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Samsung「Portable SSD X5」を試す。Thunderbolt 3接続のSSDはノートPCを使うゲーマーのベストチョイスか?
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印刷2018/08/29 00:00

レビュー

Thunderbolt 3接続のSSDは「ノートPCゲーマーのベストチョイス」になれるか?

Samsung Portable SSD X5

Text by 米田 聡


 2018年8月29日,Samsung Electronics(以下,Samsung)はThunderbolt 3接続のポータブルSSD「Portable SSD X5」を発表した。国内では2018年9月中旬発売予定だ。

Portable SSD X5
メーカー:Samsung Electronics
問い合わせ先:サムスン SSD サポートセンター 050-3116-3031(平日9:00〜17:00)
メーカー想定売価:10万5000円前後(※容量1TBモデル)
Samsung SSD

 物理形状としてM.2を採用し,PCI Express(以下,PCIe) Gen.3 x4でデータをやりとりするNVM Express(以下,NVMe)接続のSSDだと,帯域幅は片方向で最大32Gbps,双方向で最大64Gbpsに達する。その6割強となる片方向最大20Gbps,双方向最大40Gbpsの広い帯域幅を持つThunderbolt 3をSamsung製SSDとして初めて採用する外付けPortable SSD X5には,従来製品と次元の異なる性能を期待できるわけだが,実際はどうか。4GamerはSamsungの国内販売代理店であるITGマーケティングから実機を入手できたので,その実力を検証してみたい。


USB接続モデルと比べて明らかに大きなPortable SSD X5


Portable SSD T5
Samsung SSD
 振り返っておくと,SamsungはUSB 3.1 Gen.2に対応する外付けSSD製品「Portable SSD T5」を,ちょうど1年前の2017年8月に発売している。

 USB 3.1 Gen.2の帯域幅は片方向で最大10Gbps,双方向で最大20Gbpsとなっているため,Portable SSD X5の採用するThunderbolt 3はその2倍だ。外付けストレージにそこまでの性能が必要なのかと疑問を持つ読者もいると思うが,「ノートPCでゲームをプレイする」前提に立った場合,ストレージの速度と容量がハードルになるケースは少なくない。

 ゲーマー向けのノートPCだと,システム用のCドライブとしてM.2接続のSSDを採用するのが当たり前になってきているが,DドライブはHDDだったり,薄型モデルだとそもそもDドライブ用のストレージデバイスを搭載する余地がなかったりする。さらに言えばCドライブも容量は128〜512GB程度が一般的なので,「ゲームを高速なストレージにたくさんインストールしたい」となると,底面を開けてストレージデバイスを交換するという,メーカー保証の失効する選択肢を採らない限り,外付けストレージしかないということになるのだ。

 そして,そんな外付けストレージの新しい選択肢となるPortable SSD X5だが,ラインナップは容量2TB,1TB,500GBの3モデルとなっている。スペックは表1にまとめたが,逐次読み出し性能最大2800MB/s,逐次書き込み性能最大2300MB/sと,外付けストレージデバイスらしからぬ数字が並んでいる。
 一方,内蔵ストレージのスペック表記でお馴染みのコントローラやIOPS値に関する情報はなく,また保証期間が3年で,Samsung製で最新世代の内蔵型ストレージである「SSD 970 PRO」「SSD 970 EVO」の5年と比べて短く,そして価格が圧倒的に高価というあたりは気になるところだろう。


 今回4Gamerで入手できたのは容量1TBモデルなので,テストに先立って実機を見てみよう。

Samsung SSD
 右の写真でも分かるように,全体として丸みを帯びた形状のため計測しづらいのだが,最も長い部分をノギスで実測した結果だとサイズは約61.8(W)×118.5(D)×20.0(H)mmだった。Portable SSD T5だと約57.4(W)×75.0(D)×10.8(H)mmと比べると二回りは大きい印象だ。ポケットに十分入る大きさであるため,「ポータブルストレージ」として不自由は感じないが,Portable SSD T5と同じサイズ感を期待してはいけない。
 ちなみに実測重量は順に約146g,約51gなので,3倍くらい重い。一般的なサイズのスマートフォンより少し軽いくらいをイメージしておくといいだろう。

Portable SSD X5はPortable SSD T5と比べて明らかに大きい。また重量も増している。ただ,ポータブルストレージとして見れば破綻のないサイズおよび重量でもある
Samsung SSD Samsung SSD

