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全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?
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印刷2019/11/12 17:00

レビュー

全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?

Core i9-9900KS。なお,ヒートスプレッダ側には事情によりモザイクをかけてある
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 去る2019年11月9日,Intelは「Core i9-9900KS」(以下,i9-9900KS)を発売した。2018年10月に登場した「Core i9-9900K」(以下,i9-9900K)の末尾に「S」をつけた名称のプロセッサだが,i9-9900Kとは異なり「全コアで最大動作クロック5GHzをサポート」すると謳われているのが特徴だ。
 一般論で言うなら,ゲームにおけるフレームレートは動作クロックが高いほど有利になる。i9-9900Kが非常に高いゲーム性能を持つことは4Gamerのレビューでもレポートしたとおりである。

 そんなi9-9900Kの強化版とも言えるi9-9900KSのゲーム性能にも期待できそうだ。というわけで実機を使ってテストした結果をレポートしたい。

i9-9900Kと同じく,i9-9900KSの製品ボックスも正十二面体の特製ケースだった(左)。ケースを開けると,中から紙箱に入ったi9-9900KSが顔を出す(右)
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i9-9900KSとi9-9900Kは何が違う?


 i9-9900KSは,Intelの「14nm++」プロセスを用いて製造される「Coffee Lake」アーキテクチャベースのCPUだ。厳密に言うなら,Coffee Lakeを改良して電力性能比を高めた「Coffee Lake Refresh」と呼ばれるアーキテクチャを採用したようだが,いずれにしても,製品のベースとなる技術は,1年前に発売済みのi9-9900Kと変わらない。

テストに使用したi9-9900KSの評価用サンプル。CPUパッケージは定番のLGA1151である
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 では何が違うのかだが,表1にi9-9900KSとi9-9900K,および競合になりそうなAMDのRyzen Desktop 3000シリーズから2製品のスペックをまとめてみた。

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 先述したとおり,i9-9900KSはi9-9900Kとブースト最大クロックは同じ5GHzなのだが,ベースクロックは,i9-9900Kの3.6GHzに対して4GHzに引き上げられている。そして,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)もi9-9900Kの95Wから,127Wに引き上げられているのが主な違いだ。……というか,違いはそれだけである。

 スペック情報だけでは分からないが,i9-9900Kは仕様上,5GHzまで動作クロックが上がるのは1基のCPUコアに限られており,複数のCPUコアに負荷がかかっている状態では,5GHzまで上がらない。
 一方,i9-9900KSは「全コア5GHz」を謳っているので,複数のCPUコアに負荷がかかった状態でも5GHzに到達するはずなので,まずはそれを検証してみよう。

ROG MAXIMUS XI FORMULA
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 i9-9900Kは4Gamerで過去に報じたとおり,BIOSデフォルトの設定だと公称TDPの95Wを超える動作を行うため,消費電力が増える代わりに性能が高く出やすい問題がある。
 そのため,BIOS設定をどうするのかという問題がつきまとう。そこで今回は,i9-9900KSとi9-9900Kの両方とも,テストに使用したASUSTeK Computer(以下,ASUS)製マザーボードマザーボード「ROG MAXIMUS XI FORMULA」のBIOSにおけるデフォルト設定を用いることにした。
 また,i9-9900KSでは全CPUコアを5GHz動作に固定する設定で動作させることができたので,その設定でもテストを行って比較することにした。以降,全コア5GHzに固定した設定を「i9-9900KS(5GHz)」と表記する。

ROG MAXIMUS XI FORMULAのBIOS内にある「Extreme Tweaker」で,「CPU Core Ratio」を「Sync All Cores」(全コアクロック同期)に設定したうえで,倍率を50にすることで全コアが5GHzに固定できる
画像(006)全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?

 ただし,i9-9900KS(5GHz)の設定でPCMark 10やエンコードなど高負荷が長く続くテストを完走させるためには,メモリ設定を「DDR4-2133」まで下げる必要があった。DDR4-2133を超える設定にしてしまうとテスト中に異常終了してしまうのだ。そのため,i9-9900KS(5GHz)のみ,メモリ設定を定格以下のDDR4-2133に下げていることを覚えておいてほしい。
 デフォルト設定のi9-9900KSやそれ以外のCPUは,使用したメモリモジュールの定格であるDDR4-3600で使用した。メモリアクセスタイミングは,いずれも共通の「16-16-16-36」を用いている。そのほかのテスト環境は表2を確認してほしい。
 なお,表2には記していないが,CPUクーラーには,Corsair製の簡易液冷クーラー「Hydro Series H150i PRO RGB」(以下,H150i PRO)を,ポンプおよびファンの回転は最大で使用している。

