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 潜望鏡やチキン人形,犬かきコントローラ,そしてロボット。学生によるユニークな取り組みを紹介[TGS2026]
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印刷2026/09/26 14:31

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潜望鏡やチキン人形,犬かきコントローラ,そしてロボット。学生によるユニークな取り組みを紹介[TGS2026]

 「東京ゲームショウ2026」には学校が出展することもある。そのなかから,特にユニークな取り組みを紹介していこう。インディーゲーム界隈でブームとなっている,特殊な自作入力デバイスを使った作品も取り上げている。潜望鏡,お腹を押すと鳴くチキン人形,犬かきコントローラなど多種多様で,その個性と勢いには目を見張るものがある。


去年は「鉄騎」,今年はロボット! デザイン科から建築設計科まで,学内を巻き込んだロボ作り


 専門学校国際理工カレッジのブース。2025年の「東京ゲームショウ」では伝説の「鉄騎」コントローラを使ったコクピットとロボットゲーム「Mars Cavity」を展示して話題を集めたが(関連記事),今年はロボットが登場した。


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 デザインは昨年の「Mars Cavity」に登場する機体と同じで,真っ赤なボディ,武器と一体化した両腕,戦いのなかで汚れた装甲,脚部を支えるシリンダーなどディテールは細かい。リアル系の戦闘ロボが現実にいるわけで,メカ好きにはたまらないだろう。
 加えて,このロボットは人間が近くに来たことを感知し,顔となるディスプレイにアバターが出現してパイロットとしての適性を診断してくれるのだ。
 「Mars Cavity」本編との連携要素はないものの,来場者をゲームに誘導したいということで実装された機能だという。ロボットが立っているだけでも目をひくのに,よく見ようと思って近づくと美少女から声をかけられるのだからインパクトが大きい。取材中,筆者の目の前で驚く来場者が何人もいて,宣伝効果は抜群だ。

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 コクピットとロボットゲームを出展して好評だったことから,「次はロボットを出そう」という企画が,昨年の東京ゲームショウ終了直後にスタートしたという。
 体制はコクピットと同様で,デザイン科がデザインを手がけ,先生が強度に関するチェックをしたうえで,建築設計科がパーツの作成や組み立てを行った。木の骨組みに3Dプリンタで作った外装を被せていく方式を取ったことで,「強度」と「細かいディテール」という要件を満たしている。
 外装の数は200を超えており,6台の3Dプリンタをフル稼働させたそうだ。

ロボットの脚部(上)と,その内部(下)
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 昨年との大きな違いは,自立について考えなければならない点だった。
 コクピットは安定した形をしていたが,ロボットは2本足で立たなければならないため,自立を重視した現在のデザインが採用された。
 設計や強度など,さまざまな問題を学内で解決できるのは,多彩な学科のある同校ならでは。足1本の骨組みだけで120kgあり,これは,倒れないようにあえて重くしているからだ。
 こうした工夫は専門知識があってこそで,素人にはとても扱えないことが分かる。当初はアンカーを打ち込んで支える予定だったが,制作を進めるうちに,支えなしでも自立できると判明したという。
 なお,「Mars Cavity」には第2形態のボスを追加し,敵の種類を増やし,ランキング機能を実装するなどアップデートが行われている。学内では,「Mars Cavity」ユニバースともいうべき世界が作られており,東京ゲームショウのたびにそれが広がっているわけだ。今後の取り組みにも注目したい。

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こちらは昨年も展示された「鉄騎」コントローラを使ったコクピット。プレイできる「Mars Cavity」はアップデートされた
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潜望鏡,チキン人形,犬かきコントローラなど,愛知工業大学のブースは今年も賑やか


 愛知工業大学には「学生チャレンジプロジェクト」があり,学生がものづくりをする際に学校からのバックアップを受けられる。この制度を使った,ユニークな入力デバイスのゲームが出展されているのだが,今年も面白い作品が揃っていた。

愛知工業大学ブース。今年もゲームの日替わり展示が行われた。開催日が1日短縮された関係で,9月20日はゲームをどんどん入れ替えたという
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●潜望鏡を覗いて敵を偵察する「深海の潜望鏡」 入力デバイス:潜望鏡

 「深海の潜望鏡」の入力デバイスは潜望鏡だ。
 スコープを覗き込むと,そこには大海原が広がっている。プレイヤーは潜水艦のクルーとなり,海を行き来する敵艦の情報を掴むのだ。

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 敵艦を探すには,潜望鏡を回転させる必要がある。腰をかがめた状態で360°グルグル回す動きには臨場感があり,ゲームに没入できる。
 潜水艦ゲームには,魚雷で敵を撃沈するものが多いが,上にも書いたように,本作は情報を集めることが任務だ。敵艦は赤,青,黄のライトを組み合わせた発光信号を出すため,これを記憶して送信する。入力に使うのは,潜望鏡のレバーにしつらえられた赤,青,黄の3つのボタン。
 「赤,青,赤,黄。赤,青,黄……」と暗記したはずが,いざ送信するとなると記憶が飛んでしまうなど,思ったようにいかないところが面白い。

