「Putty」は1992年に英System 3が発売したサイドビュー形式のプラットフォーマーだ(リリース時のプラットフォームはAmiga)。イギリス流のユーモアと,機敏で気持ちよく動き回る主人公が印象的なこの作品は,当時のゲーム誌において90%を超えるレビュースコアを次々と獲得した。
「Putty」は1993年にスーパーファミコン向けの「Super Putty」(日本での名称はパティームーン)として発売されたほか,1994年には続編となる「Putty Squad」が登場。こちらは長い時を経てリメイクされ,日本でも2015年にPS4版が発売されている。
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TGS2026では,そんなクラシックな作品を再構築した「Putty World 35th Anniversary」が出展されており,実際に試遊する機会を得た。Nintendo Switch 2専用タイトルとして2027年第2四半期の発売が予定されている本作で,「Putty」はどのように生まれ変わったのか。まずは試遊した印象をお伝えしよう。
後半では,System 3の創業者にしてCEOであるMark Cale氏へのインタビューもお届けする。最新作に込めた狙いに加え,ゲーム業界で40年以上にわたって活動してきた氏に,この業界で生き残る術を聞いた。
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もしあの時代にSwitch2があったら,Puttyはどうなっていたか
本作は単純な「Putty」のリメイクやリマスターではない。「もしあの時代にSwitch2があったら,Puttyはどうなっていたか」という発想から作られた作品で,Cale氏の言葉を借りれば「進化版」にあたる。
内容も,これまでにリリースされた「Putty」「Super Putty」「Putty Squad」を1つにまとめたうえで,新たな要素や改善を加えた決定版となる。古いゲームをいま改めて遊んでみると,当時の印象に反してボリュームの少なさに驚くこともあるが,本作ではそういったことは起こらなさそうだ。
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先に「リメイクやリマスターではない」と述べたように,グラフィックスやアニメーションはすべて新たに作られている。かつてドット絵で描かれていたキャラクターは3ds Maxで3Dモデルとして再構築され,背景や敵,アイテムもすべて新規制作だ。
主人公のPuttyもリデザインされている。なかでも特に凝っているなと感じたのは,その表情だ。ストレス,驚き,喜びといった感情がコミカルかつ的確に表現されているだけでなく,アニメーションもスムーズ。Cale氏によれば,こうした表現を「ボディランゲージとして機能させている」という。
もちろん基礎的な体験の向上も図られており,60fpsで安定して動作するよう開発を進めているという。現代においては当然のことではあるが,旧作の動画と並べてみると,単にヌルヌル動くようになったのではなく,「当時の体験を彷彿とさせつつ,滑らかに動く」ようになっていると感じた。
実際にプレイしてみても,最初の印象は「動きが気持ちいい」に尽きる。Puttyはスライムで,限度はあるとはいえ,かなり自由に伸び縮みするのだが,一つひとつの挙動がキビキビしていて手触りがいい。ダッシュ移動的なもの(スライムなのでそう表現するほかない)も可能なのだが,その速度感も素晴らしい。
ゲーム自体はステージクリア型で,クリアすると新たなステージがアンロックされる。また,一見すると一方通行の横スクロール型(要するにスーパーマリオ型)に思えるが,実際には上下左右に自由に移動可能だ。
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ステージギミックはかなり多彩で,アイテムや敵の種類も多い(新たな敵だけでも45種とのこと)。このにぎやかさは本作の面白さでもある一方,慣れるまではちょっと大変そうかな,とも思う。個人的には,このおもちゃ箱のような雰囲気と,そこに詰め込まれたさまざまな要素に対してトライ&エラーを要求されるところに,最も「レトロな洋ゲーっぽさ」を感じた。
とはいえ,広い世界を探索するタイプのゲームではなく,一定の広さのステージ内を走り回る作品なので,遊んでいるうちに慣れる範囲だろう。
ちなみに,新キャラクターがアイテムを渡してくれるといった,オリジナルにはなかった仕様も確認できた。そのため,旧作を遊び込んでいたという人にとっても,驚きの尽きない作品となりそうだ。
また,ゲームモードは複数用意されているようで,ステージごとに異なる目的が設定されるモードでは,「アイテムをすべて集める」「規定時間内にクリアする」といった目標が示されていた。これらは達成することでクリアレベルが上がる仕組みで,やり込み派には特に向いているモードといえるだろう。
試遊した範囲だけでは全体の難度までは判断できないが,決して「誰でも簡単にサクサククリア」系ではないな,とは感じた。とはいえ,今回プレイした初期ステージに限っていえば,昨今しばしば見られる超辛口な作品というほどでもなかった,と言い添えておきたい。
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自分を信じられない人間が,他人を信じさせることはできない
