ゲームに高い没入感をもたらし,普段使いにも便利なウルトラワイドディスプレイの入門機
AMZFAST AMZG34C8 Pro
視界を広く覆うウルトラワイドディスプレイは,高い没入感を得られるためゲームとの相性がいい。一方で,価格の高さから手を出しにくい製品も多かった。
そんな中,中国Express LUCKグループが展開するディスプレイブランド「AMZFAST」から,実質4万円未満(本稿執筆時点)で購入できる34インチサイズのウルトラワイドディスプレイ「AMZG34C8 Pro」を評価してみたい。
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価格対スペック比の高さで注目されるブランドだが,その実力はどうなのだろうか。AMZG34C8 Proの試用機をテストして,使い勝手や実用性を確認していこう。
価格以上の性能を謳うウルトラワイドディスプレイ
AMZG34C8 Proは,34インチサイズで,解像度3440×1440ドットの湾曲型ウルトラワイドディスプレイだ。
画面の曲率は1500R(=半径1500mmの円を描くカーブ)と,ゲーマー向けのウルトラワイドディスプレイではスタンダードな製品といえよう。
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約4万円という手頃な価格ながら,応答速度の指標である「Moving Picture Response Time」(MPRT,黒挿入時の応答速度)は約1msで,垂直最大リフレッシュレートは240Hzに達する。
ディスプレイ同期技術(可変リフレッシュレート)としては,VESA標準技術の「Adaptive-Sync」に対応する。
また,コントラスト比3000:1,表示可能な色域の基準となる「sRGBカバー率」で130%を謳うなど,価格を考えると充実した表示性能も特徴だ。
まずは,AMZG34C8 Proの外観から見ていこう。
AMZG34C8 Proは,写真のとおり3つのパーツに分かれてパッケージに収められている。
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脚部は蝶ネジで固定し,スタンドはパネル側にはめ込むだけなので,組み立てに工具は不要だ。本体も比較的軽いため,組み立て後の持ち運びは容易である。
幅約80cmのパネルを寝かせられるスペースさえ確保できれば,組み立てや設置の手間は,一般的な27インチクラスのディスプレイと大差ない。
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本体サイズは実測805(W)×460(H)mm。スタンド部の奥行きは実測180mmだ。画面の湾曲を考慮しても,250〜300mm程度の奥行きを確保できれば設置できるだろう。
アスペクト比16:9の27インチクラスディスプレイと比べると,横幅は約200mm広いものの,実際に置いてみると想像ほど大きくは感じない。
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付属スタンドはシンプルな構造で,調整できるのは上下回転(チルト)のみ。手前に5度,奥側に15度まで傾けられる。
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調整の自由度は高くないが,パネル取付部は100×100mmのVESAマウントに対応しているため,必要に応じてディスプレイアームへ交換することも可能だ。
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操作用のボタン類は,背面の前から見て右側にあるジョイスティックと電源ボタンのみ。オートパワーオフに対応するため,普段は電源ボタンに触れる機会は少なく,ジョイスティックでOSDを操作する程度だ。
ただ,パネル側面からジョイスティックまで約50mm離れているため,やや指が届きにくかった。
映像入力インタフェースは,DisplayPort 1.4×2とHDMI 2.1 FRL×2で豊富だ。また,ヘッドフォン出力端子に加えて,モノラルスピーカーも内蔵する。
ただ,スピーカーは高音質とは言い難い。ただ,動作確認やWindowsの通知音や警告音を鳴らす程度であれば,あると便利ではある。
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AMZG34C8 Proは電源として,ACアダプタを使用する。出力は12V/60Wで,DCプラグには一般的な5.5×2.1mm径を採用している。
消費電力は最大60Wで,34インチクラスのディスプレイとしては比較的低いといえる。
流行のAI機能を搭載するなどOSDも意外に多機能
AMZG34C8 Proが備えるゲーム関連機能を見ていこう。
AMZG34C8 Proのゲーム関連機能には,内蔵AIと連動するものがある。最近はAI機能を搭載するディスプレイも増えているが,本機のOSDメニューでも先頭に「AI」の項目が用意されている。
