![]() |
そんな最新作を控えたAoEシリーズなわけだが,シリーズの生みの親であり,また4Gamerの読者にはお馴染みのBruce Shelley(ブルース・シェリー)氏が,2007年9月20日〜23日に開催される東京ゲームショウ2007に合わせて来日している。4Gamerでは,早速同氏にインタビューを実施。アジアの覇王の魅力についてはもちろんのこと,Ensemble Studiosの今後の新作(?)についても少しだけ話を伺うことができた。
アジアの覇王の追加要素について
![]() |
お久しぶりです。さっそくですが,まずは最新作となるアジアの覇王の見どころについて解説してもらえますか?
Bruce Shelley氏(以下,Shelley氏):
こちらこそ,お久しぶり。じゃあ,まずはざっと本作の新しい要素,そして追加された文明について紹介していこう。
4Gamer:
お願いします。
Shelley氏:
ご存じのように,二つめの拡張パックとなる本作では,これまでの舞台であったアメリカ大陸を離れて,アジア……特に東アジアの勢力を,主なテーマとして扱っている。
追加される勢力は,日本,中国,そしてインドの3つ。これらの勢力は,いわゆる大航海時代と呼ばれる時期を境に西洋文明とも大きな関わり合いを持った文明であり,また西洋文明との接触によって,その後の植民地時代,帝国主義時代という流れの中で,激動の歴史を迎えた国々でもある。これらの国々をテーマにすることで,AoE3という作品をより面白い内容にできるのではないかと考えていた。
4Gamer:
アジア勢力には,前作AoE3:WCにおけるアメリカ先住民勢力の「Fire Pit」のような,独特の要素も追加されているようですね。
Shelley氏:
その通り。日本,中国,インドのそれぞれに細かい特徴(日本は狩りができない,インドは牛が殺せないなど)もあるのだが,大きな,それでいてアジア勢力共通の要素ということになると,Wonder(民族の象徴)やConsulate(領事館)という二つの要素になるだろう。
![]() |
![]() |
4Gamer:
それぞれを詳しく教えてもらえますか?
Shelley氏:
まずはWonder(民族の象徴)についてだが,これは,アジアの各国ごとに5つ(計15個)用意される“特別な建物”のことを指す。昔のAoEシリーズでもWonderという建物があったと思うが,それとは少々役割が異なっていて,本作におけるWonderは,建設することによってさまざまな効果が得られるという位置づけになっている(編注:ちなみに旧作でのWonderは,建設後一定時間守りきると勝利になる建造物)。要するに,資源の収集効率が上がるだとか,ユニットの能力が上がるだとか,文明特性やホームシティのカードの効果に近い要素だと思ってもらえればよいだろうか。
Wonderは,時代を進化されるたびに一つづつ(建設の)制限を解除していくことができ,どのWonderを優先させて選択していくかで,プレイヤーは戦略の方向性を変更していくことができる。例えば,序盤に資源の収集をサポートするWonderを建てるのか,あるいは軍事的なWonderを建てるのか,でゲームの流れは大きく変わっていくわけだ。
4Gamer:
Wonderは,後の時代に建設するほど得られる効果が大きい……といったようなことはあるのでしょうか?
Shelley氏:
Wonderの効果自体は,どの時代に建てても変わることはない。ただ先も話したように,「建てる順序」が戦略に与える影響は決して小さくないと思う。
4Gamer:
なるほど。では,もう一つの要素であるConsulateはどういった要素になりますか?
Shelley氏:
Consulateは,当時のアジアと西洋国家の関係を表現したもので,アジアの各勢力は,このConsulateを通じて西洋の最新技術……例えば,大砲や銀行などといった技術(ユニット)にアクセスできるという形になっている。
Consulateを利用するには,アジア勢力特有の資源であるExport Point(貿易点)が必要になっており,Export Pointは,全文明共通の経験値ポイントのように,徐々にしか増やしていけない貴重な資源として表現されている。
4Gamer:
アジア勢力は,独自では大砲ユニットなどを作れないということでしょうか?
