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実アプリケーションでの性能はQuadroより優秀!? AMDが「FirePro W」シリーズの説明会で実力をアピール
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印刷2013/04/22 16:00

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実アプリケーションでの性能はQuadroより優秀!? AMDが「FirePro W」シリーズの説明会で実力をアピール

Ed Caracappa氏(Director,Global Sales&Business Development,Professional Graphics,AMD Austin)
 2013年4月19日,AMDは都内にて,同社のワークステーション向けグラフィックスカードシリーズ「FirePro W」についての報道関係者向け説明会を開催した。
 FireProは,ゲーマー向け製品ではないものの,そのコアアーキテクチャはRadeonと共通で,また,ゲームや映像制作の現場では古くから使われてきているなど,ゲーム産業との関わりは深い。
また,AMDで業務用グラフィックス製品を担当するEd Caracappa(エド・カラカッパ)ディレクターが来日し,FirePro製品について語るという貴重な機会でもあったので,今回は,氏の説明を基に,いままで国内ではあまり語られてこなかった「FireProに関するAMDの取り組み」を紹介してみよう。


「システムレベルの性能ではなく

アプリケーションでの性能を重視すべき」


FirePro W9000
 北米時間2012年8月7日に発表されたFirePro Wシリーズは,Radeon HD 7900〜7700シリーズと同じく,「Graphics Core Next」アーキテクチャを採用したGPUを搭載するグラフィックスカード製品群だ。製品ラインナップは,演算性能4 TFLOPSを誇るハイエンドモデル「FirePro W9000」と,ミドルクラス市場向けの「FirePro W8000」「FirePro W7000」,エントリー市場向けとなる「FirePro W5000」の4種。詳細は発表時点の記事に詳しいので,下に示したボタンからチェックしてもらえればと思う。

AMD,「FirePro」ブランドのAPUを発表。GCNベースのFirePro Wシリーズも


 さて,PCゲーム用のグラフィックスカードを選ぶにあたって,ユーザーは第一に(価格対性能比を含む)性能をチェックする。機能やグラフィックスドライバの完成度も重要なチェック項目ではあるが,性能と価格がファーストプライオリティであるということに,異を唱える人はほとんどいないだろう。
 それに対し,業務用グラフィックスカードの場合は,もちろん性能は重要であるものの,それ以上に,特定の業務用アプリケーションとの互換性保証が,製品選択において重視されるというのが,大きな違いだ。

 ちなみにここでいう「特定の業務用アプリケーション」というのは,具体的には,Autodeskの「Maya」に代表される3Dモデリングツールや,PTCの「PTC Creo」といった3D CADツールのことを指す。こういったグラフィックスアプリケーションが正常に動作しないと,それは即座にユーザー企業の利益を損なうだけに,業務用のグラフィックスカードには互換性の保証された専用ドライバが提供されているわけである。

タブレット端末からデータセンターまで,業務用グラフィックスを広く提供できると,AMDはFireProを位置づける
Radeon Pro,Radeon Instinct
 業務用のグラフィックスカード分野では,NVIDIAが展開するQuadroシリーズと,AMDが手がけるFireProシリーズが,ライバルとして競い合っている。使われているGPUはPCゲーム向けと大差はないが,どちらも専用ドライバと企業向けのサポートをウリにしており,そして現状,日本では,Quadroシリーズに人気が集中している。
 Caracappa氏もその点については率直に認め,とくにマーケティング活動でNVIDIAに遅れを取っていたことが,こうした結果を生んだと述べていた。「NVDIAのマーケティングはとても素晴らしい。我々AMDも非常に良い製品を手がけているが,マーケティング力は今ひとつだったと思う。今後はそれを変えていきたい」(同氏)。