上部はメタリックグレー塗装のうえ光沢加工済み。写真左に見える「C」型のワンポイントはただの飾りで,ここが光ったりはしない
Samsung SSD
 Portable SSD T5がソリッドな印象のアルミ製筐体を採用するのに対し,丸みを帯びた樹脂製筐体を採用するのは,Portable SSD T5が持つ外観上の大きな特徴と言える。
 設置時の上面側は光沢ありのメタリックグレーで,Thunderbolt 3端子側と底面はツヤ消し加工済みの赤というツートンはよくも悪くも存在感がある。上面側には凹んだ部分があり,通電時にはいかにも光りそうだが,これは単なる飾りで,光るのは,Thunderbolt 3接続用となるUSB Type-C端子の脇にある,小さな電源およびアクセスインジケータLEDのみだ。

本体を横から見ると,Thunderbolt 3端子側から少し中央寄りのところが最も分厚く,ここが約20mmある(左)。中央はThunderbolt 3端子の反対側を見たカット,右は底面を見たカットだ。底面部には滑り止めと思しき溝も確認できる
Samsung SSD Samsung SSD Samsung SSD
Samsung SSD
製品ボックスには端子部込み全長550mmのThunderbolt 3ケーブルが付属していた。ケーブルはもちろん双方向40Gbps転送対応だ
Samsung SSD
Portable SSD X5のLEDおよびアクセスインジケータ。通電時は白で点灯し,アクセス時は橙で点灯するが,明るさは非常におとなしい

 なお,これはPortable SSD X5固有の話ではなく,Thunderbolt 3接続型デバイスに共通の仕様だが,初回接続時には「Thunderboltデバイスの承認」というダイアログがポップアップする。出てきたら,右側のプルダウンメニューで「常に接続」を選択してOKボタンを押すと,次回以降の接続時にはUSBストレージなどと同様に,接続するだけで利用できるようになる。

初回接続時にポップアップするダイアログ。「常に接続する」を選んでおけば次回以降はUSBストレージと同様に扱える

 注意したいのは,USB接続型ストレージと比べると認識に時間がかかることだ。まれに数分レベルの時間を要することがあるので,「あれ,認識されない?」と思うこともあるだろう。その場合はWindowsのデバイスマネージャーから「ハードウェア変更のスキャン」を実行すると,すぐに使えるようになるはずである。
 ちなみにPortable SSD X5は「NVM Expressコントローラ」のストレージとして認識される。まさに外付けのNVMe対応SSDなのだ。

Portable SSD X5接続前(左)と接続後(右)のデバイスマネージャ。「標準NVM Expressコントローラー」が1つ増えている
Samsung SSD Samsung SSD


Samsung製のPCIe/NVMe対応SSDと共通の技術を採用するPortable SSD X5を,Portable SSD T5と比較する


 今回は本体の分解が許可されていないので,これ以上の技術的な詳細はSamsungがレビュワーに対して開示した資料を基に語っていきたいと思うが,それによると,Portable SSD X5が搭載するSSDチップはTLC(Triple Level Cell)の3D V-NAND――Samsungが「3bit MLC」と呼ぶタイプ――だそうだ。さらに,フラッシュメモリの一部をSLC(Single Level Cell)のバッファとして利用し,当該SLC領域をキャッシュとして使うことで高速化を図る,Samsung製SSDでお馴染みの「TurboWrite」技術を採用しているという。

 前段で触れたとおり,Portable SSD X5の逐次読み出しおよび書き込み性能は2000MB/sを超えてくる。そのスペックと,筐体がかっちり密封してあることから発熱が気になる人も多いと思うが,Samsungが公開している分解イメージを見る限り,上部側に大型のヒートシンクを搭載するという対策がしてあるようだ。

Samsungが公開している分解イメージ。ケース上側に大型のヒートシンクを搭載しているようだ。また,本体はThunderbolt 3のブリッジが乗った基板にM.2接続のSSDを搭載した格好になっているのも見てとれる
Samsung SSD