※そのまま掲載すると縦に大きくなりすぎるため,簡略版を掲載しました。表をクリックすると完全版を表示します
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 テスト環境の説明が長くなったが,動作クロック検証を進めていこう。今回は,オープンソースの動画トランスコーダー「ffmpeg」を用いて,動画の変換をスタートしてから10分間の動作クロックを,システム情報取得ツール「HWiNFO64」(version 6.13.3970)を使って調べてみた。
 グラフ1が測定結果だ。比較対象として,i-9900KのBIOSデフォルト設定による測定結果もまとめている。グラフの縦軸は,CPUコア8基の動作クロックにおける平均値で,横軸は経過時間(単位は秒)である。平均値なので,折れ線グラフが5GHz付近になれば,8基のCPUコアがおおむね5GHzで動いていると言えるわけだ。

 結果を見ると,エンコードスタートから27秒以内における動作クロックの推移は,i-9900KSとi-9900Kで大きく異なっていた。i-9900KSは,少なくとも2回ほど8基のCPUがほぼ5GHzで動く瞬間がグラフでも見てとれる。一方,i-9900Kは,全CPUが5GHzで動く様子はない。

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 というわけで,i-9900KSが全コア5GHzで動作可能という宣伝文句に偽りはないようだが,全コアに負荷がかかるような状況において5GHzで動作するのは,負荷がかかり始めてから30秒未満であるようだ。
 また,興味深いことに,開始65秒をすぎるとi9-9900KSの平均クロックはおおよそ4.5GHz〜4.7GHzで推移するのに対して,i9-9900Kは平均4.7GHzを維持するという違いもあった。65秒後以降,i9-9900KSのほうが低いクロックで推移するのは不思議だが,もしかすると全コア5GHzの動作を確実にするために熱的余裕を持たせる目的で,長時間全コアに負荷がかかるときには,低めのクロックで推移するようチューニングしてあるのかもしれない。その場合,i9-9900KSがi9-9900Kに対して単純に性能が上がっているかどうかは,かなり微妙という可能性がある。
 また,先述したとおり,BIOSで全コア5GHz固定にした設定は,メモリクロックを定格よりも下げないと安定動作しなかった。i9-9900KSだからといって,簡単に全コア5GHzで持続的な安定動作が可能というわけではないことは付け加えておきたい。


テストの解説

R7 3800Xはオーバードライブ状態もテスト


Ryzen 7 3800X
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 それでは,テストのコンフィグレーションに移ることにしよう。
 今回,テストを行ったCPUは,先の表2に挙げた4種類,i9-9900KS,i9-9900K,「Ryzen 9 3900X」(以下,R9 3900X),「Ryzen 7 3800X」(以下,R7 3800X)となる。
 ただ,ほかのCPUがどれも8コア16スレッド対応なのに対して,R9 3900Xは12コア24スレッド対応とコア/スレッド数が異なるので,あくまで参考という位置づけだ。市場におけるi9-9900KSの競合は,R7 3800Xのほうだろう。

 R7 3800Xは,BIOSデフォルト設定に加えて,自動クロックアップ機能「Precision Boost Overdrive」で電力制限を解除したテストも追加することにした。グラフ内では,これを「R7 3800X(PBO)」と表記している。

 実行するテストは,大きく分けてゲーム系と一般アプリの2種類だ。
 ゲームのテストでは,4Gamerベンチマークレギュレーション22.1から「3DMark」と「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG),「Fortnite」,「PROJECT CARS 2」の4タイトルを選択。
 それに加えて,次期ベンチマークレギュレーションを睨み,「Tom Clancy’s The Division 2」(以下,Division 2)と「Far Cry New Dawn」,および「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下,FF XIV 漆黒のヴィランズ ベンチマーク)の3タイトルを加えた,合計7タイトルのテストを実施した。

 実ゲームの解像度は2560×1440ドットと1920×1024ドット,および1600×900ドットを選択している。CPU性能は,解像度が低いほうが表面化しやすいという理由だ。
 これらに加えて,ゲーム録画性能のテストとして「OBS Studio」(Version 24.0.3,以下 OBS)を用いて,プレイ動画の録画テストも行った。

 一方,ゲーム以外の一般的なPC利用における快適さを調べるために,以下のベンチマークプログラムおよびアプリケーションによるテストも実行している。

  • PCMark 10(Version 2.0.2144)
  • ffmpeg(Nightly Build Version 20181007-0a41a8b)
  • CINEBENCH R20(Release 20.060)
  • DxO PhotoLab 3(Version 3.0.0 Build 4210)
  • 7-Zip(Version 1900)


i9-9900Kよりはやや性能が上がっているものの,差は小さいi9-9900KS


 まずは,3DMarkの結果から見ていこう。DirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたものがグラフ2だ。
 総合スコアはグラフィック性能が大きく反映されることもあり,3つのテストともにほぼ横並びと言っていいスコアが並んでいる。強いて言うなら,3テストともわずかだが,i9-9900KSとi9-9900KS(5GHz)が2トップを占める形になってはいるものの,大きな差はない。

