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手に汗握る格闘ゲーム体験をボードゲームで。「GUILTY GEAR -STRIVE- The Board Game」のプレイレポートを掲載
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印刷2024/08/19 13:33

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手に汗握る格闘ゲーム体験をボードゲームで。「GUILTY GEAR -STRIVE- The Board Game」のプレイレポートを掲載

 現地時間の2024年8月1日から4日までの期間,インディアナポリスで開催された北米最大のアナログゲームイベント「Gen Con 2024」では,会期中さまざまな参加型イベントが開催されていた。なかでも新作タイトルの体験会はどこも大盛況で,ボードゲームからテーブルトークRPGまで幅広いジャンルの試遊が可能となっていた。

多くの体験会が開催されていたLucas Oil Stadium。メイン会場のIndiana Convention Centerに隣接するこの建物は,普段はアメリカンフットボールの試合が開催されている。そこを貸し切ってアナログゲームを遊ぶのは,なんとも贅沢な体験だ
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 本稿ではアメリカに拠点を置くボードゲームメーカー,Level 99 Gamesが開催していた新作カードゲーム「GUILTY GEAR -STRIVE- The Board Game」の体験会に参加してきたので,そのプレイレポートをお届けしたい。
 その名のとおり,アークシステムワークスの対戦格闘ゲーム「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐」を原作としたカードゲームで,同作のファンにとっても納得の完成度だったので,その魅力をお伝えしていこう。

※本稿に登場する作中用語はすべて英語版のものです。今後発売される予定の日本語版とは異なる可能性があります。


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 Asobitionは2023年8月24日,アークシステムワークスの対戦格闘ゲーム「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐」を原作とするボードゲーム「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐ The Board Game」日本語版を制作し,クラウドファンディングを実施すると発表した。

[2023/08/24 02:52]

「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐ The Board Game」公式サイト



格闘ゲームとカードゲーム,意外な組み合わせだが美しいルールの調和


 本作はキャラクターごとの構築済みのデッキを用いて,相手のライフポイントを削りきることを目指す,1対1の対戦型カードゲームだ。今回の試遊では,ギルティギアシリーズの代表的なキャラクターであるソル=バッドガイカイ=キスクが使用可能だった。

格闘ゲームで重要なキャラの立ち位置はプレイマット上でカードの位置として表現され,移動可能スペースが有限であることで「画面端」という概念も再現されている
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 手番中にできることはいくつかあるが,基本となるのは手札から1枚のカードを選択し,伏せた状態で出す「Strike(攻撃)」と呼ばれる行動だ。カードには,キャラクターが持つさまざまな攻撃や必殺技,あるいは“投げ”やガードといった,格闘ゲームでおなじみの行動が描かれており,「Strike」ではこれを繰り出すことになる。

 そして一方のプレイヤーが「Strike」を宣言した場合,相手側もこれに応じ,手札から1枚選んで出さなくてはならない。このときの双方のカードを比較して,攻撃の成否が決定される。本作の基本メカニクスは,この“じゃんけん”の繰り返しなのだ。

 とはいえこの“じゃんけん”は,単なるカードの強さ比べには止まらない。カードには,それぞれ「Range(射程)」「Power(攻撃力)」「Speed(速さ)」「Armor(防御力)」「Guard(耐久力)」のパラメータが設定されており,「Strike」の解決はこれらを使って行われる。

キャラクターの行動が描かれた本作のカード。「Strike」に使う場合は上段の「Gun Flame」の効果が適用される。下段の「ROCK YOU」は,後述する「Boost」に使った場合の効果だ
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 まず重要なのは「Speed」だ。どちらが「Strike」を宣言したかに関わらず,先攻は「Speed」の値が大きいほうに与えられる。そして「Power」が相手の「Armor」を上回った分が,ダメージとなって相手のライフから差し引かれる(カードの効果がダメージではない場合もあるが)。
 面白いのは,与えたダメージが「Guard」を超えていた場合,後攻のカードがほとんど効果を発揮できなくなってしまうことだ。これはつまり,格闘ゲームにおける「発生が早い攻撃で相手の攻撃を潰した」状況を表現しているのだろう。

 なおカードによる攻撃がヒットした場合,そのカードは「Gauge(ゲージ)」としてプレイヤーの手元に止まり,一部行動のコストとして再利用されることになる。こちらはいわゆる必殺技ゲージ――ギルティギアシリーズ風に言うなら「テンションゲージ」の再現に違いない。
 また「Strike」時に手札から出したいカードがない場合は,自分の山札の一番上のカードを確認せずに出す「Wild Swing」も選択できる。この場合,自分にも何が起こるかは分からないリスクがあるが,手札を温存できるメリットがある。

これは双方が「Sweep(足払い)」を選択し,相打ちになった場面。ちなみに「Range」は攻撃が届く範囲を示していて,これが足りていないと攻撃は空振りする
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 ほかのアクションについても軽く触れておきたい。「Strike」以外にとれるアクションとしては,カードを引いて手札を増やす「Prepare(準備)」や,相手に近づいたり離れたりして間合いを調整する「Move(移動)」,そしてカードを消費して有利な状況を作る「Boost」などがある。

 「Prepare」と「Move」は分かりやすいが,注目すべきは「Boost」だ。
 各カードは「Strike」で利用する以外に「Boost」にも用いることができ,これを宣言して表向きにカードを出すことで,カード下段の効果を発動できる。「Boost」の効果には,「カードを1枚引く」「3つ前進する」といった即効果を発揮するものもがあれば,「次のStrike時の攻撃力を上げる」「自ターンの終わりまで防御力を上げる」といった,効果が持続するものもあり,プレイヤーはこうしたアクションを駆使しながら,互いに「Strike」の機会を伺っていくのである。

こちらはジャンプ攻撃を再現した「Dive」カード。攻撃と同時に前進する効果があり,相手を飛び越えるように出すと相手を一方的に攻撃できる効果がある。格闘ゲームにおける,いわゆる“めくり”を表現したものだろう
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有利フレームやキャンセルを駆使して,ずっと俺のターン!


