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オンラインゲーム界の覇者を目指す男,ネクソンジャパン社長David K.Lee氏インタビュー【前編】――今後のネクソンを,すべてお教えします
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印刷2006/11/30 12:22

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オンラインゲーム界の覇者を目指す男,ネクソンジャパン社長David K.Lee氏インタビュー【前編】――今後のネクソンを,すべてお教えします

ネクソンジャパン代表取締役,David K.Lee氏。いつも意味ありげにニコニコしつつも強い意志を秘めるその顔が,子供のころよくいた,近所の悪ガキを仕切っている(でも先生には怒られない)男の子……に見えて仕方がない。ちなみに,Law Schoolを卒業して弁護士資格も持っている
 ネクソンという名前を聞いて,何を思い浮かべるだろうか。メイプル? テイルズ? マビノギ? 古くからのゲーマーなら,「風の王国」「タクティカルコマンダー」と答えるかもしれない。
 日本のオンラインゲームを,文字どおり黎明期から(若い4Gamer読者の,一体何人くらいが「風の王国」を知っているだろう?)見てきたネクソンジャパン。カジュアルゲーム中心のラインナップなので一見すると気付かないが,ほかのどの会社よりも長い歴史を誇る,日本マーケットにおけるオンラインゲームの“老舗”だ。

 着実に会社は進化してきたものの最近派手な動きがなく,「このあとどうやって日本で展開するのかな」と思っていたのだが,韓国ゲームショウ「G★」で突如炸裂。会場の中心に巨大な目立つブースを構えたのみならず,立て続けに大きな発表を行うという花火を打ち上げたことは,記憶に新しい。

 そのあまりにも多方面にわたる発表に,メディアも業界人もやや困惑気味だったのは否めない。それ以上に吟味できる情報が少ないユーザーに至っては,その全貌をつかむことさえできなかったのではないだろうか。
 そこで今回,無理矢理David社長に時間をもらってインタビューを実施。「ネクソンの今後」を洗いざらい教えてもらうことになった。

 「どうせまたビジネスの面白くない話でしょ」と思うことなかれ,インタビューの内容は多岐にわたって今後の方針が示唆されている。コンソールゲームへの展開,日本での新作の話題,北米マーケットへの展開などを含めた,“切れ者David”の方向付け/本音がありありと分かる濃い内容だ。テキストばかりで申し訳ない。
 そのあまりに長時間にわたるインタビューのため,1回で掲載することは断念した。ネクソン作品のプレイヤーはもちろん,あらゆる人に読んでほしい内容が含まれていると思うので,今回の記事を熟読し,ぜひとも続編も楽しみにしてほしい。(Interview by Kazuhisa,photo by kiki)

>NEXONの将来展望を語る【中編】は「こちら」から
>NEXONの将来展望を語る【後編】は「こちら」から


ダイレクトにズバズバものを言うDavid氏。取材する側としては楽しいのだが,横でそれを聞いていた関係者は冷や冷やしていたに違いない
4Gamer:
 お久しぶりです。直接お話を伺うのは,今年の2月以来ですね。G★はいかがでしたか?

David K.Lee氏:
 よかったですよ。って,あぁ全体についてですか?(笑) 全体は……うーん,正直寂しいという感じはしましたね。E3も東京ゲームショウも同じような感じだったので,これはゲームショウ自体がどうかなっちゃうのかなという心配があるんですけどね。やっぱり4Gamerさんも含めて,インターネットの媒体が,写真や動画まで入れてあまりにも早く情報を公開してるからじゃないですか。

4Gamer:
 今,もしかして私が責められてるんですかね(笑)。

David K.Lee氏:
 いえいえ,そういうわけでは(笑)。ユーザーから見ると,土日のイベントなどに参加するのでなければ,わざわざ行く必要がないんじゃないかなぁという気がしています。今では御誌のようなメディアを含め,インターネットには色々な媒体があるじゃないですか。そういうことを考えても,ゲームショウでやる必要性がどこまであるのかな,と。

4Gamer:
 かもしれませんねぇ。いずれは映画みたいに,一般向けとビジネス向けがキッチリと分かれていくのかもしれません。
 しかしそれにしても今回のG★は,大手オンラインゲームメーカーが軒並み“冬”の時代でしたね。