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 グラフ2はFire StrikeのGPUテストである「Graphics test」のスコアを抜き出したものだ。通常の場合,Graphics testは総合スコアとおおむね同じ傾向を示し,今回もグラフィックス負荷がたかいFire Strike UltraとFire Strike Extremeは総合スコアとほぼ同じ傾向と言えるかと思う。
 だが,フルHD解像度相当のFire Strike(以下,無印)は,少し様子が違う。はっきりとスコアが,i9-9900KS,i9-9900KS(5GHz),i9-9900K,R7 3800X,R9 3900X,R7-3800X(PBO)の順になった。どうしてR9 3900Xのスコアが低いのかは,正直原因を突き止められていないのだが,実のところR9 3900Xと「Ryzen 7 3700X」(以下,R7 3700X)のレビュー記事でも,Fire Strike無印ではR9 3900XがR7 3700Xを下回ったので,そのような傾向にあるとはっきり言えるのが興味深い。

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 Fire Strikeから,CPUベースの物理シミュレーションによってCPU性能を測る「Physics test」のスコアを抜き出したものがグラフ4だ。CPUを評価する今回は,Physics testの結果が重要ということになるだろう。

 結果を見ると,12コア24スレッドのR9 3900Xが3つのテストでトップを取るのは当然と言えようが,i9-9900KS(5GHz)も頭ひとつ抜けるスコアを残した。当然だが,5GHz固定の効果がはっきり見られている。
 一方,i9-9900KSとi-9900Kの差は,あまり明確ではない。i9-9900KSのスコアはFire Strike ExtremeとFire Strikeでi9-9900Kをわずかに上回るが,Fire Strike Ultraでは逆になっている。このことから,両CPUは同程度のスコアと見てもいいだろう。

 なお,R7 3800Xのスコアも優秀で,Fire Strike ExtremeとFire Strikeではi9-9900KS(5GHz)に次ぐ2番手につけ,i9-9900KSおよびi9-9900Kのスコアを上回った。R7 3800XのCPU性能が高いことを証明するスコアと言っていいだろう。一方で,Precision Boost Overdriveの効果はあまりはっきりしないようだ。

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 グラフ5は,Fire StrikeでGPUとCPUへ同時に負荷をかけたときの性能を見る「Combined test」の結果である。
 グラフィック負荷の高いFire Strike Ultraと同Extremeのスコアは,ほとんど横並びと言ってしまっていいだろう。おそらくGPUの性能がスコアを抑えているものと思われる。
 一方,フルHD解像度相当のFire Strikeは,スコア差がはっきり出ている。トップを取ったのはR7 3800X(PBO)で,2番手のR7 3800Xに対して有意な差をつけた。ここはPBOの効果がはっきりと出たという理解でいいだろう。
 一方,i9-9900KSは,i9-9900KS(5GHz)のスコアが冴えず,i9-9900Kのスコアにすら及ばないという結果になった。だが,i9-9900KSのスコアは,全体の3番手につけている。i9-9900KS(5GHz)のスコアが芳しくないのは,メモリ設定をDDR4-2133まで落としているためと推測している。

 いずれにしても,このテストではIntel製CPUよりもAMDの8コア16スレッド製品であるR7 3800Xの優秀さが目立つとまとめられるかと思う。

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 続いて,3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」の結果を見ていこう。グラフ6は,Time Spyの総合スコアをまとめたものだ。
 2つのテストでトップになったのはR9 3900Xだが,12コアによるCPU Scoreの好成績が反映されたため。8コア勢よりスコアが高くなるのは自明なので,除外して考えていいだろう。

 GPU負荷が高いTime Spy Extremeは僅差だが,トップがi9-9900KS(5GHz)で,続いてi9-9900KS,i9-9900Kという順になっている。
 一方,Time Spyのスコア上位はi9-9900KS,i9-9900KS(5GHz),i9-9900Kの順だ。解像度が低いTime Spyではフレームレートが高く出るため,メモリクロックの差がTime Spy Extremeよりも表面化しやすくなり,i9-9900KS(5GHz)の順位が下がったのだろう。

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 Time SpyのGPUテストとなる「Graphics test」のスコアを抜き出したのがグラフ7だ。
 グラフィックス負荷が高いTime Spy Extremeは,ほとんど横並びだが,トップを取ったのはi9-9900KS(5GHz)で,続いてi9-9900KS,R7 3800Xの順となった。i9-9900Kよりはi9-9900KS勢のほうがわずかだがスコアは高いという結果とまとめていいだろう。
 一方,グラフィックス負荷が低いTime Spyでは,もう少し分かりやすいスコア差がついている。トップはi9-9900KS(5GHz)で,i9-9900KS,R9 3900Xの順だ。ここでもi9-9900Kよりはi9-9900KS勢のほうがスコアが高い。

