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「十三機兵防衛圏」のプレミアム・トークイベントをレポート。神谷盛治氏による裏設定の解説など,ネタバレありのコアな内容に
同イベントは,本作の先着購入特典の応募券を送ったプレイヤーの中から抽選で選ばれた,130名を招いて行われたもの。ゲームをクリアしすべての謎を解き明かしたプレイヤー向けとなっており,本作を制作したヴァニラウェアのファンである著名人や出演キャストをゲストに迎え,ネタバレを交えたトークが繰り広げられた。本稿でその模様をレポートしよう。
なお,イベントの性質上,レポートもネタバレが含まれる内容となっているので,まだクリアしていない人やこれからプレイするという人は注意してほしい。
「十三機兵防衛圏」公式サイト
「十三機兵防衛圏」ディレクターの神谷盛治氏にメールインタビュー。なぜロボット? なぜ“13”? 謎多き作品の気になるところを聞いた
アトラスより2019年11月28日に発売される「十三機兵防衛圏」の制作を担当するヴァニラウェアにメールインタビューを行った。なぜロボット? なぜ13人? 謎多き作品の気になる部分について,ヴァニラウェア代表で本作のディレクターを務める神谷盛治氏がたっぷり答えてくれたので,それをお届けしよう。
「十三機兵防衛圏」プレイレポート。緻密に交わる13人の主人公の物語や“自分自身で謎を解き,世界の真相に迫る”感覚が魅力のSFアドベンチャー
いよいよ本日(2019年11月28日)発売となる,アトラスとヴァニラウェアのタッグによる新作SFアドベンチャー「十三機兵防衛圏」のプレイレポートをお届けしよう。それぞれ視点が異なる主人公13人の物語をザッピングしながら“自分自身で謎を解き,世界の真相に迫る”感覚が新しい,挑戦的なゲームシステムとなっていた。
イベントに登壇したのは鷹宮由貴役の小清水亜美さん,沖野 司役の田村睦心さん,比治山隆俊役の石井隆之さん,そしてヴァニラウェアファンである作家の渡辺浩弐さんと声優の本宮佳奈さん。MCを務めたのは,こちらもヴァニラウェア作品のファンとして知られる声優の磯村知美さんだ。
左から磯村知美さん,小清水亜美さん,石井隆之さん,田村睦心さん,本宮佳奈さん,渡辺浩弐さん |
イベントのオープニングでは,因幡深雪の歌唱を担当した伊藤フウさんが,ゲーム内楽曲「渚のバカンス」のフルバージョンである「Seaside Vacation」を披露した |
トークは大きく3つのパートで構成されていた。最初のパートは,登壇者達がそれぞれのお気に入りのシーンを紹介する「『十三機兵防衛圏』愛好編」。小清水さんは,鷹宮由貴と網口 愁がバイクにタンデムするシーンを挙げ,「由貴ちゃんが網口君に本音でしゃべっている感じがする」と語った。
石井さんが挙げたのは,比治山隆俊が沖野 司に拘束されるシーン。このシーンのボイス収録時,石井さんがセクシーなイメージで演技をしたところ,スタッフが審議に入ってしまい,あらためてギャグ寄りの演技で収録し直したというエピソードが明かされた。
田村さんは,比治山隆俊が好物の焼きそばパンを沖野 司に半分与えようとするシーンを挙げ,「このシーンで沖野君はすごく比治山君を好きになった」と説明。また,沖野 司が女装して堂路桐子で行動するシーンの収録時に「声を変えなくていい」という指示を受けたことを明かした。当初は戸惑ったそうだが,次第に意味のない女装が増えていくにつれ,気にならなくなったという。
渡辺さんが挙げたのは関ヶ原編の最後のシーン。記憶障害に苦しみ,過去の自分からのメッセージを元に行動している関ヶ原 瑛と,彼に一目惚れするなど直感で行動する冬坂五百里の対比が好きだという渡辺さんは,「このシーンでは,関ヶ原君が冬坂さんを受け入れるために,過去の自分と決別する。SF的に深いうえにロマンチック」と説明し,「SFの歴史に残る名シーン」と絶賛した。