Shelley氏:
旧式の迫撃砲やロケットなど,ある程度の砲撃ユニットは作成可能だが,強力なものという意味では,アジアの勢力は作成できない仕様になっている。まぁ,これは歴史的な背景も考慮した結果でもある。
4Gamer:
なるほど。
新たに追加されたアジア勢力。気になる日本の扱い(特性)はいかに?
4Gamer:
新たに追加される日本,中国,インドについて教えてください。
![]() |
![]() |
![]() |
Shelley氏:
では,まずは日本の紹介からしていこう。
日本の特徴は,ひと言で言うなら少数精鋭だ。AoE3本編でも,侍(浪人)や忍者といったユニットが,ややオマケ的な扱いで登場していたが,それらのユニット,あるいはさらに強い上位ユニットなどが扱える勢力になっている。ほかの扱えるユニット全体も,“足軽”や“旗本”あるいは“鉄甲船”など,特有のものが揃っている形で,日本のユニットは,非常に高価だがそれを補って余りある能力を備えているというスタイルになる。
また日本は,スペシャルユニットとして「大名」ユニットが生産可能になっている唯一の勢力でもある。大名は,周りの味方ユニットの能力を高める効果(指揮能力)や,その場でユニットを生産する能力を有しており,日本の戦略の要とも言える存在として位置づけられている。大名には,「徳川家康」「伊達政宗」「加藤清正」という戦国時代に名を馳せた3名が用意されており,状況に応じて彼らを使い分けていくことになるだろう。
4Gamer:
日本のWonderはどういったものになりますか?
Shelley氏:
大仏,東照宮,幕府(城),金閣寺などになる。ちなみに幕府を建てれば,軍事ユニットのコストが下げられる。
4Gamer:
ほかにも日本の特徴はありますか?
Shelley氏:
そうだな……。そう,日本は農耕民族なので,狩りができないというのも大きな特徴だといえる。ゲーム的なルールでいえば,これは大きなペナルティ(弱点)に当たる要素だといえるだろう。また人口を底上げするための施設が,「家」ではなく「社(やしろ)」となっている点も重要だ。社には自動的に資源を収集させる効果もあり,上手く活用することで,強力な経済基盤を築くこともできる。ある意味では,日本のもっとも重要な施設と言えるかもしれない。
4Gamer:
中国は,どのような勢力になりますか?
Shelley氏:
中国は,以前からある勢力で言うと,ロシアに非常に近い勢力になっている。つまり,人口の多さを背景にした物量戦略が中国のスタイルだ。中国では,ユニットを一体ずつではなく,まとめて5人,10人といった単位で生産することになる。これは,AoE3本編におけるロシアを連想して貰えればよいだろう。
また中国では,人口の底上げを家ではなく「村」を建設していく形になっていて,村では,カードなどによる資源/ユニットの搬送も受け取ったり,自軍のユニットを駐留させたりすることも可能。防御に,攻撃にと,戦略の幅を広げる要素となっている。
中国の基本戦略は,とにかく大量の兵士で相手を圧倒し,主導権を握り続けること。アグレッシブなプレイヤーにとっては,非常に使いやすい勢力になっていると思う。
4Gamer:
ふむふむ。
Shelley氏:
最後にインドだが,インドも「人口の多さ」をヒントにした特性を多く備えている。戦略/戦術のスタイルは中国などに非常に近く,格安のユニットを大量に生産して戦う,物量戦術を得意としている勢力だ。ただインドには,「象兵」という強力なユニークユニットがおり,軍隊の質という点でも,それほど悲観することはないだろう。
また,「町の人」の作成に木材が必要など,内政面でも非常にユニークな特性を備えている。さらにインドでは,「牛を祭る」ことで経験値を獲得できる。専用の施設(聖なる地?)に牛を割り当てることで,より短期間で多くの経験値を獲得できるというわけだ。
4Gamer:
アジア勢全体としてもかなり独特な要素が強いですが,日本,中国,インドだけで見てみてもそれぞれかなり個性的ですね。
Shelley氏:
各勢力の差別化に関しては,今回の開発を担当したBIG HUGE社もかなり苦労をして(頑張って)いた部分だと思う。
本作の開発経緯。開発を請け負ったBIG HUGE社との連携について
![]() |
そういえば,本作はEnsemble Studiosが初めて自社で開発しなかった……つまり,「外部の開発会社を使った初めてAoEシリーズ」になりますよね。なぜ,そこまでの決断をしてまで二つめの拡張パックを出す(編注:こちらもシリーズ初)という話になったのでしょうか?
