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ちょうど20年前の1991年,ソビエト連邦が崩壊した。今となっては信じがたい気がするが,それまでは,ソ連を中心とする東側諸国と,アメリカを中心とする西側諸国が世界各地で対立し,一触即発の状態にあった。いわゆる「冷戦」だ。とくにヨーロッパの東西国境は「鉄のカーテン」と呼ばれ,インターネットもない時代,向こう側の状況はまったく分からなかった。国境線の両側には,お互いが強力な軍隊を配備し,いつでも攻撃できる態勢にあった。
だが,ソ連の崩壊によって,そうした状況はまたたくまに一変し,東vs西を軸に置く第三次世界大戦の恐怖は過去のものになった。パリやロンドン,ハンブルグが戦場になる危機は遠くへ去り,世界は平和になったかと思われれた。
しかし,それを快く思わない者達が,まったく新しい形の戦争を仕掛けてきた……。
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2011年11月17日にスクウェア・エニックスから発売される「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3」(日本語字幕版。日本語吹き替え版は12月22日発売予定)は,そんな「21世紀の戦い」を描いた一人称視点のミリタリーアクションだ。
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常に挑戦を続けてきた「コール オブ デューティ」シリーズ
本作の開発は,Activisionの開発スタジオInfinity Wardと,「Dead Space」の開発メンバーを中心に設立されたSledgehammer Gamesが担当するという,かなり贅沢な布陣で行われている。
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「モダン・ウォーフェア」シリーズの第1弾となる「コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア」がリリースされたのは2007年で,2009年までの累計で1400万本以上のセールスを記録する大ヒットとなった。タイトルからも分かるように,同作は「コール オブ デューティ」シリーズの第4弾であり,それまで第二次世界大戦をテーマにしてきた「コール オブ デューティ」が初めて現代戦を描いた作品でもあった。
翌2008年には「Call of Duty: World at War」(日本未発売)がリリースされ,それ以降,「コール オブ デューティ」シリーズと「モダン・ウォーフェア」シリーズが隔年でリリースされるという状況が続いている。このクラスのゲームともなれば,続編のリリースにはそれなりの時間がかかるものだが,「毎年,コール オブ デューティの新作が楽しめる」という,ファンにとってはたまらないシリーズになったわけだ。
販売実績も回を追うごとに上を向き,2010年に登場した「コール オブ デューティ ブラックオプス」が,“北米で最も売れたゲーム”と主要メディアに認定されるなど,日本のスケールではちょっと信じがたい,さまざまな記録を打ち立てている。その最新作が,コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3というわけだ。
ここでは,そのシングプレイについて紹介しようと思う。さまざまな趣向が凝らされたマルチプレイはコール オブ デューティシリーズの大きな魅力だが,確立されたシリーズでありながらもそれに甘んじることなく,毎回挑戦的なことを仕掛けてくるシングルプレイも,毎回の楽しみだろう。
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コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェアを初めてプレイしたとき,その規模感や演出の巧みさに,これ以上の現代戦FPSはそうそう出てこないだろうと思ったが,もしかしたら……という気さえしてくる。なにしろ,第三次世界大戦並の紛争が目の前で起こってしまうのだ。
戦争を裏から手引きしたのは,宿敵ウラジミール・マカロフだ。モダン・ウォーフェアシリーズ第1弾に登場したイムラン・ザカエフの部下であり,“狂犬”とも呼ばれる危険な男。モスクワの空港で彼がしでかしたことを考えると,そんなあだ名もふさわしい。
そんな彼の謀略によってロシア軍が西側諸国に侵攻を開始し,ドイツやフランスが戦場になる。ハンブルグは壊滅し,パリの街角を重戦車が駆け抜け,敵味方の戦闘機が空中戦を演じるという信じがたい景色が見られるのだ。