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 グラフ8は,Time Spyにおける「CPU test」のスコアを抜き出したものである。2つのテストでR9 3900Xが飛び抜けたスコアを記録しているが,12コアが効いている結果なので除外して考えていいだろう。

 R9 3900Xを除くと,Time Spy Extremeは,i9-9900KS(5GHz),i9-9900KS,i9-9900Kの順となり,R7 3800XはIntel勢に対して有意に及ばない結果となった。
 一方,Time Spyになると,i9-9900KS(5GHz)が有意にスコアを落とし,i9-9900Kがi9-9900KSを上回るスコアを残しているのが大きな違いだ。i9-9900KS(5GHz)がスコアを落としたのは,解像度が低いためにメモリクロックの差が表面化したのだろう。

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 以上,3DMarkの結果をまとめるなら,i9-9900KSはi9-9900Kを上回るスコアを残すことが多いが,差は決して大きくないと言えそうだ。また,i9-9900KS(5GHz)は,CPU性能だけを測るテストではそれなりの成績を残すものの,メモリクロックを抑える必要があったために,グラフィックス負荷が低くてフレームレートが出やすい局面で不利になる傾向があるようだ。
 一方,ライバルとなるR7 3800Xもなかなか優秀で,多くのテストでi9-9900KSに引けを取らないスコアを残していることも押さえておきたいところだろう。


i9-9900KSのゲーム性能は高い。しかしずば抜けてはいない


 3DMarkの結果を踏まえたうえで,ゲームにおけるi9-9900KSの性能をチェックしていこう。まずはFar Cry New Dawnからだ。
 Far Cry New Dawnにはベンチマークモードを備えているので,今回のテストではそれを利用した。グラフィックスの設定は,高負荷よりの「ウルトラ」設定を用いている。プレイ可能な目安としては平均で60fps,最小フレームは50fpsを超えたいといったところになる。

 結果はグラフ9〜11にまとめたとおりだが,i9-9900Kの平均フレームレートが,他と比較して高いことにすぐ気づくだろう。とくに,2560×1440ドットではi9-9900Kが平均,最小ともに図抜けて高いスコアを残した。何かの間違いではないかと再確認したのだが,Far Cry New Dawnの場合,スコアがスクリーンショットの形で残っているので間違いではない。
 ゲームエンジン側がCPUを調べて,i9-9900Kのときだけなにかしてるのではとも疑いたくなるスコアで,Far Cry New Dawnの結果でi9-9900KSとi9-9900Kを比べるのは少し危険だろう。

 それ以外のスコアを見ると,2560×1440ドットでは平均,最小ともに2フレーム差で揃っており,GPU性能がフレームレートを決めている結果と見てよさそうだ。一方,1920×1080ドットの平均フレームレートは,i9-9900K,i9-9900KS,R9 3900Xの順で,i9-9900KS(5GHz)のスコアは少し振るわない。これもメモリクロックが表面化した結果だろう。同様に,R7 3800XでもPBOの効果はほぼ見られないスコアに終わっている。

 1600×900ドットの結果は,i9-9900KSおよびi9-9900Kの傾向はおおむね1920×1080ドットと変わらずと言ったところ。一方,R7 3800XはPBO設定時のほうが2.5フレームほど高い平均フレームレートを残しており,PBOの効果が出ていることが見て取れる。

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 グラフ12〜14は,PUBGの「高」設定における結果をまとめたものだ。
 ここでも2560×1440ドットで最高の平均および最小フレームレートを残したのはi9-9900Kだった。2番手はR9 3900Xで,続いてi9-9900KS(5GHz),i9-9900KSと並んでいる。R7 3800Xはこれらにやや及ばなかった。

 1920×1080ドットでも,トップはi9-9900Kだ。2560×1440ドットと並んでi9-9900Kがトップを取るのは偶然とは考えにくく,もしかするとPUBGでもCPUを判定して最適化を加えているのかもしれない。1920×1080ドットでの次点はi9-9900KSで,i9-9900KS(5GHz)は有意に低いスコアを残している。最小フレームレートもi9-9900KS(5GHz)のほうが低いので,やはりメモリクロックの差が表面化したと見るべきだろう。

 1600×900ドットもおおむね似たパターンで,i9-9900KS(5GHz)の落ち込みがさらに目立つようになっているのが違いだ。解像度が低いほどメモリクロックが足を引っ張るという,ここまでの例からして納得の結果といえる。
 なお,R7 3800Xは,いずれの解像度でもPBOの効果が見られない。PBOも効果があったりなかったりと,かなりのバラツキが生じるようだ。