本宮さんは,比治山隆俊が機兵を起動する直前に,沖野 司からの手紙を読んで回想するシーンを挙げた。また,本宮さんは13人の主人公全員の機兵起動時のポーズが格好よくて好きだそうで,中でも三浦慶太郎のポーズがお気に入りとのこと。
「これが聖典だ!」のパートでは,本作に登場するキャラクター別の時系列リストが紹介された。また渡辺さんがリスト全体について「この時点でこの人はこう切り替わる,この事件はここで起きるといったことが分かりやすくまとめられていて,見ていて飽きない」と感想を述べていた。
さらに声優陣からは,基本的に自分が関係するシーンしか台本を渡されないため,収録時は時系列が分からなくなることもあったという感想も出た。
「教えて!ヴァニラウェアさん!」のパートは,事前に募集した質問に,本作のディレクターを務めるヴァニラウェアの神谷盛治氏が回答するというもの。イベントでは,その回答を登壇者達が代読した。
「エンディング後の郷登蓮也と東雲諒子の関係は」という質問には,「エンディング後の展開はプレイヤーそれぞれの想像に任せる」という趣旨の回答がなされ,「それこそが無限の可能性」との見解が示された。
「15人が共有するシミュレーションについて教えてほしい」という質問には,「シミュレーションを見ている時間は実時間。したがって物理的に存在する肉体は経年劣化,老化するのでリセットのたびに作り直す。肉体がナノマシンにより分解・廃棄され続けるという,実は恐ろしい物語」と答えた。
「比治山がハンバァグを食べるとどうなってしまう?」という質問に対しては,神谷氏の書いたセリフに沿って石井さんが実際に演技を披露。石井さんは,ほかの登壇者から「セクシーすぎる」「全然知らない人が隣でそうやって食べていたら,不審に思う」などと突っ込まれていた。
「難産だったキャラクター,作りやすかったキャラクターは?」という質問には,まず「もっとも難産だったのは,最初に着手した鞍部編。システム自体を模索していた」「東雲編も,薬の影響での状態変化をスクリプトで表現したので大変だった」「鷹宮編の探索行動とキーワード管理,緒方編の電車管理と思い返せば全部大変だった」と回答。また「一番速くストレートに作れたのは網口編」「端折りすぎて手抜きだったかなと不安になったのが比治山編」「ネガティブ気味な薬師寺編は,作っていて気分がどんよりした」と,ほかのキャラクターのストーリー制作にも触れた。
なお,作っていて楽しかったのは「毒舌のしっぽと,調子のいい柴(久太)君」だったという。
「2188年,井田鉄也はどんな裏切りで東雲諒子を絶望させた?」とう質問には,まず作中で井田鉄也が3つの人格で描かれることが説明された。「ストイックで目的のためには残酷にもなれる,ループに固執した井田。遊び人だが性格の良い網口。その2つの人格の悪いところを併せ持つ2188年の井田本体は,優秀だが残酷にもなれるプレイボーイ」とのこと。それを踏まえて「周囲が醜く殺し合う最悪の状況下で,最後に東雲は井田とともに静かに自殺することを望んだかもしれない。だが,おそらく井田はそれを望まない。永遠の別れとなる井田の最後のセリフが東雲を奈落に落とし,あの行動に導いた可能性は高い。人類最後の1人となった東雲が,灯の消えた真っ暗なコロニーのなかで孤独と絶望に何を思い,どういう最期を迎えたかは想像を絶します」との見解が示された。
「地球を滅ぼしたナノマシン汚染とは?」という,そもそもの質問には「作中で地球が滅びた原因は,流行病のように広がる攻撃的なナノマシン。ウイルスを模したナノマシンなら,対抗手段より速く進化し続けるだけで種を滅ぼすことが可能になる。一方,ポッドにいた生身の15人はナノマシン『インナーロシター』を保持しているし,またナノマシン自体が箱舟計画最終工程の必須技術。ナノマシンは今のネットやエネルギー事情と同様,使い方次第ではないか」と回答。なお,インナーロシターの元ネタは,1955年のSF映画「宇宙水爆戦」に登場した通信装置で,ユニバーサルコントロールの元ネタは竹宮恵子氏のSFコミック「地球へ…」とのこと。
「16年間のシミュレーションが始まるとき,人々の人格や初期設定は何を元に用意される?」という質問には,「人工知能の権威である2188年の鞍部玉緒さんが,夜なべして編み上げた600万人のデータ設定」との回答がなされた。