すでに公開されたムービーなどで知っている人も多いかと思うが,ゲームでは,オープニングの段階ですでに戦端が開かれており,ニューヨーク湾にはロシアの潜水艦が侵入し,摩天楼からは黒煙が上がっているという,まさに,世紀末的情景が展開する。ここでまず,海中からロシア潜水艦に接近する特殊部隊の活躍が描かれる。
主人公となるのはデルタフォースの隊員“サンドマン”。彼以外には,これまでの作品でおなじみのソープ,プライスらも登場するわけだが,例によって,それぞれのシーンごとに登場人物がスイッチしていくという構成になっている。
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これは,2003年に発売された初代「コール オブ デューティ」から続くゲームスタイルであり,その当時のアクションシューティングがもっぱら「主人公一人」だったのに対して,コール オブ デューティは「複数の主人公」を用意するという演出を採用した。
理由として“戦争という複雑な出来事を多角的に描くため”とされており,ゲームのエピグラフにも「一人の英雄によって勝利を得ることはできない」と出てくる。これについては,プレイヤーがキャラクターに感情移入できないという批判もあり,当時の欧米メディアでは賛否が分かれていたように記憶している。
現在,複数の主人公が登場することは,ごく普通のフィーチャーになっているが,そういえば,ミニマップやヘルスメーターなどの表示をギリギリまで削ったゲーム画面や,体力の自動回復など,今では当たり前になったゲームシステムも,私の知る限り,コール オブ デューティから広まっていったものだった。
いずれもプレイヤーの没入感を高めるための先駆的な試みで,そういう意味でも,非常に挑戦的なシリーズと評価できる。
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宿敵マカロフを追って,
タスクフォース141は世界中の戦場へ
うっかり話がそれてしまったが,今回は,ロシア軍の侵攻に対して正面から戦う役割をサンドマンらデルタ部隊が果たし,マカロフの陰謀を阻止するため,世界各地で非正規戦闘を繰り広げるのが,ソープら元「タスクフォース141」の仕事という役割分担になっている。
プレイヤーは,サンドマンとして息をのむような大規模な戦いに参加したかと思えば,ソープやプライスと共に,背後から敵に忍びよりナイフを閃かせる,緊張感の高い戦いに従事したりするわけだ。もちろん彼ら以外にも,さまざまな立場で世界各地の出来事に立ち会っていくことになり,とくに,序章ともいうべき「ACT1」では,主人公とシーンが頻繁にスイッチする。
ちなみに,これまでの作品に出てきた人物も時折,さりげなく登場していたりするので,シリーズを通してプレイしてきたという人は,ちょっと探してみると面白いかも。
![]() シリーズの顔とも呼べる,プライス |
![]() 狂気に満ちたカリスマ,すべての元凶であるマカロフを十字線に捉えた |
冒頭のニューヨーク港が終わると,舞台は一転,アジアの某国へ。本作のストーリーは「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2」を引き継いでおり,前作のラストで瀕死の重傷を負ったソープが横たわる中,プライスらは治療を待っている。するとそこへ,いきなりマカロフの部下達が襲ってくるという,相変わらずスリリングな展開だ。
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ともあれ,前作の一件で国際手配され,大っぴらに活動することができないプライスらの目的はただ一つ,マカロフ抹殺だ。そのためにも,マカロフの陰謀の正体を突き止めなければならない。
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前作のハートビートセンサーのように,今のところ現実には存在しないが,いかにもありそうな最新鋭武器/兵器が登場してくるのも,シリーズのポイントの一つだ。
マカロフの部下と撃ち合いながら,薄暗い倉庫に飛び込んだユーリらの前に,プライスが引っ張り出してきたのは,なんと「UGV」(Unmanned Ground Vehicle)。ガトリング砲とグレネードを装備した無線操作の無人兵器で,卑怯なほど強力だが,もちろん,敵の銃弾を浴び続けていると壊れてしまうので注意が必要だ。このUGVによって血路を開いた彼らは,からくも脱出に成功した……と思いきや。しまった! と,このあたりの盛り上げ方はいつもながら巧みで,月並みなフレーズで恐縮だが,まるで映画の登場人物になったような気分になれる。それも戦争映画というよりは,アクション映画の。