Shelley氏:
もちろん,外部に開発を委託するという決断は簡単なものではなかったというのが正直なところだ。
本作のプロジェクトが始まった経緯としては,まずマイクロソフトから「ぜひAoEの新作を出してほしい」という強いオファーがあり,それに対してどうするか?というところから始まった。ただ当時,AoE3のメインスタッフはXbox 360用に開発中のRTS「Halo Wars」の開発に専念していたし,ほかのチームも,すでに新しいプロジェクトをスタートさせている状況だった。つまり,リソース的には内部でさらに開発を行えないという現実問題が立ち塞がっていたんだ。
4Gamer:
それでBIG HUGE社に委託を?
Shelley氏:
BIG HUGE社を率いるBrian Reynoldsは,かつての私の仕事仲間であり,本当に尊敬できるゲーム制作者の一人で,BIG HUGE社自体とも,友人のような付き合いをしている。彼らにこの話を持って行ったところ,非常に乗り気になってくれて,意気投合したという感じだ。
4Gamer:
アジアの覇王の開発には,Ensemble Studiosはどのくらい関わってたのでしょうか? Shelley氏自身も深く関与していたのでしょうか?
Shelley氏:
開発の作業自体は,当然BIG HUGE社が一手に引き受ける形となったが,方向性を決めるミーティングなどには私も参加したし,仕様書のすべてにも目を通している。またこれはほかの作品でもそうだが,私自身が実際にプレイを重ねて,多くのフィードバックを返したりもしている。シングルプレイだけじゃなくて,対戦なんかも実際にやってみるしね。
現場レベルでは,さらに頻繁にやり取りがあった。ただ先もいったように,Ensemble StudiosとBIG HUGEのスタッフたちは非常に親しい間柄なので,作業自体はスムーズに進んでいたと思う。
4Gamer:
おっと,Shelley氏も対戦をされるのですか?
Shelley氏:
それはもちろん。
4Gamer:
腕前の方はどのような感じなのでしょう?
![]() |
ええっと,それはまぁ……想像できるだろう? あまり強くはないよ(笑)。
ちなみに話が少しズレるが,Ensemble Studios Onlineなどで活躍してるプレイヤーたちを集めて1〜2週間の合宿をさせて,その意見を取り入れるといった取り組みもしている。彼らは本当の意味でのコアゲーマーで,多少偏ってる部分もあったが,その意見は示唆に富むものが多くて勉強になった。
もちろん,仕事でテストプレイをしてもらうと言うことになると,いろいろと難しい面も多いのだが,この人は! と思うプレイヤーに関しては,直接Ensemble Studiosで雇い入れたり……ということもやっている。
4Gamer:
先のGames Conventionで語られていた「細かく作り直しながら」という開発プロセスの一環ですか。
Shelley氏:
その通り。ただバランス調整に関して言えば,それは開発の最後の行程になるので,作り直しうんぬんとは少し違う話になるが。
4Gamer:
ちょっと話は戻りますが,Halo Warsのチームのほかに,もう一つプロジェクトが動いているとのお話でしたが,それはもしかして“AoE4”……ということだったりするのでしょうか?
