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NVIDIA,「バトルフィールド3」のグラフィックス技術を解説。キモはグローバルイルミネーション
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印刷2011/10/31 12:00

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NVIDIA,「バトルフィールド3」のグラフィックス技術を解説。キモはグローバルイルミネーション

 2011年10月28日,NVIDIAは都内で報道関係者向けの技術説明会を開催した。「バトルフィールド3」(PC / PlayStation 3 / Xbox 360)のPC版を題材に,3Dゲームで使われ始めている,新しい世代のグラフィックス技術を解説しようというものだったが(※),これが相当に興味深いものだったので,直撮りビデオ,そして“実体験”の内容ともどもお伝えしてみたい。

※厳密には「Crysis 2」に関する内容もあったが,こちらは西川善司氏による解説記事の内容と被るため,割愛する。興味のある人は10月7日の記事を参照してもらえれば幸いだ。


BF3のグラフィックスが持つ

6つのポイント


竹重雅也氏(Developer Technology Engineer,NVIDIA)。セガで「バーチャファイター3」や「スパイクアウト」などの開発に携わった経歴を持つ人物。セガではリアルタイムグラフィックス,フリーランスとなってからはリアルタイムレンダリング全般の技術研究に注力していたという
 カンファレンスで技術解説を担当したのは,同社でデベロッパーテクノロジーエンジニアを務める竹重雅也氏だ。氏はセガで長年にわたってゲーム開発に携わり,フリーランスを経て今年7月にNVIDIAに移籍してきた人物だ。ゲームグラフィックスのエキスパートエンジニアである。
 そんな竹重氏も,バトルフィールド3(以下,BF3)のグラフィックスについては,「いままでのPCゲームと比べても一線を画すレベルに達している」と語る。そのポイントになるのが,以下に挙げる6要素だ。

  1. テッセレーション(Tessellation)
  2. 被写界深度(Depth of Field)
  3. カラーグレーディング(Color Grading)
  4. グローバルイルミネーション(大域照明,Global Illumination)
  5. ボリューメトリックスモーク(Volumetric Smoke)
  6. FXAA(Fast Approximate Anti-Aliasing)

バトルフィールド 3
バトルフィールド 3
 順に見ていこう。まず1.のテッセレーションだが,BF3では「地形のオブジェクト,とくに遠景の山などで使われている」と竹重氏。遠方の山などにテッセレーションを適用することで,データ量と演算負荷を削減しながら,スケール感を出そうという意図で使われているそうだ。

 2.の被写界深度は,簡単にいうと,ピントが合った対象物をはっきりさせ,その背景と前景をボケさせる描画技法である。被写界深度そのものはあまり目新しい技術ではなく,これまでもさまざまな形で用いされているが,BF3では非常に高精度かつ高品位のものが使われているという。
 被写界深度を多用すると,画面のリアル感が増す一方,FPSでは「ピントが合っていないところの敵が見えにくい」というリアル感は出るものの,敵が見えにくくなったりもする。その点BF3では,「ゲーム性をスポイルすることなく被写界深度を使えているところが見どころ」だと竹重氏は言い切っていた。

バトルフィールド 3
 3.のカラーグレーディングは,明るさや色を変化させる技法のことだ。たとえば,遠方の爆発で赤い光が出ているとか,青白い光があるとかいった場合に,キャラクターやオブジェクトの色合いを赤み/青みがからせたりするといった処理がこれにあたる。
 これも,最新技術というわけでもなく,グラフィック的にもそれほど大きな変化が生じるわけではないのだが,こういうところでリアル感が増すということだろう。

バトルフィールド 3
バトルフィールド 3
 4.のグローバルイルミネーションは,Crysis 2やBF3など,2011年における最新世代のゲームタイトルから本格的に使われ出した表現技法だ。竹重氏は時間を割いて解説してくれたので,後ほど,詳しく述べる。

 そして5.のボリューメトリックスモークだが,これは,BF3のデベロッパであるEA DICEがそう呼んでいる煙の描写法である。竹重氏いわく「ライティングの影響を受けて,“煙自身”が煙の影を受ける。それによって煙自体が立体的に感じられるようになる,高品位な煙のレンダリング」とのことだ。従来より煙のリアリティが増したというわけだが,右に示したスクリーンショットからもそれは感じ取ってもらえるのではないかと思う。