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 続いてはDivision 2である。Division 2もゲームにベンチマーク機能が組み込まれているので,テストにはそれを利用した。標準のテストでは,平均フレームレート,典型的なフレームレート,そしてスコアしか得られないのだが,フレームタイム(※フレームの描画時間)を記録したCSVファイルを出力できるので,フレームタイムからスクリプトを使って最小フレームレートを算出し,スコアとして利用することにした。
 グラフィックス設定は,CPU性能差が出やすいDirectX 12モードを今回は使用し,描画負荷が最も高い「ウルトラ」プリセットを利用した。快適にDivision 2をプレイする目安としては,平均で60fps,最小でも50fpsは超えたいといったところになる。

 結果はグラフ15〜17だ。どの解像度でも,ここまで妙に好成績を収めてきたi9-9900Kの成績が振るわず,i9-9900KSのほうがやや高めの平均フレームレートを残しているのが特徴といえるだろう。

 2560×1440ドットでは,i9-9900KSがトップで,i9-9900KS(5GHz),R7 3800X(PBO),R9 3900Xはほぼ横並びだ。
 1920×1080ドットでは,i9-9900KSとi9-9900KS(5GHz)がほぼ横並びでトップとなり,続いてR7 3800Xの2パターンとR9 3900Xがほぼ横並びで次点。i9-9900Kはここでも最下位であった。

 一方,1600×900ドットではi9-9900KS(5GHz)がトップになり,R7 3800Xが次点と,順位が入れ替わったのが特徴的だ。ここまでのテストでは,解像度が低いほどメモリクロックが低いi9-9900KS(5GHz)が不利になっていたが,Division 2は逆なわけだ。DirectX 12モードを使っていることで違いが生じているのかもしれないが,理由は判然としない。

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 グラフ18〜20は,Fortniteにおけるエピック設定の結果である。全体を見ると,Ryzen勢が高成績で目を引くのがFortniteの特徴と言えよう。

 2560×1440ドットではR9 3900Xがトップで,次点はR7 3800X(PBO)。ほかは,ほぼ横並びと言っていいだろう。R7 3800XでPBOの効果がしっかり出ているのも見どころか。
 1920×1080ドットもほぼ同じ傾向だが,i9-9900KSよりi9-9900KS(5GHz)のほうが2フレームほど高い平均フレームレートを残している。
 1600×900ドットは,その傾向がさらに極端で,R9 3900X,R7 3800X(PBO)に続いてi9-9900KS(5GHz)が3番手となった。Fortniteでは,メモリクロックよりもCPU動作クロックのほうが,はっきりと効果を示す傾向があるのかもしれない。

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 次に,FFXIV漆黒のヴィランズベンチの「最高品質」における総合スコアをまとめたのがグラフ21だ。
 総合スコアは,3種類の解像度でほぼ同じ傾向のスコア並びが見られる。トップはi9-9900KS,次点がi9-9900Kで,3番はR7 3800XかR9 3900Xのいずれかが占めるというパターンになっている。i9-9900KS(5GHz)のスコアは振るわないが,これはメモリクロックの差がスコアに表れたからだろう。

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 グラフ22〜24にまとめたのが,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチの平均および最小フレームレートをまとめているが,おおむね総合スコアと一致する傾向になった。このゲームでは,やはりメモリクロックも重視すべきということがよく分かる。
 また,i9-9900KSのほうが,i9-9900Kより好成績を収めており,新製品のほうが高性能という意味では順当だ。ただ,他のゲームでは素直な順に並んでいないことを考えると,むしろ,ここがFFXIV漆黒のヴィランズベンチの特徴と言えるのではなかろうか。

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 グラフ25〜27は,PROJECT CARS 2における高負荷設定の結果をまとめたものだ。このテストでは,全体にi9-9900KSの好成績が目立つものになっている一方で,i9-9900Kのスコアは,どの解像度でも冴えない結果になった。i9-9900KS(5GHz)の成績もいまいちだが,これもメモリクロックの差がそのまま出ているからだろう。

 解像度別に見ていくと,2560×1440ドットではi9-9900KSがトップで,次点がR9 3900X,3番手がR7 3800Xとなっている。一方,1920×1080ドットでもi9-9900KSがトップだが,次点はR7 3800X(PBO)だった。PBOの効果はやはり出たり出なかったりと一定しない。
 1600×900ドットでは,i9-9900KSがトップに続いて,i9-9900KS(5GHz)が2番手に上がっている。以下,R9 3900X,R8 3800(PBO)の順で,i9-9900Kの冴えない結果が目立つ。

