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印刷2009/12/28 11:23

連載

海外ゲーム四天王 / 第28回:「The Saboteur」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第28回:今週のウィ,ムッシュ:「The Saboteur」
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 戦車師団を中心としたナチスドイツ軍の疾風迅雷の進撃により,1940年6月14日,パリは陥落した。ナチスの圧制の下,人々は忍従を強いられていたが,そこへ突然,一人の男が現れた。彼はレジスタンスと協力しながら,ナチスの連中をバッタバッタと倒していったのである……というのが,2009年最後の「海外ゲーム四天王」のお題,「The Saboteur」だ。Electronic Arts傘下のPandemic Studiosが贈る,アクション,アクション,ちょっとお色気という注目作を紹介しよう,サバビアン!

色彩を失った暗鬱な街に光を取り戻せ 実在の人物をモデルにした主人公がナチス相手に大暴れ

 

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 Electronic Artsの新作「The Saboteur」(以下,Saboteur)は,Mercenariesシリーズや,Full Spectrum Warriorシリーズで知られるEA傘下のデベロッパ,Pandemic Studiosが開発した三人称視点のアクションゲームである。ちなみに,PandemicはこのSaboteurの制作終了後にEA Los Angelesに吸収されてしまうことが発表されたので,本作が彼らの最後のタイトルとなった(Pandemicというブランド名は残るようだ)。
 そんなPandemicの白鳥の歌,Saboteurを今週の「海外ゲーム四天王」で紹介しようという魂胆なのだが,ここに重大な問題が一つある。実は私はこの,“Saboteur”をなんと読んでいいのかよく分からなかったのだ。そこで,隣の席のgingerに聞いたところ,自信満々に「サボテウル」と答えてくれたのだが,たぶん間違っている。まあ,別に読めなくてもそのまま書けばいいので,それほど気にすることはないだろう。

 

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 主人公はアイルランド生まれの元レーサー,Sean Devlinという人物で,彼がナチス占領下のパリを舞台に単身,あるいはレジスタンスの協力を受けつつ,さまざまな危険なミッションに挑んでいくという内容だ。ちなみにSeanにはモデルがいて,名前はWilliam Grover-Williams。彼もまたアイルランド生まれの元レーサーで,イギリス軍情報部(SOE)にスカウトされてフランス国内で情報収集/破壊工作を行った本物のヒーローだ。彼の事績については各自ググってほしいが,最後は「Velvet Assassin」のモデルになった女性スパイ,Violette Szabo同様,ナチスの手に落ちて処刑されている。……というような話を2009年4月にロンドンで行われたEAのカンファレンスで聞いたのだが,そのとき書き忘れたので今ここに書いた。これが,江戸の仇を長崎で討つというやつだ。

 

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 ゲーム全般の雰囲気は,間違いなくB級戦争映画のそれだ。主人公は恐れを知らないタフガイで,ナチスの連中はたいてい悪人。当然のように,かなり悪いことを企んでいる。ゲームを彩る美しきファム・ファタール(悪女)もお約束どおり登場し,間違っても「戦争の意味とは」とか「一人を助けるため,大勢のパリ市民を危険にさらすことは是か非か」といったテーマを問いかけてくることはない。基本的に頭をカラッポにして爽快なアクションに身を委ねる作品であり,早い話,ちょっとバカゲーっぽい。

 

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 ゲームシステムはオープンエンドかつサンドボックスでミッションオリエンテッドなもので,カタカナばかりである。要するに,パリの街を自由に移動して,さまざまなミッションを請け負い,それをクリアすると次のミッションがアンロックされたり物語が進んだりするという,Grand Theft Autoスタイルだ。広すぎるパリ市内の移動は,もっぱら車に頼ることになり,その点もGTAっぽい。

 

