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国内オフライン大会「EDION VALORANT CUP」をレポート。日本王者と優勝候補を相次いで破り,新たに日本一の座に輝いたのは?
本大会に招待されたのは,Absolute JUPITER,BB lgnis,DetonatioN Gaming,Lag Gaming,REJECT,SCARZの6チーム。このうち,事前に優勝候補とされていたのはシード枠に入った(準決勝から参加)DetonatioN Gamingと日本王者のAbsolute JUPITERだ。しかし準決勝では,SCARZが下馬評を覆してAbsolute JUPITERを破り,決勝にコマを進めた。決勝戦は,安定した強さを誇るDetonatioN Gamingと,王者を下し勢いに乗るSCARZのいずれが勝つか,注目の1戦となった。
決勝戦は,2試合先取のBest of 3制で行われた。第1試合のマップはBINDで,前半戦はDetonatioN Gamingがアタッカー,SCARZがディフェンダーだ。最初の4ラウンドを連続で取ったのはDetonatioN Gaming。しかし,ラウンド5でリーダーのmarin選手の活躍が試合の流れを変え,ここからSCARZが7ラウンドを連続で獲得した。前半戦最後のラウンド12は両チームとも慎重な出だしとなったが,mystic選手とリーダーのmittiii選手を中心に終盤の乱戦を制したDetonatioN Gamingがラウンドを獲得。SCARZが7ラウンド,DetonatioN Gamingが5ラウンドをそれぞれ獲得し,折り返しとなった。
攻守を入れ替えた後半戦もSCARZの勢いは止まらず,最初の2ラウンドを獲得。その後,DetonatioN Gamingは1ラウンドを取り返したものの,SCARZがさらに2ラウンドを取って11-6に。あとがなくなってきたDetonatioN Gamingも,持ち前の連携や機転を利かせたプレイを随所で披露しラウンドを重ねていったが,重要なラウンドを確実に抑えてきたSCARZに1歩およばず。結果,第1試合は13ー10でSCARZが勝利した。
第2試合のマップはHAVENで,前半戦はSCARZがアタッカー,DetonatioN Gamingがディフェンダーとなった。この試合でも最初の3ラウンドはDetonatioN Gamingが獲得。とくにラウンド3では1vs.3と圧倒的に不利な状態に追い込まれたが,mystic選手のスーパープレイでラウンドを取った。以降,試合の流れはDetonatioN Gamingに傾きつつあったものの,SCARZも重要なラウンドを抑えて相手に完全なイニシアチブは取らせない。とくに前半戦最後の2ラウンドをSCARZが落ち着いたプレイで獲得し,後半戦への流れを作れたのは大きく,どちらのチームが試合に勝ってもおかしくない状況となった。
後半戦はDetonatioN Gamingが7ラウンド,SCARZが5ラウンドをそれぞれ獲得した状態でスタート。最初のラウンドこそDetonatioN Gamingが取ったものの,Npoint選手の確実なプレイなどを軸にSCARZが勢いを取り戻し,4ラウンドを連続で獲得して逆転に成功する。そのあとはシーソーゲームが続き,先にマッチポイントを迎えたのは連携の巧みさで1歩上回ったDetonatioN Gaming。しかし最終ラウンドでは,終盤の乱戦でSCARZのmarin選手が5キルを決め,ACEを取る活躍を見せる。獲得ラウンドはいずれのチームも12となり,試合はオーバータイムにもつれ込んだ。
オーバータイムはラウンドごとに攻守が入れ替わり,相手に2ラウンド差を付けたチームが勝利というルールだ。ここでもDetonatioN Gamingが先にマッチポイントを迎えるが,続くラウンドでryota-選手がACEを取るなどSCARZの勢いは止まらず,連続3ラウンドを獲得して優勝を決めた。
試合後のインタビューでは,SCARZの選手達が優勝した喜びを表し,ファンに感謝するとともに,marin選手が,試合の重要な局面では勢いを止めないプレイや普段はやらない強気のプレイを敢えてしていたことや,メンタルコーチの指導の下,普段から精神面を強化していることを明かした。
またmarin選手は,今回優勝したことで追う側から追われる側となったが,さらに戦術の幅を広げて今後も勝ち続けたいと意気込みを見せていた。
大会終了後には,メディア向けの囲み取材が行われた。以下にその模様をお届けしよう。
──第2試合のオーバータイムは一進一退の攻防でしたが,どんな心境でプレイしていたのでしょうか。
marin選手:
とにかくここで決めたいと思いながらプレイしていました。
Sak選手:
もともとDetonatioN Gamingは粘り強いチームですが,こちらも逆転できていたので,わりと普段どおりのプレイでイケるかなと思っていました。