「比治山(1周前)はAIになったあと,どの機兵に組み込まれた? そのあとどうなった?」という質問には,「19番機に組み込まれていたのが,前周の比治山のAI」との回答がなされた。またその後については「実は製品版でカットされた中に,19番機・比治山最後のシーンがあった。AIに再構築された比治山は記憶と人格の損傷が激しく,もともと不安定な存在。さらに機兵汚染事件をきっかけにさまざまな不具合が生じたため沖野に自身の消去を懇願するという内容で,『もう1人のオレのことはいい。戦場に出る慶太郎を守ってやってくれ』との比治山の願いが,次の周回にて三浦が19番機に乗ることで叶えられるという熱い展開を予定していた」との説明が加えられた。
「薬師寺 恵が料理を得意な理由は? また彼女のどこがのほほんなのか?」という質問には,「薬師寺家はシングルマザーで,母はキャリアウーマンという裏設定がある。そのため娘をしっかり育てつつも仕事優先でスキンシップが少なめだったという経緯があり,恵は奥手になった。また家事全般は恵がやっていたため,料理はお手のもの」という回答が。また“のほほん”の部分については「作中では覚醒後しか見せられなくて申し訳ありません」とコメントを残した。
「沖野がひねくれ気味な理由は?」という質問には,「2188年の沖野は,政府主導の人口調整政策にて優秀な遺伝子を元に作られた,いわゆるデザインベイビー。幼い頃は里親に出され,そのあとは施設で育った。世界で役立つよう人格教育が施されており,その反動で性格が少しゆがんでいる。僕の頭の中では,竹宮恵子さんの漫画っぽいイメージ」とのこと。「緒方憲吾について」という質問には,「緒方憲吾は自らの意思でAIになったのではなく,死後に拠り所を失った森村千尋がAI化し,そのAIが箱舟計画での復活を考えた。そのため肉体もDNA情報もすでにない」との回答がなされた。
「ユニバーサルコントロールの排除対象について」という質問には,「ユニバーサルコントロールは,スタッフ(人間)が作り出した特別なもの以外を管轄している。セクター0に移されたAIもスタッフが作ったという認識であり,またスタッフのIDで偽装して作ったドロイドも“世界”とは別の特別なものだとして管轄外になる。ダイモスも機兵も同様に管轄外なのです」との回答がなされた。
「比治山の好物が,なぜ焼きそばパンなのか?」という質問には,「比治山のイメージもととなったのが,鈴宮和由先生の「とってもひじかた君」の土方歳三と,亜月 裕先生の「伊賀野カバ丸」のカバ丸だった。カバ丸の好物が焼きそばだったので,比治山もそうしようと考えたが,システムの都合で片手で食べられるものしか表現できないため,焼きそばパンになった」と答えた。
なお神谷氏は最近,焼きそばパンをもらう機会が増えたそうで,「こんなことなら,自分では手が出せない高級料理にしておけば良かった」ともコメントした。
「とにかく東雲が可哀想」という意見には,「本編が終わってすべての真実を知った井田が,因幡にまで諭されては反省するほかなく,その償いもあってセクターの復旧に取り組んだのではないか。網口も,井田に翻弄された東雲を記憶で知っているので哀れに思っただろうが,何でも自己解決しようとする強い彼女には,実はそんなものは必要ない。井田への思いは機兵がらみでしか記憶になく,大きく変わった生活の中で,ある意味異様な推進力を持つ彼女が同じ場所に留まっているとは到底思えない」との見解が示された。
イベントのエンディングでは,登壇者があらためて来場者に感謝を述べるとともに,また「十三機兵防衛圏」について語り合う機会を持ちたいと語った。最後に,オープニングに登場した伊藤フウさんがリクエストに応えて再登壇。今度は来場者と一緒に「Seaside Vacation」を歌い,イベントは幕を閉じた。
「十三機兵防衛圏」公式サイト
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