 ただこの発言は,「マーケティング力ではたしかに負けているが,性能面では優位だ」という主張の裏返しでもある。たとえばエントリー市場向け製品であるFirePro W5000の場合,Keplerアーキテクチャを採用する競合製品「Quadro K2000」(関連記事)と比べて,「演算性能で2.5倍,メモリバス帯域幅にして1.6倍の性能を持っている」(Caracappa氏)という。

Quadro K2000に対する,FirePro W5000の利点を示したスライド。演算性能,メモリバス帯域ともに上回り,さらにPCI Express Gen.3をサポートしていることも大きな利点だという
Radeon Pro,Radeon Instinct

 興味深いのは,性能検証にあたって,業務用グラフィックス製品の性能検証において定番的に使われる「SPECviewperf」を,Caracappa氏が「SPECViewperfは,グラフィックスの性能を測るベンチマークとして適切ではない」とバッサリ切り捨てていたことだ。「たしかに,システムレベルの性能測定を行うときの参考として,SPECviewperfには意味がある。しかし,重要なのはユーザーが日常的に使うアプリケーションの性能だ。AMDはそれに力を入れている」(同氏)。

 では何を使うべきとAMDは考えているのか。そこで示されたのが,アプリケーションごとの性能測定を行えるベンチマークツールである「SPECapc」だ。
 下に示したスライドは「SPECviewperf 11」と「SPECapcSM for Maya 2012」のテスト結果をまとめたもので,前者で競合製品よりスコアの低いFirePro W5000が,後者では圧倒するいうのが,AMDのメッセージである。

SPECviewperf 11とSPECapcSM for Maya 2012の実行結果。前者でFirePro W5000はQuadro K2000の後塵を拝するが,Mayaでの実動作に近いとされる後者では最大で85%もの差を付けて圧倒するという
Radeon Pro,Radeon Instinct

 また説明会では,GPU以外が同一構成のワークステーション2台を用いたライブデモも披露されている。下に写真で示したのは,SolidWorks製3D CADツールを用いたベンチマーク「SPECapcSM for SolidWorks 2013」での性能比較。CPUに関するスコア以外,全項目でFirePro W5000がQuadro K2000を上回っているのが分かるだろう。

左写真はSPECapcSM for SolidWorks 2013実行中の様子。FirePro W5000搭載機(写真内で左側のディスプレイ)が処理を終えた時点でも,右側のQuadro K2000搭載機はまだ処理中となっている。右写真はテスト結果で,CPU以外の全項目でFirePro W5000が勝利した
Radeon Pro,Radeon Instinct Radeon Pro,Radeon Instinct

 また機能面においては,NVIDIAのQuadroがまだ実現していないPCI Express Gen.3(以下,PCI Express 3.0)対応をとくにアピールしていた。Caracappa氏によれば,4K解像度の編集をサポートするAssimilateの映像処理ソフト「SCRATCH」の場合,PCI Express 2.0だと4K解像度の表示が満足に行えず,PCI Express 3.0が必要になるとのことだ。氏は,「PCI Express 3.0を始めとする新しい規格を競合よりも一足早くサポートしていくことを,AMDはとくに重視している」と語っていた。

PCI Express 2.0比で2倍の帯域幅を持つPCI Express 3.0に対応。4K解像度に対応したSCRATCHというビデオ編集アプリケーションで,帯域幅による違いが出ているという
Radeon Pro,Radeon Instinct Radeon Pro,Radeon Instinct

FirePro W5000を搭載するマシンでは,Creo 2.0の透過設定(Transparency)で「Order Independent」を選択できる(赤枠内)
Radeon Pro,Radeon Instinct
 これら性能面や機能面の充実と合わせて,AMDはアプリケーションデベロッパと積極的に協業することで,「FireProだけで使える機能を提供していく」ともCaracappa氏は述べる。そして,その一例として紹介されたのが,「Order Independent Transparency」(OIT)と呼ばれる透過処理の高速化技術である。

 以下にデモを撮影したムービーを掲載しておこう。


 ちなみに,Quadro K2000や前世代品となる「Quadro 4000」が投入されているエントリークラスの市場は,業務用グラフィックス市場で最も出荷量が多いところだそうで,AMDとしても「まずはFirePro W5000で市場を取っていく」(Caracappa氏)腹づもりとのことだった。今回,FirePro W5000とQuadro K2000での比較が示された理由も,どうやらそこにあるようだ。

Radeon Pro,Radeon Instinct
FirePro固有の機能と,それをサポートしたアプリケーションを示したスライド


プロ向けグラフィックスカードは

サーバーに集約される?


