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ルギア配布の裏でなにが起きていたのか。「Pokémon GO Fest シカゴ」のレポートと須賀氏&川島氏へのミニインタビューを掲載
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ここ数か月を振り返ってみると,セブン-イレブンやイオングループ店舗のポケストップ化,ジョウト地方(「ポケットモンスター 金・銀」)のポケモンの追加,新システム「レイドバトル」の導入などが行われ,相変わらずの盛り上がりを見せている。
そんな本作は,2016年7月22日のサービス開始から1周年を迎え,これを記念したリアルイベント「Pokémon GO Fest シカゴ」が,北米時間の2017年7月22日にアメリカ・イリノイ州で行われた。
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本稿では,目玉として用意されていた“伝説のポケモン”が配布されることになった経緯を含めた同イベントの現地レポートに加え,Nianticアジア統括マーケティングマネージャー 須賀健人氏と,Nianticアジア統括本部長 川島優志氏のミニインタビューをお届けする。
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トレーナーの怒りを収めた“ルギアの配布”という異例の対応
今回のイベントは,世界中のトレーナーと,シカゴにいるトレーナーが協力する「グローバルチャレンジ」がメインとなっていた。シカゴ会場のトレーナーが特定タイプのポケモンを捕まえると,世界中のトレーナーへのボーナスが開放され,世界中で一定数以上のポケモンが捕まえられると,シカゴ会場で“ある不思議なイベント”が発生するというものだ。そして,この“ある不思議なイベント”は,(すでに発表があったように)本作で初めて伝説のポケモンが登場するというものだった。
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シカゴの中心部にある巨大な公園「グラント・パーク(Grant park)」で行われた同イベントでは,事前に販売されたチケット(20ドル)の購入者に電子タグが埋め込まれたリストバンドが配布され,これを入場ゲートにかざす形で出入りする仕組みとなっていた。
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イベントはほぼ定刻どおりにスタート。10:30に行われたオープニングステージでは,シカゴ会場で捕まえられたポケモンの「タイプ」によって世界中のトレーナーに報酬が開放される,「キャッチチャレンジ1」が11:00に始まるとあらためて説明があったほか,Niantic CEOのジョン・ハンケ氏による挨拶などが行われたが,拍手とともにブーイングが起こり,会場はやや不穏な空気に包まれた。
というのも,イベント開始前から,ほとんどのトレーナーが「Pokémon GO」をプレイできない状態となっており,それに対する不満がジョン・ハンケ氏に向けられた形だ。
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その後も通信状態は安定せず,会場にいたトレーナー達の不安が大きくなるなか,Nianticはイベント参加者を対象に,チケット代(20ドル)の返金や100ドル分のポケコインの配布に加え,ヘラクロスやアンノーンなどのレアポケモンを,7月24日の朝まで会場の約3km範囲内に出現させることを発表した。
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トレーナーの不安は一時的に解消されたものの,やはり目玉イベントである「ミステリーチャレンジ」の開始時間が近づくにつれ,「こんな状態で伝説のポケモンと戦えるのか」と,会場にまたヒリヒリとした緊張感が漂い始める。
そしてNianticは,このままでは想定していたような体験を届けられないと判断し,「ミステリーチャレンジ」の中止と,ルギアの配布(いわゆる“詫び石”対応)を発表して事態を収束させた。
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また,ルギアとフリーザーは追って登場するとアナウンスされていたが,その日の夕方には会場の約3km範囲内に出現し始め,公園の周囲は伝説のポケモンを求めるトレーナーであふれかえっていた。
相変わらず人が多く集まる場所は通信が不安定だったが,トレーナーが分散したことにより,場所によっては快適にレイドバトルを楽しむことができた。
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決して大成功とはいえないが,さまざまな対応により何とか無事に終了した今回のイベント。日本のトレーナー達の心配としては,“Pokémon GOならではの特別な体験もお届けする予定”とされ,8月9日から8月15日まで開催される「Pokémon GO STADIUM」で同じような問題が起こらないか,という点だろう。
通信面についてどうなるのかを須賀氏に聞いたところ,「今回の件を鑑みて,改善に努めます」と話してもらえた。すでに「Pokémon GO STADIUM」の事前募集の受付は終了しているが,全1500匹ものピカチュウが集結する「ピカチュウだけじゃない ピカチュウ大量発生チュウ!」は,誰でも参加できるイベントとなっているので,時間のある人は夏の思い出作りに参加してみるといいかもしれない。
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さて,最後となるが,イベント会期中に行った須賀氏と川島氏のミニインタビューを以下に掲載するので,ぜひとも目を通してみてほしい。
横浜のイベントには地域限定ポケモンが登場するかも? 須賀氏と川島氏のミニインタビューを掲載
―――イベント会期中というお忙しいなかですが,本日はよろしくお願いします。さっそくですが,今回のイベントを企画したキッカケを教えてください。
須賀健人氏(以下,須賀氏):
Nianticがサービスしているゲームは,外で遊ぶというのはもちろんなのですが,こうしたイベントによって,いろんな人がつながってほしい,1つの場所に集まったプレイヤー同士でコミュニケーションを取ってほしい,という想いがあります。
別タイトルになりますが,Ingressでもこのようなイベントをたくさん行っており,実際に人と人とがつながっていく姿を見てきているので,Pokémon GOでも同じような体験を実現したいと思い,こういったイベントを企画しました。
川島優志氏(以下,川島氏):
初期の頃から「はやくオフラインイベントを開催したいよね」と話していたので,ついに1周年という節目で実現できた形です。
―――企画段階で苦労したことはありますか?
