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[TGS2023]なぜ一式2000万円の軍事用フライトシムがブースに? RAZBAM JAPANの出展内容について,いろいろ聞いてきた
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印刷2023/09/27 09:00

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[TGS2023]なぜ一式2000万円の軍事用フライトシムがブースに? RAZBAM JAPANの出展内容について,いろいろ聞いてきた

 東京ゲームショウ2023のAR/VRコーナーのRAZBAM JAPANブースに,「DCS World」の機体モジュール「DCS: F-15E」を,VRヘッドマウントディスプレイやフライトスティック,ラダーペダルなどを使って試遊できるコーナーが設けられていた。

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 そういった形での試遊自体は,TGSの出展内容として特に珍しいものでもないのだが,ここで使用されている機材からは,ゲームデバイスではなく“本物”の雰囲気が漂っており,それを察した来場者が長蛇の列を作っていた。

 AR/VRコーナーは,大手パブリッシャがブースを構える1〜8ホールとは建物が別の9ホールにあるため,一般公開日であっても開場直後は空いている試遊台が目立つのだが,筆者が取材した日のRAZBAM JAPANブースは,10時の時点で列に並ぶこと自体が止められていたほどだ。

 そんな状態だったので,残念ながら実際に試遊することはできなかったのだが,出展内容を取材し,来場していたRAZBAMのCEO,Ronald Zambrano Mieles氏に話を聞けたので,その模様をお伝えしよう。

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 最初に「DCS: F-15E」について軽く紹介しておこう。「DCS World」は,スイスのEagle Dynamicsが開発しているフライトシムで,RAZBAMはその機体モジュール(追加コンテンツ)をサードパーティとして提供している。
 「DCS: F-15E」はその名の通り,1972年に登場したF-15の派生型として,現在もさまざま国の軍隊で運用されている戦闘爆撃機「F-15E」を再現したもの。インテリアやエクステリアに加えて,計器類まで作り込まれており,実物と同じ操作ができるという。
 さらに詳しい情報は,4Gamerの過去記事で確認してほしい。

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[2023/06/24 12:20]

 そしてVRシミュレータは,VRヘッドマウントディスプレイ「XTAL 3」と,「ポータブルトレーナー」を組み合わせたものとなっている。いずれもチェコのVrgineersが開発したものだ。

 「XTAL 3」は,解像度3840×2160ピクセルの液晶パネルを2枚搭載した8Kヘッドマウントディスプレイ。リフレッシュレートは片目4K時で75Hz,QHD時で120Hz。視野角は最大で水平180度,垂直120度で,アイトラッキング機能も備えている。

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 実際に体験した来場者に感想を聞いてみると,「目だけを動かして真横を見ても,画面の端が視界に入ってこないことに驚いた」とのことだった。

 「ポータブルトレーナー」は,IP67防塵防水仕様のケースを開けた状態から,フライトスティックやスロットル,ラダーペダル,位置調整が可能なシートなどを組み立てられるもの。ケースの大きさは117.8×71.8×42.7cmで,重量は80kg。タイヤが装着されており,カタログには「1人で持ち運ぶことができます」と記載されている。

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 各デバイスは交換可能になっており,固定翼機と回転翼機間の仕様変更を数分で行える。また,シートに振動パッドを追加し,回転や離陸,失速効果といったものを再現するなどのアップグレードも用意されているとのことだ。

 気になるお値段は一式で約2000万円となっており,企業や軍事関係での利用を想定しているとのこと。

 「なぜそんなものを東京ゲームショウに?」と思うところだが,それも含めて,Ronald Zambrano Mieles氏に聞いてみたので,以下で確認してほしい。

4Gamer:
 お忙しい中時間をいただき,ありがとうございます。開場直後なのに長蛇の列ができていて,驚きました。

Ronald Zambrano Mieles氏
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Ronald Zambrano Mieles氏(以下,Zambrano氏):
 我々の展示が,ほかのブースではなかなか見られない,特別なものだと分かっていただけたんじゃないでしょうか。この列を見て,日本市場の可能性も感じています。

4Gamer:
 4Gamerは「DCS World」のニュースをよく掲載しているのですが,その一方で,日本語に対応していないゲームですし,公式から日本向けの情報発信もあまりないようなので,どれくらいのプレイヤーがいるのかといったイメージがつかみづらい気がしています。そのあたりはどう見ていらっしゃいますか。

Zambrano氏:
 DCSはあくまでプラットフォームで,そこに提供される機体などのコンテンツごとにコミュニティが生まれている印象を持っています。そのコンテンツについても,現状で日本向けのものが少ないと感じていますが,このような場でプレイヤーのみなさんの要望を取り入れて,日本向けの商品を展開していきたいと思っています。

4Gamer:
 今回出展されている「DCS: F-15E」ですが,これはどのように開発されているのでしょうか。現役の機体ですので,開発に必要な情報は相当な機密になると思うのですが。

Zambrano氏:
 RAZBAMがリリースしているのは,2002年頃まで運用されていたF-15Eの「Suite 4」というバージョンをモデルにしたものなんです。厳密に言えば現役ではないので,一部の情報は公開されています。それに加えて,詳しくは話せませんが,製造元であるボーイング社からいただいた情報も活用しています。
 旧バージョンではありますが,現在市販されているF-15Eのシミュレータとしては,もっとも精度が高いものだと断言できます。開発には4年ほどかかりました。

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4Gamer:
 あれが自宅のPCで楽しめるというのは驚きです。

Zambrano氏:
 こちらも詳しいことは話せないのですが,軍事訓練用の「DCS World」とでも呼べるようなものも存在していまして,そちら向けには最新の機体を再現したものを提供しています。

4Gamer:
 そんなものがあるんですか。そこまで行くと軍事機密そのものですね。
 ブースに出展されているデバイスも,軍事用を想定していると聞きました。素朴な疑問なのですが,なぜポータブル仕様なのでしょうか。

Zambrano氏: 
 あれは実戦の最前線近くで,まさにこれから出撃するパイロットたちが作戦のシミュレーションを行うことを想定したものです。戦闘機操縦の訓練を行うためではなく,すでに相当な経験を積んだパイロットに向けた,戦術シミュレータと言ったほうがいいかもしれません。
 複数台を並べて同時に体験するといったことも可能です。映画の「トップガン マーヴェリック」の戦闘シーンぐらいの規模なら再現できますよ。

4Gamer:
 実戦の中で使われるシミュレータがあるとは知りませんでした。

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Zambrano氏:
 ですので,相当乱暴な運搬にも耐えられるよう設計されています。上空の輸送機からパラシュートをつけて落とす,という届け方でも問題ありません。

4Gamer:
 話を聞けば聞くほど軍事色が強くなってきて,日本で購入するのは自衛隊ぐらいしかないんじゃないかと思うのですが,なぜ東京ゲームショウに出展されたんでしょうか。

Zambrano氏:
 聞かれると思っていました(笑)。まぁ「こんなすごいものがあります」というアピールですね。おかげさまで大盛況です。

4Gamer:
 それでは,日本のDCSプレイヤーや,今回DCSを初めて知った人へのメッセージをお願いします。

Zambrano氏:
 日本のプレイヤーの要望をぜひ聞かせていただいて,一緒に日本のDCSを盛り上げて行きたいと思っていますので,よろしくお願いします。

4Gamer:
 ありがとうございました。

「DCS World」公式サイト

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