壊れたゲーム機器を,ご近所で直す選択肢――今まであんまり目に入ってなかった「ゲームホスピタル」で修理してもらった
Switchの壊れたプロコン。保証期間なんてとっくにすぎた。メーカー修理に送る気概もなかったし,もう新しいのも買ったし。あとは捨てるくらいだけれど,もし近所で直すという発想があれば。“ゲーム機器の修理事情”を見てきた。
これ以外にも小ネタのために実家へと帰り,そのたびに押し入れをひっくり返しては,空いた隙間に入り込もうとする猫を引っぱり出してきた。そして強制的に“思い出のゲームたち”ともご対面してきた。
そしてふと「そういえば最近,古くて読み取らなくなったゲームディスクを“研磨する”って行為,聞かなくなったな」と思った。
というわけで,今回の主題はこれだ。
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「家の押し入れで眠ってる古いゲームとかを久しぶりにやりたいと思ったらディスクが傷だらけで再生できない! なんてときのケア方法“ディスク研磨”に今の時代だからこそ迫っておく!」
皆さんのなかには,編集部の同僚がタイミングよく特集した「光ディスクの歴史の振り返り」を読んだ人も少なからずいることだろう。読んでいなかったら読んでみるといい。この記事を忘れるほどに長いぞ。
Blu-ray Discは,前世代のDVDより先に姿を消してしまうのか? 時代に翻弄されたその歩みを,光ディスクの歴史とあわせて振り返る
映画やアニメ,ゲームなどの幅広いパッケージ商品に使用されてきたBlu-ray Discだが,ここ数年,関連商品の生産終了が相次いでいる。これはBDというより,光ディスク自体の終焉とも呼べそうだが,本稿ではここに至るまでの道のりを振り返ってみよう。
今や時代的に「ゲームをパッケージ版で買わなくなった人」は多い。世代的な話なら「パッケージ版を買ったことがない人」すらいるだろう。これはもう現代の商流的に抗いようもない。映像や音楽については,ゲーム以上に振りきれた傾向が表れているだろうしで。
しかし,光ディスクよりも前時代に輝いていた音楽記録媒体,アナログレコードは近年ブームを再燃させている。
光ディスクにも同じような将来性を期待できるかは現状不明だが,少なくともゲームについてはレトロ的価値の再発見が盛んである。
実際,プレミアゲームは資料的価値にとどまらず,商売として長らく成り立ってきたほどに人気だ(下記は参考企画)。まあ,そこは音楽も映像も果てはTシャツなども同様だが,今は置いとくとして。
スーパーポテト10時間「秋葉原 都会に眠る思い出に」by 4Gamer
目新しい都会で,肩を寄せ合う古い子たち。ここは東京・秋葉原の“中古ゲームショップ”。レトロなゲームソフトたちには,誰かの思い出が染みついていて,誰かが思いをはせている。1日10時間,訪れる人たちを見つめてきた。
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- 編集部:楽器
- カメラマン:永山 亘
そんな古いゲームディスクたち,というより“雑な扱いで傷だらけにしてしまった光ディスク”は,機材で再生しようとしても読み込めず,読み込めたとしても音飛びするなどの不具合が生じやすい。
それが大事な思い出のゲームで起きたなら,「まあ最近になってDL配信された,リメイク版とかオリジナル版で遊べばいいじゃん」だけでは割り切れないモヤモヤ感を覚えるだろう。ゲームは遊んだ体験だけではなく,手持ちの物品にだって思い出が宿るものだから。
そこで本稿では,古いゲームディスクの経年劣化・損傷時の代表的なリカバリー手段である,「ディスク研磨」に着目していく。
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ディスク研磨という行為自体は,ゲーム業界のみならず広く知られている概念であり,ネット上にも情報は多い。安価な専用器具も販売されているし,人によっては紙やすりを用いた手作業も可能だし,(今ではかなり減ったが)店頭もしくは郵送の研磨サービスも存在する。
ただ,手作業の実演レポートでは誤った方法を教える懸念があった。啓発目的としては避けたいミスであることから,今回はディスク研磨業界のトップランナーであり,個人・法人用の「ディスク研磨機」シリーズを打ち出してきたプロたち。プレンティーのDISCサービスチームに「ディスク研磨ってなんですか?」から教えてもらうことにした。
なお,今回はハイエンド製品の構造からディスク研磨とはなんたるかをひも解くため,「個人におすすめの製品紹介」はしない。この意味は,のちほどお目にかける機材を見るだけで理解するだろう。
あらためて,光ディスクって?
