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センチネル戦車,故郷に帰る。Wargaming.netがオーストラリアで行ったイベントの模様をレポート
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印刷2016/04/02 12:54

イベント

センチネル戦車,故郷に帰る。Wargaming.netがオーストラリアで行ったイベントの模様をレポート

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 センチネル戦車が,戦後約70年を経て,ようやく生まれ故郷であるオーストラリアに帰ってきた。やったぜ,センチネル,おめでとう! というセレモニーが2016年3月23日,オーストラリア北東の都市,ケアンズにある軍事博物館「Australian Armour & Artillery Museum」で行われた。
 とはいえ,センチネル戦車とはなにか? なにゆえゲーム総合情報サイトである4Gamer.netがそのイベントに出席しているのか? という疑問をお持ちの人も少なくないだろう。少なくないはずだ。間違いない。

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 そんな期待に応えて,簡単に説明したい。センチネル戦車,またの名をAustralian Cruser Mk I(オーストラリア巡航戦車マーク1)は,1942年から1943年にかけて66両が生産されたオーストラリアオリジナルの戦車で,戦車界の有袋類とも言われている。ウソだが。シャーマン戦車シリーズの約5万両,T-34戦車シリーズの約8万5000両に比べればハナクソみたいな生産台数だが,1942年といえば,ヨーロッパでの戦火が広がり,しかも前年12月に参戦した日本軍の脅威も間近に迫る不穏な時期だ。このままではいかん,と思ったオーストラリアが超特急で開発し製造した戦車がセンチネル戦車なのだが,いかんせん,オーストラリアには戦車生産の基盤となる工業力が不足しており,いろいろと大変だったようで,これでもがんばったのだ。
 しかし,1943年にはヨーロッパでも太平洋でも戦いの潮目が変わり,オーストラリアに対してアメリカから戦車が供給されることになったため,結局,センチネル戦車は戦場に出ることなく終戦を迎えることになったという。

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「World of Tanks」公式サイト


 そんなセンチネル戦車は現在,残っているのはわずか3両とのこと。まさに幻の戦車だ。有名どころでは,イギリスのボービントン戦車博物館でも展示されているという。ともあれ,そのうちの1両を所有していたのがサンフランシスコ在住の戦車収集家,Jacques Littlefield氏だ。同氏が世界各国から集めた実に220両にもおよぶ戦闘車両は,私有のものとしては世界最大規模であり,“Littlefieldコレクション”としてその筋の人々にはよく知られていた。個人で戦車を集めるとか,アメリカってすごい。パンター戦車もあったらしいし。
 Littlefield氏は2009年に亡くなっており,その後,コレクションの一部が競売にかけられることになった。そこで手を挙げたのが,人気オンライン戦車アクション「World of Tanks」で知られるWargaming.netだったのだ。どうです,うまくゲームにつながったでしょ。


 Wargamingは,例えばバトル・オブ・ブリテンのときに北海に沈んだドイツ爆撃機Do-17 Z-2(ドルニエ 17)を引き上げてレストアし,ロンドン空軍博物館に寄贈したり,第二次世界大戦中にアメリカからソ連に武器供与が行われた「レンド・リース」を記念してシベリアで軍用機を飛ばしたり,ボービントン戦車博物館で毎年行われる戦車イベント“Tank Fest”スポンサーになったりなど,世界中の博物館や各種財団との共同プロジェクトをいくつも行っている。
 2014年5月16日に掲載した記事でもお伝えしたとおり, Wargamingはゲームだけでなくミリタリーそのものにも興味のあるユーザー層を「Militaria」(ミリタリア)と呼び,彼らに訴求したり連携したりすることで,ゲームをより深く楽しめるものにしようと考えているのだ。こうしたプロジェクトは,その一環として行われている。

 Wargamingが購入したとき,センチネル戦車は割とボロボロだったようだが,アメリカで船に積まれてオーストラリアに戻り,そこで「Australian Armour & Artillery Museum」のスタッフによってレストアされた。具体的には,コマンダーズキューポラ,ハッチ,バイザーなどが新生されるか修復され,以前,取り外されたときのダメージが残っていた砲身も美しく再現されたという。その後,サンドブラストによって全体を覆っていた錆が取り除かれ,経年劣化を避けるための塗装が施されて,ついに博物館に寄贈されたのだ。