バトルフィールド 3
 最後に6.のFXAAは,NVIDIAが開発したアンチエイリアシング手法のこと。ポストエフェクトで処理できるため非常に負荷が低く,しかも品位が高いのが特徴とされている。また,「ディファードシェーディング(Deferred Shading,陰影などの計算をあと回しにして,そのあとのレンダリングに必要となるパラメータを事前にバッファリングしておくこと)とも相性がいい」(竹重氏)ため,今後,より盛んに使わるようになるだろうという見通しも語られている。

 すでに海外版を入手済みの人はもちろん,これから国内版を入手する予定の人も,少し余裕が出てきたら,以上の6点に注目してみると,新たな発見があるかもしれない。


リアルタイムのグローバルイルミネーションが

BF3に現実感をもたらす


バトルフィールド 3
 さて,先ほど後述するとしたグローバルイルミネーションだが,竹重氏は今後のゲームグラフィックスにおいて非常に重要な位置を占めるようになると考えているようだ。BF3においても「(グラフィックス品質の)インパクトが大きい理由は,リアルタイムのグローバルイルミネーションを導入したことにあるだろう」と竹重氏は語っている。

 グローバルイルミネーションというのは,間接光を含めたライティングの計算を行う手法のことで,BF3ではラジオシティ(Radiosity,光の反射をパッチ単位で熱の相互輻射に置き換えて厳密に計算し,間接光を表現する技法)を使った本格的なグローバルイルミネーションが用いられているという。
 氏は,グローバルイルミネーションでは光源が無限になるが,負荷がその分高いため,従来は,オフラインレンダリングされたものがコマーシャルフィルムや映画などで使われていたと紹介しつつ,「それがリアルタイムで実現できるようになってきた」点が重要だと指摘していた。

 では実際のところ,ゲーム画面にはいったいどれほどの変化をもたらすのだろうか。その分かりやすい例として竹重氏が示したのが下のスライドだ。
 左側がグローバルイルミネーションを使った描写,右が使っていない描写である。スライドの下部分はライティングだけを抽出したものだが,違いが最も分かりやすいのは,手前右側の黄色いコンテナと,その1つ奥にあるコンテナだろうか。グローバルイルミネーションでは間接光が計算されるため,コンテナに反射した黄色っぽい光が奥のコンテナを照らしているのだ。従来的な光と影の処理だと単に暗くなるだけのところにも間接光が当たるわけである。

米国時間2011年14〜16日に開催された「GeForce LAN 6」で,EA DICEのJohan Andersson(ヨハン・アンダーソン)氏が行った講演より。ムービーはYouTubeで閲覧できる
バトルフィールド 3

 竹重氏はもう1つスライドを示したので紹介しておきたい。
 下のスライドは,やはり左がグローバルイルミネーションによる間接光を適用したもの,右が適用してないものになるが,左では橋桁の底に間接光が届いている。画面右端,地面に近いところのタンク周辺における影に,グローバルイルミネーション適用時は明暗が生じている点にも注目してほしい。

1つ上で示したスライドと同じ講演より
バトルフィールド 3

BF3での利用例。太陽光という強い光のもとでもEnlightenはしっかりと機能する。ただ,「BF3の実装がベストというわけではなく,たとえば,テッセレーションにも,ディスプレースメントマッピングにアニメーションを持たせるとかいった,DirectX 11を想定した使い方もある」そうだ。将来の展望としてはそのあたりが考えられるという
バトルフィールド 3
 竹重氏によると,BF3のグローバルイルミネーションには,「Enlighten」(エンライトゥン)というミドルウェアが採用されているという。EnlightenについてはGDC 2011のレポートでも紹介しているが,「太陽の光は非常に強いが,同じミドルウェアの同じ計算ルーチンで(ほかの光源と一緒に)取り扱える。当たり前のように感じるかもしれないが,非常に難しいこと」と竹重氏。要するに,演算方法を変えることなしに太陽光から室内灯にまでグローバルイルミネーションを適用できているのがBF3の特徴ということになる。