まずはプレンティーに押しかける前に,我々が当たり前のように触れてきた「光ディスク」とはなんなのかを解説しておく。
世にあふれるCD/DVD/BD(Blu-ray Disc)はすべて同じ形状で,厚さ1.2mmの光ディスクとなる。パッと見では(知らない人には)違いを判別しづらいが,可視化しづらいところにいろいろと違いがある。
ちなみに,今どきの若い子に「CDを焼く」と言っても通じない。むしろ器物損壊の懸念を感じさせ,通報される恐れを抱くべきである。
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■CD(コンパクトディスク)
名称:Compact Disc
構造:1.2mm厚の円盤
基板の記録層:1.2mm部分
レーザー波長:780nm(ナノメートル)
最大収録時間:74分(650MB)〜80分(700MB)
■DVD(デジタル多用途ディスク)
名称:Digital Versatile Disc
構造:0.6mm厚の円盤を2枚貼り合わせて,1.2mm厚に
基板の記録層:0.6mm部分(円盤1枚分)
レーザー波長:650nm
最大収録時間:約120分(標準1層 4.7GB)〜約240分(2層記録 8.5GB)
■BD(ブルーレイディスク)
名称:Blu-ray Disc
構造:1.1mm厚の円盤に,0.1mm厚の被膜を形成し,1.2mm厚に
基板の記録層:0.1mm部分
レーザー波長:405nm(短波長)
最大収録時間:約180分(標準1層 25GB)〜約360分(2層記録 50GB)
※最大収録時間は,記録画質や記録方式,層の増減などで可変
〇光ディスクの仕組み
円盤の記録層(裏面)に,読み取り装置のレーザー光を当て,反射した光の変化をレンズで検出し,デジタル信号として復元。ピット(目に見えぬ凹凸)の差異が記録内容の違いとなる。レーザー波長が短いほど光を細く絞れて,光線の照射距離を縮めるほどに大容量を実現できる。
CDなら1.2mmの箇所にピットがある。DVDなら0.6mmの円盤×2枚で1.2mm厚を作り,1枚目の最深部となる0.6mmの箇所にある。
さらにBDなら「従来は奥まっていたの基板の記録層を1.1mm分せり出して,0.1mmの防護被膜を形成し,1.2mm厚を実現」している。
つまるところ,光ディスクは次世代媒体になるほど“光線とピットの照射距離”を縮め,記録容量を向上させてきた。薄い鉄フライパンのほうが熱しやすくコンロの火力も伝わりやすい,みたいなものだ(?)。
一方,BDはCD/DVDと比べて破損しやすいとされる。ある意味,防御力に相当する鎧が0.1mm分しかないためだ。0.1mmの防護膜を阻害する汚れ(指紋・ほこり)があると,レーザー光が記録層まで達せず,再生不良を引き起こす。致命的な傷がつけば,光線が屈折して反射異常を起こし,データを正常に読み取れなくなる。光ディスクの歴史は,耐久力と引き換えに容量を高めてきた攻めの道のりだったと評せる。
そして,こうした障害時の復元手段が,基板の傷を除去し,平らにすることで再び読み取れるようにするディスク研磨なのである。
■のちほど聞いた余談
光ディスクのなかでも,実はDVDはひと目で判別できる。DVDは円盤を2枚重ねている構造とあり,ディスク中心の穴の側面を指でなぞると「円盤同士が張り付けられている隙間の感触」を確かめられるためだ。
と,プロに教えてもらって知った。
それではプロに聞いてみよう
今回うかがったプレンティーは,1980年代に時代を先取る慧眼で「光ディスクの研磨機」に着手した。1990年代にはハイエンドな研磨機の品質勝負で打って出て,業界各社としのぎを削り合ってきたという。
今は世情もあり,研磨機に社命をかけられる時勢ではなくなったため,会社の主軸は人材事業をはじめ,LED事業や賃貸保証事業にスライドしている。だが,“水面下で需要が高まっている光ディスク研磨機”も引き続き武器としていく,いわば総合商社として経営されている。
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取材当日,約束を交わしていたDISCサービスチームのスタッフにより,応接間にとおされた。そこには見た目からして重厚な研磨機が設置されていた。同社の代表作「ソメッグ(SOMMEG)」シリーズだ。
特徴と外観は以下のようになる。
・技術不要の簡単操作で全自動研磨
・水を使って摩擦熱を防ぐ湿式研磨方式
・傷の深さに応じた研磨レベルの使い分け
・CD/DVD/HD DVD/BD,各種ゲーム用ディスクにも幅広く対応
・ゲームキューブなどの8センチCDは専用アタッチメントが必要
・サイズ複数。大型機は50枚連装研磨にも対応