 このように,本作は2D格闘ゲームにおけるさまざまなシチュエーションをカードで表現したゲームなわけだが,“らしい”要素はまだまだ用意されている。その一つが,“態勢を崩されたのち,続けざまに技を繰り出し攻めを継続する”という「Advantage(有利)」だ。

 「Advantage」は,一部の「Strike」や「Boost」の効果として得られるステータス(状態)なのだが,これが付与された状態では,相手に手番が回らなくなる。通常の「Strike」では,先攻と後攻の差こそあれ,手番はかならず双方に回ってくるもの。しかし「Advantage」が付いた場合は,次も自分の手番になる。結果,相手は続けざまに「Strike」に対応せざるを得ず,一気にライフポイントを削られてしまいかねないことになる。
 これは格闘ゲームにおける“ダウン時の起き攻め”といった,フレーム有利状況を表現したものと思われ,ひりつくような展開を産み出す良いスパイスとなっている。

「Advantage」が得られるカードは必殺技に属するものが多い。これで相手の動きを止めて,攻めを継続するのだ
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 また「Cancel(キャンセル)」による奇襲で,相手の隙を突くようなことも可能だ。「Boost」が,来たる「Strike」に向けた準備行動であることは先に述べたが,これを実行すると普通は相手ターンになる。しかし多くの「Boost」は,「Gauge」を消費することで「Cancel」し,自分の行動を続けて行うことができる。再度「Boost」してさらにバフを盛るもよし,即座に「Strike」を仕掛けて相手の意表を突くもよし。いずれにせよ,これによってスピード感のあるゲーム展開が可能になる。
 格闘ゲームに当てはめて考えるなら,これはギルティギアシリーズでおなじみの「ロマンキャンセル」を彷彿とさせるシステムと言える。「Cancel」は手札と「Gauge」が許す限り実行可能なので,対戦時には相手の「Gauge」にも注目して戦う必要があるわけだ。

試遊に参加したプレイヤーは,本作のデモデッキを持ち帰ることができた。形状からスーパーファミコンのゲームパッケージのようで,制作陣のこだわりが感じられるものとなっていた
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 ……というように,本作は原作であるギルティギアシリーズを,うまくカードゲームの形に落とし込んだタイトルと言える。1プレイあたりにかかる時間も15分ほどで短く,気軽にプレイできるのもありがたい。
 同じく格闘ゲームをモチーフとしたカードゲームには,Sirlin Gamesの「Yomi」というタイトルがあって,基本的なメカニクスは共通する部分があるのだが,本作の場合はそこに間合いやゲージ管理といった要素が加わっているのが新しい。これにより,一般的な格闘ゲームよりも展開がダイナミックな,ギルティギアらしいデザインになっていると感じられた。

 なお試遊では,ソルとカイの双方のキャラクターを複数回プレイできたが,それぞれに得意戦略や間合いがあるようだった。ほかにも,例えばソルなら「Cancel」と「Advantage」を駆使した怒涛の攻めが得意など,キャラクターごとに個性が付けられている。製品版には全部で20キャラ分のデッキが用意されるそうなので,原作ファンとしては今から楽しみである。とくに持ちキャラであるメイのイルカさんや,闇慈の花鳥風月,チップの紙のような体力がどのように再現されているか,大変気になっている。

ゲーム終盤になり,十二分に「Gauge」がたまると強力な「ULTRAS(覚醒必殺技)」が使用可能になる。対戦も自然と手に汗握るものになっていく
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格闘ゲームや原作シリーズへの想い入れあふれる開発陣


 あとに確認したところ,本作の開発元であるLevel 99 Gamesは過去にも格闘ゲームをモチーフにしたボードゲーム「Exceed」をリリースしており,格闘ゲームのボードゲーム化には定評のあるデベロッパであるようだ。
 残念ながら筆者は「Exceed」を遊んだことがなかったため比較はできないが,少なくとも試遊した限りにおいて,本作の格闘ゲームへの理解や,原作であるギルティギアシリーズへの愛は本物だと感じられた。

 なお今回紹介したのは英語版だが,クラウドファンディングサイトのMakuakeでは,日本語版発売のための支援プロジェクトが立ち上げられ,先日,目標額の100万円を大きく上回る1158万円を集めることに成功している。
 すでに完了済のプロジェクトなので今から支援はできないが,いつの日か一般販売されることがあるかもしれない。気になる人は販売元であるAsobitionの公式サイト,および公式X(Twitter)をチェックしておくといいだろう。

試遊後,筆者はその足で販売ブースに立ち寄り,製品版を購入してしまった。好きなキャラを選んで戦えるというのも,実に格闘ゲームらしい
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「GUILTY GEAR ‐STRIVE‐ The Board Game」公式サイト

Makuakeプロジェクトページ


著者紹介:Im Karton
海外アナログゲームイベントを訪ねて旅する3人組。読み方は「イム・カートン」。これまでに世界最大のアナログゲームイベントであるドイツ「SPIEL Essen」をはじめ,アメリカ「Gen Con」,フランス「Festival International des Juex」などを訪問。昨年はSPIEL Essenに行きたい旅行者向けのガイド「Essen Spiel Guidebook 2023」を同人誌として刊行。
  • 関連タイトル:

    GUILTY GEAR ‐STRIVE‐ The Board Game

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