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[インタビュー]「War Thunder」10周年。これまでの歩みと今後の展望を,プロデューサーのブラーニコフ氏に聞いた
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印刷2022/12/09 10:00

インタビュー

[インタビュー]「War Thunder」10周年。これまでの歩みと今後の展望を,プロデューサーのブラーニコフ氏に聞いた

 ハンガリーに拠点を置くGaijin Entertainmentが展開するマルチコンバットオンラインゲーム「War Thunder」PC / Mac / PS5 / PS4)が,2022年11月1日に全世界での配信開始から10年を迎えた。

 国内でも2016年8月にEXNOAのゲームブランドであるDMM GAMESによるサービスが始まり,2017年に日本戦車ツリーが正式実装されるなど,多くの日本のファンやプレイヤーを楽しませている。
 今回4Gamerでは,同作プロデューサーのヴィヤチェスラフ・ブラーニコフ(Vyacheslav Bulannikov)氏にメールインタビューを行った。

※Gaijin Entertainmentは,オープンベータ(その後,正式サービスに移行)が配信された2012年11月1日を“War Thunderの誕生日”に定めている(関連リンク

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「War Thunder」公式サイト



War Thunderのこれまでの歩みと近年の動向,今後の展望


4Gamer:
 10周年を迎えた今の心境を聞かせてください。

ヴィヤチェスラフ・ブラーニコフ氏(以下,ブラーニコフ氏):
ヴィヤチェスラフ・ブラーニコフ(Vyacheslav Bulannikov)氏
画像集 No.002のサムネイル画像 / [インタビュー]「War Thunder」10周年。これまでの歩みと今後の展望を,プロデューサーのブラーニコフ氏に聞いた
 まず10年経っても多くのプレイヤーに楽しんでいただけているだけではなく,さらに毎年成長できていることが非常に喜ばしいことですね。2022年の同時接続プレイヤー数は2019年の2倍で,アップデートを実施するたびに新しいファンが増えています。

 ときにはトラブルもありましたが,それにもかかわらず,ずっと一緒にいてくれたプレイヤーには本当に感謝しています。このゲームの成功は,開発者の力と同じくらい,フィードバックを始め,さまざまな形で協力してくれた熱心なファンの力も大きいですから。DMM GAMESのような世界中の大切なパートナーも,市場でのゲームのパフォーマンスにおいて重要な役割を担ってくれています。
 ゲームの開発というのは,子供を育てるのに似ていますよね。簡単ではないし,挫折も多いけれど,その結果,無限の幸せを得ることができます。

4Gamer:
 ここ数年,私たちの生活を一変させるような世界規模の出来事が続きました。ゲームを制作するうえで,それらはどのように影響しましたか。

アントン・ユディンツェフ氏(CEO兼共同創業者):
Gaijin Entertainment CEO兼共同創業者 アントン・ユディンツェフ(Anton Yudintsev)氏
画像集 No.003のサムネイル画像 / [インタビュー]「War Thunder」10周年。これまでの歩みと今後の展望を,プロデューサーのブラーニコフ氏に聞いた
 これはCEO兼共同創業者の私からお答えします。
 まず,新型コロナ感染症の感染拡大の対策として,会社全体の社内プロセスを大きく変えました。リモートワークをほぼ100%できるようになり,それによって多くの社員が好きな場所に移住しています。2022年2月には約200人の社員のうち,オフィスで働く人は50人以下になりました。

 一方で,新たな拠点を開設している最中でもあります。現在,ハンガリー,キプロス,ラトビア,ドイツに主要な拠点オフィスがありますが,最近稼働を始めたアルメニアとドバイに加え,ジョージア,ルーマニア,モンテネグロに小規模オフィスを開設する計画があります。オフィスを開設した国に住みたい人や,新たな土地での高いスキルを持った人材の現地雇用に役立っています。

 このアプローチにより,会社全体がとてもフレキシブルに業務を進められるようになりました。生産性は変わっていませんですし,部分的に向上したところもあります。そして,私たちは一国の政治的/経済的状況に左右されることのない,真の国際企業として機能するようになりました。