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AI機能は,以下の3種類だ。
- AIアイセーバー:表示内容に応じて,ブルーライトカットの強度をAIが自動調整する
- AI PQ:表示内容に応じて,画質モードを自動調整する
- スマート十字:表示内容に応じて,画面中央に照準マークをオーバーレイ表示する
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ただし,コンテンツに応じた照準の表示・非表示は,あまりうまく機能していない印象だ。Windowsのデスクトップ画面では表示されないこともあれば,逆に表示されたままになることもあり,信頼性に欠ける。
AI制御を使わず,手動で表示・非表示を切り替えることもできるので,必要に応じて使い分けるのがよさそうだ。
一般的なゲーム向け機能は,「ゲーム」メニューにまとめられている。
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ゲームメニューには,以下の機能が用意されている。
- ゲームモード:ゲームの種類に応じた画質モードを選択する
- ナイトビジョン:暗部を明るく表示する
- Optixスコープ:画面中央を拡大表示する
- リフレッシュレート:現在のリフレッシュレートをオーバーレイ表示する
- Adaptive-Sync:ディスプレイ同期技術「Adaptive-Sync」のオン・オフを切り替える
- タイマ:タイマをオーバーレイ表示する
ゲームモードには,次の4種類のプリセットが用意されている。
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「Game」はゲーム向けの汎用画質で,FPS以下はそれぞれのゲームに合った画質だ。オフ(標準)に比べると,ゲーム向きのプリセットは少し色温度が高めで,やや青みがかった色合いになる傾向があるようだ。
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画質は「イメージ」メニューでも調整可能なので,好みに応じて変更して使うことになるだろう。
「ナイトビジョン」は,暗部を浮かび上がらせて視認性を高める,ゲーミングディスプレイでは定番の機能だ。AMZG34C8 Proでは,「通常」「強い」「もっとも強い」の3段階から強度を選べる。
さらに,「フルスクリーン」と「ウインドウ」を切り替えられるのが特徴で,ウインドウではナイトビジョンの適用範囲を画面中央部に限定できる。ウインドウ表示のゲームだけでなく,フルスクリーン表示で画面中央だけ明るくしたい(≒周辺部は暗いままでいい)場合にも使える。
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「Adaptive-Sync」メニューで設定できるのは,ディスプレイ同期(可変リフレッシュレート)機能のオン・オフのみだ。
本機はNVIDIA独自のディスプレイ同期技術である「G-SYNC」には対応しておらず,「G-SYNC Compatible Monitors」認証も取得していないが,Adaptive-Syncを有効にすると,GeForce向け設定ソフト「NVIDIA App」側でG-SYNCを有効化できる。
あくまでもAdaptive-Syncを利用した互換動作なので,G-SYNC対応ディスプレイとまったく同じ動作が保証されるわけではないが,試用中にとくに問題はなかった。
ゲームメニューで最後にある「タイマ」は,カウントアップまたはカウントダウンをオーバーレイ表示するという,ゲーマー向けディスプレイではよくある機能だ。
設定できるのは,0からのカウントアップと,15分,30分,45分,60分からのカウントダウンの計5種類である。
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AMZG34C8 Proのアスペクト比は,一般的なディスプレイやテレビの16:9よりもかなり横長なので,一部の(とくに古い)ゲームでは正常に表示できないこともある。
本機は表示領域をアスペクト比16:9と4:3に切り替えられる(※画面左右には映像を表示しない)ので,そうしたゲームでも正常に表示できるわけだ。
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応答時間は,オフ,通常,中,ダイナミック,強の5段階から選べる。
強は表示にやや不自然さが見えるが,中やダイナミックなら違和感は比較的少ない。ゲーム中の残像感が気になる場合に調整するといいだろう。
一方のMPRTは,映像フレームとフレームの間に全画面黒のフレームを挿入する機能だ。
最近では,黒挿入を有効にしても輝度を下げすぎない製品もあるが,本機でMPRTを有効にすると,はっきり分かるほど画面が暗くなる。また,Adaptive-Syncとは併用できず,最新のゲーマー向けディスプレイに見られる可変フレームレート対応の黒挿入ではなかった。