 今回の説明会で非常に興味深かったのは,Caracappa氏が,NVIDIAが業務用グラフィックス製品市場でとってきた戦略について熱く語っていたところだ。たとえば,NVIDIAがワークステーション分野で推進している「Maximus Technology」(以下,Maximus)については,「ストーリー作りがとてもうまい」と評価したりしていた。

Radeon Pro,Radeon Instinct
FirePro W8000は1枚で,NVIDIAが推すMaximus環境に引けをとらない数値演算性能を発揮するという
 Maximusというのは,Quadroと,数値演算用プロセッサである「Tesla」を1台のワークステーション上で併用するというソリューションだ(関連記事)。数値演算をTeslaに任せることで,Quadroは描画に専念できるため,「デザインとシミュレーション,2つの作業を効率的に処理可能」というのが,NVIDIAの言い分である。

 Caracappa氏は,そんなMaximusを「マーケティングキーワードとしては実に素晴らしい」と評価したうえで,次のように疑問を呈した。「だが,そもそもの話として,なぜ2基のGPUを併用しなければならないのか?」。

 氏によれば,FirePro W8000であれば,描画も演算も同時に行えるとのこと。「ベンチマークでは,Maximusシステムが勝ったり,逆にFierPro W8000が勝ったりすることがあるだろう。だが,いずれにせよ,大差はつかないはずだ。なので,Maximusを使っている人には,とにかく一度FirePro W8000を試してみてほしいとお伝えしたい。使っているアプリケーションで,大差ない性能が得られるということは,FirePro W8000を選べば,Maximusを使うときと比べて,(Teslaの分である)5000ドルもコストを節約できるからだ」(Caracappa氏)。

 ちなみに説明会では,AMDが推す「OpenCL」のほうが,数値演算においてNVIDIAの「CUDA」よりも最大27%高速であるという数字も示された。このあたりは測定の仕方によって結果が変わるところでもあるため,さすがにこの話は参考程度でしか受け取れないが,AMDがNVIDIAと本気で戦う気まんまんであることは受け取れよう。

Radeon Pro,Radeon Instinct
OpenCLは競合のCUDAに対して最大27%速いというスライド

 Caracappa氏は最後に,個人的見解と念を押しつつも,やや遠い将来の展望について語ってくれた。いわく,「私は今の仕事を愛しているが,ワークステーション向けグラフィックスは徐々にサーバーへ集約されて,市場は小さくなっていくだろう」とのことだ。実際にインドでは,仮想化技術「KVM」(Kernel-based Virtual Machine)を使ってグラフィックスワークステーションをサーバーシステム上に移す,「グリーンオフィス」という手法が流行しているそうだ。「そういう動きは,将来的に,ワークステーショングラフィックスの仮想化へとつながっていく」(同氏)。

 Game Developers Conferenceで,クラウドゲームシステム向けグラフィックスカード「Radeon Sky」を発表したAMDは,将来のOpteronでARMアーキテクチャを採用するという発表もすでに行っている。AMD全体が,サーバー市場を重視して動いているのは確かだろう。そのためにも,まずは足元のワークステーション向けグラフィックス市場で足場を築きつつ,サーバーに集約される将来に向けて製品を開発していくのが,AMDの長期的な戦略であるようだ。

AMD FirePro製品情報ページ(英語)

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