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ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
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印刷2019/11/07 12:00

インタビュー

ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた

 1年ほど前の2018年9月,4Gamerで報じたとおり,Sennheiser Communicationsは,2020年3月にSennheiser electronic(以下,Sennheiser)から完全なディマージ(Demerge,分社化)を行う。発表時点では2020年1月の予定だったが,やや遅れて3月に変更となっていたものだ。
 Sennheiser electronicとWilliam Demant Holding(以下,WDH)の合弁企業であったSennheiser Communicationsは,事業単位で2社に分かれて,Enterprise Solutions部門とゲーマー向け製品を扱うGaming部門は,WDH傘下の独立した新会社になる。


GSP 370
画像(004)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 その企業分割が迫るなか,ゲーマー向け製品を統括するSennheiser CommunicationsのMichal Tempczyk(ミハル・テンプチェック)氏が来日し,10月8日に世界市場へ向けて発表となった新型のゲーマー向けヘッドセット「GSP 370」を持参して今年も4Gamer編集部を訪問してくれた。
 しかも今回は,新たな仲間としてアジア=パシフィック地域のセールスディレクターであるJames Tio(ジェイムズ・ティオ)氏を伴っていた。分割後はゲーム製品の日本セールスヘッドに就任する物部慶幸氏も同席している。

画像(002)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
Michal Tempczyk氏(Head of Global Key Accounts Gaming,Sennheiser Communication A/S)
画像(003)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
James Tio氏(Director of Sales,Asia-Pacific Gaming,Sennheiser Communication A/S)

 今回,Tempczyk氏は,新製品の話題だけでなく,Tio氏や物部氏とともに,企業分割が同社に与える影響や,今後の展望について熱く語ってくれたので,インタビューの概要をレポートしたい。
 なお,GSP 370の国内向け価格や発売時期は未定とのことだ。


企業分割でも研究開発やIPは変わらない


4Gamer:
 今日はよろしくお願いします。企業分割が発表済みですが,物部さんの名刺はゼンハイザーですね。

物部慶幸氏(以下,物部氏):
物部慶幸氏(ゼンハイザーゲーム事業本部,日本セールスヘッド,Sennheiser Communications)
画像(005)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 ゲーマー向け製品と,コールセンター向けのヘッドセット製品がゼンハイザージャパンから分かれて,完全に別会社に移行します。私が入社したのは,今年の8月1日でして,私の上司が,ここにおりますJamesになります。彼はアジアの統括担当で,日本だけではなく,オーストラリア,中国などの責任者となっています。

Michal Tempczyk(以下,Tempczyk)氏:
 約1年前,Sennheiser CommunicationsとSennheiserが企業分割をアナウンスした後にお会いしましたが,(発表から)直近のことだったので,あまり詳しいことは申し上げられませんでした(関連記事)。
 我々の重要なメッセージは,ゲーマー向け製品は,これまでと同じように続くということです。そのうえで,もっとも重要なR&D(研究開発)については,すべてのノウハウとIP(Intellectual Property,知的財産)をこれまでと変わらないエンジニアメンバー内で維持していきます。たとえば,GSP 670で採用した7.1chアルゴリズムは,我々が開発しました。オフィスはそのままで,以前と同じビル内にあります。

 変わるのは,物部さんが少し触れたように,我々がワールドワイドで自前のセールス組織を持つことにしたということです。それが,Jamesが本日同席している理由です。彼は,我々初となるグローバルレベルのセールスディレクターの1人で,アジアおよび太平洋地域を担当します。また,現在セールス組織は世界中で構築しているところです。そこから起きる変化は,リテールやマーケティングサイドにおいて,ゲーマー向け製品に対して,今まで以上,純粋にフォーカスすることです。
 我々は,巨大グループ企業であるWDHの組織に完全に所属することとなり,2020年からよいチャンスが生まれると考えています。製品開発同様,セールス&マーケティングにもフォーカスできます。我々は,よい変化の機会だと捉えています。

James Tio(以下,Tio)氏:
画像(006)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 ゲーマー向け部門とエンタープライズ部門を分割したので,社内は一時的にセールスやマーケティングが不在の状態となりました。そのためWDHは,地域ごとに異なるチームを配置することにしました。それが,私がこれらの地域(アジアと太平洋地域)を統括するため雇われた理由です。米国にもヨーロッパにも新しい仲間がいます。これらの地域が我々のビジネスにおいてフォーカスする地域であり,Michalは重要なお客様をグローバルレベルで統括しています。
 我々がここに来た理由は,異なるステークホルダーと会って,何がもっとできるのかを知るためです。ゲーマー向け部門をもっと推進して,グローバルにもっと投資したいと考えています。eスポーツ分野には,今年も注力していますが,来年はもっとやります。また,ソーシャルメディアにも注力したいと考えています。コペンハーゲンのHQ(本社)では,ソーシャルメディア用にビデオ,イメージもっと多くのコンテンツを持てるよう,マーケティングを再編成しました。

