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ピカチュウが現実世界を駆け回る未来はすぐそこに。「Ingress」「Pokemon GO」のNianticが作る次世代のARゲームとは
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印刷2018/06/29 16:51

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ピカチュウが現実世界を駆け回る未来はすぐそこに。「Ingress」「Pokemon GO」のNianticが作る次世代のARゲームとは

Niantic公式Webサイトのトップページ
Pokémon GO
 4Gamer読者であれば,「Niantic」(ナイアンティック)という企業の名前を,幾度となく目にしたことがあるのではないか。社名自体を知らなくても,同社が開発に関わった「Ingress」(iOS / Android)や「Pokémon GO」(iOS / Android)といったゲームタイトルなら,知らないという人のほうが少ないくらいだろう。
 Nianticは現在,Warner Bros Entertainmentなどとの提携により,「Harry Potter: Wizards Unite」という新作ゲームの開発を進めており,詳細は間もなく公開されるようだ。

 スマートフォン向けの拡張現実(Augmented Reality,以下 AR)ゲームを開発するメーカーとして知られるNianticだが,現在は機械学習を使った最新のAI技術をARに組み合わせることで,よりリアルな世界を扱えるソリューションを実現しようとしている。そうした技術は,近い将来のゲームにも応用されることになるだろう。
 本稿では,今回Nianticが行った報道関係者向けイベントで明らかにされたデモを中心に,彼らが手がける最新のAR技術について紹介したい。なお,デモの風景や説明スライドの撮影は禁止されていたので,デモの画像はすべて,Nianticが公開した動画からの引用となることをお断りしておきたい。


AIを駆使してピカチュウとイーブイが現実世界を駆けまわる


John Hanke氏(CEO,Niantic)
 米国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くNianticは,もともとGoogleで地図サービスの「Google Maps」や「Google Earth」を開発していたチームが独立した会社である。ベースとなった技術を開発したKeyholeという企業でCEOを務め,現在もNianticのCEOであるJohn Hanke氏率いる集団は,位置情報や地図情報をもとにしたソフトウェアの開発に秀でており,Nianticとなった現在も,その強みを生かしたビジネスを展開中というわけだ。

 Nianticでシニアエグゼクティブを務めるMichael Jones氏は,「地図サービスというと,カーナビゲーションみたいに目的地までの案内だけで終わってしまう。しかし,現実の空間と仮想空間を重ね合わせることで無限の可能性が生まれる。ゲームという形態は,現実世界という空間を使って,皆が別の楽しみを享受できる方法のひとつだ」と,同社が目指す方向性についてを語った。

 実際,IngressやPokémon GOの世界では,現実世界に実在するランドマークが,「ポータル」や「ポケストップ」,「ジム」として見えており,プレイヤーは,現実の地理を巡った攻防を繰り広げている。ゲーム世界では,プレイヤー同士で現実世界の上に重なったゲームの世界観を共有しているものの,プレイしていない人からは,そこで何が起きているのかは分からない。
 現実世界を使った陣取り合戦やポケモン収集が,Nianticの提供するARの醍醐味ということになる。

ARモードでは,アウトカメラで映した現実の風景にポケモンが重なって表示される
Pokémon GO
 また,Pokémon GOでは「ARモード」という機能があり,アウトカメラに写った現実世界に潜んでいるポケモンを探して,逃げ回る相手にモンスターボールをぶつけて捕まえるといった駆け引きを楽しめる。
 とはいえ,実際のARモードはモンスターボールを的であるポケモンに当てにくという問題があるし,ARといっても,カメラで捉えた映像を背景にポケモンを重ねて表示しているだけなので,実はARならではの臨場感があるというわけでもないと筆者は思っている。
 これは,Pokémon GOが備えるAR機能は,カメラに映る映像を立体感のない単なる1枚絵景としか認識できないためだ。映画における字幕のようなもので,単純に重ね合わせることしかできないのでは,臨場感もそれほど優れたものにはなるまい。