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 「潜望鏡を使ってゲームを作りたい」というアイデアで企画がスタートしたが,魚雷で敵船を沈めるようなシステムは直感的ではない,ということで現在の形になったという。
 潜望鏡の基部は昨年出展したチームから譲り受けたもので,その上に木や段ボールで構造部を作り上げた。内部に仕込まれた9軸の加速度センサーが潜望鏡の角度を検知し,ゲームに情報を伝えている。当初はロータリーエンコーダを使ったが,ゲーム内の視点がスムーズに移動しなかったことから加速度センサーにしたそうだ。


●リアル犬かきでおもちゃを集める「Swimming Dog」 入力デバイス:犬かきコントローラ

 「Swimming Dog」の主人公は泳ぐ犬で,飼い主がプールにおもちゃを投げ込むので,これを拾うのが目的になる。犬の泳ぎ方は,もちろん「犬かき」だ。
 大型コントローラの左右に付いたハンドルをぐるぐる回すと,犬の手が自然に犬かきのように動くわけだ。

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 前進するだけなら両ハンドルを同時に回せばよく,左に旋回したければ右ハンドルだけを回す。このように,移動方向によって回し方を変える必要が出てくることがポイントだ。
 ハンドルの回転半径は割と大きく,回すにはちょっと体力がいる。加えて,画面内の状況に応じて前進,旋回,後退と回し方を変えなければならず,ゲームを遊んでいると,やがて,犬かきに集中している自分に気づく。
 ディスプレイの位置もちょっと低く,これはまさにプールを泳ぐ犬の視点だ。没入感はかなり高く,犬かきそのものが楽しく感じられて,夢中でハンドルを回してしまう。
 空から鳥に攻撃されるのを避けたり,犬がランナーズハイならぬ犬かきハイに突入したりと,ゲーム的なフィーチャーも山盛り。ゲーム内でカメラを拾うと,プレイヤーの写真が自動撮影され,これに犬の鼻や耳を付けてプリクラ風に仕上げるというサービスもあり,エンタメとしての完成度が高いと感じられた。

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犬かきコントローラの“耳”部分にはカメラが取り付けられている(上)。ゲーム内でカメラを拾うと,コントローラのカメラがプレイヤーを撮影する(下)
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●力士になり,相手力士を突っ張りで吹っ飛ばす「突っ張れ 横綱相撲」 入力デバイス:突っ張り

 「突っ張れ 横綱相撲」でプレイヤーは力士となり,相手力士と対決する。
 入力デバイスは突っ張りコントローラ(会場のインストカードには「腕型コントローラ」とあった)とでもいうべき,手のひらが付いたもので,この手のひらに対してバシバシと突っ張るわけだ。

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 画面内では,対戦相手の力士が突っ張りを返してくる。相手の突っ張りが自分の手のひらに重なった瞬間,突っ張りコントローラを突いてこれを迎撃するのだが,相手力士がフェイントをかけてくることもある。
 フェイントは赤い手のひらで表され,こちらは突っ張ることなくスルーしなければならない。こうしたやりとりを続けるうちに相手が怯むので,ここぞとばかりに突っ張りを連打してやるのだ。

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 突っ張りコントローラはガッチリした木箱でできており,力を入れて突っ張っても大丈夫。手のひらの裏には大きなスプリング,木箱にはボタンが仕込まれており,突っ張りでボタンを押すという仕組みだ。
 ボタン乱打ではなく,タイミングが重要な突っ張り合いと,相手が怯んだときの連打のコントラストが面白い。

 開発チームはゲーム作りの初心者だそうで,高度なセンサーを使ったのでは出展に間に合わないと考えたことから,ボタンを押すシンプルな形式が選ばれ,モチーフは相撲に決まったとのことだ。
 特殊入力のゲームでは,プレイヤーが想定外の動きをすることを考慮しなければならないが,モチーフとルールがシンプルな本作では,そうしたイレギュラーも起きなかったという。

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●トルコアイスの販売パフォーマンスを再現,お客の手からアイスを守る「トルコアイスをとることさせない!」 入力デバイス:棒

 トルコアイスを売るとき,先端にコーンを付けた棒をくるくる回してフェイントをかけ,お客になかなか渡さないというパフォーマンスが定番だろう。「トルコアイスをとることさせない!」はこれをゲーム化した作品だ。

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 入力デバイスである棒を回すと,画面内でアイスのコーンも回る。周囲から伸びてくるお客の手を避け続けるのが目的になる。
 棒には重みや手触りがあり,くるくる回す行為には理屈抜きの面白さが感じられる。ふだんならむやみに棒を回すと怒られるものだが,このときばかりは,いくら回してもOKだ。
 ゲームが進むと常軌を逸した数の手が迫ってくるため,右に回したり,左に回したりして対処する。アイスにお客の手が触れてもゲームオーバーにはならず,プレイ時間いっぱいまで棒回しができるのも嬉しいところだろう。
 もちろん,この棒は実際のパフォーマンスで使うものではないが,トルコアイスの職人になったような気分を味わえる。このあたりは,見立てやごっこ遊びの面白さと呼べそうだ。