David K.Lee氏:
 弊社は死ぬほど頑張りましたよ。場所も内容も(笑)。発表もわざとG★に合わせて色々調整したんですけど,ちょっとショウ全体が寂しい感じで残念でした。
 でもオンライン市場は,やはりもっと頑張らないといけないなと思います。コンソールはすでにそうなってるんですけど,最近は物凄くユーザーの学習力というか慣れる速度が速いので,新しいコンテンツを作るのが非常に難しいんですよ。
 昔は半年とか3か月ほど大丈夫だったようなことも,最近では1か月も経たないうちに飽きられちゃって,作る側から見たときに非常に悩ましい。

4Gamer:
 でもNEXONって,“巨艦至上主義”じゃないですよね。巨大戦艦がいくつかあるわけじゃなくて,小さくても強力な駆逐艦がいっぱい並んでいる感じ。そういう時代には良いアプローチなんじゃないでしょうか。

David K.Lee氏:
 そうですね。とりあえず早く作って,やってみて,次にいきましょうという感じで。でも,それでも今はちょっと遅い気がします。もっと色々なことを早くやらないといけないなぁ,と。もちろん,それはちょっと厳しいんですけど。


常に何かのイベントが行われていて,常に人でごった返していたNEXONブース。子供が多いG★の中でも,とりわけ子供率が高かったのが印象的だ


■“冬の時代”におけるNEXONの動き――スタジオ独立
■〜プラットフォームはあまり気にしていません


「あの白いブース,超がんばったんですよ!」と力説。会場ど真ん中というあの位置で,あれだけ真っ白で目立っていれば,十分に効果はあったと思います
4Gamer:
 G★のときに発表された大きな動きについて聞かせてください。スタジオの独立や北米進出,Viacomとの提携とか,あまりにも多岐に渡る話がいっぺんに発表されちゃったので,おそらくユーザーさんもほかの業界の方々も,結局NEXONには何が起こっているの? というのを理解し切れてないと思うんですよ。

David K.Lee氏:
 えーと,まずスタジオからいきましょうか。
 今までの開発部隊が“スタジオ”として整理されたということで,開発のラインを合理的に管理しようということですね。アメリカに作ったスタジオも,その中の一つとして参加することになります。
 で,これはいきなりこうなったというわけではなく,私が2年前からずっと,ハードルシステムなどを含めてシステムの整理をやってきたわけです。そして今回やっとこの制度を発表して,そのスタジオごとのブランドやカラーを出していけるという感じなんです。スタジオそれぞれは結構違う方向性を持っているし,強みもあるし,それらを生かせれば面白いことになるんじゃないかなと思っています。

4Gamer:
 そうですね。割と色の違う分かれ方だった気がします。

David K.Lee氏:
 そもそもスタジオって悪い風習もあって,それぞれが孤立していて,ほかのスタジオとほとんど情報共有とかをしないこともあるんですよ。しかし新しい制度の場合は,毎週プロデューサーミーティングもやるし,マーケティング部隊はすべてを見ています。
 だから,マーケティング部隊とは色んな情報を共有するし,あんまりそういう孤立無援状態にはならないように気をつけてます。

4Gamer:
 会社として独立こそしていないけど,プロセスは完全に独立した感じですね。システム的には,ホールディングカンパニー制に近いですよね。上がすべてを仕切っていて,それぞれの良い所を生かせるように独立させて動かしていくという。

David K.Lee氏:
 そうです。マーケティングやほかの管理関係は同じです。管理系をスタジオに内包するのではなくて,開発のプロセスに関わる人々だけをスタジオ化するという意味で理解いただければよいかと。Alexのスタジオもそんな中の一つです。

4Gamer:
 ん。あれは法人ですよね。NEXONの100%子会社ですか? だとすれば,今後の展開などを見据えると,地味に大きい要素ですよね。

David K.Lee氏:
 そうです,100%です。
 弊社のやり方は「あまり無理をしない」のが一つの鉄則なので,AlexもSteveも,私から見たら非常にリーズナブルな形で迎え入れることができたのではないかと思っています。大きな資金を動かしたり,株を使って買収したりしたわけではなく,いわゆるタレントスカウトみたいな感じですので。

4Gamer:
 北米での反応はどんな感じなんですか?