 分割後も,コペンハーゲンのチームは同じチームで,何も変わっていません。HQでは,R&D部門は同じまま,メインのマネージメントも同じで,マーケティングチームも同じ。所属はWDHに完全異動しますが,オフィスは同じで,人々は今までと同じ仕事に従事しています。R&Dが持っているIPもそのままです。したがって我々は,R&Dのクオリティとその能力をシェアし続けています。

Tempczyk氏:
 Jamesが述べた中で重要なのは,エンドユーザーの観点からは何の変化もない,という点です。小売店の同じコーナーに同じ製品が並びます。ブランド全体をサポートする,より大きなパワーを得たというだけです。

4Gamer:
 イメージとしては,Senheiser Communicationsが変わったというより,ワールドワイドでセールスや物流,マーケティング部門に,より多くの仲間が加わったんですね。

Tempczyk氏:
 主な変更はセールス組織です。これまでセールスにおいては,Sennheiser子会社のセールスとともに仕事をしてきました。販売会社や小売店に行くとき,彼らの鞄の中には大抵,ゲーマー向け製品だけでなく,「Momentum」シリーズや「HD」シリーズのような音楽愛好者向けヘッドフォン製品も入っていました。それが今回の変更で,物部さんは鞄の中にゲーマー向け製品だけを入れて日本の小売店を廻るわけです。これによってゲーマー向けセールスに特化することができます(編注:ゲーマー向け製品のサポートもWDH傘下で対応するとのこと)。

Tio氏:
 マーケティング組織は今までの人材に加えて,ゲーム事業に新たな人材を加えたうえで,ゲームに特化して,より多くのリソースと資金を投資できるようになりました。

Tempczyk氏:
 我々はこの変化にわくわくしています。ゲーマー向けコミュニティを興奮させたい。よって私たちはこのメッセージをゲーマー向けコミュニティに伝えてくれるネットワークを与える助けをしてくれるパートナーが必要です。

4Gamer:
 それを伝えるのは我々の仕事,ということですね(笑)。


GSP 370はワイヤレスで100時間駆動を実現


Tempczyk氏:
GSP 370の製品ボックス
画像(009)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 さて,今回は最新製品となるGSP 370を持ってきました。gamescom 2019で発表となったもので,日本での発売時期は未定です。本日(※インタビューは2019年9月下旬に実施)は,まだお求めいただけませんが,メイン機能について説明したいと思います。

 GSP 370は,我々にとって初めてのワイヤレスヘッドセットだった「GSP 670」に続く製品です。GSP 370は,低遅延のワイヤレス接続が可能で,付属するドングル(USBワイヤレスアダプター)を用います。PCやMac,PlayStation 4(以下,PS4)とUSB接続が可能です。PCでは専用ソフトウェアも利用できます。
 バッテリー駆動時間はおよそ100時間です。他のワイヤレス製品と比べたとき,この特徴がGSP 370におけるウリのひとつになると思います。

Tio氏:
 待機時間なら,およそ900時間ですね。

Tempczyk氏:
 サウンド処理機能を組み込んでいて,音の傾向は「GSP 300」と似ています。よりクリスピー(Cryspy,音の輪郭がはっきりした)で,よりベイシー(Bassy,低域の強い)なサウンドで,GSP 500のような開放的な音がするヘッドセットです。
 この製品では,快適性にももちろんこだわっていて,スプリットヘッドバンドやその他の機能が盛り込まれています。製品ボックスの中には,ヘッドセット本体と,USBドングル,いくつかのガイドマニュアルとUSB充電ケーブルが含まれています。

物部氏:
 マニュアルは,他の言語と1つにまとめられているので,今後改良していこうと考えています。

4Gamer:
 GSP 370は密閉型ですか?