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こちらは主にレンタルショップやリサイクル店など,光ディスクを取り扱う店舗向けの製品だという。その特徴は,使用者の技術力を求めない全自動研磨,安定した研磨力と仕上がり,対応メディアの種類数だ。
なお,先ほど注記しておいたが,個人で購入するには気合の入った理由が必要になる見た目かと思われる。一応,個人の購入者もいるというが,営利目的での活用でもなければ,より気軽に手を出しやすい廉価版の「エコプロ(Eco Pro)」をチェックするといいかもしれない。
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まずは細かな説明の前に,さっそく実演してみよう。
現地で研磨したのは,私や同行カメラマンが持ち込んだ私物だ。いずれも「再生できない」までのケースではなく,ただ目立つ傷がついているレベルであったが,サンプルとしては問題ないだろうと考えた。
そのために実家をあさったのだが,苦しい思いをした。過去の自分がゲームを買いすぎていた。以下の写真は実家にあったうちの半数くらいのゲームソフトだが,気持ちが折れて押し入れの奥には触れなかった。
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このなかでもとくに状態が悪かったものが,こちらだ。
ご存じの人も多いであろう「DARK SOULS III」……。
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のなかに入ってた「トムとジェリー」のアニメDVDだ。
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ダクソ3のパッケージにトムジェリDVDが入っていた理由は,同作の発売時期のこと。めいっ子姉妹(姉の娘たち)がアニメDVDを堂々と素手で握りしめ,「にぃに(PS4で)これ見せてー」とねだってきたせいだ。
このときは待望のダクソ新作とあり,できれば聞きたくない頼み事であったが,彼女らの背後で神喰らいのエルドリッチ(姉)がにらんでいたことを踏まえると,自我をロストするほかなかった。
そのうえで私の習性だが。前述したゲームソフトの山に映っているパッケージには,全部といっていいほど違うゲームのディスクが入っている。ほぼすべてにだ。すべてがもとのパッケージに収められず,リレーのバトンを託すようにして入れ替わっている。私はそういう人間だった。
だからダクソ3のディスクがどのゲームのパッケージに入っているのかも,当たり前のように分からなかった。ものによっては,1パッケージにディスク3枚が詰め込まれているものもあり,あきれかえった。
それらを整頓するのも気力的に難しかったため,今回はディスクの裏面だけをチェックして持ち込んだ。これからの写真でもトリックを仕掛けていくことになるが,それはいいとして研磨タイムに移ろう。
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ソメッグは,内部に設置したディスクを回転させ,傷の深さやディスクの種類に合わせた砥石と研磨レベルで磨き,最後にコンパウンドとスポンジで仕上げを行う。ディスク1枚の研磨にかかる所要時間は約4分(モード次第)。砥石は100回程度の使用後,交換の必要がある。
研磨する深さは「ミクロン単位」(1000ミクロン=1ミリ)とのこと。砥石とモード次第で数ミクロンを削り,傷を消しているのだ。なにか専門的な瞳術でも体得していないと,見て判別は不可能である。
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CD/DVD/BDは研磨の耐用回数が異なる。記録層に達するまでの余地がBDなら0.1mm分,DVDなら0.6mm分,CDなら1.2mm分と厚さが違うためだ。とはいえ,記録層までのすべてが余白というわけではない。
単純な話,CDを1.1mm削ったら,最奥部の記録層が残っていようが「鰹節のようにペラッペラの物体」になってしまうためである。
などと分かってるふうに説明しているが,これは私が「じゃあCDって1.1mmまで削れるんですね!」と意気揚々と質問したことに対して,先方が苦笑いで答えてくれたことによる成果である。
それと,ディスク研磨は(研磨機ごとの)対応メディア種でいろいろ変わるが,基本的には「CDならこうやる,DVDならこうやる,ではなく。どのディスクでも“この傷はどれくらい研磨すれば消えるのか”とダメージレベルを中心に考える」のが得策だという。つまり個別対処だ。
研磨レベルに関しては,結果と経験の積み重ねによる知見が必要そうだったが,だいたい「様子見の2か3」がベターのようだ。洗濯機のモード選択くらいの感覚で取り扱ってもよさそうに思えた。