レストアの模様
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博物館は毎日営業。館内では模型なども売っている
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 往復2万km以上という長旅を経てようやく帰ってきたセンチネル戦車が余生を過ごすことになる「Australian Armour & Artillery Museum」は,2014年9月にオープンしたというから,比較的新しい民間所有の軍事博物館で,日本人観光客でごったがえすケアンズ市街から北に20kmほどのところにある。こうした施設としては,南半球最大であるとパンフレットに書いてあったが,見たところ,一棟にコレクションがすべて収まるほどの品揃えで,軍事博物館評論家の筆者としては展示内容もまあ普通かなといった感じだ(上から目線)。まだこれからとも言えるが,そのへんに転がっていた戦車を引っ張ってくればオッケー(偏見)なヨーロッパの博物館とは異なり,わざわざ長距離を輸送してこなければならない地理的ハンデを持つオーストラリアであるだけに,気合が入っていると言えるかもしれない(フォロー)。

展示物あれこれ
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チーフテン戦車
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T-72戦車
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FV433 アボット105mm自走砲
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カノーネンヤークトパンツァー
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FV601 サラディン装甲車
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FV603 サラセン装甲車
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8.8cm FlaK 18/36/37,アハトアハトだ
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3.7cm FlaK 36(だと思う)
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T-34/85戦車
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スタッグハウンド装甲車

 第二次世界大戦ものとしてはM3,T-34など定番戦車があり,また,チーフテンやT-72など戦後の車両も数多い。火砲類がなかなか充実している印象で,ドイツの8.8cm FlaK 18/36/37や3.7cm FlaK 36などが目立つところ。珍しいものとしては,カメさんチームでおなじみの38(t)戦車や,後期カメさんチームでおなじみのヘッツァー戦車の姿が見られた。
 さらに,カバさんチームの三突(三号突撃砲)もあるのかい,と思って近寄ってよく見たところ,昔作ったタミヤの模型とは微妙に異なることに気がついた。そこで掲示板をよく見ると,レプリカとのこと。ベースになったのはイギリスの走行兵員輸送車FV432で,ホンモノではなかったものの,これはこれで面白い。上部構造には似せようとかなり努力した跡があるが,映画にでも使われたのだろうか。

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三号突撃砲……の,レプリカ
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ヘッツァー駆逐戦車
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38(t)戦車
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 さて,そんな「Australian Armour & Artillery Museum」で行われたセレモニーには,当然ながらテレビを含むオーストラリアのメディアが多数詰めかけ,センチネル戦車の帰還を祝った。博物館のアシスタントマネージャーやWargamingのスタッフが挨拶を行い,これまでの経過や今回のプロジェクトの意義を述べ,その後はお帰りのお時間までご会食,という流れになった。戦車を囲んで飲んだり食べたりというのはかなり新鮮な体験で,戦車カフェとか作ったらウけそうな気がした。ちなみに筆者はお酒が飲めないのだが,酔ったふりして「カンガルーとコアラ,連れてこい!」と暴れてみるのも記事的には良かったかもしれない。自分で書いてて意味不明だが。

挨拶をする,WargamingのHead of Marketing, Wargaming Asia,Jem Loh氏(左)と,Head of Global Marketing ProjectsのAliaksandr Babko氏(右)
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博物館のアシスタントマネージャー,Jason Belgrave氏
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 また職員に断れば,今夜に限って,戦車の上に乗ることができたので,乗らないという選択はあり得なかった。個人的には,車高の低いT-72は乗りやすく,やたらでかいチーフテンは乗りにくいという,どう考えても当たり前以上の何者でもないという印象を受けてみた。それにしても,半世紀以上生きているが,戦車の上に乗ったのは初めての体験で,なんだか偉くなったような気がした。とはいえ,砲塔にはスモークディスチャージャーなど,いろいろな構造が所狭しとくっついているので,腰のおろし場所もない。ハッチから首を突っ込んだところ,室内もかなり狭そうだ。
 やはり戦車は,模型や博物館,ゲームで楽しむのが一番だろう。