 だが,遠くない将来のARゲームは,より進化した表現が可能になる。今回,Nianticが公開した「Niantic Occlusion」というデモの動画を見てほしい。このデモでは,背景を実際に立体物として認識し,重ね合わせるキャラクターが,現実世界の人や物よりも奥側にいる状態では,きちんと背景に隠れて見えなくなるなど,より現実に溶け込んだ形で表現できていることが見てとれるはずだ。


 ピカチュウが背景や人物に隠れたりしながら周辺を縦横無尽に走り回ったり,あるいはイーブイと追いかけっこを繰り返したりと,スマートフォンの画面を通して覗くと,現実の風景をポケモンが駆け回る別の世界がそこに存在している。

Pokémon GO並みのAR機能では,現実の風景は単なる背景で,人物の後ろにいるはずのピカチュウが人物の上に描画されてしまう(左)。Niantic OcclusionベースのARであれば,現実の風景を立体として認識し,人物の後ろをピカチュウが走り抜けるような表現が可能となる(右)
Pokémon GO Pokémon GO

 Niantic Occlusionは,英ロンドンを拠点にするMatrix Millという会社の技術を組み合わせたものだ。Matrix Millは,「MonoDepth」という技術を持っており,同社をNianticが買収したことで,このデモのような技術が可能となった。
 今回のデモは,スマートフォンの単眼カメラでも背景の深度を認識することで,撮影された映像の奥行きに合わせて,リアルタイムでキャラクターの重ね合わせを可能としている。この深度認識における技術的な基盤となっているのが,冒頭でも触れた機械学習によるAIだ。


現実世界をリアルタイムに共有する「Neon」


 つい先日,サービス開始から2年も経って,ようやくPokémon GOにポケモンの交換機能が実装された。また,「なぜPokémon GOには対戦機能がない」と考えているプレイヤーも少なくないだろう。
 IngressやPokémon GOの世界では,Nianticが管理するクラウドサーバを通じて,何百万〜何千万人というプレイヤーが世界規模で同時に参加するゲームの最新情報が共有されている。実際にプレイしてみると,複数プレイヤーが同時に参加する「ジムバトル」や「レイドバトル」では,通信のラグが酷く,ネットワークの混雑状況によっては,入力したコマンドの反映に時間がかかったり,実際の攻撃とダメージを受けるタイミングがずれていたりといった具合に,リアルタイムで情報が全プレイヤーに共有されているわけでないことが分かるだろう。
 つまり,Pokémon GOの基本システムでは,プレイヤー同士のリアルタイム対戦は,なかなかに難しいということは想像できるのではないか。

 Nianticによれば,通常のクラウドを介するマルチプレイヤーゲームでは,100ms(100ミリ秒=0.1秒)を超えるラグも普通に存在しているという。しかし,同社が提供する新しい共有システムを使うと,こうしたラグを10ms以下に押さえ込むことが可能になるそうだ。
 対戦格闘ゲームの世界では,60分の1〜2フレーム程度の差が勝敗を分けたりする。60fpsで表示するゲームの場合,1フレームの時間はおよそ16.7msであるから,10ms以下というのは1フレーム未満で収まるラグということになるわけだ。

 Nianticの共有技術がとくに威力を発揮するのは,プレイヤー同士がリアルタイムで対戦ゲームを行う場面である。それを示したのが,開発コードネーム「Neon」と呼ばれる技術のデモだ。Neonは,最大で8人が参加できるシューティングゲームの形をとっており,一種のサバイバルゲームのようなゲームを簡単に実装できそうだ。


 Neonではゲームの処理にクラウドを介さず,プレイヤーのスマートフォン同士がピアツーピアで通信することで,ラグを最小限に押さえ込んでいるという。ただし,当然ゲーム開始前には,ゲーム開始前には,プレイヤー同士の間でセッションを確立する必要がある。理論上は,100人同時プレイでも対応できるというが,超大人数が密集した状態ではリアルタイム通信の維持が困難になると予想しているそうだ。
 この技術を使えば,Pokémon GOにおけるリアルタイムの対人戦や,Neonの流れを汲む新しいゲームの可能性まで,いろいろ期待できそうだ。