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 ミッションの内容は,施設への侵入/破壊,裏切り者の暗殺,人質の救出といったものが主体で,たまにフランスらしく高級ワインの奪取などが混じってくる。もっとも,目標はいろいろあるにしても,基本は「静かに入って派手に出て行く」ことだ。
 SeanはSplinter Cellのサム・フィッシャーのように,あるいはAssassin's Creedのアルタイルのように身軽で,窓枠に飛びつきながらアパルトマンの壁を登り,雨どいを伝って移動し,電線を使ってラベリングし,高いビルもひとっ飛び。さらに,倒したドイツ兵の服を奪って変装できたりもするので,それらを使って目的地にこっそり潜入し,爆弾を仕掛けたり,ロケット弾を撃ったりすることになるのだ。
 で,燃料タンクが爆発したり,ヒンデンブルグ号が墜落したり,塔が倒れたりすると,さすがのドイツ兵も気がつくので,あとは派手な撃ち合いと脱出劇が待っているというダンドリだ。前半の「どうやって忍び込もうか」という戦略の楽しさと,後半のスカッとした戦いの緩急が巧みだが,面倒くさいときや,何か私生活で面白くないことが起きたときは,最初から銃を持って突入してもかまわない。たぶん,かなり大変だと思うけど。

 

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 かくして,Seanの活躍でパリには平和が戻ってくる。もちろん,ナチスを完全に追い払うわけにはいかないが,彼らの影響力が低下した地域では,それまでのモノクロ画面(血とナチスの旗の赤だけ色つき)がカラーになるという,非常に分かりやすい演出が施されている。シックなモノクロ画面もなかなかいいが,ミッションが成功して鮮やかな色彩が戻ってくると,なんというか,草原をわたる涼やかな風のように気分が爽快になってしまい,明らかに開発者の思う壺に陥っている私である。
 とはいえ,Seanのモデルになった人物は悲惨な最期を遂げている。このまま,ホイホイとナチスを蹴散らすことができるのか? そのへんはぜひ自分の目で(以下略)。

 

コラム:パリの女性は,みんなキレイ
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 B級戦争活劇につきものの「お色気」が,大胆にフィーチャーされているのもSaboteurの特徴の一つである。なにしろ,ゲームのオプション画面で“Nudity”のオン/オフが選べてしまうという,欧米ゲーム業界震撼の仕様になっているのだ。ちなみにコンシューマ機版はDLCで対応しているという話。未成年の人は絶対にオンにしてはいけないので,気をつけていただきたい。
 で,さっそくこれをオンにすると,クラブで踊っている彼女の胸の先のスパンコール(で,いいのかな? 何か特別な名称があるのかしら?)がなくなってしまうので,4Gamerに掲載することはできないというゴージャスぶり。まあ,それだけの話なので,おとなしいといえばおとなしいかもしれないけど。
 もれ聞くところによると,2010年に発売が予定されている,同じくElectronic Artsの新作「Dante's Inferno」にも,似たようなシーンがあるらしく,これはもう,2010年のEAからは目が離せない。うふふ。

 

 眉間にしわを寄せ,まなじりを決して挑むようなタイプのゲームではなく,お色気満点,アクション満点の気軽に楽しめる一本といえるだろう。緻密に描かれたパリ市内を散策し,モンマルトル広場のカフェで美しいマドモアゼルとおしゃべりを楽しむ,ということはできないが,ともあれ自由度が高くて面白いゲーム。日本語版を期待したいところだ。

 

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■■松本隆一(四天王/編集者)■■
 寒い日が続いておりますが,松本は例年のようにエアコンが壊れ,ことさら寒い思いをしているようだ。「アパートの大家に修理を頼めばいいではないか」とほかの編集者に言われるのだが,実はエアコンを直そうと思ってガンガン叩き,半分壊してしまったので,頼みづらいらしい。まあ,世の中よくしたもので,あまり寒くない日にはちゃんと温風が出てくるとのことで,「寒くないときは大丈夫」と語る。もう,何が何だか分からないが,では,来年もよろしく。
  • 関連タイトル:

    The Saboteur

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