Tempczyk氏:
 はい。密閉型です。
 付属のUSBケーブルは充電専用で,有線接続はできません。USBケーブルでPCと接続しても,(データ通信は)ドングルと接続されています。

画像(010)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 ヘッドセットに150〜200ドルもかけるゲーマーにとって重要なプライオリティは何でしょうか? この価格帯で求められているのは第一に快適性です。長時間ヘッドセットを装着して過ごしたいゲーマーにとって,一番重要な機能なのです。
 当然彼らはヘッドセットを長時間使用したいと強く願っているので,(着用していて)暑くなったり,圧迫されたり,不快になったりしたくありません。我々が展開するすべてのヘッドセットと同様に,GSP 370でもイヤーパッドやヘッドバンド,その他の快適性に貢献する機能はプライオリティが高いです。
 一方,サウンドについては,Sennheiserの伝統を引き継いで,我々のテクノロジーをベースとしたスピーカーを使用しています。サラウンドサウンドは,PCソフトウェアが処理します。

 今や我々の製品も,ワイヤレス接続が可能になりました。かつて,ワイヤレスは我々のヘッドセットにおける「ミッシングリンク」でした。我々は,主にPC分野で有線接続ヘッドセットに注力していたからです。また,GSP 300ですべてのコンソール(※据え置き型ゲーム機)に対応できるようになり,「G4ME ZERO,G4ME ONEで,コンソール向けケーブルを用意するようになりました。現在,我々のヘッドセットはすべてコンソール互換です。

 バッテリーの話に戻りますと,GSP 670との違いのひとつは,正確な数値は覚えていないですが,GSP 370はバッテリーが単純に大きくなり,100時間というバッテリー駆動時間を実現しています。

Tio氏:
画像(011)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 重要なのは,バッテリーサイズだけではありません。たとえば,競合他社は非常に大きなバッテリーを積んだヘッドセットをリリースしていますが,GSP 370ほどの駆動時間は実現できていません。我々はBluetooth Low Energy(以下,BLE)によく似た「Low Energy 2.4 GHz RF technology」を採用しており,それが低消費電力を実現している鍵です。巨大なバッテリーは使わないで済むので,軽くなります。

4Gamer:
 軽いですよね。

Tio氏:
 はい。競合製品よりずっと軽いです。弊社製品は軽くて長時間動作します。そして急速充電できます。

Tempczyk氏:
 毎日6時間プレイしたとして,10分の追加充電で1週間プレイできます。急速充電の結果に,我々は非常に満足しています。

Tio氏:
 4日間ノンストップで遊べますよ。眠らず,飲まず食わずでトイレにも行かず,ですが(笑)。

Tempczyk氏:
 先ほど述べたとおり,スピーカーはGSP 300と同じエンジンで,クリスピーかつベイシー,この密閉型ヘッドセットにとても合っています。DACを内蔵しており,よりよいオーディオ処理も実現しています。
 それに加えて,(Sennheiserの)他のヘッドセットでも使用しているのと同じマイクを使用していて,マイクのノイズキャンセレーション機能も搭載しています。他のプレイヤーとプレイしているときに,プレイヤーの部屋で何か音が鳴っていても,友達やチームメイトには聞こえません。

 他のヘッドセットでゲーマーに好評な機能も備えています。マイクのクリックトゥミュートもそうですし,右側エンクロージャにある音量調整ダイヤルもそうです。音量調整ダイヤルは,Windowsのボリュームと同期します。そして無限に回転する仕様のホイールです。他のヘッドセットは,回転角度に制限があります。

4Gamer:
 それはWindowsシステムボリュームに対応したからですね。その場合,無限ホイールのほうがいいです。

Tempczyk氏:
 はい。そして繰り返しになりますが,非常に軽量です。8時間のゲームプレイなどにも適しています。このスプリットヘッドバンドによって頭部はより快適になります。
 それからメタルヒンジ。この製品にも採用されていて,調整可能です。ボールジョイントヒンジと呼んでいます。ボールがヒンジの中に入っていて,(人間の)膝蓋骨のように動作し,顔の形状に沿うよう調整します。これにより,イヤーパッドが顔から浮くことで生じる音漏れを防ぎます。もちろんプレイヤーにとっても快適です。

 それから,イヤーキャップカバーには内側と外側で異なる素材を使っています。汗で蒸れることなく快適です。合皮が直接顔に当たると,とても暑く感じる可能性があるので,「スポーツファブリック」素材を肌に当たる部分に採用していますが,変わらぬオーディオクオリティを維持しています(編注:低音などが音抜けしないことと思われる)。これらすべての要素によって,より快適なゲーマー向けヘッドセットとなりました。

画像(013)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた

4Gamer:
 多分エンドユーザーにとってはGSP 500やGSP 600より快適ですよね。

Tio氏:
 はい。その通りです。

Tempczyk氏:
 より軽量ですからね。GSP 500やGSP 600はよりハードコアなPCゲーマーに向けたワイヤード製品です。一方,GSP 370は,よりお求めやすい価格で,おそらくもっと幅広いユーザー層に受け入れられると思います。