David K.Lee氏:
 そこからまた新たな組織を作るという話になるので,すでにアメリカの開発者達の反応が非常に良いですよ。やはり,みんなオンラインゲームに興味があると思うんですよね。ただ,これは日本のメーカーさんも同じだと思うんですけど,次世代のコンソールマシンが登場するので,そこに集中しないといけないし,そうなると,どうしても最初は大きな冒険はできないですよね。確実に売れるものを出さないといけないし,ローンチのときはみんな成功したいでしょうし。会社がそこに集中してしまうと,若くて熱意のある開発者達はちょっとつまらないという感じの人もいるだろうな,という思いが一つ。

4Gamer:
 やりたくてもできない状況ですもんね,今。

David K.Lee氏:
 ええ。そして二つめは,MMORPGもそうだしコンソールゲームもそうだけど,開発期間が長くなってるのがよくないです。一つのプロジェクトに対して,コミットする時間がとても長くなるわけなんですよ。
 でも弊社の場合は,そうではありません。比較的に短い時間でコンテンツを作って,次のコンテンツに行ける,そういうメリットがある,それも彼らから見たら興味があるんじゃないかと自分なりに解釈しています。

4Gamer:
 MMOは,今までの北米マーケットだと,1本作るのに3年4年が当たり前という。

David K.Lee氏:
 そうなんですよ。投資も20億,30億,40億……もはやこれはコンソールゲームの大作と呼ばれる作品とほぼ変わらないと思うんですよね。むしろ,リスクが高い。高いというか,もうちょっと激しいというか。
 北米マーケットにしても,ここ2年はWoW(=World of Warcraft)以外には全然振るわないですし,EQII(=EverQuestII)とかもそんなには。EQIIの場合はオリジナルと比べたら,という話ですが。それにしても,これからはMMOはもっと厳しくなるんじゃないかと思うんですよ。

4Gamer:
 まして,開発会社自体が割と吸収合併を繰り返してますよね。最近大きな話ではMythic(=Mythic Entertainment。現EA Mythic)の例もそうですけど。ずいぶんメンバーの入れ替わりもあるらしいですよ。

David K.Lee氏:
 それはしょうがないですよね。ただし,そのあたりを本家EAがちゃんと理解しているかどうか分からないですよね。パッケージゲームであれば,とりあえずブランドを買ってキーメンバーを2,3人握って,それで続編を出せばある程度は問題ないと思うんですけど,これがオンラインゲームということになると,とても難しい。
 ローンチしてうまくいけば,ライフサイクルは少なくとも3年から5年,場合によっては7年くらいいけるので,その中で拡張パックとか続編とかもありますよね。その期間の中で,関わってる人の考えとかも変わってくる部分もあるんですよ。それをうまく運用するのが非常に難しくて,その分はEAさんのハンドリング命,という感じでしょうか。

4Gamer:
 しかしNEXONの場合,ああやってAlexのところを含めて,バックオフィス(=管理部門)以外を独立させているのを見ると,たぶん将来的な展開もああいう形でブランチ(=枝。部門)を増やしていくのかなという気がするんですけど,そのあたりはどうですか?

David K.Lee氏:
 おっしゃるとおりです。アメリカの子会社も設立したし,ニンテンドーDSやXbox 360での開発もあるし,似て異なるものとしてアニメーションとかトレーディングカードなども含まれてきますし,やっとそういう風にブランチを作っていけることができるようになったかなと思っています。
 基本的に中心にあるのはオンラインゲーム開発で,それをベースとしてブランチを作っています。カナダのスタジオの設立,ロスで支社を設立,中国での営業強化などをしていくところなんですよね。台湾でも,ガマニアとの関係が非常にうまくいっています(編注:先頃Kart Riderの契約を発表した)。

4Gamer:
 確固たる柱が一つあるだけに,理想的な展開になりつつありますね。


突如として大きな世界展開を発表したNEXON。元Relic(HomeworldやCompany of Heroesで有名),元EA,そしてViacomと,役者も完璧だ。詳細は「こちら」から