 実使用時,少なくとも外装にさわれなくなるほど熱くなることはなかったが,これは大型のヒートシンクと,Samsung独自の温度管理技術「Dynamic Thermal Guard Technology」による効果というのが同社の言い分である。
 Samsungの資料によると,Portable SSD X5では外装部の温度が45℃以内に収まるよう制御しているとのこと。逆に言うと,外装温度が45度を超えるようなケースではDynamic Thermal Guard TechnologyがSSDの性能を落として冷却を優先する仕様というわけだ。なのでこれが実使用時にどういう影響を与えるかはテストにおける重点チェックポイントということになる。

Samsungが公開したグラフ。赤の線が温度(℃),緑の線が帯域幅(MB/s)を示す。横軸は時間だ。連続書き込みを行うと最初はTurboWriteでカタログスペックどおりの帯域幅を得られるが,一定時間が経過すると,温度の上昇を避けるべく,1500MB/sよりやや低い程度の帯域幅で推移するようになる。さらに,温度が45℃まで達してしまう前にDynamic Thermal Guardが働いて性能を落とし,45℃を超えないよう制御するという
Samsung SSD

 というわけで,今回は4Gamerの内蔵型SSDレビューと同じテストをPortable SSD X5でも実行してみることにした。
 具体的には,一般的なストレージテストとして「CrystalDiskMark」(Version 6.0.1)とI/O性能を測る「Iometer」(Version 1.1.0),そして「PCMark 8」(Version 2.10.901)から,24時間以上にわたってストレージへ負荷をかけ続ける「Expanded Storage」を実行する。
 Dynamic Thermal Guard Technologyが実使用に影響を与えるようならスコアに反映されるはずだ。

 テストに使用したシステムはIntel製のベアボーンキット「Intel NUC Kit NUC8i7HVK」(以下,NUC8i7HVK)ベースだ。ゲーマー向けのノートPCに近い構成を持つPCなので,Portable SSD X5のテストに適した機材と言えるのではないかと考えている。
 比較対象として用意したのは,USB 3.1 Gen.2接続型SSDとして本稿の冒頭でもその名を挙げたPortable SSD T5。要するに,USB 3.1 Gen.2という,USB接続型としてはかなり速い接続仕様を採用するSSDと比較することで,Thunderbolt 3接続を採用したPortable SSD X5の実力を見てみようというわけである。

 そのほか具体的なテスト構成は表2のとおりだ。



CrystalDiskMarkでは,USB接続のSSDを寄せ付けないスコアを確認


 まずは定番のストレージベンチマークであるCrystalDiskMarkからスコアをチェックしていこう。
 4GamerではCrystalDiskMarkを「テスト回数9回,テストサイズ8GiB」という設定で5回連続実行し,その平均をスコアとして採用している。

 グラフ1はQueue Depth(以下,QD)=32,Thread数(以下,T)=1という条件における逐次アクセスのテスト結果をまとめたものだ。最大32のコマンドを先送りして逐次アクセスを行うので,対象ストレージの逐次アクセス性能の最大値に近い値が得られる。
 ここでPortable SSD X5の逐次読み出しはPortable SSD T5の約5.1倍,逐次書き込みは約3.9倍と,まったく比較にならないほど高いスコアを叩き出した。Portable SSD T5はSerial ATA 6Gbps接続型SSDと同等の性能を発揮できる高性能な外付けSSDなのだが,Portable SSD X5とは勝負にならない。

 ちなみに,逐次読み出しの2794.02MB/sというスコアは公称値の2800MB/sに近いが,逐次書き込みの2011.07MB/sは公称値より300MB/s弱低い結果となった。今回のテストではストップウォッチを使って約2分のインターバルを置きながらCrystalDiskMarkを5回実行しているが,5回のスコアにばらつきや目立った低下はなかったので,Dynamic Thermal Guard Technologyが機能して逐次ライトの性能が抑えられたわけではない。


 グラフ2はQD=8,T=8という条件で実行したランダムアクセスの結果だ。
 これは,「マルチスレッド環境におけるランダムアクセス性能を見るテスト」として,CrystalDiskMarkのバージョン6世代で新設となったテストだが,ランダム読み出しでPortable SSD X5はPortable SSD T5の約4.7倍,ランダム書き込みで約7倍と,ここでもPortable SSD X5が圧倒した。
 もともと外付けストレージというのは複数のスレッドからアクセスされるような用途を想定したものではなかったと思うが,Portable SSD X5なら,内蔵ストレージと同じ扱い方をしてしまっても問題なさそうだ。