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画像(039)全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?
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 以上,ゲームにおけるi9-9900KSの傾向を見てきたが,i9-9900KSが好成績を収めるタイトルがある一方で,i9-9900Kが飛び抜けていい成績を収めるタイトルがあったりとばらつきが多く,i9-9900KSのほうがi9-9900Kより高性能とは一概に言えない結果になった。冒頭で見たとおり,全コア5GHzは偽りないものの,負荷がかかるとi9-9900KSのクロックはi9-9900Kより控えめで推移することもあるので,このような結果になるのは,ある意味で納得かもしれない。

 ライバルとなるR7 3800Xも,かなりの好成績を収めていて,ゲーム性能ではi9-9900KSに決して劣っていないと言えるかと思う。ゲームだけを見るとi9-9900KSの性能はたしかに高いが,i9-9900Kやライバルと比べれば,極めて優秀とは言えない,とまとめていいだろう。


全コア5GHz固定はゲーム録画にも効果がある


 続いては,OBSを使ったゲーム録画のテストを見ていきたい。今回も録画対象タイトルとして「Overwatch」を用意してテストしたが,解像度は2560×1440ドットに限定した。最近の8コア以上CPUでは,フルHD解像度の録画でも差がつきにくくなったことから,明確に差が出る解像度2560×1440ドットだけで十分だろうという判断だ。

 OBSの録画設定は,以下に示したスクリーンショットのとおりである。エンコーダとして「x264」を使い,「fast」プリセットに「animation」チューニングを加えたうえで,12MbpsのVBRで出力するという,リアルタイムエンコードとしては相当に重い高負荷設定である。

テストにおけるOBSの録画設定
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 結果は,以下に掲載する動画を見てほしい。動画の左上には,フレームレートの表示を拡大して掲載している。
 当然だが,2560×1440ドットで比較的スムーズに録画できたのは,R9 3900Xだけだった。R9 3900Xは出だしで若干のフレーム落ちが生じるものの,全体的にはかなりスムーズで実用的な動画が記録できている。

 その他のCPUは,ほぼ横並びでフレーム落ちが顕著だ。ただ,他のCPUに比べると,i9-9900KS(5GHz)はややフレーム落ちが少ないことが見てとれようか。8コアなので限度はあるが,5GHz固定はゲーム録画に若干効くと言えそうだ。
 その他のCPUは,ほぼ横並びで大きな差はない。i9-9900KSであっても,CPUエンコードによるゲーム録画はフルHD解像度が限度になりそうだが,全コア5GHz固定にしてしまえば,ゲーム録画でも有利になることが分かったのは収穫ではなかろうか。



非ゲーム用途でi9-9900KSは高性能だが,R7 3800Xと比べるとやや微妙


 非ゲーム用途におけるテスト結果をまとめていこう。まずはUL製の総合ベンチマーク「PCMark 10」である。
 今回はCPUの性能テストなので,すべてのテストを実行する「PCMark 10 Extended」を選択したうえで,OpenCLアクセラレーションとGPUビデオアクセラレーションを無効化してテストを実行した。カスタム実行となるため,総合スコアは得られず,テストグループ単位のスコアとなることをお断りしておく。

 結果はグラフ28となる。
 Webブラウジングやビデオ会議,アプリケーションの起動終了といった日常作業の快適さを見る「Essentials」ワークロードでトップを取ったのは,i9-9900KS(5GHz)だった。次点はi9-9900Kで,続いてi9-9900KSだが,両CPUの差は極めて小さいので同等と言っていいだろう。Ryzen勢は,i9-9900系に比べるとやや低めのスコアにとどまった。
 一方,オフィスアプリケーションの快適さを見る「Productivity」でも,トップはi9-9900KS(5GHz)だ。次点がi9-9900KSで,i9-9900Kが続くが,やはり両CPUの差は小さい。
 3Dレンダリングや写真の加工といったクリエイター系アプリの快適さを見る「Digital Content Creation」では,12コア24スレッドの威力を見せたR9 3900Xがトップ。次点はi9-9900KS(5GHz),続いてi9-9900KSと並んでいる。
 「Gaming」は,Fire Strikeをウインドウモードで実行するテストなので,グラフ2におけるFire Strikeとおおむね同じ傾向のスコアを残している。

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 以上を見ると,非ゲーム用途では,i9-9900KSがほんのわずかだがi9-9900Kより高い性能を持つと言える。言い換えれば,非ゲーム用途なら,5GHz固定の効果はかなり高めに現れると言えなくもない。

