントテーブルに漢字一個を増やす,例えば「廃墟」の「墟」だけを追加するだけでたいへんな騒ぎです。根本の仕組みを変えることができれば僕らの作業も楽になるんでしょうけど,そうはいかないですから。
ただ,最近では2バイトコードに対応して,フォントも自由に使えるタイトルが増えました。そういうタイトルですと,マスターぎりぎりまで手直しできます。
4Gamer:
1文字で大騒ぎと聞いて,ファミコンの「ドラゴンクエスト」の開発最終段階で,どうしても容量が足りずに,ゲーム内のフォントから,ひらがなを1文字を削ったエピソードを思い出しました。
赤石沢氏:
本当にそんな感じです。ファミコン時代とやっていることに大きな違いはないというのは面白いですね。
メモリ以外にも,文字の表示にはいろいろな問題があります。現行機世代のコンシューマタイトルは,HD映像になったことで,以前より英語フォントのサイズが小さくなったんですが,英語では読めるサイズでも,日本語だとまったく読めないということがあるんです。
4Gamer:
あぁ,そういえば現行機が出始めた頃に「こんな小さい文字読めるか!」と思った海外タイトルがありました。そういうことだったんですね。
赤石沢氏:
「何故大きくしないのか」と思われるでしょうが,英語版にならった文字表示をしないと,ユーザーインタフェースのレイアウトが崩れてくる問題があるんですよ。テクスチャの解像度を上げて読みやすくするという手もありますが,これもまたメモリを圧迫してしまいます。可能な限り大きく,読みやすくしていますが,「文字が小さい,読みにくい」という声に応えられない場合があるのが心苦しいですね。
私自身も技術者ではないので,開発からの「これ以上は無理」という返答を,最初はにわかに信じられなかったです。「これくらいできないの? 次世代機でしょ?」って(笑)。
4Gamer:
日本語ローカライズの方法として,字幕と吹き替えの2パターンがあると思います,作業に違いはありますか?
赤石沢氏:
もちろんあります。字幕よりも,吹き替えのほうがスケジュールが前倒しになりますね。さきほどお話ししたように,音声の追加収録はできるだけ避けたいので,セリフ周りの作業を先行させて,仕様を固めてしまいます。
具体的には,アイテム名やスキル名など,ゲーム中にテキストしか出てこない部分は後回しにして,カットシーンなどで,音声によって表現されるものの名称や用語,その読み方を統一するという感じですね。
音声収録は複数スタジオにまたがって行うこともありますから,しっかり統一しておかないと,役者さんごとに違う読み方やイントネーションになってしまいます。そうなってしまったら台無しですからね。
![]() 台本はExcelファイルとしてまとめられており,収録時はその打ち出しを赤石沢氏がチェックし,逐一手直しをしていく |
4Gamer:
日本語版のキャスティングも仕事の一部ですよね。海外版と似た声の人を当てるのか,それともキャラクター性重視で選ぶのか,といったところが気になります。
赤石沢氏:
うーん……両方ですね。個人的な話になりますが,私は外画(※)の吹き替えが小さなころから大好きだったということもあって,素直に「この声優さんにお願いしたい」と思い浮かんだ人にオファーをしています。ある意味,この仕事の役得ですね(笑)。直近で見ていた映画やドラマの影響も少しあるかもしれません。
※……外国で制作された映像作品を指す業界用語。「がいが」と読む
4Gamer:
そういえば,赤石沢さんが手掛けたタイトルのキャストを見ると,最近のアニメに出演している若手というよりは,洋画の吹き替えを担当しているようなベテラン,というイメージの方が多いですね。
赤石沢氏:
そういったベテラン声優の方と同じ現場に入らせていただくと,その“神業”に感心させられることが度々あります。ひとつのタイトルで10や20の役を兼ねてしまう声優さんもいるんですよ。そういった方は主役クラスを演じることは少ないので,一般の知名度こそそれほど高くありませんが,業界では引っ張りだこです。
逆に主演クラスの方に,ほかの役をたくさん兼ねてもらうことは少ないですね。主役の声がザコボイスで鳴ったら「おいおい,このザコ強そうだなあ!」となりますから(笑)。声優さんごとの持ち味を生かして,適材適所ということですね。
4Gamer:
となると,1タイトルにつき,何人くらいの声優さんが参加するのでしょうか。
赤石沢氏:
大規模なタイトルだと,海外版では100人,200人となるのですが,ローカライズ版では最大でも50人くらいですね。まあ,お金次第で増やせるんでしょうが(笑)。「メトロ ラストライト」に関しては,20人くらいでやっています。前作をご存知の方は,「登場キャラクターが少ないのに声優が多い」と思われるかもしれませんが,街の雑踏などの雰囲気を出すためには,やはりある程度の人数が必要になります。
ちなみに今回の収録は16日間の予定です。ゲーム上,重要度の高くないキャラクターは別のスタジオで並行収録しているものもありますね。
4Gamer:
しかし,ローカライズ作業がこれだけ幅広くて,複雑に入り組んだものだとは思いませんでした。ゲームとしてまとめる段階になって「まずい!」となった失敗談もあるかと思うのですが。
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ありますあります。気づかないのが「これ」「あれ」「それ」といった代名詞の取り違えですね。見逃してしまうと,会話相手との位置関係と,会話の内容が合わなくなっていたりするんですよ。
もちろん間違えないのが一番いいのですが,音声を切り貼りしてなんとかするケースもあります。
4Gamer:
代名詞の間違いは気づきづらいでしょうね……。
赤石沢氏:
印象深かったのは,ゲームの仕様として1つの音声ファイルが2つの場面で使われていたケースですね。
飛行機が墜落するシーンで「I Don't Wanna Die!」(死にたくない!)というパイロットのセリフがあったので,場面に即して「落ちるー!」と意訳したうえで日本語音声を収録したのですが,実はその音声はほかのシーンでも使われていて,道を歩いている人が「落ちるー!」と叫ぶことになってしまったんですよ。
4Gamer:
そこまでいくと罠ですね(笑)。
赤石沢氏:
海外の開発現場も,予想外のシーン増があったりすると,収録済みの音声を引っ張ってくる場合があるんです。
資料には「ここではこの音声ファイルを使っている」という指示はあっても,「この音声ファイルは2つの場面で使っているから注意」なんていうローカライズ前提の記述はないので,実際にプレイしてチェックする段階で「あっ!」となるわけです。
このときは,“保険”として収録しておいた「うわぁ〜!」という叫び声に差し替えて事なきをえました。内心を言えば,いつも「発売までもう1か月欲しいなー」と思ってます(笑)。
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4Gamer:
プレイヤーがそういった苦労を知ることはなかなかないでしょうね。
赤石沢氏:
そうですね。でも,プレイヤーのみなさんがローカライズタイトルであることを意識しないで遊んでもらえるのが一番だと思っています。ローカライズを褒めてもらうより,「このゲーム面白かったよ」と言ってもらえるのが目標ですね。
例えばタイトル画面に「PRESS START」という文字列があったとき,「スタートボタンを押す」と直訳するんじゃなくて,あえて英語のまま残す。そういった「日本語にしない」という判断もローカライズの仕事なんです。
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