Halo WarsにAoE3のメインスタッフが従事しているとなると,AoEシリーズのファンとしては,AoEの続編が遅くなってしまうのではないか? という危惧もあると思うのですが。
Shelley氏:
もちろん,新しいプロジェクトの内容を今明かすわけにはいかない(笑)。でもAoE4に関して言えば,正直なところまだまったくの白紙状態だ。Halo Warsの出来映えにもよるが,まずはHalo Warsをしっかりと作り上げ,結果を残すことに集中しなければならないからだ。
AoE4は,Halo Warsの開発が終わった後に,改めてどうするかを考えることになると思う。ただ本音を言ってしまうと,初期からいる開発メンバーに至っては,もう12年も同じAoEシリーズの開発を続けていることになり,早い話が,少々飽きてしまっているという側面も少なくない。
4Gamer:
まぁ,12年も続いてしまうと確かに……
Shelley氏:
いや,私は飽きてないよ!(笑)
ただまぁ,初期からの開発メンバーにそういう空気があることだけは確かなんだ。設立当初に居た19人の初期メンバーのうち,13人がまだ在籍している状態。彼らには,それぞれ重要なポジションを担当してもらっているが,私自身も,彼らがやりたいと思う仕事をさせていきたいと常々考えている。
4Gamer:
なるほど。
Shelley氏:
そういう意味では,これまでとは違うものに挑戦してみたいという気持ちは強い。また現在は,Ensemble Studiosの開発ラインは2本あるのだけど,今後,これを3〜4ラインに増やしたいとも考えている。
4Gamer:
え,それはRTSではないジャンル……例えば,アクションやRPGをEnsemble Studiosが手掛けることもあり得るということですか?
Shelley氏:
そういう方向性も視野に入れているということだね。というか,現にさっき話した新規プロジェクトは,“RTS以外のジャンル”になっている。いずれにせよ今後の開発タイトルに関しては,市場の動向であるとか,いろいろな要因を考慮しながら決定していくことになるだろう。
複数のまったく違うプロジェクトがあり,開発者がそれぞれの興味のあるプロジェクトに参加していける。そんな環境(会社)を作ることが,今の私の目標になっている。
4Gamer:
それは……,Shelley氏はさらに忙しくなりそうですね。
Shelley氏:
いやぁ,最近の若い開発者はみんな非常に優秀で,ゲーム開発の現場で,私なんかが必要とされる場面はどんどん少なくなっているんだよ(苦笑)。
素直にマネージメントであるとか,管理周りに専念しようかと考えているところだ。まぁ,今もすでにそうなりつつあるがね。
4Gamer:
またまたご謙遜を。
ともあれ,今日はありがとうございました。アジアの覇王はもちろん,まだ見ぬEnsemble Studiosの新作にも期待しております。
Shelley氏:
ありがとう。
![]() |
さて,アジアの覇王についての内容はもちろん,いろいろ興味深い話が聞けた今回のインタビュー。Shelley氏が考えるEnsemble Studiosの今後の方針?が聞けたのは,なかなかの収穫だったのではないだろうか。RTS以外のジャンルになるという新作も,今から期待が膨らむばかり。Ensemble StudiosならびにBruce Shelley氏の,より一層の活躍/発展を願うばかりだろう。
ちなみにアジアの覇王の詳細については,日本語版のビルドが出展されている東京ゲームショウ2007のレポートで,さらに詳しく追っていく予定。AoEシリーズのファンは,そちらの記事もチェックしておいてほしい。
















![画像ギャラリー No.014のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/014.jpg)
![画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/003.jpg)
![画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/010.jpg)
![画像ギャラリー No.013のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/013.jpg)
![画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/009.jpg)
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/007.jpg)
![画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/008.jpg)
![画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/004.jpg)
![画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/005.jpg)
![画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / [TGS 2007#05]Bruce Shelley氏に聞く「エイジ オブ エンパイア:アジアの覇王」](/games/040/G004004/20070920052/TN/002.jpg)