■“冬の時代”におけるNEXONの動き――ニンテンドーDS進出
■〜どっちかだけの片思いだったらうまくいかなかったですよね


David K.Lee氏:
 ええ。そういうことを色々考えると,非常に国際的な良い展開になっているんじゃないかと思ってるんですよ。オンラインゲームが中心ではありますが,その延長線として携帯ゲーム機とかコンソールゲームとかがあって。弊社としてはプラットフォームはあまり気にしていません。インターネットとの繋がりさえあれば,たぶん徐々に手を出していくと思うんですよね。

4Gamer:
 韓国ではみなさんそうおっしゃいますが,実際に手を付けている会社は少ないですよ。

David K.Lee氏:
 コンソールの場合は色々制限がありまして,その調整が非常に難いことが,手を出さなかった理由なんです。任天堂さんとかマイクロソフトさんは,徐々にインターネットの世界に進出するようになってきたんですけど,ソニーさんは未だにちょっと先が見えないところがありますね(笑)。これからだとは思いますが。PS3のローンチで忙しくて,あまりネットワークの戦略が練られていないだけかな,と。

4Gamer:
 でも韓国のSCEは,事実上相当なリストラをかけてて,まるで撤退寸前みたいな状況じゃないですか。ところで携帯電話はどうですか? 機種の違いという問題こそありますが,韓国でも日本でも,あるいはアメリカでもヨーロッパでも,割とワールドワイドで通用するプラットフォームという見方もできますよね。

David K.Lee氏:
 その機種が全然違うという問題がなかなか難しいんですよ。なので,韓国でもモバイルとオンラインゲームの連動がまだまだできていないんです。若干はありますけど。弊社としても,それをちょっと強めていきたいと思っています。ユーザーから見たときに,どこにいても弊社のゲームを楽しめるという環境を作りたいという気持ちがあります。
 それはたぶん,まず本体との連携があると思うんですけど,完璧に同じゲームとしてサービスする必要があるかというとそんなことはないですよね。また例えば,どのゲームをテーマにしてもいいんですけど,PC版のゲームがまずあって,そのゲームとなんの関係もない独立したDS用のゲームを作るかというとそういうこともないと思うんですよ。
 DSのゲームを作っても,弊社としてはオンラインとなんらかの連携がされるように作ると思います。そうでないと弊社として何も面白いことはないですし,そもそもDSのゲームを作ってる会社は一杯ありますし。

4Gamer:
 逆パターンも考えられませんか? DSからPCへの進出みたいな。

David K.Lee氏:
 可能性としてはあると思うんですけど,メーカーさんがそこまでのその意志があるかどうかの問題が大きいですよね。あと弊社がIP(=知的所有権)をもらってまで作業できるのかどうか,とか。
 プラットフォーマーさんは,今はまだそれにあまり興味がないような気がするんです。例えば,任天堂さんの「どうぶつの森」とか,完全にオンライン対応にしたら凄く面白そうな気がするんですけど,そもそも任天堂さんはそういうオンラインゲーム自体に興味がないらしくて。

4Gamer:
 それは以前からよく聞くことですよね。でもNEXONと任天堂の関係はよさそうじゃないですか。任天堂側からアプローチが来たという話を聞いたのですが,本当ですか?

David K.Lee氏:
 またどこからそんな話を(笑)。それは,お互いにというか。たまたま話がこっちに来て,そのときちょうどこっちにもニーズがあったので,多分うまくいったんじゃないかと思います。どっちかだけの片思いだったらうまくいかなかったですよね。ちょうど良いタイミングで話が来たな,という気がするんですよ。
 任天堂さんは,オンラインゲーム――とくにPCのオンラインゲーム――に対しては,参入する気がまったくないらしくて,だからこそ,別々に考えてうまくいけるんじゃないかとも考えてます。当然韓国に打って出たいという気持ちもあると思うので,弊社の韓国でのマーケティング的なポジションを生かしたいという気持ちもあるんじゃないですかね。

4Gamer:
 任天堂が韓国に進出するに当たって,DSが今得意としているジャンルがあるじゃないですか,頭の体操系というか。韓国の人があの手の作品にまったく興味を示してくれないから,どうしても韓国に合う形でのコンテンツが欲しくてNEXONに声をかけたという話を聞いたことがありますよ。