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私はこれまで,「研磨するとディスクがすり減るから価値が下がる」と安直に考えてきた。というかそこそこ長くなってきた人生の時間で,研磨とはなんなのかを意識するほど考えたことがなかった。
しかし,よくよく考えると,研磨が必要なディスクは価値が下がった品物だ。そのためのリペア手段として研磨することで,安売りするしかなかったものに正常な価格を付けられる,という仕組みである。
きっと,商売の勘が働く人には「なに言ってんだ? 当たり前だろ」的な話だろうが。これまでディスク研磨を故障品の修理手段としてしか見ていなかった者としては,目から鱗だった。そして今になってようやく,研磨されたディスクが商流に乗っていた理由に納得できた。
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■ディスク研磨機で修復できないケース
※「ディスク研磨機」公式サイトを参考
・ディスクを貫通している傷がある
・ディスクが割れている
・ディスクが歪んでいる
・ディスクにカビが生えている
・CDのレーベル面(文字がある面)に傷がある
・DVDの隙間に水分などが入っている
・日当たりなどで高温下に置かれたことがある
■ディスク研磨しきれなかった例
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現在,世の中はインターネットを介したストリーミングサービスが主流となり,ゲームも音楽も映画も非物理媒体のデータでやり取りすることが増えた。従って,光メディアの取り扱いも当然のように減少傾向にある。これはプレンティーも年々,肌身で実感しているとのこと。
そんななか,ディスク研磨機が重用される界隈がある。ここまで話の中心にしてきた個人利用や中古市場はもちろんだが,今の同社にとって最も熱い市場は「海外」なのだとか。
端的に,地域によっては光ディスクの流通が今も盛んであり,そうした場所では自然と重宝されているらしい。
また,物珍しく聞こえたのは「海外の図書館での需要」だ。日本でも全国各地の図書館で,書籍のみならずAV資料(オーディオビジュアル)として映画DVDが配架されているのは一般的である。
しかし海外の場合,これも地域によっては「日本のAVコーナーどころではない棚と量」が置かれているとのこと。そのため,本の修復作業と同じく,光ディスクの修復作業のために研磨機が求められるらしい。
同社のディスク研磨機シリーズは過去,業界内で抜いた抜かれたの競争を繰り広げていたが,こうした現代ならではの需要の発生により,今は「世界シェアNo.1」と主張できるほどの成果を上げているそうだ。
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本稿では,自身でディスク研磨する術は教えられなかったが,光ディスクとディスク研磨がなんであるのかは十分に伝えられたかと思う。
今後起きうる現実問題としては,ディスクが無事でも再生機側が故障していくケースだ。最悪なのは「どっちが壊れてるのか分からない」ことだろう。こうなったらもう,デジタルな古物ゆえのチャームポイントとして捉えていくほかない。ただ,光ディスクを振り返る人たちは「そんなふうに思えるから集めてしまう人」だろうし,支障でもないか。
人によってはもしかしたらもう,この先まみえることもなくなりそうな光ディスク。彼らは傷だらけのまま,いつかついでに廃棄され,どこかの地中で朽ちていくだけの媒体になっていくかもしれない。
けれどそのうち,必ず1回はブームが起こると思っている。
光ディスクってカッケエよな。
そんなブームが。
それを起こすのは,音楽か映画か。はたまた英会話教材か環境音声か,なにかの商品の付属であった特典CDから一気に加熱するか,などなど。CDもDVDも,いまだにちょっとお高めな存在であるBDも,世の中での使われどころは星の数ほど多岐にわたっている。
願わくば後年のこと,知ったときに思わず笑ってしまうようなブームの火付け役は,我々が浮気心満載で付き合いまくってきたゲームディスクたちであるといいな,なんて思う次第である。
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[インタビュー]ゲームのパッケージってどう作ってるの? 取説などの“副資材”を手がける「HIKE」に教えてもらった
ゲームを実物販売するなら「ゲームパッケージ」が必要である。当たり前に購入され,コレクションされるパッケージだが,これって誰がどう作ってるの? という疑問を解消すべく,制作を手がける“HIKE”に話を聞かせてもらった。



































































