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「Out of Words」は,デンマークではストップモーション・アニメーションを使った人形劇の作家として活動を続けてきたエッティンガー氏のスタジオWired Flyにとって初のゲームプロジェクトだ。彼の友人である詩人のモルテン・スンダーゴー(Morten Søndergaard)氏とともに,長年にわたってコンセプトを練り上げてきた作品となる。
そこに,これまで2019年の「Felix the Reaper」などいくつかの作品で経験を積んできたゲームスタジオKong Orangeが加わり,それぞれの持ち味を出し切っている。
物語の主人公になるのは,幼なじみで仲良しの13歳の少年「カート」と少女「カーラ」だ。思春期になったある日を境に言葉を失ってしまった2人は,口さえも閉ざされたまま,言葉と意味の世界「ヴォキャブランティス(Vokabulantis)」に吸い込まれてしまう。そこで,言葉を使わずに意思の疎通を図りながら,謎解きやプラットフォームアクションに挑んでいく。
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「Out of Words」におけるストップモーション・アニメーションの制作プロセスは,まさに「伝統的な職人技」と「最先端のデジタル技術」が力技で融合した,気の遠くなるようなアプローチによって構築されている。
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ストップモーションとは,物理的に作成した人形やアイテムを制作者の指で動かしながらフレームごとに撮影してアニメーションを作り出していくというものだ。
Wired Flyでは特製のターンテーブルやコントロールアームを備えた2基のスキャンリグが設置されており,クレイ(粘土)やパペットの質感,小さなボルトや衣服のしわにいたるまで多角的に撮影し,Unreal Engine 5内で「デジタルツイン」化している。これにより,ストップモーション特有のあの独特なコマ撮りのブレや温かみを維持したまま,プレイヤーがキャラクターを自由に操作できる仕組みを実現している。
もちろん,テクスチャは動かない細部に至るまでフォトグラメトリによって作成しているため,キャラクターと背景が完全にマッチングしており,実際にストップモーションのアニメ映画の中でキャラクターをインタラクティブに動かしているような,絶妙な錯覚を受けた。
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実際にどれくらいの期間を使って開発が進められてきたのかまでは聞き出せなかったが,Wired Flyのもとには続々と経験豊富なアニメーターが集結している。「ひつじのショーン」で知られるイギリスのAardman,「コララインとボタンの魔女」を手掛けたアメリカのLaika,そしてブロック玩具のThe LEGO Groupの映像作家ら総勢40人が参加し,粘土をこねたり,人形の衣服をしつらえたり,1コマずつ撮影していったりと,アナログとデジタルを駆使した環境下で開発が進められてきた。
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特に驚かされるのが,カットシーンのキャラクターの表情だ。鼻から下を動かさないカートとカーラだが,その表情は非常に豊か。過去に公開された動画では,驚いたときに眉毛を吊り上げたり,疑わしく思うときに片方の眉だけを上げたりするアニメーションを,マグネットで人形に装着する仮面を数十個も用意することで作り上げている。眼球もフレームごとに動かし,瞬きもできるように紙製の瞼も独立して機能するという細かさだ。
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筆者の質問に対してエッティンガー氏は,こうしたひと手間もふた手間も加えた下準備を行うことで,「特定のアニメーションを作り直す場合,3Dグラフィックスを使った一般的なゲームと比べても4倍の速度で修正することができるようになっている」とその実力を披露していた。YouTubeの「Out of Words」公式チャンネル(リンク)では,こうした作業過程が細かく紹介されているので,興味のある人はチェックしておくといいだろう。
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詩人のモルテン・スンダーゴー氏が脚本を務めるというのは,「Out of Words」(言葉で表現できない,などの意味)というゲームのストーリーにおいては非常に象徴的だ。思春期になった途端に,お互いへの感情を表現できなくなってしまったカートとカーラのストーリーは,要するに成長とともに互いへの思いやりが恋心だったことに気づいていく物語だ。
つまり,お互いの気持ちをうまく表現できなくなってしまったという淡く切ない物語なのだが,それは同時に多くの人が共感できることでもあろうし,詩人であるスンダーゴー氏が言葉のなくなった主人公たちの物語を描くというのも面白い。
本作のストーリーは,バイクに乗って颯爽と登場する「多色の王子(Prince of Many Colors)」らNPCたちの会話で表現されており,やがてカートとカーラが,お互いの感情を表現できる言葉を探求していくことになるのだ。
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「Out of Words」のゲームプレイは,基本的には左から右へ進んでいくプラットフォームアクションだが,2人のプレイヤーがそれぞれのキャラクターを操作し,うまく協力して難関を乗り切ったり,パズルを解き明かしたりしていく必要がある。
男女でプレイするにはぴったりのゲームと言えそうだが,そのストーリーを聞く限り,家族や男同士のプレイではエンディングに近づくに従って,少し照れくさく感じる展開になるかもしれない。
Epic Games Storeページ(リンク)の情報によると,現時点では英語のみのサポートとなっているのは残念なところ。ただ,筆者が記憶する限りでは,1998年にPlayStation向けにリリースされた「クレイマン クレイマン」以降,2024年の「Harold Halibut」など力の入ったストップモーション・アニメーションのゲーム作品はそれほど多く生み出されておらず,プレイしてみたいというゲーマーは多いはず。
気になる人はウィッシュリストに追加して,2026年中の発売までその動向をチェックしておきたいところだ。
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