David K.Lee氏:
 理由の一つとしては十分ありえますけど,そこまで強い理由にはなるとは思いません。例えば「脳トレ系」が出る前に,任天堂の人とかが私に「これどれくらい売れますかね?」と聞いたならば,「10万本行けばいいほうじゃないですか?」とか,たぶんそういう反応だったと思います。何が言いたいかというと,私にしたってそういう数値を予測することはできないんですよ。

4Gamer:
 あぁ,なるほど。任天堂はその予想すらできなかっただろう,と。

David K.Lee氏:
 任天堂さんが韓国に進出するにあたっての問題は,主なオーディエンスになるであろう小学生とか高校生とか20代の前半の人とかが,携帯ゲーム機とかコンソールゲーム機を持ってないし,それで遊ぶ文化がないということですよね。ですので,まずその問題をクリアにしないと,そこから先にも進展しないと思うんですよ。それを解決しないといけないという観点が入っているんじゃないですかね,私の勝手な推測ですが。

4Gamer:
 では,期待された御社としては何を手始めに? 「メイプルストーリー」だという情報をキャッチしたんですけど。

David K.Lee氏:
 最初の作品についてはまだ発表できませんよ(笑)。近々発表する予定です。でも期待できる数字や韓国市場との親和性を考えても,メイプルというのは,外から見ると十分アリな話ですよね。

4Gamer:
 状況証拠は,その一作しか指していないんですけどね(笑)。ちなみにメイプルって北米では今どれくらいでしたっけ。200万人くらいとかなんとか。

David K.Lee氏:
 ええ。登録ユーザーは200万人で,同時接続は5万人を超えています。“そこそこの人気”といっても差し支えないんじゃないでしょうか。でもそれはですね,北米だけじゃなくヨーロッパとかほかのところからもたくさん入ってるので。北米だけで考えると,おそらくその数字の2/3くらいじゃないでしょうか。
 逆に言えば,回線環境が良くないはずのヨーロッパからそこまで入ってくるのは,欧州マーケットでの可能性を新たに感じざるを得ません。アメリカにケリをつけてヨーロッパに行かないといけないかな? という気にもなっています。

4Gamer:
 オンラインゲームの覇者はみなそのパターンですね(笑)。


“超大作”というわけではないので目立たないが,実は相当な会員数と収益を誇る「メイプルストーリー」。4Gamer読者にも,ユーザーは相当多い。諸々の状況を考えると,どう見てもDS参入はこの作品からだと思うのだが


■“冬の時代”におけるNEXONの動き――Viacom提携
■〜メディア会社というのは,いまアメリカではすごいプレッシャーを感じてると思うんですよ


4Gamer読者には,その名前はあまり知られていないだろうViacom。公式サイトもご覧のとおりだ。しかし,配下にMTV,neopets,DreamWorks,Paramountなどを抱える,超巨大メディアグループなのだ
David K.Lee氏:
 アメリカを考えると,そのマーケットの可能性は大いに感じつつも負担もあるんですよ,広告宣伝費とか。そのへんで非常に悩んでいたところに,Viacomが入ってきたという感じです。
 Viacomのデジタルコンテンツ収益は5億ドルくらいなんですけど,実際のところ北米には,デジタルコンテンツってそんなにたくさんはないんですよね。そこで一番ショックだったのはMySpaceだと思うんですよ。5000万ドルでNews Corpに負けてしまって,しかもNewsが勝ってから物凄く伸びて,しかもGoogleとの連携をして,もう買収価格の何倍もの価値を生み出している。

4Gamer:
 競っていたのかどうか分かりませんが,もしそうだとしたら,完全にViacomの負け戦ですね。

David K.Lee氏:
 弊社は弊社でアメリカのメジャーな展開が必要な時期だったし,ViacomはViacomで新しい展開が必要なところで。NeoPetsのアイテム課金と弊社のマーケティングのラインとの話を含め,任天堂さんと同じように,ちょうど良いタイミングで話が来たという感じがするんです。

4Gamer:
 Viacomは,割とオンラインゲームにご執心ですよね,最近。Xfireなどもありますし。

David K.Lee氏:
 最近は結構そうですね。でもそれはオンラインゲームではなくて,デジタルコンテンツ全般にいえる話だとも思います。
 とりあえずメディア会社というのは,いまアメリカではすごいプレッシャーを感じてると思うんですよ。ご存じのようにアメリカの19歳〜24歳の男性の場合,テレビを見る時間とゲームをやる時間が同じなんですよ。