機能面以上に気になったのは,個体差の可能性もあるがMPRTを有効にすると,本体から「プー」という小さなノイズが出続ける点だ。周波数は低めで,おそらく120Hz前後と思われるため耳障りというほどではないが,静かな環境では気になる。
バックライトを点滅させる制御回路で,いわゆるコイル鳴きのような振動が発生している可能性がある。この音が気になるため,筆者としてはMPRTを積極的に使う気にはなれなかった。
AMZG34C8 Proのおもなゲーム関連機能を見てきたが,価格から考えると機能は充実している。AI関連の機能はあまり賢いとは感じなかったし,MPRTのように気になる点も一部あるが,価格を考えれば大きな欠点というほどでもないだろう。
色域やコントラストは良好。ウルトラワイド画面の魅力を味わえる
最後に,画質やゲームでの使用感をまとめておこう。
IPS(および互換)方式が液晶ディスプレイの主流である現状で,VA方式のパネルを採用している点が気になる人もいるだろう。
AMZG34C8 Proの液晶パネルは,VA方式らしくコントラスト比に優れ,黒がしっかりと沈み込み,発色も良好だ。一見した印象では,高画質なディスプレイと評してよかろう。
ただ,画面が広いこともあってか,若干の輝度ムラが見られた。細かく確認すると,見る角度によって色がわずかに変化するというVA方式らしい傾向も見えた。
1m程度離れて使うぶんにはほとんど気にならないが,画面に近づくと端のほうで色の違いが見てとれる。
ディスプレイ校正ツール「SpyderPro」を使って,AMZG34C8 Proの表示性能を測定したので,客観的なデータも示そう。
AMZG34C8 Proは,SDR映像信号を前提とした色空間規格「sRGB」のカバー率が,130%であると謳っている。しかし,SpyderProによる計測結果は99%だった。
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公称値どおりの結果にはならなかった理由としては,AMZG34C8 Proは湾曲型ディスプレイであるため,SpyderProのセンサーが画面に密着できず,それが測定値に影響した可能性もある。
その点を考慮すれば,まずまずの結果といえるだろう。
公称値3000:1を謳うコントラスト比は優秀で,計測結果では25%を除くすべての項目で「3650:1」を記録した。
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画面の均一性は,色ムラは比較的抑えられている一方で,輝度ムラが見られた。画面サイズを考えれば,ある程度はやむを得ないだろう。
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総合評価を見ると,色域やコントラスト比,色の正確性は優秀だが,輝度や色の均一性は平均的という結果だった。白色点のスコアは低いものの,これはOSD側の調整で改善できるだろう。
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AMZG34C8 Proのゲームでの使用感は,非常に良好だ。何より,16:9のディスプレイに比べて横方向の視野が大幅に広いのが良い。
見渡せる範囲が広いため,敵やフィールドの変化にも気づきやすく,ゲームによっては有利にプレイできる。さらに,湾曲パネルによる没入感の高さも大きな魅力だ。
表示範囲がどれほど違うのか,本機と一般的な16:9ディスプレイで,似たようなシーンのスクリーンショットを撮影したので比較してみた。本機では街並みを広く見渡せるのに対して,16:9のディスプレイでは,風景の一部だけを切り取ったような表示になる。
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一度AMZG34C8 Proでプレイすると,普段使っている16:9ディスプレイでは物足りなく感じるほどだ。
もうひとつ注目したいのは,AMZG34C8 Proならドットバイドット表示でも文字を十分に視認できる点だ。
最近では,4K解像度のような高DPIディスプレイでも,Windowsの表示倍率を調整すれば不自由なく使えるようになってきた。一方で,ゲームでは表示倍率が反映されなかったり,反映されても表示が崩れたりすることがある。
拡大率を指定する必要がないAMZG34C8 Proなら,そういうトラブルの心配もないわけだ。これも,地味ではあるが意外な強みといえるのではなかろうか。
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ウルトラワイドディスプレイの入門機としてお勧め
AMZG34C8 Proのおもな機能や使用感を見てきた。先述したとおり,一部の機能や性能には物足りなさもあるが,入手しやすい価格がそれを補って余りある。
とくにゲームでは,ウルトラワイド画面ならではの高い没入感を味わえるうえ,ドットバイドット表示でも使いやすく,普段使いのディスプレイとしても十分に実用的だ。
初めてウルトラワイドディスプレイを試してみたいゲーマーにとって,有力な選択肢となる製品だろう。
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