乗ってみた
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首を突っ込んでみた
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腹がじゃまで乗り込めない
轢かれてみた
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一方,盛り上がる会場
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 さて,時間が余ったりしたので,WargamingのNicholas Moran氏にちょっと話を聞いた。Moran氏の役職は,上記の「Militaria」との関係を深めるDirector of Militaria Relationsipで,それと同時にアメリカ陸軍機甲師団の戦車長もやっているという。イラクやアフガニスタンへの従軍経験もあるという,マジですか?
 ウォーゲーミングジャパンのミリタリーアドバイザー,宮永忠将氏のような立ち位置であるとのことで,「Inside the Chieftain's Hatch」と題された一連のムービーで,「World of Tanks」に登場しないものも含めて,実在するさまざまな戦車の紹介を行っている。

Nicholas Moran氏
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 このプロジェクトには,2年以上前から関わっているというMoran氏。今回,なぜセンチネル戦車を選んだのか聞いたところ,「ユニークだから」という答えが返ってきた。センチネル戦車のエンジンとしてはキャデラックのV8が積まれているが,使えるものがこれしかなかったので,窮余の一策だった。しかし330馬力と非力だったので,なんと3基も搭載されている。これはユニークだ。さらに,車内に水タンクが用意されているところも割と珍しく,おそらく,オーストラリアの戦車兵は喉が渇きやすいのだろう。
 ユニークさ以外の現実的な理由としては,重量が手頃だったことが挙げられるという。Littlefieldコレクションの中には,イギリスのコンカラー戦車もあったが,これは車重が70tもあり,移動だけでもおそろしく大変だ。その点,センチネル戦車は25tしかなく,移送もしやすかったとMoron氏は述べた。なるほど。

センチネル戦車のディテール
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 上記のように,センチネル戦車はやむにやまれぬ理由で,数か月という驚異的なスピードで開発された戦車だ。当然ながらいくつかの問題点もあるという。なにしろそれまで戦車を作った経験がなく,さらに,オーストラリアには自動車産業も存在していなかったため,開発を担当したのは鉄道会社で,鉄道技術者が設計に当たったそうだ。そのため,基本設計については,いいところもあれば悪いところもあるという。
センチネル戦車は現在,PC版「World of Tanks」でプレミア戦車として発売中だ
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 車体と砲塔は一体に鋳造されており,この点はほかの国の同時期の戦車にはなかった特徴となるようだが,大量生産という考え方に乏しく,製造にはやたらと時間がかかった。一台作るのに数か月かかり,それだけあれば,アメリカでは数千台のシャーマン戦車が製造可能だった。
 このほか,スペアパーツの不足や,搭載された主砲が1943年当時,役にも立たなくなりつつあったという問題もあるという。まあ,こうして文章にすると,センチネル戦車をディスっているように聞こえるが,Moron氏の口調は(たぶん,ビールのせいもあって)実に楽しそうで,デキの悪い子ほど可愛いということなのかもしれない。
 強力な主砲と分厚い装甲を持つ,研ぎ澄まされた戦闘マシンとしての戦車もいいが,こうした,いろいろアレなセンチネル戦車のほうが人間ドラマが感じられて,展示にも意味が生まれるのだ,と思う。

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 というわけで,どれほどの人がいるのかはよく分からないが,ケアンズを観光したついでに戦車も見たいという人は,ぜひこの「Australian Armour & Artillery Museum」へ足を運び,センチネル戦車にご対面してほしい。「作られた」という事実以外,ほとんど逸話も残っていない,戦車史の谷間に存在するような一品だが,それだけにレア度はとても高く,見てきたというだけで合コンでモテモテになるのは間違いないところ。また,Wargamingが次にどのようなプロジェクトをカマしてくれるのかも楽しみにしたい。

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