 ところで,Portable SSD X5とPortable SSD T5のスコア差は後者がUSB接続故にランダムアクセス時にコマンドキューが使えていないためではないかと思う読者もいるかもしれない。かつてのUSBストレージ規格だとそういう原因も考えられたのだが,USB 3.0から「USB Attached SCSI」(UAS)Protocolがサポートされ,UAS ProtocolによってSerial ATA接続時と同じようにコマンドキューが利用できるようになっているので,現状,それはないだろう。
 QD=8,T=8条件のランダムアクセスでPortable SSD X5がPortable SSD T5を引き離すスコアを示したのは,純粋に「搭載するコントローラの性能の違いによるもの」だと筆者は考えている。


 続いてQD=32,T=1という条件で実行したランダムアクセスの結果がグラフ3となる。これは最大32コマンドの先送りを行う従来型のランダムアクセステストである。
 Portable SSD X5はランダム読み出しでSSD T5の約1.8倍,ランダム書き込みで約1.6倍のスコアとなった。QD=8,T=8の結果と比べると伸びが小さいため,それだけにPortable SSD X5は複数スレッドからのアクセスが発生するような状況に強いということが言えるわけだ。


 グラフ4はQD=1,T=1というという条件で実行したランダムアクセスの結果である。コマンドキューを使わず,しかもT=1なので,ストレージのアクセス遅延が効いてくるテストだが,ここでPortable SSD X5はランダム読み出しでPortable SSD T5の約1.6倍,ランダムライトは約1.4倍というスコアを示した。QD=32,T=1とおおむね近いスコア差なので,やはり複数スレッドからアクセスしたときの性能こそがPortable SSD X5の見どころとまとめていいように思われる。



コントローラの性能が高そうなPortable SSD X5


Iometerではテストデータサイズ4GB(8388608セクタ)とし,「# of Outstanding I/Os」で設定するコマンドキューの深さを32に設定してテストを行っている
Samsung SSD
 続いてはIometerの結果を見ていこう。Iometerは設定したアクセスパターンを使ってストレージに高い負荷をかけることで性能をテストするベンチマークであり,ストレージのI/O性能を確認することができる。
 セットしたテスト時間は1時間で,総合スコアとしてのIOPS(I/O Per Second)値とは別に,スタート直後1分間のIOPS値と終了時1分間のIOPS値も比較する。激しいディスクアクセスを1時間続けることによりIOPSがどのくらい変化するのかが分かるからである。

 データの保存を主目的とする外付けストレージは逐次アクセスが主だ。なので,これまでI/O性能が問われることはほとんどなかった。実際,本稿の序盤でも軽く触れたように,SamsungがPortable SSD X5でアピールしているのは逐次アクセス性能の高さであって,I/O性能は公表すらしていない。
 だが,前述したとおり,ゲームのインストール先として利用したいゲーマーだと,ストレージからテクスチャやシェーダの読み出しを行ったり,シェーダのコンパイル結果を保存したりといった細かなアクセスが発生するため,I/O性能の高さが結構重要になってくる。

 それを踏まえてテスト結果であるグラフ5を見ると,総合スコアでPortable SSD X5はPortable SSD T5の約3倍というスコアを叩き出した。
 さらに,Portable SSD T5では開始時1分に比べ終了時1分のIOPS値が大きく低下しているのに対して,Portable SSD X5ではほぼゆらいでいないというのも大きな違いだ。Portable SSD T5はPortable SSD X5と同じくTurboWriteを採用しているのだが,コントローラの性能を比較するに,Portable SSD X5のほうが数段上である。

 同時に,ここで1時間の連続稼働程度では,Portable SSD X5において「温度による性能低下」が起きないことも確認できたと言える。


 なお,4Gamerで設定しているIometerのテスト設定でIOPS値が8万台中盤というのは,2018年夏におけるPCIe/NVMe対応SSDのエントリー〜ミドルクラスと同等の数字で,たとえば「SSD 960 EVO」の容量512GBモデルも同程度である(関連記事)。
 つまり,「データ保存用の外付けストレージ」として使うには少々もったいないくらいの性能があるということになる。


高負荷環境でも外付けストレージのイメージを変えるスコアを叩き出すPortable SSD X5


 最後はPCMarkのExpanded Storageテストだ。
 Expanded Storageについては「HyperX Savage Solid-State Drive」のレビュー記事で詳しく説明しているので,基礎的なところから把握したい人はそちらも参照してもらえればと思う。