4Gamer:
 ええ,ええ。

David K.Lee氏:
 それは,メディア会社からすると致命的ですよね。いずれは,カジュアルゲームやほかのコミュニティサービスによって,女性もそうなると思うんですよ。そしたらもう既存媒体は致命的ですよね。一番狙いたいところなのに。だから今メディアはみんな焦ってるんじゃないんですかね。
 そういうところで,逆に弊社は可能性を感じているわけですけどね。でもアメリカの宣伝広告費用を見たら,なんで宣伝広告でそこまで騒ぐかよく理解できました。桁が違うんですよね。

4Gamer:
 コカ・コーラ1社が動くだけで,全然違いますもんね。そもそもいま20〜30歳の男性読者を捕まえられている既存のメディアはアメリカに一つもなくて,逆にゲームメディアが見直されているという状況ですし。
 ところでViacomとは業務提携ですよね? Viacomクラスの会社と,NEXONクラスの会社が“業務提携”を結ぶのは,先の展開を考えるとちょっとあれ? っと思いました。

David K.Lee氏:
 普通,ちょっと珍しいんですよね。でも先の展開って,今のところFixしたものがあまりないんですよね。たぶんお互いに……なんというんですかね,ちょっとやってみて自分が得る分は得て,みたいな(笑)。
 一種の様子見ですかね,今のところ。でも,十分お互いに意味ある形での業務提携ですし,そこから次にどうなるかと言うのは,まだちょっと微妙です。

4Gamer:
 それはお互い承知の上なんですね。JV(=Joint Venture)作ったりする線はないんですか? そのほうががっつりとした展開が望めそうですけど。お互いにかなりのコンテンツを持っている規模の大きい会社ですし,例えばどっちかがうまく行ってしまったら,すぐ解消されてしまうと思うんですよね,業務提携って。

David K.Lee氏:
 JVに関しては,弊社が最初からNoと言っています。それはやりたくないと。JVは日本でもやったしいろいろと試してみたこともあるんですけど,クリアになりづらい変動要素が多いんですよね。意思決定とかノウハウ共有とかにも色々問題がありますし。
 そこで誰がコントロールを持っているかもとても重要なんですけど,そのJVをどうやって最終的に本社の収益につなげるかというのが非常に悩ましい問題です。IPOさせたとしても最近はいろいろと面倒で大変ですし。仮にできても,そこからがまた大変です。だから最初からJVはNoなのです。

4Gamer:
 では資本を入れたり交換したりという線は?

David K.Lee氏:
 まだそういうことを言うモードではないと思います。まず,今やっていることを成功させよう。それが最初のステップですよね。
 解消のリスクについては,否定はできません。しかしとりあえず3年契約で3本のタイトルが入ってるので,それはとりあえずないかな,と。

4Gamer:
 3年で3本? 割と高速なペースですね。

David K.Lee氏:
 そうかもしれませんね。でもそれぐらいのものがなかったら,先方も興味がなかったと思うんですよ。弊社側としても,単に様子見で組むつもりはないですし,本気じゃないと思われるのも困りますし。

4Gamer:
 確かに様子見てるだけで3年終わっちゃいますよね,今の世界は。


オンラインゲーマー専用のメッセンジャーである「Xfire」。北米を中心に,会員数が爆発的に増加中だ。なんといっても最大の特徴は,「友達の友達がリストに現れる」「ゲーム内にいきなりメッセージを出せる」などのオンラインゲーム特化型機能。このXfireも,Viacomグループだ


■“冬の時代”におけるNEXONの動き――コンソールマーケットへのビジョン
■〜日本のメーカーさんから無視され続けたんですよね


「コンソールマーケットは世界共通のプラットフォームではない」と考えるDavid氏。PCオンラインゲームから発展した特殊事情ゆえか,韓国のVIP達は,みな同様の発言をする
4Gamer:
 ViacomやAlex氏の会社を筆頭に北米展開っていうものを考えていくに当たって,どうしてもコンソールマーケットというのは無視できないと思うんですよ。
 なんというか,韓国では無視していても割と大丈夫じゃないですか。でもこれからはそういうわけにはいかない。そのあたりの展開というのは,今後何か明確なビジョンがあるんですか? DSとXbox 360に関しては発表されてますけど。