バトルフィールド 3
EVE Onlineより室内の描写。間接光により,壁や床などがリアルに描かれている
バトルフィールド 3
Need for Speed The Runより。ビルの光源とクルマのヘッドライトがゲーム世界のリアリティを増す
 また竹重氏は,「EVE Online」「Need for Speed The Run」も例として挙げ,EVE Onlineでは,室内の描写において,ディスプレイが光源となって,それが反射することで,壁や床に間接光が当たり,空気感を生み出せていると指摘する。従来的な表現技法だと,アーティストが壁や床を“そう見えるように”工夫して描かない限り影として潰れてしまうところが,Enlightenなら,光源を設定するだけで,スライドで示されるような間接光表現が行えるという。

 またNeed for Speed The Runでは,クルマのヘッドライトといった,光源の向きや強さが不定の光においても「リアルタイムにグローバルイルミネーションが計算されている」(竹重氏)とのこと。氏は,Enlightenが非常に効果的に機能を発揮している例だと述べていた。

 ところで,BF3的に重要な事柄を挙げておくと,EnlightenはGPUやCPUの性能に応じてスケールするようになっているそうだ。GPUやCPUの性能が高いほど多くの光線を計算してリアルな映像を描き,逆に性能がそれなりなら光源を減らしてそこそこの映像を描いてくれるようになっているという。
 つまり,ゲーム側に用意されたグラフィックス設定メニューとは別のところで,GPUやCPUの性能により,描かれる映像の質が変わる可能性があるというわけだ。

 なお,EnlightenはCUDAに最適化されているばかりでなく,事前計算――Enlightenではあらかじめライトマップを計算したデータを使ってリアルタイム時の計算を減らしているようだ――のフェーズでは,NVIDIAのリアルタイムレイトレーシング技術である「OptiX」も使用されているとのことである。

OptiXを用いると,CPUベースのRayTracerを用いるときと比べて圧倒的に高速化でき,シーンの読み出し時間や,開発時の反復テスト時間の短縮につながるという
バトルフィールド 3 バトルフィールド 3

 というわけで,下に示したのムービーは,Unreal Engine 3にEnlightenを実装したテクニカルデモである。すべてGeForce搭載のマシンにより,セッション中,リアルタイムにデモされた。非常に素晴らしいデモで,筆者もちょっと感動してしまったほどだ。ぜひチェックしてみてほしい。


 竹重氏は最後に,「なぜGPUの性能を上げるんだ,十分じゃないかという話があるが,過去,最先端のリアルタイムグラフィックスハードウェアを触ってきた立場からすると,現場は常にコンピュータバジェット(※計算資源)の不足に悩んでいる。この悩みは一度も解決したことがない」と,自身の経験を基に,「GPUの進化が止まることはない」と断言して,セッションを締めくくっていた。


バトルフィールド3の世界観をリアルで体感!?

報道関係者によるサバゲー大会にも参加してきた


都内からバスに揺られること1時間強。千葉県内のサバゲー会場へと移動したNVIDIAのスタッフ+報道関係者一行。驚くことにこれ,平日なんだぜ……?
バトルフィールド 3
 ……と,ここでがらりと話は変わり,執筆担当も前半の米田 聡氏から筆者・NAOKIへと代わるのだが,実はこのセッションのあと,NVIDIA主催による,報道関係者を対象としたサバイバルゲームツアー――平たく言い換えるとサバゲー大会が開催された。NVIDIAによれば,「サバゲーを通じて,バトルフィールド 3の世界観をリアルに体験しましょう」というのがテーマだそうで,いろいろな意味で相当に斬新な企画と言えるだろう。生粋のQuakerである米田氏が所用で参加できないため,筆者が4Gamer代表として送り込まれたというわけである。
 ちなみに,筆者はサバゲーどころかFPSもド素人クラスなので,ある意味,今回のツアーには最も適任な気がするのだが,会場へ向かうバスのなかで説明された内容によると,サバゲーというのは,「エアソフトガン」と呼ばれる遊技銃と,「BB弾」と呼ばれるプラスチック製の弾を用いて,戦場を模したスペースで,ルールに従って戦う競技のことだ。いや,聞きかじりなので,枝葉が間違ってるかもしれないが。