ハンガリー(左写真)とキプロス(右写真)のオフィスの様子
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 そして,ご存じのウクライナでの出来事の影響は受けています。弊社自体はもう何年も前にハンガリーに本社を置いており,ロシアやウクライナに拠点はありません。しかし,二十数か国という,生まれも育ちも異なる多種多様なスタッフがいる会社なので,個人としては家族や友人が何かしらの影響を受けているという人がいるんです。
 また,協力企業の中には,、ウクライナ西部に制作スタジオがあるビジュアルアセットのアウトソーシング先もあります。これらのスタジオでは,最新アップデートのコンテンツ制作に問題が生じました。私たちは,この状況が良くなることを願って,できる限りの支援を行っています。

ハンガリー本社からの風景
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4Gamer:
 10年という長期間のサービスを続けていて,とくに苦労している部分や大変だと感じるところはどこですか。また,それらをこれまでどう乗り越えていきましたか。

ブラーニコフ氏:
 まず,ゲームバランスですね。「IL-2 Sturmovik」(2001年に第1作がリリースされた,コンバットフライトシミュレーションゲームシリーズ)での経験もあって,最初はそれほどの苦労もありませんでした。地上車両と航空機が同じ戦場で戦うということも,当初からの計画の一部にあり,その方法も知っていましたから。

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 大変だったのは,魚雷艇やヘリコプター,戦艦など兵器の種類を増やし,第二次世界大戦や朝鮮戦争の時代を超え,現代の戦車や戦闘機まで拡張し始めたときです。すでにあるものを壊すことなく,いかに時代の異なる兵器をゲームに取り入れるか。それを考えるのは本当に厄介でした。
 ナパーム弾や火炎放射器など,最新の精密兵器を追加するたび注意しなければならないものが増えました。拡張のたび,課題が雪だるま式に膨らんでいくのです。

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 近代のジェット戦闘機は,第二次世界大戦時のプロペラ機よりはるかに速いし,射程距離の長いミサイルも搭載しています。戦車もまた,より遠距離で敵と交戦できます。しかし,それらのマシンも第二次世界大戦時代のマシンと同じゲームの一部であり,両立させる必要があります。そのために,あるマップは両方の戦闘に対応できるよう汎用性を高め,あるマップは現代戦に特化したものにするなど,マシン自体だけではなくマップの調整で対処をすることもありました。

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 ゲームの操作に使用するボタンのリストも,アップデートのたびにどんどん増えていきます。とくにVTOL(垂直離着陸機)では,既存のゲーム操作のリストにさらに多くのアクションを追加することになりました。
 また,誘導兵器などは,実際のパイロットやガンナーの使い方に近い形でプレイヤーが操作できるようにインタフェースを変更したり,新しいものを足したりする必要がありました。

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 “全体的な体験を壊さないようにしながら,新しい形態の戦いに適合させる”という部分で,私たちがどのような挑戦をしてきたかを示す良い例となるのが海戦です。
 海戦の花形となるのは戦艦ですが,動きの遅い大型艦を操作し,遠距離の敵と交戦するというゲームプレイは,これまでのWar Thunderのスピード感でゲームを遊んできたプレイヤーには,きっと退屈なものになると思いました。とはいえ,戦艦を実際より高速で動けるものにしてしまったら,本来のWar Thunderではなくなってしまうのでそれはできません。
 そこで私たちは,砲艦や魚雷艇といった,沿岸部で活躍する小型艦艇の実装から始めました。ゲームのスピード感が,戦車などの装甲戦闘車両で戦う陸戦とかなり似ていたからです。

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 海戦を実装してから数年後,私たちは,プレイヤーが実際にゆっくりとしたペースの大型艦のゲームプレイをする準備ができていると感じました。また,アリゾナや扶桑といった大型艦を手に入れたいという熱心な思いも伝わってきました。小型の艦艇は現実にはそれほど有名ではありませんので,そう思うのもよく理解できます。
 こうして新たなアプローチとして,駆逐艦,巡洋艦,戦艦からなる外洋艦隊を導入しました。この取り組みはよい形で進んでおり,現在もラインナップの拡大を続けています。いつか大和のような,最も有名な戦艦に到達する日が来るでしょう。

