「STAGE:0 2021」の「フォートナイト」部門決勝は，40チームによる6ラウンドの激戦が展開。ルネサンス新宿代々木が優勝を飾る

　高校生によるeスポーツの祭典「Coca-Cola STAGE:0　eSPORTS High-School Championship 2021」の3部門（「リーグ・オブ・レジェンド」「クラッシュ・ロワイヤル」「フォートナイト」）の決勝大会が2021年8月12日〜15日にかけて開催された。
　全国から過去最高となる1960校，2234チーム，5675名がエントリーした大会となり，この決勝戦で各部門最強の座が決定した。本稿ではその最終日となる8月15日に行われた「フォートナイト」（PC / PS5 / Xbox Series X / PS4 / Xbox One / Nintendo Switch）の決勝大会の模様をレポートする。なお大会はオンラインで実施されたため，記事内で使用している画像は全て中継映像よりキャプチャしたものだ。

大会最終日に行われた「フォートナイト」の決勝戦。左からMCの冨田有紀さん（テレビ東京アナウンサー），大会アンバサダーの平子祐希さんと酒井健太さん（アルコ＆ピース），田中卓志さん（アンガールズ），池田美優（みちょぱ）さん

実況は平岩康佑氏（左），解説はCornn氏（右，Crazy Racoon）が担当

　今年の大会も情勢を鑑み，「フォートナイト」部門はオンラインにて行われた。この「フォートナイト」部門は，同じ高校に在学中の2人1組のチームでエントリーし，6月に2日間にわたって行われたブロック代表決定戦により，各日上位22チームの計44チーム（88名）が決勝へと進出している。

決勝に進出した44チーム。決勝当日は棄権したチームもあり，全40チームによる対戦となった

　今年の決勝戦は全6ラウンドを実施。ラウンドごとにチームの順位ポイントと，敵を倒したときのエリミネートポイントが付与され，その総合得点によって順位が決定する。今年はエリミネートポイントが昨年の倍（2ポイント）に改定され，生き残るだけでなく，積極的に敵を倒すことでもチームに貢献できるようになった。

順位とエリミネートで付与されるポイントはこちら。エリミネート数が増えれば，上位に入れなかったとしても，多くのポイントを獲得できる

　そのラウンド1では，昨年に3連続ビクトリーロイヤルを達成して優勝を果たした，N高のHYG Chocoluv999選手率いる「ちょこぽきらぶらぶ RIPびおら」に注目が集まったが，相棒のSecret EpikPokii選手とともに後半の乱戦で脱落。建築物の高いところに陣取ったルネサンス新宿代々木の「見て，見て見て見て〜〜〜〜〜！」の2人に対し，下で戦っていた旭川高専「あさぽっぽ」の2人が終盤の戦いを制してビクトリーロイヤルを獲得した。

今年はびおら選手に替わり，Secret EpikPokii選手とともに決勝進出したHYG Chocoluv999選手

ルネサンス新宿代々木の1人残ったえらーえらーえらーえらーえらー選手（以下，えらー選手と表記）を，旭川高専のWAI.やとぽっぽ選手が倒してビクロイに

　ビクロイを取った旭川高専「あさぽっぽ」だったが，ラウンド1終了時点での総合順位は3位にとどまった。1位となったのは成蹊の「WHO」で，試合の順位は3位だったものの，5エリミネートにより10ポイントを獲得しており，順位を上げた形だ。ラストで旭川高専と対峙したルネサンス新宿代々木も次いで2位に位置している。

ラウンド1終了時の上位チームはこちら。成蹊のエリミネートポイントが大きく利いている

　ラウンド2は，比較的早い段階から建築を絡めた攻防が展開していたが，全員が決勝まで残った実力者ということもあり，後半戦に入ると試合は激しく動いた。小さくなったサークルが動き回る中で，常に高い位置を意識して戦っていたのが，前ラウンド2位のルネサンス新宿代々木の2人。ラストで下に降りるときの攻防で2人ともやられてしまい，成城学園「フルーツ牛乳飲む人」にビクロイを譲るが，ラウンド2終了の段階で総合順位は1位になった。

ストームサージが発生する中，建築物の頂点で堅実に回復をしながら戦うルネサンス新宿代々木

ルネサンス新宿代々木の，みんな見てくれよRyurai 7選手（以下，Ryurai 7選手と表記）。高い位置を見ると，だいたい彼らがいる

ラウンド2終了後の上位チームはこちら。ルネサンス大阪「デカポ中毒者」は，エリミネートポイントを重ねて13位から2位まで浮上した

　ラウンド3はこれまでのルネサンス新宿代々木の戦いを見ていた他チームが高所を意識した戦いを展開し，後半の高い丘を絡めた高低差のある場所での攻防は非常に見応えのあるものとなった。このラウンドで目立つ活躍を見せたのが，ラウンド2でビクロイを取っている「フォートナイト」アジア1位の戦績を持つRuiサナ選手と，相棒のRei 46選手の成城学園。比較的早い段階で撃破されたルネサンス新宿代々木のお株を奪うように高所を支配し，6エリミネートを取りつつ，2連続のビクロイを獲得して1位へと躍り出た。