 続いては,ffmpegを用いたCPUによる動画トランスコードの結果を見ていきたい。ここでは,FFXIV紅蓮のリベレーターでゲームをプレイした「7分25秒,ビットレート437Mbps,解像度1920×1080ドット,Motion JPEG形式」の録画データをソースとして用意した。
 そして,ソースの映像を「libx264」エンコーダによりH.264形式に変換するのに要した時間と,「libx265」エンコーダでH.265/HEVC形式に変換するのに要した時間を,それぞれスコアとして採用する。
 使用したバッチファイルは以下のとおり。slowプリセットにanimationチューニングを加え,可能な限り画質の劣化を抑えた変換を行う。

del avc.mp4
del hevc.mp4
powershell -c measure-command {.\ffmpeg -i Diademe.avi -c:v libx264 -preset slow -tune animation -crf 18 -threads 0 avc.mp4} >MPEG4_score.txt
powershell -c measure-command {.\ffmpeg -i Diademe.avi -c:v libx265 -preset slow -crf 20 hevc.mp4} >HEVC_score.txt


 結果はグラフ29にまとめたとおり。H.264,H.265のどちらも,トップとなったのは当然ながら12コア24スレッドのR9 3900Xだが,コア数で有利になるのは当然である。
 そこで8コア勢だけを見ていくと,H.264ではR7 3800Xが次点で,i9-9900KS(5GHz)がそれに続いている。i9-9900KSとi9-9900Kの差はほとんどなく,むしろ,i9-9900KSのほうがトランスコードが約6秒遅かった。
 H.265でもR7 3800Xが次点で,R7 3800X(PBO),i9-9900KS(5GHz)が続いている。R7 3800Xが,5GHz固定動作のi9-9900KS(5GHz)を上回るのが驚くところで,R7 3800Xのエンコード性能の高さがここでも証明されたと言えよう。

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 続いて,「DxO PhotoLab 3」を使ったRAW現像の所要時間を見てみよう。ここでは,ニコン製デジタルカメラ「D810」を用いて撮影した解像度7360×4912ドットのRAWファイル60枚に対して,ベンチマーク用のプリセットを適用し,JPEGファイルとして出力し終えるまでの時間を計測し,スコアとして採用した。

 グラフ30がその結果で,ffmpegのトランスコードに近い傾向になった。トップは12コア24スレッドのR9 3900Xで,これは当然だろう。続いてはR7 3800X,R7 3800X(PBO)と並び,i9-9900KS(5GHz)がそれに続くという結果だ。ここでも,8コアCPUとしてはR7 3800Xの高性能が目立つ。
 ただ,i9-9900KSのRAW現像時間は,i9-9900Kよりは有意に短かったので,i9-9900Kよりは性能が高いとは言えそうだ。

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 グラフ31は,マルチスレッド性能がスコアに大きな影響を与える3Dレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R20」の結果である。
 コア数が効くテストだけに,12コア24スレッドのR9 3900Xが他を圧倒するが,8コア勢ではi9-9900KS(5GHz)がトップとなった。全コア5GHz固定というオーバークロックの優位性が生きた形だ。次点はR7 3800X(PBO)で,続いてR7 3800X,i9-9900KSと続く。CINEBENCH R20は短時間のテストなので,Precision Boost Overdriveの電力上限を外す設定が,かなり効くようである。
 R7 3800Xの成績が高いために,i9-9900KSの成績は目立たないが,少なくともi9-9900Kよりは高いスコアを残したのが救いだろうか。

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 非ゲーム分野のテストにおける最後は,マルチスレッドに最適化したファイルの圧縮・展開ツールの「7-Zip」である。
 7-Zipの「7-Zip File Manager」にはベンチマーク機能があるので,7-Zip File Managerから「ツール」→「ベンチマーク」を開き,いったん[停止]ボタンを押してから「辞書サイズ」を「64MB」に設定。その後,[再開]ボタンをクリックして3分間連続実行し,その時点での総合評価をスコアとして採用することにした。

 結果はグラフ32のとおり。ここでも12コア24スレッドのR9 3900Xが他を凌駕するのは当然として,8コア勢の結果に注目したい。
 結果はR7 3800Xがトップで,続いてR7 3800X(PBO),i9-9900Kと並ぶ。i9-9900KSはi9-9900Kにも及ばず,またi9-9900KS(5GHz)のスコアが大きく低下しているのが気になるところだ。何が起きたのかは不明だが,ここでもメモリクロックの低さが足を引っ張ったのかもしれない。
 いずれにしても,このテストではR7 3800Xの高性能が目立つところで,i9-9900KSは及ばないことが分かる。

画像(045)全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?

 i9-9900KSの非ゲーム用途における性能を見てきたが,少なくとも,i9-9900Kよりは高性能を発揮できると評価できるだろう。ただ,ライバルのR7 3800Xが高性能を発揮する結果が多いので,i9-9900KSの立ち位置は微妙というのが正直なところではなかろうか。i9-9900KSは,i9-9900KよりはR7 3800Xと戦えるCPUだが,R7 3800Xを上回るとはいい難いとまとめられるかと思う。


