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プレイヤーが担当するのは,「保存係」と呼ばれる部署の捜査官だ。ある夜,一人の検事が自宅で焼死し,その家に保管されていた過去の事件記録もバラバラになり,真っ黒に焼け焦げてしまう。壊れたデータを復元・解析する捜査技術「デジタル・フォレンジック」を使って,8つの記録をよみがえらせるのが本作の目的だ。
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事件を選ぶと,まず「死体はどこにあったのか?」「クローゼットにない残りのお金は誰が持っているのか?」という2つの設問が提示され,捜査記録の画面が開く。記録は45個のピースで構成されているが,開始時点ではすべて黒く潰れていて,ほとんど読めない。画面の左側には,事件現場の写真などの資料も表示される。
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復元には検索ボックスを使う。単語を検索すると,その単語を含むピースが文書の上から最大3つ復元される。このシステムはすべての文書に共通で,検索回数に制限はない。あわせて,ヒットしたピースの総数も表示される。
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このシステムがポイントで,調書に頻出する単語は何十個ものピースにヒットするため,文書の上部を開くことにしか役立たない。事件の核心が記された下部にたどり着くには,復元済みの文面から「この調書なら,こんな単語が使われているのではないか」と推測して,人名や品物の名前といった,そのピースの周辺にしか登場しない単語を当てる必要がある。この推測の繰り返しが実に楽しく,選択肢を選んで読み進めるタイプのミステリーADVとは,頭の使いどころが大きく異なる。
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なお,すべてのピースを復元する必要はない。上司の「係長」に報告すれば,いつでも自由入力で設問に解答できる。正解すれば「事件終了」となり,残りのピースをすべて開いて全容を読める。
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ちなみに,会場のPCでは日本語入力ができなかったため,試遊は英語版で行った。製品版は日本語にも対応予定だ。本稿では一部の画像に,Steamで公開されている日本語版のスクリーンショットを使用した。
また,Banjiha GamesのCO-CEOであるYuwon Lee氏にインタビューできたので,その模様をお伝えしよう。
4Gamer:
お時間をとっていただきありがとうございます。「九つ目の記録」は,どのようにして生まれたゲームなのでしょうか。
Lee氏:
私は検察庁で勤務した経験がありまして,そこで刑事記録をたくさん見る仕事をしていました。刑事記録はどこかミステリアスで,ゲームの素材として非常に面白そうだと思ったんです。
4Gamer:
実際にプレイしてみたところ,「person」や「our」で検索するとピースが復元されるのに,「answer」のような頻出単語では新しいピースが復元されないことがありました。このあたりの仕様を教えてください。
Lee氏:
システムは非常にシンプルです。検索ワードを含むピースを,上から最大3つまで開く。全文書に共通するのは,このルールだけです。検索ワードの文字数の下限は,言語ごとに調整しています。
4Gamer:
なるほど,それで頻出単語では文書の下部にたどり着けないんですね。普通のミステリーADVはただ読むだけになりがちですが,本作はかなり自分の頭で推理している感覚がありました。
Lee氏:
下のほうのピースが大事なので,キーワードは自分で探しに行くことになります。
4Gamer:
そもそも,どういうコンセプトで企画が立ち上がったのですか。
Lee氏:
推理ゲームを作りたかったのですが,その大部分は,固定された選択肢などで進行しますよね。もっと自由に進行するものがあればいいのにと思って作りました。
それに,このゲームのシステム自体が非常に興味深いと思ったんです。検索すると,文書の上のほうは早く明らかになっていくのに,下のほうはぐちゃぐちゃの順序で明らかになっていく。それが面白いなと。
システムだけがある状態から,コンセプトやアートをどうするか,数多くの案を検討しました。同僚の開発者やファンの方々に確認してもらいながら絞り込んでいって,今の形に固まったのは,実はこの2〜3か月ほどのことです。
4Gamer:
特にこだわった要素はどこですか。
Lee氏:
やはり,核心である文書検索のシステムです。というのも,実際に文書を創作するときには,普通の文章を書くのとは違って考慮しなければならないことが多くて,その作業過程が非常に面白かったんです。
4Gamer:
文書のほうも,検索で成立するように書く必要があるわけですね。開発で一番苦労したのはどこですか。
Lee氏:
一番難しかったのは,このゲームが「難しそう」に見えかねないという問題です。文書がずらりと並んでいると,仕事のようだとか,膨大な知識が必要そうだとか感じて,近寄りがたく思う方が多いんです。適度に新鮮に見えて,それでいて人々を怖がらせないアートのトーン。それを探すのに多くの時間を使いました。
4Gamer:
ゲームの世界観についても聞かせてください。ネタバレにならない範囲で構いません。
Lee氏:
モチーフは,私たちの世界とよく似た現実世界です。ただ,登場する捜査道具や背景などは,80年代のノワール映画やハードボイルド映画を参照して作り込んでいます。
4Gamer:
たしかに,PCも昔のものでしたね。
開発スタジオはいつ作られたもので,本作の開発はいつ始まったのでしょうか。
Lee氏:
スタジオを設立したのは2019年です。このゲームを作り始めたのは,今年の2〜3月ごろですね。
4Gamer:
プレイ時間は,どれくらいになりそうですか。
Lee氏:
まだクリアした人が少ないのですが,本当に千差万別でした。平均的には,1ステージあたり20〜30分程度と考えています。ステージは8つ用意する予定です。
4Gamer:
すると,全部で4時間ぐらいでしょうか。
Lee氏:
4時間程度だと思いますが,あとからストーリー的な要素が追加される余地があるので,もう少し増えるかもしれません。また,後半はだんだん難度が上がっていくので,そのぶん時間もかかるようになると思います。8つのステージのうち,現在開発できているのは2つです。
4Gamer:
体験版には日本語も用意されていましたが,日本市場も意識されているのでしょうか。
Lee氏:
現時点で日本語版がありますし,リリースの際も韓国語版と同じ日に出すつもりです。過去作の「FAKE BOOK」も,東京ゲームショウへの出展に合わせて日本語版を準備しています。これからのBanjiha Gamesは,日本を主要市場と位置付けて活動していく予定です。
4Gamer:
最後に,日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。
Lee氏:
新しいシステムをお見せできるのは,ゲーム開発者冥利に尽きます。まだリリースされていないのに興味を持ってくださる皆さんに本当に感謝していますし,その期待に大きな力をもらいながら作っています。
4Gamer:
ありがとうございました。2027年の発売を楽しみにしています。
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