ローグラウンドで戦っているチームが，上にいるチームを意識するようになり，攻防はさらに激しくなった

サークルが大きく動く様相を見せ，高いところにいた選手達が大きく動いていく

最後はRuiサナ選手が，五所川原工科「都会行ったら本気出す」のたけ33選手を倒し，ビクロイを獲得

前半のラウンド3終了後の上位チームはこちら

　後半戦となるラウンド4は，2連続ビクロイの成城学園や，常に上位に食い込んでいたルネサンス新宿代々木が中盤で落ちてしまう展開の中，N高「イケボくん、まーくん」のィケボくんっっ選手とma-kun.62選手がエリミネートを重ねていく様子が映し出されていた。
　一方このラウンドの高所で戦っていたのは，函大有斗「お母さんいつもありがとう」のA2 koa選手とtom24onTop選手。最後はサークルの動きにも助けられてビクロイを獲得し，総合12位にランクアップした。

ラスト，高所にいたことでストームの動きに対応できた函館有斗の2人

ラウンド4終了後の上位チームはこちら

　上位の順位は変わらず迎えたラウンド5，高所を取っていたのはN高「金ポンプ」のHero 716選手とHeart.Sb選手。Hero 716選手は飛行するルネサンス新宿代々木のえらー選手を撃っていたところ，上から現れたRyurai 7選手に致命的な一撃を食らって落ちてしまう。ルネサンス新宿代々木の2選手も直後に落とされ，高所を支配したN高「楽しんだもん勝ち」のSiopon_z選手とくあくあ.選手が，最後に残っていたRuiサナ選手に回復の隙を与えずビクロイを勝ち取った。

えらー選手を撃っていたHero 716選手。このあとRyurai 7選手の餌食となった

Ryurai 7選手の一撃がRuiサナ選手に深手を与えた

ラウンド5終了後の上位チームはこちら

　最終ラウンドは首位の成城学園を，2位のルネサンス新宿代々木が22ポイント差で追う形で幕を開けた。その序盤，なんと成城学園が五所川原工科に倒されるという波乱が発生。成城学園はエリミネートを1つも取っておらず，勝負の行方はわからなくなった。
　これまでのラウンドで上位に食い込んだ選手が残る終盤戦，ルネサンス新宿代々木や五所川原工科が比較的早い段階で落とされ，最後3チーム5人に迫るストームに耐えたのは，ラウンド1でビクロイを取った旭川高専のWAI.あさしん様選手だった。

序盤でRuiサナ選手を葬った五所川原工科のだを33選手

最後はストームに耐えて生き残ったWAI.あさしん様選手

　6ラウンドにも及ぶ激戦を制し，優勝の栄冠を手にしたのは，総合ポイント156を獲得したルネサンス新宿代々木の「見て，見て見て見て〜〜〜〜〜！」。Rurai 7選手とえらー選手は，6ラウンド通して一度もビクロイを取っていないものの，堅実に後半まで生き残り，エリミネートを重ねた結果が優勝へとつながった。2位の成城学園「フルーツ牛乳飲む人」とは，わずか1ポイントの差であった。

ラウンド6終了時の上位チームはこちら。1位と2位の差はなんと1ポイント

　優勝インタビューでは，えらー選手が「本当に信じられない。まだ勝ったのかわかってないような，ビックリした気持ちが続いている」と素直な気持ちを述べる。一方，Ryurai 7選手は「頑張って練習をしてきたので，めっちゃ嬉しい」と喜びの声を上げた。

「フォートナイト」部門優勝チーム，ルネサンス新宿代々木「見て，見て見て見て〜〜〜〜〜！」のRyurai 7選手（左）とえらー選手（右）

　お互いの顔が見えない状況においても，常に仲間が隣にいるような気持ちを持ってプレイしていたとRyurai 7選手。2人は初の大きな大会の参加となったが，ともに普段通りに互いをカバーし，常にビクロイを目指す戦略で挑んでいたとのこと。2人はともに1年生で，来年も出場を目指し，今年なしえなかったビクロイを取って優勝することを誓った。

「Coca-Cola STAGE:0　eSPORTS High-School Championship 2021」公式サイト

「フォートナイト」公式サイト