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 ゲームを考えたきっかけは,まさにトルコアイスのパフォーマンスを見たことだという。
 棒の中にはマイコン「M5Stack」がセットされていて,回転を検知する。棒の回転と画面内で回るアイスがうまく同期しなかったり,手が伸びてこない安全地帯ができてしまったりという苦労があったそうだ。

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●ミシンの針になって,布を縫う「一針同体」 入力デバイス:布,板

 「一針同体」は,プレイヤーがミシンの針のように素早くジャンプすることで布を縫っていくというゲームだ。

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 ミシンを動かすために体を使うというのは,昔懐かしい足踏みミシンのようだが,本作では,足踏みミシンよりも小刻みにジャンプしなければならない。
 高速で上下するミシンの針になるためには,自分の足をダダダダダっと動かす必要があるわけで,これはなかなか大変な仕事だ。リズムに乗って針が軽快に進むこともあれば,しっかり跳ねたつもりが空振りに終わることもある。
 それだけに,うまくいったときは気持ちがいい。どうやらジャンプの間隔によって縫い目の細かさも変わっていくようで,細かい縫い目になればなるほど嬉しくなってくる。
 画面内では,自分が縫い進めるべきコースが示されており,これに合わせて針の進行方向を変えなければならない。布を動かすのは実際のミシンの操作そのままで,実に直感的だった。

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 意外なことに,開発チームは当初,本作とは別のゲームを制作していたという。開発が行き詰まったとき,「ミシンの針になって身体を動かせば面白いのではないか」という意見が出たことから本作が生まれたのだそうだ。
 足の部分には,2枚の板の間にスプリングとボタンが仕込まれていて,プレイヤーが跳ねることでボタンを押す仕掛けになっている。押したときにはミシン針のような音がするが,騒がしい会場では聞き取りづらかったという想定外の事態が起きたとのこと。
 布の下には板と回転台があり,プレイヤーが布を回すとマイコンが回転を検知する。プレイ中に配線が外れることもあって,このあたりは今後の課題とのこと。

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●食われる前に逃げ出し,ビームを放って自由を掴む「チキンシューティング」 入力デバイス:チキン人形

 養鶏場のチキンになり,食われる前に逃げ出すのが「チキンシューティング」の目的だ。
 入力デバイスは,お腹を押すと鳴く,おなじみのチキン人形。手に持った人形を動かすと,画面内の照準が連動する。これでネコやヘビなどの天敵に狙いをつけ,お腹を押すと出るビームで倒していく。

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 チキン人形はお腹を押して遊ぶものだが,本作ではビームが放たれるのだから,楽しさも2倍になる。チキン人形の向きを変えると照準が動くというのも直感的で,説明を受けなくともプレイの方法が分かる。
 チキン人形は羽もなく鳥肌むき出しのかわいそうな姿で,食われないために戦う設定にも感情移入できる。ミスするたび,画面内のチキンたちが減っていくのがなんとも哀れで,次は頑張って狙おうという気持ちにさせられるのだ。

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 制作者は子供の頃からチキン人形で遊んでいたという。これを入力デバイスとして使用するため,「音が鳴る」という,もともとの仕掛けを活かしたシューティングゲームとなった。
 チキン人形自体には何の改造も施されておらず,スカーフの下に隠されたM5Stackがチキン人形の向きと鳴き声を検知している。当初はチキン人形に赤外線センサーを入れるなどの方法も考えたが,来場者が持っているカメラにも反応してしまうため,現在の形になったとのことだ。
 音を利用するだけに,周囲の環境から受ける影響は大きく,いくら鳴かせても反応しなかったり,逆にビームが出っぱなしになったりというハプニングもあった。
 そのため,早い時間に来場し,環境にあわせて閾値を変えなければならなかったという。苦労のかいあって,来場者からの評判は上々で,将来的には無線接続にしたいとのことだ。

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 学生のアイデアによるさまざまな作品に出会えるのも,東京ゲームショウの魅力の1つだろう。
 特殊な入力機器や学生らしい情熱にあふれた作品などを見ていると,背筋が伸びるような気持ちにさせられる。今後も東京ゲームショウで個性的な学生作品が見られることを期待したい。

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こちらは女子美術大学の「JOSHIBI_GAMES powered by AISIS」ブースに展示されていた「まっぱっぴ!」。全裸の宇宙人たちが住む星に行き,服を作ってあげるというゲームで,ペイントツールで服を描く。ほかのプレイヤーが作った服がランウェイで表示される仕掛けもあって面白い
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同じブースの「Draw Up!」は,お題に沿った物体をマウスで描き,崩れないように積み上げていくというゲームだ
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