 簡単におさらいしておくと,Expanded Storage」テストは「Consistency test v2」と「Adaptivity test」という2つのテストからなり,Consistency test v2は,以下に挙げる3フェーズで構成される。

  • Degradation pass(劣化フェーズ):テスト対象のストレージに大量のランダムデータを書き込み,SSD内部においてデータの再配置が起こりやすい状況を作ったうえで,さらにランダムデータの量を毎回増やしながら合計8回のストレージテストを行い「再配置が多発している状況での性能低下」を調べる
  • Steady state pass(安定化フェーズ):一定量のランダムデータを書き込んだうえでストレージテストを5回実行し,劣化の度合いが最大になった状態での性能を調べる
  • Recovery phase(修復フェーズ):適切なインターバルを置きつつストレージテストを5回実行し「性能が低下した状態からどの程度回復するか」を調べる

Samsung SSD
 一般的にはDegradation passで徐々に性能が劣化していき,Steady state passで性能の劣化が最大となり,Recovery phaseで性能が回復するというパターンを示す。劣化の度合いと性能の回復の度合いから,SSDに高い負荷をかけ続けたときの性能や快適さを測ることができるテストだ。

 一方のAdaptivity testでは,上のRecovery phaseに相当するテストを10回繰り返し,ストレージにとって性能を発揮しやすい環境にしてから,PCMark 8のストレージテスト結果を求めるものになっている。ベストケースにおけるスコアを見るものという理解でいいだろう。

 Consistency test v2とAdaptivity testはともに,元来,外付けストレージに対して行うようなテストではない。実のところ,Portable SSD T5では実行に48時間ほどかかった。
 正直,「通しで実行できただけでも大したもの」といった感じだが,そういうテストでPortable SSD X5がどこまでのスコアを示すのかが見どころとなる。

 ……という長めの前置きを経て,Consistency test v2から見ていこう。グラフ6はConsistency test v2におけるStorage testの平均帯域幅変化をプロットしたものだ。Portable SSD X5とPortable SSD T5ではPCMark 8における平均帯域幅が大きく異なることが見てとれるだろう。

 Portable SSD X5ではテスト開始時のDegradation Pass 1で400MB/sを下回るものの,Degradation Pass 2以降でやや回復し,Steady state passまで410MB/s〜430MB/sといったところで推移する。Recovery Phaseに移ると一気に回復し550MB/s以上の帯域幅になる。
 一方のPortable SSD T5はDegradation PassからSteady state passまで200MB/sを下回り,Recovery Phaseでは260〜270MB/sに回復する。高負荷時と負荷から解放されたときのスコア差が小さいので,よく言えば安定しているが,勝負にはなっていない。

※グラフ画像をクリックするとスコアの詳細がまとまった表3を表示します
Samsung SSD

 PCMark 8はオフィスやゲームなど複数のアプリケーションのストレージアクセスを再現して,グラフ6で示した平均帯域幅を算出している。
 なので,Consistency test v2の実行結果としては,各アプリケーションのワークロードを実行したときのステータスも得ることができるのだが,今回はその中からAdobe製の写真編集アプリケーション「Photoshop」を使った負荷の高いワークロード「Photoshop heavy」における平均ストレージアクセス時間の変化を見ておくことにしよう。平均ストレージアクセス時間は体感速度に直結するので,どこまで高負荷時に性能が落ちるのかを知るうえで重要な指標だ。

 グラフ7はPhotoshop heavyにおける読み出し時の平均ストレージアクセス時間をプロットしたものである。Portable SSD X5はDegradation Passで0.21ms,Steady state passでは0.2〜0.21msで推移し,Recovery Phaseに移ると徐々に回復して最終的には0.16msに達した。高負荷環境でも安定しており劣化が少ないと言える。
 Portable SSD T5はDegradation Passでは0.39〜0.43msで推移し,Steady state passで0.01ms程度の回復を見せた後,Recovery Phaseで0.35msまで回復した。なのでこちらもおおむね安定していると言えるのだが,そもそものアクセス時間に両者では大きな違いがある。

※グラフ画像をクリックするとスコアの詳細がまとまった表4を表示します
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 Portable SSD X5とPortable SSD T5でスコアに大きな違いが生じたのは,Photoshop heavyの書き込み時の平均ストレージアクセス時間をプロットしたグラフ8である。