Tio氏:
 そういえば,この音量調整ダイヤルは今回クリックがあるんですよ。ユーザーからクリック感が欲しいとリクエストがあったので。音はしませんがクリック感はあります。

Tempczyk氏:
画像(012)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 これについては,R&Dのストーリーをもう少し説明しておきたいですね。
 最初のサンプルはすごくオイリーな(編注:ぬるぬる動くような)感触だったんです。ユーザーが求める感触について,フィードバックをもらいました。GSX 1000シリーズの音量調整ダイヤルにおける抵抗感についても,多くのリサーチを行って改良しました。簡単に回せてしまうのではなく,適切な抵抗が感じられるように配慮しました。こういう細かいところまで,我々は配慮しています。

Tio氏:
 ディテールが体験を変えることがあります。機能は同じで,スムースかどうかだけなのに,(ディテールに工夫することで)よりプレミアムなフィーリングを得られることがあるのです。

4Gamer:
 「GSX 1000」のボリュームホイールもよい感触でしたね。オーディオ機器みたい。

Tempczyk氏:
 そうです。我々は,古いアナログプレイヤーとかアンプ,ラジオと比べました。そういう製品は,素晴らしいフィーリングを持っているからです。我々が求めるところです。

4Gamer:
 無線接続規格はなんですか? ドングルとの間はBluetooth接続?

Tempczyk氏:
 一般的なBluetoothやBLEではありません。つまり,ドングルなしでワイヤレス接続することはできません。

4Gamer:
 通信距離は10mくらい?

Tempczyk氏:
 8〜10mくらいですね。

Tempczyk氏:
 GSP 300をベースに開発されていますが,素材だったり,イヤーパッドだったりが改良もされています。価格については199ドルですが,日本における価格は未定です。

Tio氏:
 主な違いは価格ではなく,バッテリー駆動時間100時間のほうですね。ゲーマー向けヘッドセットでは初の100時間対応で,しかも低遅延です。


WDHが持つ技術もSennheiser製品に取り込む


4Gamer:
 正直,昨年に企業分割の話を聞いたとき,申し訳ないとは思いますが,ちょっと疑ってました。R&Dのパワーが維持されるのか,とか。

Tempczyk氏:
 (笑)。

4Gamer:
 他社では,普通こうはいきませんよね。今,私が見る限り,分割前よりも活気があるように見えます。セールスチームの活気があるだけでなく,たくさんの製品を開発していますし。

Tempczyk氏:
画像(016)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 大事なことは,Sennheiser社内でゲーマー向け部門ができてから我々が製品を開発してきたのとまったく同じ環境のままで,2020年以降もそうだということです。ゲーマー向け部門は,いつもデンマークのコペンハーゲンにあります。(Sennheiser electricがある)ドイツではありません。すべての人々,すべてのエンジニア,すべての人が以前と同じままです。
 もう一度言いますが,主な変化はセールス組織です。ですので,あまり製品の機能や性能には関係しませんし,エンドユーザーには面白くもない話です。願わくば,我々のセールス能力に変化が生まれればとは思っています。また,カスタマーケアについても,WDH傘下で対応の予定です。

Tio氏:
 もう1つ述べておきたいのは,同じチームで同じR&Dですが,コペンハーゲンのチームは,WDHが持つIPにもアクセスできるようになるということです。次の数年間,より多くのテクノロジーに取り組めるようになります。
 ですので,我々の製品は,市場に受け入れられ続けることでしょう。より多くのテクノロジーがWDHからやってきて使えるようになるからです。もっと多くのテクノロジーがヘッドセットに組み込まれ,より受け入れられる製品となることでしょう。

4Gamer:
 最後にメディアとして,あまりいい気分がよくないであろう質問をひとつしなければいけません。今,皆さんはよりたくさんの製品をより高いクオリティで作ることについてとても自信に満ちあふれています。私もそれを拝見できて嬉しかったです。しかし同時にこうも思うのです。Sennheiserの名前はこの先も必要ですか?