David K.Lee氏:
 韓国では,逆に無視したほうが良いかもしれませんね(笑)。
 とりあえずコンソールに関しては,DSとXbox 360を発表して,という段階です。私の個人的な考えですが,弊社の強みであるカジュアルオンラインゲームの層というものと,コンソールゲームユーザーの層というものは,違うものだと思うんですよ。
 例えば,Kart Raiderの登録者数は韓国だけで1400万人ほどいるんですが,ご存じのように韓国の場合は会員登録する場合に国民番号を入れないといけないので,日本でいう“1400万人”とはまた全然違う意味になりますよね。たぶん実数にして2〜3倍くらいじゃないでしょうか。韓国の人口が4500万人ですから,その1/3が登録しているということなんです。

4Gamer:
 1400万人ですか……。

David K.Lee氏:
 しかし,日本でPS3も含めてコンソールが人口の1/3――4000万台――売れるのかというと,それはないんじゃないかと思うんです。半分売れたとしても2000万台。コンソールの次世代機3機種合わせて,日本で4000万台売れるでしょうか?
 あと最近日本の場合は,DSみたいな例もありますよね。DSのユーザーが,みんながみんな最初からゲームボーイなどの携帯ゲーム機とかをやってたかというとそうでもなかったと思うんですよ。一度もゲームをやったことないとか,昔は遊んでたけど,今は難しいし時間もないしやめちゃって,また戻ってきたという人などが結構いると思うんです。むしろ弊社としては,そういうオーディエンスが狙いかな,と思っているんです。そっちのほうが,コンソールユーザーを合わせたよりももっと大きいでしょうし。

4Gamer:
 あぁ……なるほど。おっしゃりたいことが分かりました。そもそもプラットフォームというものは副次的要素に過ぎないものなんですね,御社にとって。

David K.Lee氏:
 それはMMORPGに関しても同じですね。1400万人のKartRiderユーザーがLinegeIIをやったことがあるかというと,そんなことはないと思います。あとDSはそもそも開発に費用が掛からないプラットフォームだし,Xboxの場合はDirectXなのでポーティング(=移植)が簡単にできますし,そういう意味もあるんですよね。コストも考えながら,今のPCを基準とするオンラインゲームの延長線として,ほかのプラットフォームも使っていく,と。そういうマーケティング的な考え方なんですよね。今後もその方針は変わらないと思います。

4Gamer:
 今までの既存の考え方のように,たとえばPS3なりXbox 360なりっていうものを世界共通のプラットフォームとして捉えているから進出する,というエクスキューズじゃないんですね。

David K.Lee氏:
 違いますし,それはAlexも同じです。
 Relicという元のAlexの会社もPCの会社でした。その関係でXbox Liveとかでマイクロソフトと話がうまく整理されて,無料ダウンロード方式で展開して弊社的にもビジネスモデルが成立するのであれば非常に興味があるし,それでそれがPCとかも連携して一緒にプレイできるのであれば非常に興味あります。
 しかし例えば,マイクロソフトがGears of WarでXboxユーザーしか遊べないようにしてあったり,ゲートキーパーとして何十%くれ,という話になったりすると,お断りしますといって終わると思うんですよ。

4Gamer:
 コンソール業界のルールを持ち込まれても困ります,と。

David K.Lee氏:
 世界共通のプラットフォームだから進出しないといけないとか,今後のことを考えると必ずやらねばならないだろうとか,そういうプレッシャーは全然ないですよ。そもそも,パッケージを売らないと成り立たないビジネスモデルになってる時点で興味がないです。

4Gamer:
 上納金も高いですしね。しかしコンソール進出を明言しているからには,パッケージ販売という条件を飲んでいるとしか思えないのですが。

David K.Lee氏:
 そのとおり,上納金が高いですね。そこまでユーザーから投資してもらってゲームを楽しんでもらうというのは,ちょっと難しいという気がするんですよ。だからPCという主軸は変わらないと思います。ちなみに出すときにはパッケージ販売ですよ,さすがに。仕方ないですし。

4Gamer:
 仕方なく,ですか(笑)。


脅威のオンラインゲーム「Kart Rider」(左),ほかは,Relicの作品「Company of Heroes」(中央)と「Homeworld2」(右)。Relic出身のAlexが,一体どんな作品を作ってくれるのか。それは,次回の記事で明らかになる


