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「GTC Asia 2011」基調講演レポート。2019年には100Wクラスのゲームコンソールが10TFLOPSを実現する!?
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印刷2011/12/16 00:00

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「GTC Asia 2011」基調講演レポート。2019年には100Wクラスのゲームコンソールが10TFLOPSを実現する!?

GTC Asia 2011の会場は,北京市内に位置する北京オリンピックスタジアム(※正式名は北京国家体育場,通称「鳥の巣」)の近くに位置する「国家会議中心」(China National Convention Center:CNCC)という大型の会議施設だ
CUDA
 NVIDIAは,中国時間の2011年12月14〜15日,「GPU Technology Conference Asia 2011」(以下,GTC Asia 2011)を,中国・北京で開催した。
 NVIDIAによれば,1500人以上の事前登録があり,24の国と地域からプレゼンターを含む参加者が集まっているとのことだ。

 このイベントは,GPUコンピューティングをテーマに,70以上のテクニカルセッションが設けられており,セッションの多くはHPC関係――たとえば量子化学のシミュレーション――といったものが中心だったりする。
 そんなわけで,どちらかといえば学術色が強いものになっているが,開催初日の14日に同社CEOのJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)氏が行った基調講演では,ゲームの話題と共にGPUコンピューティングの展望が語られていたので,ゲーム絡みの話題を中心にお届けしてみたい。


ゲームと共に歩んできたGPU


Jen-Hsun Huang氏(CEO, NVIDIA)
 基調講演でまずHuang氏は,「半導体産業のなかでGPUは,CPUに次いで,45億ドル規模の産業になっている」と述べたうえで,GPUがノートPC,デスクトップPC,ワークステーションへと広がっており,コンシューマ向けPCでは主にゲーム用途で,ワークステーションではビジュアル制作に活用されていると説明する。

GPU市場は45億ドル規模となっており,半導体産業ではCPUに次ぐ規模を誇る。「そのうち,GPUコンピューティングが占める割合はあまり大きくないように思えるかもしれないが,長期的に見れば大きなインパクトがある市場だ」とHuang氏はいう
CUDA
 そういった状況のなかで,「GPUコンピューティングは将来的に興味深い新市場へと発展するだろう」とHuang氏は言う。
 Huang氏によれば,GPUコンピューティングは,5年前にNVIDIAが始めたCUDAからスタートし,これまでに年間平均で166%の成長を続けているとのこと。GPUコンピューティング市場は,45億ドルというGPU全体の市場規模からすると,ほんの一握りに思えるかもしれないが「長期的に見れば,非常に大きなインパクトを持っている」と氏は語る。

 ここでHuang氏は,「国によって用途は異なるが,GPUコンピューティングを用いたインパクトのあるアプリケーションが登場している」として,中国の敦煌石窟を疑似体験できる3Dドームシアターや,GPUを用いたシカゴのプラネタリウムなど,いくつかの事例を紹介した。

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スライドに映っているのは,中国にある敦煌石窟を疑似体験できる3Dドームシアターだという。1.4Gpixelのカメラで撮影された敦煌石窟を再現できるものになっており,GPUによる高ピクセルレートが生かされているとのこと
CUDA
シカゴのプラネタリウムの例。GPUを利用することで,銀河や超新星爆発を高解像度でシミュレートして観客に見せることができるという

 このように高い応用力を持つGPUなのだが,GPUを手がけるNVIDIAはどう始まったのだろうか。
 これに対してHuang氏は,「NVIDIAには3Dグラフィックスをコンシューマの手が届く価格で作り出す」というビジョンがあったと語る。GPUを安く大量生産することにより普及が進み,それによって得た利益で技術が発展するというのが,Huang氏の考えの主軸になっているようだ。

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ゲームクリエイターである鈴木 裕氏の名前を挙げながら,「これが我々にとってのスタートポイントだった」とHuang氏は「バーチャファイター」を紹介する
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バーチャファイターの10年後である2004年にリリースされた「DOOM 3」。GPUのプログラマブルシェーディングを可能にした統合型ライティング&統合型シャドウシステムによって,モンスターの陰影やマッドなエフェクトが実装されたという
 その技術の発展がどう現れたのかをHuang氏は,「バーチャファイター」登場の10年後である2004年にリリースされた「DOOM 3」を例に挙げて説明する。
 当時としては画期的だった統合型ライティング&統合型シャドウというシステムが実装されたDOOM 3は,陰影表現を用いたモンスターのリアルな描写が評判となったタイトルだ。
 そのDOOM 3の登場から7年後の2011年にリリースされたのが,日本でも大いに話題となっている「バトルフィールド 3」である。

 これらのタイトルを提示し,Huang氏は,「グラフィックスは,驚くべき進化をし,多くのゲーマーがそれを体験してきた」と語る。また,バトルフィールド 3においては,Electronic Artsが大きな成功を収めたことを例に挙げ,「ゲームは,エンターテイメント産業のなかで,大きな成長を遂げている」と言う。

 そんな状況のなか,Huang氏は,さまざまな新技術を採用したゲームタイトルが登場しているとし,中国でリリースされている「全球使命」を新世代のゲームとして紹介した。

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そしてDOOM 3の7年後にリリースされたのが,バトルフィールド 3である。ラジオシティを応用したグローバルイルミネーションやテッセレーションなど今日(こんにち)のGPUをフル活用しているゲームであることはご存じのとおりだ
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Huang氏が紹介した「全球使命」はTPSのように見える。PhysXを利用した物理シミュレーションが特徴で,「すべてのものが動き,すべてが生きている」とのこと