消費電力はやや厳しいi9-9900KS


 最後に,CPUのコア温度と消費電力を調べてみよう。
 グラフ33は,ffmpeg実行時にHWiNFO64で記録したコア温度の最大値を比較したものだ。今回は,十分な大きさを持つラジエータを採用する簡易液冷システムを使っているため,CPUコア温度が問題になるほど上昇したCPUは皆無だった。
 最も高い値を記録したのはR7 3800Xだったが,これも90℃を下回っている。Ryzenの場合,ダイ上にあるサーマルダイオードの値なので,90℃以下であればなんの問題もない。

 一方,i9-9900KS(5GHz)は,i9-9900Kに比べて2℃ほど上昇したが,これもとくに問題になる温度ではない。総じて,簡易液冷であれば,どのCPUも問題なく使えるとまとめてしまっていいだろう。

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 続いては消費電力だ。4Gamerでは,ベンチマークレギュレーション20世代以降で,EPS12Vの電流を測り,12をかけて電力に換算する方法を採用している。この方法なら,CPU単体のおおよその消費電力が推測できるからだ。
 ただ,電気代という現実的な運用コストに関わるシステム全体の消費電力も目安として知りたい読者は多いと考え,システム全体の最大消費電力もあわせて掲載している。

 まずグラフ34は,各テストにおけるEPS12Vの最大値と,無操作時にディスプレイ出力が無効化されないよう設定したうえで,OSの起動後30分放置した時点(以下,アイドル時)の計測結果をまとめたものだ。
 i9-9900KSで最大を記録したのは,DxO PhotoLab 3によるRAW現像実行時の約174Wで,127WというTDPから考えるとまずまず妥当と言えるものだ。同じRAW現像時に,i9-9900Kが約215Wまで上がったのと比べれば穏やかと言え,消費電力面での改良を行ったことがうかがえる。

 気になるi9-9900KS(5GHz)は,ffmpeg実行に約223Wを記録した。高いトランスコード性能を見せるR9 3900Xでさえ,約163Wに収まっていることを考えるとi9-9900KS(5GHz)の電力性能比は,正直悪すぎるように思う。

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 次のグラフ35は,CPU単体の消費電力における中央値をまとめたものだ。「CPUでアプリケーションを実行したときの典型的な消費電力」と考えてもらっていいだろう。

 i9-9900KSでもっとも大きな中央値を記録したのは,CINEBENCH R20の約126Wだが,TDP以内に収まっているので妥当とも言える。95Wの公称TDPに対して,約165Wの中央値を叩き出したi9-9900Kに比べれば,かなりまともなCPUだ。
 i9-9900KS(5GHz)の中央値はさすがに高く,CINEBENCH R20で約178Wを記録した。オーバークロックなので仕方ないと言えるが,より性能が高いR9 3900Xが約152Wなのだから,i9-9900KS(5GHz)の消費電力はわりに合わない。

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 消費電力の最後に掲載するグラフ36は,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テスト実行時点におけるシステムの最大消費電力をまとめたものである。

 全体としては,GPUの消費電力が支配的だが,中でもGPUとCPUの両方が全力で動作するゲーム録画時が最も高い消費電力を記録するのが見てとれよう。
 i9-9900KSは約466Wに達したが,フレーム落ちなしで録画が可能なR9 3900Xもほぼ同程度なので,やはりRyzen系のほうが消費電力あたり性能がかなり高いと言わざるをえないようだ。

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かなり微妙な立ち位置のi9-9900KS


 以上,i9-9900KSの性能をじっくりと検証してみた。2018年に発売されたi9-9900Kよりは性能が高いことが結果から見てとれるとはいえ,その差はさほど大きくないようだ。それでも,性能が向上したのは確かなので,i9-9900KSはi9-9900Kの“やや上位モデル”と評価することは可能だろう。

画像(011)全コア最大5GHz動作のCPU「Core i9-9900KS」は,ゲーマーの新しい選択肢となるのか?
 ただ,市場における立ち位置はかなり微妙だ。ここまで見てきたように,競合の8コアCPUであるR7 3800Xは,i9-9900KSとおおむね肩を並べる性能を持っている。i9-9900KSはまだ発売直後ということもあり,税込の実勢価格は6万円台後半だが,R7 3800Xの税込実勢価格は5万円前後と,1万円以上安いのである。性能差と電力性能比,そして価格を考え合わせると,どうしてもR7 3800Xに軍配が上がってしまう。

 i9-9900KSの価格がもう少しこなれてくれば,全コア5GHzでも動作可能で,i9-9900KよりはオーバークロックもしやすくなっているCPUとして面白い存在になるかもしれない。それまでは様子を見るというのも手ではなかろうか。

Intel公式WebサイトにおけるCore i9-9900KSの製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    第9世代Core(Coffee Lake Refresh)

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