「なんか急にみんな気付いちゃったんですよね。放っておいてくれてよかったのに(笑)」 いやいや,それはさすがに無理でしょう……
David K.Lee氏:
 現状そこに選択肢はないので,できる限り安く売れればいいな,とは思っていますが。
 あと,カートリッジを買ったとしても,そこらのカートリッジでは得られない,何かオンライン上でのベネフィットをあげたいな,という気持ちがあります。ほかのメーカーさんには,それはそうそう出来ることではないですよね。

4Gamer:
 しかしコンソールの開発までというと,日本の開発会社を無視できないと思うんですけど,どうですか? いくつかすでにコンタクトを取っていると,やんわりと風の噂には聞いています。

David K.Lee氏:
 日本の開発会社ですか? うーん,開発をするとしてもPC版になると思うし,初めての新しいタイトルをコンソールで作ることはないと思うんですよ。手を組んで新しいタイトルを作ったとしても,それはPC版だと思います。それは断言できます。
 でも確かに,最近コンタクトが多いのは事実ですね。非常に嬉しい話でもありますし,ちょっと怖い話でもあります。

4Gamer:
 怖いというのは?

David K.Lee氏:
 3年前に私がNEXONに入社してからしばらくは,アメリカもそうだったんですが,日本のメーカーさんから無視され続けたんですよね。そのときはちょっとショックだったし,ちょっとムッときたんですけど,逆にそれがちょっと嬉しいというのもありました。なぜなら,彼らはみな一様にオンラインゲームの可能性やノウハウに興味を持っていないということの証明ですから。ホッとしていたんです。

4Gamer:
 まだみんながほとんどオンラインの可能性に気付いていなかったころですね。

David K.Lee氏:
 でも最近,EAさんやスクウェア・エニックスさん,コーエーさんなどの動きを見ていると,やはりもうすっかり気付いてきたなという感じがします。最初のうちは,「我々だってやろうと思えばいつでもできるよ」という雰囲気だったんですよね。できるんだけど,ただやってないだけ。自分の選択でやってない,どうせ大したことじゃないだろ,という。
 でも最近はすっかり変わりましたね。やっぱりオンラインは違う。何かが違う。成功するにはどうすれば良いんですか? というアドバイスを求めるような質問も多いです。その質問も段々と内容が細かくなってきて,そこまで教えるわけにいかないでしょ,というものまできてます。逆にそれは,本格的に考えている証拠なんですよね。こちらの立場からみれば,昔のほうがよかったなぁ,と(笑)。

4Gamer:
 気が楽だったな,と(笑)。でもCJ Internetの社長も言ってましたけど,運営のノウハウとかを考えると,まだまだしばらくは安泰じゃないですか? 例えば運営体制一つとっても,凄い時間がかかるじゃないですか,整えるまでに。

David K.Lee氏:
 いやあ,どうなんですかね。MAXで2年くらいかなと思うんですよ。それ以上の時間はないと思います,私としては。
 誰がなんと言っても,開発の底力というか,今までの経験もありますし,資本力もあるし,なにより今まで積み重ねてきたIP(=知的財産。この場合,今までのゲームタイトルなどを指す)とかもありますので,それは一瞬でカバーできると思いますよ,彼らが本気を出したら。

4Gamer:
 それは私も思います。本気出したら瞬間で追いつけるんじゃないかなぁ,と。

David K.Lee氏:
 ただし,そこまで本格的にやるつもりなのかどうかまでは,まだ分かりません。一つ良い知らせがあるとすれば,このタイミングで新しいコンソールプラットフォームが出てきたことですね。みんなそちらに集中するしかないですよね,今しばらくは。

4Gamer:
 追い風と言うか向かい風というか。NEXONから見たら追い風になるのかな。

David K.Lee氏:
 私から見たら追い風ですかね。その流れがなかったら2年程度だと思うんですけど,それがあるがゆえに3〜4年まで延びたかな,という感じがします。どこかのタイミングで彼らが色々なものを諦めて,「オンラインゲームに本格的に投資をします」ということになると,それは非常に怖いですね,私としては。

−−以下,次回に続く(2006年11月27日収録)


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