 Portable SSD X5はDegradation PassからSteady state pass 2にかけて悪化が進み,平均ストレージアクセス時間は0.86msまで大きくなった。その後,Steady state pass 3以降で回復を見せ,Recoevery Phaseでは0.22msまで平均ストレージアクセス時間が小さくなっている。挙動としてはやはりミドルクラスのPCIe/NVMe対応SSDに近いものだ。
 一方のPortable SSD T5はDegradation Passで5msを超えるという,HDD並みの平均ストレージアクセス時間を記録した。高負荷環境ではかなり使い勝手が悪化し,アクセスに引っかかりを感じるという結果だ。Recovery Phaseで回復するものの,1.61msまでなので,SSDとしては平均ストレージアクセス時間が大きめである。USBのオーバーヘッドが影響しているのかもしれない。

※グラフ画像をクリックするとスコアの詳細がまとまった表5を表示します
Samsung SSD

 続いてグラフ9は,Consistensy test v2で実行した合計18回のStorage testから,最も高いスコア「Best score」と最も低いスコア「Worst score」を抜き出したものだ。両者のスコア差が小さいほど高負荷時の性能の落ち込みが小さいことになるが,Portable SSD X5では約1%に留まり,約4%になったPortable SSD T5との違いを出している。


 最後にAdaptivity testの結果もまとめておこう。グラフ10はAdaptivity testで実行したStorage test合計10回のスコア平均を,グラフ11は平均帯域幅をそれぞれまとめたものだ。
 どちらも「良好な環境でPCMark 8のStorage testを実行するとこの程度のスコアが出る」という目安になる。

 PCMark 8のStorageスコアは最近のSSDだと違いが出にくく,実際,Portable SSD X5はPortable SSD T5に対して約2%高いだけだ。だが,平均帯域幅では前者が後者に対して約2倍のスコアを示した。PCMark 8の平均帯域幅が600MB/s弱というのは,PCIe/NVMe対応SSDのミドルクラス製品並みの数字であり,外付けストレージのイメージを覆すものと断言してしまっていい。



性能は文句なしだが,ゲームのインストール用としてはあまりにも高価すぎる


Samsung SSD
 Portable SSD X5は,ポータブルストレージとしては文句なしに最高峰の製品である。ゲームのインストール先として,何ひとつ不自由なしに利用できる外付けSSDが出てきたことのインパクトは大きい。あるいは,ゲーム開発者がデータベースのストレージとして使うなどといったケースでも(耐久性や信頼性を度外視すれば)十分に使っていけるだろう。

 そんなPortable SSD X5の問題はとにかく価格である。
 あらためて整理しておくが,3モデルのメーカー想定売価は以下のとおりだ。

  • 容量2TBモデル(MU-PB2T0B/IT):税込21万円前後
  • 容量1TBモデル(MU-PB1T0B/IT):税込10万5000円前後
  • 容量500GBモデル(MU-PB500B/IT):税込6万1000円前後

 参考までに書いておくと,Samsung製PCIe/MVNe対応SSDの主力モデルとなるSSD 970 EVOなら容量1TBモデルの実勢価格が4万4000円前後,2TBモデルでも8万9000〜9万円程度(※いずれも2018年8月29日現在)だ。この価格と比較してしまうと,「とても買えない」と思うゲーマーが大半ではないだろうか。
 付け加えると,Thunderbolt 3というインタフェース自体の互換性にも不安が残る。「Thunderbolt 3対応」のノートPCすべてで動作するのかといった情報をSamsungは開示していないのだ。外付けグラフィックスボックスの互換性問題を目の当たりにしてきただけに,Portable SSD X5がThunderbolt 3搭載PCのすべてで問題なく動作すると楽観的に構えることは,どうしてもできない。

Samsung SSD

 Portable SSD X5は,「ポータブルストレージがここまで来た」ことを示したという意味で,非常に貴重な製品だと言えるだろう。なので,ゲーマーとしては,より気軽に買える価格帯までThunderbolt 3接続の外付けストレージが下りてきてくれることを切に願う,といったところがまとめになりそうだ。

SamsungのSSD製品公式情報ページ

ITGマーケティングのPortable SSD X5製品情報ページ

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