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4Gamer:
 この10年で実施したゲームの新要素の追加やイベントなどで,とくに印象的だった出来事を教えてください。

ブラーニコフ氏:
 エイプリルフールは,最も好評を博して大成功したイベントです。基本的に全く新しい独自のコンテンツやデザインとスタイルを持つゲーム内ゲームで,ディーゼルパンクスタイルのメカコンバットゲーム,遠い惑星と巨大ワームを題材にしたシューティングゲーム,空飛ぶポニーや巨大怪獣ガイジラが登場するユニークなものもありました。プレイヤーの皆さんの記憶にも残るものになったと思っています。

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 もちろん私たち自身も楽しみで,これらのイベントに向けたブレインストーミング,開発,そして最終的な立ち上げがどれほど楽しいものか,想像がつかないのではないでしょうか。実施後にSNSやトレイラーのコメント欄に寄せられるメッセージやフォーラムでのフィードバックを読む瞬間は私たちの喜びにもなっています。

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4Gamer:
 現サービスの目玉となっている要素やコンテンツについて教えてください。とくにプレイヤーから好評を得ている部分はどこでしょうか。

ブラーニコフ氏:
 リアルな3Dモデルやダメージ表現,バトルモードが常に評価されています。そのリアルさは,ほかのミリタリーアクションとは大きく異なる部分で,War Thunderの魅力となっています。

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 プレイヤーの皆さんに喜ばれているのは,F-14やA-10,Su-25といった,歴史ある著名な兵器でしょうか。トレイラーでの発表はいつも多くの注目を浴びています。現在2000種類以上の軍事兵器を収録しており,それらは,正確な3Dモデルで再現されているだけではなく,現実にかなり近い機能を備えていることを実感できます。
 プレイヤーには多くの軍事史愛好家,“ミリオタ”がいて,地上車両や航空機,艦艇のデジタルデータをたくさん集めたいとか,お気に入りの兵器を改造し,操縦したいとか思っています。それを可能にする世界最大のサービスが,War Thunderなのです。

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4Gamer:
 今後の展望を聞かせてください。

ブラーニコフ氏:
 2022年のクリスマスシーズンに,第4世代を代表する戦闘機や攻撃機がゲームに追加されます。ファンの皆さんはこの瞬間を何年も待っていたと思いますが,まずは初期の機体から追加し,徐々に種類を増やしていきます。これで終わりではなく,まだ第5世代まで数十年分の軍用機の設計があります。

クリスマスシーズンのアップデートで実装予定の第4世代戦闘機「F-16」
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 また,私たちは,最新の兵器を追加するだけではなく,世界中のあらゆる軍事兵器をラインナップに加えることを目標にしています。
 南アフリカやフィンランドの技術サブツリーの経験から,少数の兵器生産国にもプレイヤーの関心を引くものがあることを知りました。本格的な技術ツリーを構成するほど種類はないのですが,興味深い設計のクールで面白い兵器があるんです。現在,ハンガリーやいくつかの国で何かできないか研究しています。

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 War Thunderとは別のチームが制作している「War Thunder Edge」というモバイル向けのスピンオフタイトルの今後にも注目してほしいです。そこには当然,日本の特徴的な兵器も登場します。大和型戦艦は,War Thunder本編の前にWar Thunder Edgeに登場する予定です。

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War Thunder Edge
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4Gamer:
 日本のWar Thunderファンにメッセージをお願いします。

ブラーニコフ氏:
 日本は私たちにとって非常に重要な市場です。日本の兵器はWar Thunderの主要な部分であり,日本のファンは世界中のプレイヤーのかなりの部分を占めているからです。また,ミリタリーをテーマにしたアニメや映画を好むプレイヤーもたくさんいるので,グローバルはもちろん日本向けのコラボレーションを継続し,プレイヤーの皆さんに楽しんでもらいたいと思います。
 コラボレーションは多くの人にとって新しい刺激的な体験となるはずなので,気に入っていただけると嬉しいです。

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 全てのファンの皆さんに喜んでいただけるよう努力していますので,遠慮なく直接フォーラムで,あるいはパートナーであるDMM GAMESを通してフィートバックを送ってください。
 ――戦場での幸運を祈ります。

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