ade選手:
メンタルに左右されないよう,集中しつつも「まだ次がある」と気楽に構えていました。
Npoint選手:
とにかく自分ができることをやり,メンバーを信じてプレイしていました。
ryota-選手:
集中力を切らさないことを意識していました。
──ご自身の中で,一番印象に残った試合を教えてください。
marin選手:
やっぱりAbsolute JUPITER戦です。第2試合に勝った瞬間が,一番印象に残っています。「Counter-Strike: Global Offensive」でもAbsoluteがずっと1位で,言ってしまえば憧れの存在でしたから,「VALORANT」初の国内オフライン大会で勝つことができて嬉しかったです。
Sak選手:
自分もAbsolute JUPITER戦です。実は優勝した瞬間はあまり実感がなくて,少し経ってから「あ,優勝したんだ」と思ったんですが,Absolute JUPITER戦は勝ったときが本当に嬉しかったです。
ade選手:
僕は決勝戦です。個人的に6年くらいずっと日本一を目指して戦ってきて,こうして大きな大会で優勝できたので,思わず泣いてしまいました。
Npoint選手:
自分は,決勝戦のオーバータイムで勝ったときです。それぞれができることをやってラウンドを取り,優勝できたので一番印象に残っています。
ryota-選手:
僕はLag Gaming戦です。初めてのオフライン大会だったので,一番緊張したんですけれども,そこで勝って勢いに乗れたので印象に残っています。
──この大会でもっとも気持ちよかった瞬間を教えてください。
ade選手:
決勝戦で,相手の動きを予測して3キルを取ったときです。予測が当たったのと,キルを取った気持ちよさが相まって最高でした。
ryota-選手:
僕は,決勝戦のオーバータイムでACEを取ったときです。
marin選手:
僕も決勝戦でACEを取ったときでした。
Sak選手:
自分は,2キルを取ってそのラウンドを決めたと思った瞬間です。
Npoint選手:
いっぱいあるんですけど,Lag Gaming戦の4キルが一番です。
──今までなかなか勝てない中,こうして優勝したわけですが,今回ここを変えたという部分はありますか。
marin選手:
キャラクターの構成です。例えば自分はもともとサポート役のセージをやっていたんですが,デュエリストのジェットに変えたところ,かなり攻めやすくなりました。とくにエントリーの取り方の幅が広がりましたね。またryota-はソーヴァからブリーチへ,Sakは逆にブリーチからソーヴァに変わっています。
──試合後のインタビューではメンタルコーチの話もしていましたが,メリットなどを教えてください。
ade選手:
迷いがなくなったことです。自分達でコントロールできないことを考えず,自分達で動かせることだけを考えるようになりました。例えば,自分達のプレイは自分達で動かせます。逆に相手の動きはコントロールできませんから,それを読んで対処しようとするとどうしても後手に回ってしまいがちです。常に自分達にとって有利な立ち回りだけを考えるようにとメンタルコーチから教わりました。それによって,チームとしての一体感が一層高まったんじゃないでしょうか。
──今回,攻めの展開が速くなったのも,メンタルコーチの指導を受けた成果でしょうか。
ade選手:
そうですね。間違いなく,メンタルコーチのおかげです。
──この大会でチーム内のMVPと言えば誰でしょう。
ade選手,ryota-選手,marin選手,Sak選手:
Npointです!
──その理由を教えてください。
Sak選手:
強いからです。
ade選手:
熱くなりすぎず冷めすぎず,常にいいメンタルをキープしてくれたので,支えになりました。
──久々のオフライン大会でしたが,感想を教えてください。
ade選手:
隣にチームメンバーがいるとラウンドを取ったときの嬉しさや,逆に取られたときの悔しさを共有できて,メチャクチャ楽しかったです。
ryota-選手:
ラウンドを取るたびに皆で盛り上がれるのが,すごく楽しかったです。またやりたいです。
marin選手:
オンラインだと,ラウンドを取っただけではそんなに嬉しくないんですよね。オフラインは,どんな取り方でもラウンドを取るととにかく嬉しいんです。そこが一番の違いです。
Sak選手:
ほかのチームと比較しても,おそらく自分達ってメッチャ仲いいんですよ。だからラウンドを取ったとき,取られたときのコールもうまくできるんだと思います。そういう小さな差が今回の優勝につながったと捉えていますし,自分達にはオフラインが合っていると思いました。
Npoint選手:
お互いの顔が見られてよかったです。それは相手チームの選手の顔も同じで,表情から感情を読み取れるのもオフラインの面白いところです。
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