もっとも,(難度にもよるが)撃ち合いそのものは決して簡単ではなく,それなりのスキルが要求される。現れてる敵の数は多く,意外な方向から攻撃を受けてあっさり倒されてしまうことも珍しくない。厳しい局面にさらされることも多いが,それだけに,うまくいったときの達成感は高い。
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マップは基本的にリニアな構造になっており,行くべき場所が分からないといったことは起きない。とはいえ,場所によってはかなり広くなっていて,複数の進行ルートが考えられるため,一本道という雰囲気はあまりない。また,マップにはたまにショートカットが用意されていたりするので,こちらが難しかったらあちらと,いろいろ移動してみよう。突破不能,と感じられたシーンが,位置取りを変えることで簡単になるはずだ。
グラフィックスは,従来作に比べてさらにブラッシュアップされたような印象。ゲーム制作のスタンスはフレームレート維持に重点が置かれており,本作でも平均して60fpsを出している。そして,所定のフレームレートが出せる限り,オブジェクトを増やしていくという考え方で開発されていて,あくまでゲーム性が優先。必ずしも,「光と影がどうこう」という,最先端グラフィックスを標榜する作品ではないのだが,ゲームエンジンには絶え間なく改良が加えられており,シリーズ作品の回を追うごとに,レベルが上がっていることも事実だ。従来作を持っている人は,ぜひ見比べてほしい。
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プライス,サンドマンらの奮戦もむなしく,
世界は破滅に向かってまっしぐら
マカロフの企みを追って,プライスらはアフリカ某国へ。ここでは多数の民兵を相手にすることになるが,たいした敵でないものの,なにしろ数が多いことと,ごちゃごちゃしたオブジェクトが多くて敵の姿が見えにくいことが災いして,なかなかに手強いミッションになっている。だが,なんとか切り抜けて,そこで得られた情報は……。
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さらにロシア政府の要人の乗った飛行機のハイジャックシーン。ロンドンの倉庫街での撃ち合い,そして迫力満点の地下鉄チェイスなど,次々と場面とキャラクターがスイッチし,物語は進んでいく。だが,マカロフの狙いはなかなか見えてこない。
ともあれ,多彩なロケーションを背景にしたミッションには,いずれも,あっと驚かされたり,思わず感心させられたりするような演出が施されている。例えばハイジャック機の不時着シーンなどは,映画でもお目にかかったことのないような出来ばえだ。
そうこうしているうちにマカロフは着々と計画を進め,世界は破滅に向かって突き進んでいく……といったあたりで,「Act1」は終了。いよいよ,本作のメインコースともいえる全面武力衝突が勃発することになるのだが,これ以降は,ぜひ実際にプレイして確認してほしい。いやもう,すごいですから。
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大作ラッシュが続く2011年のゲームシーンでも,一,二を争う期待度を誇るコール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3。ファンはもちろんだが,一人称視点のアクションゲームを新たに始めてみようと思っている人にもオススメできるゲームだ。
実力あるデベロッパが,時間と予算をかけて丁寧に作っているし,このジャンルの作品としてはシンプルなシステムになっているので,余計な操作に気を取られることなく,ゲームおよびストーリーに没頭できる。ビギナーにこそ,良い選択肢だと思う。
上記のようにストーリーはクリフハンガー的で,それほど複雑ではないものの,次はどうなるのかということが気になって,なかなか止めどきが見つからない。モダン・ウォーフェアシリーズ第1弾に登場したジャクソン軍曹や,前作のアレンを見舞った運命を知っているなら,頼もしい仲間達のことも気になってくるはずだ。そして,登場する数々の最先端兵器は,クールであると同時に,現代戦の冷酷さをも感じさせてくれるだろう。
世界中で大ヒットしたシリーズの最新作をぜひ日本語でプレイして,人気の秘密を探ってほしい。
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