 さて,先ほど写真のキャプションでも簡単にお伝えしたが,今回のサバゲー会場となったのは,千葉県にある「NO9.SC」という施設だ。会場に到着した参加者たちには,電動式のエアソフトガンと,目を保護するゴーグル,そして迷彩柄の衣装が手渡された。
 筆者のつたない銃の知識で説明してみると,今回支給されたのはサブマシンガンタイプのもの。持ってみるとけっこう重く,2〜3kgはありそうな実感があったのだが,これでも本物と比べるとかなり軽いそうだ。
 なお,今回の参加者には経験者も多く,自前の装備を持ち込んでいる人も多かったことを付記しておきたい。

競技会場となるフィールドの様子。市街戦風のレベルデザイン(?)がなされている
バトルフィールド 3
 そんなわけで準備が完了し,実際に競技を行うフィールドへと移動することに。フィールドは,迷路のように壁が設置されていたり,車などのオブジェが置かれていたりするなど,なかなかゲーム的である。周囲が木に囲まれていることも,局地戦の雰囲気に一役買っているように思えた。サバゲーと聞いて,なんとなく森の中を走り回るようなイメージをしていたのだが,今回のフィールドはどちらかというと市街戦っぽい雰囲気だ。

壊れた車が置かれているなど,隠れる場所が多く用意されていた
バトルフィールド 3 バトルフィールド 3 バトルフィールド 3

 今回行われた競技のルールは,FPSでいう「Capture the Flag」(キャプチャー・ザ・フラグ,CtF)に近い「フラッグ戦」と呼ばれるもで,2つのチームに分かれ,それぞれの陣地に設置した旗を奪い合うというものだ。実際には,旗の代わりにブザーを設置し,先にそれを鳴らしたチームの勝利となる。参加者はNVIDIA関係者を含めて21名。今回は,赤組と黄組の2組に分かれて勝敗を競うことになった。
 競技中はBB弾に1回でも当たるとアウトとなり,フィールドから退場しないといけないため,かなり注意深く行動する必要がある。味方から誤射されたり,跳弾に当たったりしてもアウトだ。

装備を着用した筆者(※装備一式は借り物)。ゴーグルは顔全体を保護するタイプだ。相当な至近距離でなければBB弾で撃たれても思ったほど痛くないくらい,ちゃんとしている
バトルフィールド 3
 実際にフィールドに立ってみると死角が多く,視野も狭い。あの物陰に敵がいるんじゃないかとか,誰かに狙われているんじゃないかとかいう気持ちになるのは,確かにFPSをプレイしているときと同じ感覚である。
 そんなこんなで,合計8戦が行われたのだが,結果はベテランソルジャーが率いた赤組が5勝3敗で勝利。突出したプレイヤーが1人でもいると戦況がかなり有利に進むようだ。このあたりはFPSでも同じなのではないだろうか。

 ちなみに筆者は黄組で,最初は開始早々に撃たれてしまうことが多くかったのだが,後半,周囲を注意深く確認するようにしてから生き残れることが多くなり,状況確認の重要性を思い知らされた。要するにFPSで死にまくるのはそういうことだったんだよ,というわけである。バトルフィールド 3で戦績がさっぱり上がらない場合は,筆者の痛い経験を参考にしてもらえれば幸いだ。
 なお,日頃の運動不足がたたってか,ゲームと違って翌日筋肉痛になったのは言うまでもない。

今回のイベントでは,10月12日の記事で紹介したキャンペーン「やっぱりゲームはGeForce GTX」のアップデートもあった,それによると,「Geared for Gaming」ロゴマークのゲームPCを購入した人には,サバゲーの参加権利……ではなく,NVIDIAロゴ入りの迷彩柄パーカーがプレゼントされるという。また,「Batman: Arkham City」英語フルバージョンをダウンロードできるコード付きのGeForce GTX 500搭載グラフィックスカードも販売されるとのことだ。詳細はキャンペーンページをチェックしてほしい
バトルフィールド 3 バトルフィールド 3


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