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その絵がわずかにズレたときに感じる,なんとも言えないいたたまれなさ。
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次に彼女が見せるのは,どこかロリータ風の装いと,あまりにも不自然な表情だ。
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しかし,やはり顔の上に,切り抜いた何かを貼りつけているに過ぎない。それは彼女が幼少期に,母がよく可愛がってくれたときの表情なのだという。
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さらに読み進めていくと,今度は超・アニメ顔な表情が現れる。しかしよくよく見れば,その大きな目は,閉じられた彼女の瞼の上に直接ペイントされたものなのだ……。
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インディーゲーム展示イベント「DREAMSCAPE #5」にてLIUZHUOXINが出展していた「君はなぜそんな人なのか」は,自分に合う新しい仮面を探し続ける少女を描いたインタラクティブ・ビジュアルノベルだ。
手がけるのは,独特の世界観のイラストでコアなファンを持つ,中国出身のクリエイター・缈云云云氏(@Miaoyunyun)。
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画面の中の彼女は,新たな環境で一人暮らしをすることになり,自分にぴったりの新しい仮面を探し続けている。当たり前だが,プレイヤーは彼女とは何の関わりもない赤の他人だ。だからこそ,彼女の奇妙な振る舞いを垣間見ることができるのかもしれない。
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「社会的なペルソナ」をめぐる物語
本作は,基本的には画面をクリックしながら読み進めていくアドベンチャーだが,ある場面では「スライダーを操作して笑顔の度合いを調整する」ようなギミックが登場した。
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それは,彼女が鏡に向かって必死に笑顔の練習をしているときの心象風景のようだった。
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ぱっと見はホラー的な体験だったが,筆者も大まかな感覚としては分かるというか,共感が芽生える場面でもあった。対人関係がうまくいかないとき,私たちは無意識にこれと似たような「笑顔の練習」を試みるものではないだろうか。
もっとも,それに意味があるかはともかく。
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また,ある場面では「自分」という存在をスライダーで動かしていく。一人のときは普通なのに,人々のなかにいるときは自分をひどく醜く,みじめに感じてしまう。そんな彼女の「主観」がひしひしと伝わってくるようだった。
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プレイを始めた当初はルッキズムをテーマにした作品なのだろうかと考えたが,ブースで作者にお話を聞いたところ,作品の意図は少し異なるところにあった。本作が描こうとしているのは,人が社会生活を送るうえで装着せざるを得ない「仮面(ペルソナ)」に関する物語なのだという。
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出展したデモは,冒頭のテーマ提示にあたる部分とのことで,全体としては2時間ほどの映画のような体験に仕上げることを目指しているそうだ。
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自分に馴染む仮面が見つからず,かといって「元の顔」に戻ることもできなくなってしまった女性が,「君はなぜそんな人なのか」を探っていく。
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印象的なビジュアルの裏側に,人間関係の不全感や自己探求など,内省的なテーマを秘めた本作。私たちが普段なにげなくかぶっている「仮面」の重みを,改めて問い直すような作品になるのだろう。
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