1980年代からゲーム業界の第一線で活動し,数々のタイトルを世に送り出してきたMark Cale氏。40年以上にわたるそのキャリアのなかで,激動のゲーム市場をどのように生き抜いてきたのだろうか。ゲーム作りから会社経営,プロモーションまで,いくつかのストレートな質問をぶつけてみた。
4Gamer:
Cale氏は,現在では「レトロゲーム」と呼ばれる作品をリアルタイムで作ってこられました。そんなCale氏から見て,現代の「レトロっぽいゲーム」の流行をどう感じていますか。
Cale氏:
まず,エミュレーションによって昔のゲームを保存していくことは,とても大切だと思っています。そして任天堂が「ゲーム機」というものを残し続けてくれていることは,非常に重要ですし,うれしくもあります。
いまゲームを作っている人たちは,当時と比べて制約が少なく,そうした制約のなかでものを作った経験がない人も多いように思います。もちろん,現代のゲームエンジンは素晴らしい。ただ,制約があったからこそ生まれた,あの「魔法にかかったような」感覚は薄れているようにも感じます。
いまのレトロゲームブームは,「シンプルで楽しいゲーム」への回帰なのではないでしょうか。これはゲームに限った話ではなく,服や音楽でも起きていることです。Z世代が80年代や90年代を再体験しようとしていて,それがブームになっている。
私は,これはゲームという文化を保存していくためにも必要なことだと感じます。
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4Gamer:
Cale氏は写真を学ばれていたと聞きます。そうした写真・映像のノウハウは,ゲーム制作にどのような影響を与えていますか。
Cale氏:
間違いなく影響があると感じます。
画面のなかにフレームを作る,コンポジションを組む。そういうノウハウがあると,実際に絵にしたときの良し悪しがすぐに分かります。それが「画面のなかに引きずり込まれる」ような感覚を生み出すのです。
映画でも写真でも同じで,そうした部分はゲーム制作とよく似ていると思います。映画好きの人が映画からさまざまな影響を受けるのと同じように,私も写真や映像から影響を受けているのでしょう。
そのうえで,私はゲームがとても好きです。会社を作る前から,たくさんのゲームをプレイしてきました。だからゲームを作るときは,プレイアビリティ(遊びやすさ)を重視しています。そして,プレイヤーの感情を引き出すことも大切だと考えています。そういったゲーム制作ならではのノウハウも,当然ながら重要です。
4Gamer:
System 3は,浮き沈みの激しいゲーム業界で40年以上にわたって独立を続けてきました。決して簡単なことではなかったと思いますが,長く生き残るために大切なことは何でしょうか。
Cale氏:
適応的(Adaptive)であることです。市場を見て,技術を見る。柔軟性を持って,時代に適応する。マーケットに合わせてものを作ることです。
System 3は1982年,私が18歳のときに設立した会社です。以来ずっと,いまマーケットが何を求めているのか,人々が何を遊びたいのかを考えて作ってきました。それが会社のアイデンティティを形作ってきたんです。そのうえで,イノベーティブであり続けてきたからこそ,ここまで続けられたのだとも思います。
この44年間,たくさんのタイトルを作ってきました。それぞれのゲームに価値があり,リメイクであってもブランドとしての力があります。まったく新しいものを作るにはブレイクスルーが必要なので大変ですが,その点では,弊社は過去の資産に助けられているところはありますね。任天堂などとの長い関係も,大きな資産です。
現代は,市場が世界的に確立してしまっています。これは若い会社にとっては不利ですし,SNSの運用も難しいですね。だからこそ,私は話題を作ることが大事だと考えています。
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4Gamer:
Cale氏は,ゲーム制作だけでなく,そのPRでもさまざまな話題を作ってこられました。人々の注目を集めるために,大切にしていることはありますか。
Cale氏:
情熱です!
「経験」という言葉でまとめるのは難しいのですが,少なくとも私個人としては,ゲームのプレゼンでは自分を信じることが大事だと思っています。
子供の頃に母からこう言われました――「自分を信じられない人間が,他人を信じさせることはできない」と。自分の根底にあるもの,柱になっているもの。それなしには強く出られないんです。
もちろん情熱だけでなく,アイデアやコンセプトも大事ですし,ゲームの良し悪しやマーケットについても知っておくべきです。これは当然のことですね。
そのうえでひとつ付け加えるなら,「自信過剰は危険だ」ということです。自信があり余って,それを他人に押し付けるようでは,良い結果は得られないでしょう。
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「市場を見て,技術を見る。柔軟性を持って,時代に適応する」。Cale氏が語った,ゲーム業界で生き残るための考え方は,「Putty World 35th Anniversary」という作品そのものにも表れているように感じた。
1992年の作品をそのままよみがえらせるのではなく,当時の魅力を残しながら,現代のゲームとして作り直す。長い年月を経て生まれ変わった「Putty」が,現代のプレイヤーにどう受け入れられるのか。2027年第2四半期の発売を楽しみに待ちたい。
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