須賀氏:
今回の企画はIngressで培ったノウハウを活かしているのですが,Pokémon GOの場合はプレイヤー人口がとても多く,どこでやるか,どのような形式で行うかなど,さまざまな要素をかなり慎重に検討しました。
―――今回シカゴを選んだ理由というのは?
川島氏:
シカゴはアメリカ大陸のなかでも中心部にあるので,どの地域からでも行きやすいという点が挙げられます。できるだけたくさんの地域の人に来てもらいたかったので,好立地というのは場所探しのうえでとても重要な要素になりましたね。
―――「キャッチチャレンジ」「ミステリーチャレンジ」など,イベントの内容を考えた経緯を教えてください。
川島氏:
Nianticは,世界のみんなが協力して成し遂げるという体験を作り出したいという思いが強かったので,シカゴだけでなく世界を巻き込んだ内容になるように考えましたね。
須賀氏:
今回のイベントは,グローバルでつながるというNianticの“色”がうまく現れた内容になっているんじゃないかなと。
川島氏:
実はNianticのやりたいことは一貫しています。Ingressだと国外に現れた球を日本の神戸に運ぶというミッションを用意し,世界中のエージェントが協力して成し遂げたことがあったんですね。そしてPokémon GOでは,そのスケールをさらに拡大してくれるんじゃないかと期待しています。
―――今回のイベントでは,伝説のポケモンが登場すると事前にアナウンスされていましたが,もともとこのタイミングで登場させる予定だったのでしょうか?
須賀氏:
そうですね。やはり伝説のポケモンは非常に特別な存在なので,どのタイミングで登場させるかという点について,たくさんの議論を重ねてきました。そのなかでももっとも重視したのは,初期に公開されたPVのようにみんなで協力してゲットしてほしかったという想いから,レイドバトルが実装された後に登場させるということですね。
―――レイドバトルとえいば,初期に公開されたPVを実現したようなものに仕上がっていますよね。
須賀氏:
あのPVはマーケティングチームによるものなのですが,プロダクトチームも描いているビジョンは似通っているので,お互いに刺激し合いながら,Pokémon GOをより良いものにしている感じです。
川島氏:
実は,あのPVは須賀がプロデュースしたものなのですが,やりたいことを詰め込んだ夢のような内容だったので,個人的には「全部実現できるのかな」と不安な部分もありました。しかし,実際にレイドバトルが実装されたことにより,PVの内容にとても近づけているんじゃないかと実感しております。……1年かかっちゃいましたが(笑)。
―――レイドバトルは実装から1か月が経過しましたが,プレイヤーからの反応はどうでしょうか?
須賀氏:
我々としては,かなりの手応えを感じています。プレイヤーからもポジティブな意見が多く届いていますし,データをみてもジムで遊んでいる回数が顕著に増えています。
―――レイドバトルの実装に合わせてジムのシステムも改修されましたが,プレイヤーの反応はどうでしょうか?
須賀氏:
そうですね。ジムに同じポケモンを置けなくなったことにより,さまざまなポケモンを育てる必要が生まれたり,攻め守りともに戦いの幅が広がったりしているので,こちらもかなりいい反応をしてもらっていると感じています。
川島氏:
やはりすべてのポケモンを大切にしたいという想いが強いので,多くのポケモンが活躍できる場が増えたというのは嬉しいですね。
―――当初のPVでは,レイドバトル以外にもトレード機能が紹介されていましたが,そちらの進捗はいかがでしょうか? また,そのほかに予定している新要素などはありますか?