Neonのデモ。カメラで捉えた人物を,位置を含めて画像認識している。しかもプレイヤー同士の通信で生じるラグは非常に短いという
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Pokémon GO

 そのほかにも共有機能を使ったデモとして,開発コードネーム「Tonehenge」(トーンヘンジ)が紹介された。Tonehengeは多人数参加型のパズルゲームだ。Niantic本社前のスペースを使って行われたデモでは,近くにいる他のプレイヤーがアバターの姿で見えており,中央部にあるパズルを複数のプレイヤーが協力して解いていくという内容になっていた。

Tonehengeのデモ。灰色のローブをまとった人物は,カメラで認識したほかのプレイヤーにCGキャラクターを重ねたもので,リアルタイムに動き回る。3つの石像や手前に見える石の床はCG映像で,背景となる建物は現実の風景だ
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 NeonとTonehengeともに興味深いのは,デモの中枢となる部分は,1日から数日程度で構築され,実際のスマートフォンアプリに実装するまで,それほど時間が掛かっていないという点にある。
 Nianticでは,同社が世界最大級のヒットを飛ばしたスマートフォンゲームでの実績をもとに,その仕組みや技術を他社に提供して新しいゲームを開発するプラットフォーム戦略を推進しつつあるそうだ。今後はPokémon 以外のキャラクターやアイデアを盛り込んだ新しいARゲームが,Nianticのシステムをベースに続々と登場することになるかもしれない。


Nianticってどんな会社?

本社はサンフランシスコの観光名所内にあり


 世界規模のゲームプラットフォーム提供をにらむNiantic。余談気味のネタではあるが,最後に「Nianticはどんな会社か」というのを紹介したい。

社名の由来となったNiantic号の模型。オリジナルの帆船は,1850年前後のゴールドラッシュ期に実在した捕鯨船だ
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 先にも軽く触れたが,Nianticは,そもそもGoogleの地図情報サービスを開発するチームが独立して,2010年にサンフランシスコでスタートした企業である。社名は,19世紀半ばに実際に存在した捕鯨船の「Niantic号」に由来するそうだ(関連リンク)。Nianticのコーポレートロゴには,気球の下にぶら下がった帆船が描かれているが,この船はNiantic号をイメージしたものなのだろう。
 Niantic号は紆余曲折のあげく壊れてしまい,陸の上に引き上げられたうえで放棄されたという。それが,1906年に発生したサンフランシスコ大地震のあとで発掘され,現在ではその跡地がカリフォルニア州の史跡「California Historical Landmark」の1つに認定され,船の残骸や遺留品は,周辺の博物館やホテルなどで在りし日をしのぶ記念品として展示されているそうだ。

 そんな由来を持つNianticは,サンフランシスコを代表する観光名所で,米国の「国家歴史登録財」でもある「San Francisco Ferry Building」内に本社を構えている。

サンフランシスコの観光名所であるSan Francisco Ferry Building。船が主役だった時代には,ここが外界との出入り口であり,日々多くの人々が行き来していた。現在もサンフランシスコ湾や周辺地域を行き来するフェリーのターミナルとなっている
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San Francisco Ferry Buildingは,2000年代初頭にリノベーションが行われて,1階は多くの商店やレストランが並んでいる。2階はオフィス空間として整備されており,この1室にNiantic本社がある
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歴史的遺物で埋められたNiantic受付。受付嬢たちも,本当のセーラー服で報道陣をお出迎え
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 本社の入口には,Niantic号に縁のある収蔵品の一部が集められており,その様子はさながら,100年以上前に作られた港の事務所を彷彿とさせるものだ。世界を股にかけるゲームの開発元としてはあまりにも意外であるが,自らの名を体現している,なかなかに洒落た仕掛けではないだろうか。

Niantic公式Webサイト(英語)

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