Tempczyk氏:
 (笑)。よい質問です。我々は,Sennheiserとの「トレーディングライセンスアグリーメント」に基づいて,Sennheiserブランドの下でやっていきます。繰り返しになりますが,Sennheiserは,コミュニティに認知されたブランドであり,その高い名声を使用できることは,とても大きなことだと考えています。

Tio氏:
 大切なことは,エンドユーザーが我々をSennheiserだと理解しているということです。今,我々にはゲーマー向け製品のよい経験があります。すべてのゲーマーは新技術を探していて,よりよい製品を求めています。もちろん耐久性含めて,すべてSennheiserのDNAです。
 この先,ブランド名を含めてDNAは引き続き受け継がれると思っています。今のところ分かっているのはそれくらいです。

 一方,我々は他社より技術色が強く,ゲーマーとのコミュニケーションはあまり得意ではありません。一般消費者向け市場でも通じる言葉でテクノロジーを語れるよう,マーケティングの観点から今努力しているところです。

Tempczyk氏:
 我々は,コミュニケーションに関していつも保守的でした。100%そう言っていいか分からないことを,あれやこれや語りたくないのです。
 多くのゲーマー向けヘッドセットが「本物の7.1chサラウンドサウンド」などと謳っているのをよくご覧になるでしょう。我々はヘッドセットで「本物のサラウンドサウンド」なんてものはないと分かっているわけです。それはアルゴリズムです。脳内で起こるのです。我々は分かっていますから,そうやって何かを謳うのは躊躇してしまいますね。
 ですが将来は,もう少しいろいろ言えるようになりたいですね。

Tio氏:
 我々はより責任感の強いブランドです。なので過剰な謳い文句は好みません。GSP 370の場合,実際は100時間より長くプレイできるかもしれませんが,より確実なように,手堅く言います。我々はマーケティングのためだけに不要な謳い文句はいらないのです。ですがメッセージが安全過ぎることもあるので,そこはバランスを取っていきたいですね。

Tempczyk氏:
 自分に嘘はつかないですが,より魅力的に行きたいですね。


画像(018)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 企業分割によって,自前のセールスやワールドワイドのマーケティング部門を用意したことで,Tempczyk氏をはじめとして,皆,高揚感に溢れていると感じたインタビューであった。
 我々を驚かせた企業分割であるが,要は,ゲームを除くコンシューマー向けビジネスへの投資を強めたい独Sennheiserと,ゲーマー向け部門およびエンタープライズ向け部門にフォーカスしたいWDHの思惑が一致して,IPごとゲーマー向け部門を譲り渡したというところのようだ。
 確かにホームオーディオやプロオーディオの世界は,毎年新製品を出し続けるようなものでもないから,ゲーマー向け製品で急成長を続けるSennheiser Communicationsは,Sennheiserにとっても持て余すところがあったのかもしれない。

 とはいえ,キャッシュレスの分割でIPなども無償で引き渡したSennheiserは太っ腹だ。これを理解するためのキーワードは,Tempczyk氏が言った「トレーディングライセンスアグリーメント」であろう。インタビュー中,WDH傘下でビジネスを継続していけることを喜んでいる一方で,引き続きSennheiserの名前を使い続けると力説している点が若干引っかかっていたのだが,この言葉で理解できた。
 Sennheiserは,今後ゲーマー向け製品は自社で手がけなくとも,WDHからライセンス料が入ってくる。WDHは,ゲーム業界でももはや確固たるブランドであるSennheiserの名前を引き続き利用できる。つまり,ブランド変更でどちらも注力したい分野で成長し続けられるというWin-Winの関係なのだろう。
 また,Sennheiser Communications製品は,すべてデンマーク設計とはいえ,Sennheiserのノウハウを直接受け継いでいくわけで,よくあるブランドだけのライセンス案件とは一線を画すことは明らかだ。

画像(017)ゼンハイザーのゲーマー向け製品担当に新ヘッドセット「GSP 370」のポイントと同社のこれからについて聞いてみた
 新しいGSP 370については,これまでの音響機器メーカーらしい重厚長大気味な設計ではなく,ワイヤレスでの100時間動作や,軽量さ,低遅延という,最近のゲーマー向け市場で重視される快適性を優先していることに驚かされた。100時間の動作チェックは非現実的だが,低遅延などはぜひテストしてみたい。

 最後に,WDHのIPを取り込むという話についても補足しておこう。
 WDHは,補聴器の大手ブランドであるOticonを有する企業であり,その補聴器における技術を応用することも期待できる。たとえば筆者は,eスポーツ向けにイヤーピースをカスタマイズするサービスには応用できると考えている。
 SennheiserのDNAを維持しつつ,今後WDHの庇護下でさらに急成長するであろう同社の将来は引き続きウォッチしていきたい。

GSP 370製品情報ページ(英語)

Sennheiser日本語公式Webサイト

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