須賀氏:
現状は鋭意開発中といったところしかお伝えできないのが心苦しいところです……。ただ,先日,Appleさんと一緒に発表させてもらったiOS 11の新機能「ARKit」を使ったシステム(※)など,よりPokémon GOの世界を楽しめるようなものを,これらも出していく予定なのでご期待いただければと思います。
※現在のARモードでは,自分が歩み寄ってもポケモンに近付くことができないが,ARKitに対応した場合,ポケモンに近付いたり,回り込んだりといったことができるようになるという。
川島氏:
配信されてから1年が経過しましたが,我々としてはまだ始まったばかり,という印象が強く,これから10年,20年と続けていきたいので,まだまだたくさん手を入れていきたいと考えています。
須賀氏:
Nianticはたくさんのゲームを作るような企業ではありません。1つ1つのサービスに重きを置いて,コミュニティを築きながら人々のライフスタイルに溶け込んでいき,人々の生活の一部になるような作品を作っています。そういった意味ではほかのゲームメーカーさんとは考え方が違うのかもしれません。
―――ちなみに,国ごとのプレイヤー特性の違いみたいなものはあるのでしょうか?
須賀氏:
ほかのアプリでもよく言われていますが,日本の人がお金をかけて遊ぶ傾向にあることは,Pokémon GOでも言えますね。ただ,そこまで大きな差はないように思います。
川島氏:
あと,国ごとというわけではないんですが,どの国でも幅広い年齢層で遊ばれているのは大きな特徴ですね。中高生から,そのおじいちゃんおばあちゃんにあたる年齢層まで,かなり多くの人に遊んでもらっています。「初めて遊んだゲームがPokémon GO」というのを耳にしたときはとても嬉しかったですね。
―――幅広い層が楽しめる貴重なゲームですね。
川島氏:
イベントの来場者を見てもらうと分かるんですが,家族連れやカップルなどいろんな人達が来ています。ここまで幅広い層が集まるオフラインイベントというのは,なかなか世の中にないので,それがPokémon GOの素晴らしいところかなと。
須賀氏:
これは余談なのですが,以前街中でカビゴンを見つけて,ちょうど一緒にいた3人で挑戦していたんですが,どうしても倒せなかったんですよ。しかし,挑戦を続けているうちに少しずつ人が集まってきて,7人くらいになってやった倒せたとき,後ろにいた小学生も大喜びしていたので,「おや?」と思って声をかけてみたんです。そしたら,やっぱりその子達が協力してくれていたみたいで,思わずハイタッチしちゃいましたね(笑)。
小学生とおじさんが喜びを本気で分かち合えるゲームって,ほかになかなかないと思うんですよ。手前味噌ながら,そうした点もPokémon GOの魅力だと思います。
―――そうえいば,南米限定ポケモンであるヘラクロスが,イベント会場に出現するようになっていますが,ヘラクロスを選定した理由はあるのでしょうか?
須賀氏:
とくにこれといった理由はないのですが,夏なので(笑)。
川島氏:
今後もこうした機会は増やそうと思っているので,もしかしたら,地域限定ポケモンが横浜に遊びに行くかもしれないですね。
須賀氏:
Ingressのときから言っているんですが,Pokémon GOをするために来たというよりは,Pokémon GOがキッカケで来たと言ってももらえると嬉しいですね。
―――我々もしっかりと観光しましたし,ある意味で“Pokémon GOがキッカケで来た”側の人間です。
須賀氏:
シカゴは「ダークナイト」(原題:The Dark Knight)や「トランスフォーマー」(原題:Transformers)など,有名な映画のロケ地なんですよ。昨日もタクシーに乗っているときに,見覚えあるなーと思ったらまさにダークナイトで使われた場所だったらしく……。
川島氏:
実際に目で見ると写真で見たときよりも記憶に残りますからね。もちろん,写真でもすばらしさは伝わるのですが,自分の足を運んで見るというのは,一気に距離が縮まって地球が小さくなるような感覚を覚えます。
それって素晴らしいことなのですが,なかなか腰が上がらないと思うんですよ。そんなとき,Pokémon GOが腰を上げるキッカケになってくれたら嬉しいですね。
―――今後もこうしたイベントは開催されるのでしょうか?
須賀氏:
そうですね。ヨーロッパでの開催が決定している「Safari Zone」(※)など,小規模なものも随時開催していきます。日本では,地方自治体と協力していますし,今後もそういった施策を増やしていけたらと思っているので,今後の動向にご期待ください。
※Pokémon GOのパートナー企業である欧州Unibail-Rodamcoが運営する,デンマーク,チェコ共和国,スウェーデン,オランダ,ドイツ,フランス,スペインのショッピングモールなどで開催されるイベント。会場では,普段ヨーロッパでは見つけることが難しいポケモンが現れるほか,強力なポケモンがジムに登場し,レイドバトルを楽しめる。
最後にちょっとだけシカゴの街を紹介!
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![]() 「リンカーン・パーク動物園」はなんと入場料無料! リアルケンタロスにテンション上がりまくりでした |
![]() 「トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー」,近くで花火が行われた後ということもあって,どこかスチームパンクな雰囲気に |
「Pokémon GO」公式サイト
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(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
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