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ラジオシティを使ったグローバルイルミネーションの解説をするHuang氏
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爆発シーンのシミュレーションの様子。物理シミュレーションは,科学と同じ技術が利用できるため,シミュレーションとその映像化が次の開拓地になるだろうとHuang氏は語っている
 ここでHuang氏は,新世代のゲームという意味で,バトルフィールド 3のデモムービーを披露。ボリューメトリックスモークや,グローバルイルミネーション,FXAAといった技術を順に説明した。これらは4Gamerでもすでに取り上げているので,本稿で改めて触れるまでもないだろう。

 全球使命やバトルフィールド 3などのゲームタイトルで利用されている技術は,シミュレーションがベースとなっているため,「まったく同じ技術を科学技術計算に利用できる」とHuang氏は説明する。

 そのためHuang氏は。「リアルタイムのシミュレーションとその映像化は,科学者にインスピレーションを与え,シミュレーションとその映像化がゲームにおける次の開拓地になるはずだ」と述べた。


GPUの演算性能はエクサフロップスへ


 と,ここまではゲームを例に出しつつ,GPUの成長を示したHuang氏だったが,ここからは「デザインの進化」に話を切り替えた。

2002年に登場したプログラマブルシェーダによって,リアルなグラフィックスデザインが可能になったという。それまでよりも,高速かつ,リアルなデザインが可能になったとHuang氏
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 デザインの分野においても,3Dワークステーションが登場したことや,プログラマブルシェーダの開発により,「リアルな3Dグラフィックスデザインが可能になった」とHuang氏は過去を振り返る。
 現在は,CUDAにより,レイトレーシングを活用して「物理的に正確」なグラフィックスをデザインできるようになっているとアピールする。

Maximusワークステーションは,これまでの待たされるワークステーションを本当のワークステーションへ変えるものになるという
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 そのレイトレーシングの例として,Huang氏は車のデザインを挙げた。氏は,「車をよりよくデザインするにはシミュレーションが必要となるが,スーパーコンピュータを用いて実行したとしても数日から数週間という時間がかかってしまう」という現状を述べたうえで,同社の「Maximusワークステーション」を紹介した。

  Maximusワークステーションは,NVIDIAのQuadro製品とTesla製品を搭載したPCで,Quadroが表示を担当し,Teslaがシミュレーションなどの演算を担当する仕組みだという。
 ワークステーションの誕生から約20年の時を経て,スーパーコンピュータとワークステーションを融合させることに成功したのだとHuang氏はアピール。これにより「デザインとシミュレーションという2つの作業を閉じたループにできる」と述べている。
 Huang氏は,そのMaximusワークステーションを利用し,デザインとビジュアル制作という2つのデモを披露して会場を沸かせていた。

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Maximusワークステーションを使ったデザインのデモ。バイクの色などを変えると,レイトレーシングによる写実的な画像がリアルタイムで表示される
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ビルの上にある人形がトム・クルーズ,監督はジェームズ・キャメロンという設定で,映像制作の例をHuang氏は紹介。リアルタイム流体シミュレーションを用いてステージ上に水を流してみせた

スーパーコンピュータ「Jaguar」こと「Cray XT-5」までは,順調に性能を伸ばしたきたが,電力効率の伸びが鈍化しているため,従来どおりのスケーリングは望めないとのことだ
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 最後にHuang氏は,「EFLOPS(ExaFLOPS)へのチャレンジというテーマに話を広げていった。
 1秒間に10の18乗回の浮動小数点演算を行うEFLOPSは,現在のHPC業界における,最大の目標である。その目標に対する最大関門が消費電力なのは,多くのHPC関連企業が認めるところだ。
 Huang氏は,HPCが従来と同じ比率で性能向上を遂げていくためには,4年間の間に電力効率が8倍になる必要があるいう。しかし,CPUの電力効率は鈍化しており,4倍程度に留まるという予想をしている。

GPUコンピューティングは電力効率が高く,2019年にはEFLOPSを達成できるという
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 こうした状況を打開するのが,「電力効率に優れた異種混合コンピューティングであり,我々がいうところのGPUコンピューティングだ」とHuang氏は強調する。従来のプロセッサスケールでは2035年になるEFLOPSの達成が,GPUコンピューティングなら16年も早い2019年に達成できると氏はアピールした。

 さらにHuang氏は,2019年には100Wクラスのゲームコンソールで10TFLOPSを達成すると述べており,これはCrayが2003年に発表したスーパーコンピュータ「Red Storm」と同じ能力だという。

 では,我々ゲーマーが利用するGPUは2019年にどうなっているのだろうか。そんな疑問に対し,Huang氏は,Ubisoft Entertainmentの「Assassin's Creed: Revelations」のデモムービーをまず見てほしいと語る。

 披露されたデモムービーは「E3 2011」の開催直前に公開されたものだが,髪の毛を始めとする多数の物理シミュレーションや,グローバルイルミネーション,パーティクルシミュレーションなどが駆使されているとのこと。スーパーコンピュータを用いて1フレーム当たり1時間かけてレンダリングしたものだとHuang氏はいう。
 そして「2019年には,この描画がリアルタイムにGPUで行えるようになる」と豪語する。つまり,このAssassin's Creed: Revelationsのデモを見れば,2019年のGPUがどの程度の性能を備えているか分かるというわけだ。


 EFLOPSと言われても,ゲーマーにとっては無関係のように思えるかもしれないが,こうしたデモを見せられると,EFLOPSへのチャレンジが,ダイレクトにゲーマーの世界に繋がっているが実感できるのではないだろうか。GPUの進歩とともに,リアルで面白いゲームが登場することに期待したいところだ。

GPU Technology Conference紹介ページ

NVIDIA公式Webサイト

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