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オンラインゲーム界の覇者を目指す男,ネクソンジャパン社長David K.Lee氏インタビュー【後編】――今後のネクソンを,すべてお教えします
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印刷2006/12/01 20:50

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オンラインゲーム界の覇者を目指す男,ネクソンジャパン社長David K.Lee氏インタビュー【後編】――今後のネクソンを,すべてお教えします

 かつての筆者がそうであったように,場合によってはオンラインゲーム業界の人でも,NEXONに対して「たくさんのカジュアルゲームをポータルサイトでサービスしている会社」くらいの認識しかないのではないだろうか。しかしこの一連のインタビューから読み取れるように,実際の動きはまったく違う。ゲームポータルなどには収まらない,オンラインゲームの覇者を――そしておそらくはそのあとの“デジタルコンテンツの覇者”も――目指して,着々と歩んでいる。

 そんなNEXONの本音を,炸裂気味に語ってくれたDavid氏に感謝しつつ,本稿を起こしている。公表が許されず,やむなく削除した部分も(ほんの少し)あるが,今までのインタビューはすべて,彼が語ったセリフをそのまま掲載(*)したものなのだ。ぜひ通して読んでみてほしい。。
 今まで以上に本音モードのDavidトークが炸裂する第3回を,じっくりとどうぞ。(Interview by Kazuhisa,photo by kiki)

* 細かい数値データなどは,確認の上,正確なものに修正してある

>NEXONの将来展望を語る【前編】は「こちら」から
>NEXONの将来展望を語る【中編】は「こちら」から




■“メイプルストーリー・ワールド”の展開
■〜そもそも,弊社がやろうとしていることは,アニメとオンラインゲームの連携です

「アニメで登場したアイテムがその日にショップに並ぶとかやってみたいですよね」と嬉々として語るDavid氏。子供のころそんな楽しげな番組があったら,たぶんどこかで道を踏み外してそうな気がします
4Gamer:
 そういえば,メイプルのアニメはどんな感じでローンチされるんですか?

David K.Lee氏:
 できれば来年の夏か秋ごろに日本でも放送したいと思ってます。きっと既存のプレイヤーさんも喜んでくれると思うんですよね。アメリカ展開も考えてますし。

4Gamer:
 それこそViacomの出番になりそうですね。いっそ,DreamWorksとかで凄いアニメにするとか。

David K.Lee氏:
 いや,そこまではちょっと(笑)。そこまでのものになると,お金の問題とかも相当大きくなってきますし。
 無理をせずに,整理しながら展開するのがよいと思います。いきなりアニメなどを大々的にやって痛い目に遭うのは,ちょっと私としてはいただけません。

4Gamer:
 しかし,オンラインゲームからアニメに進出といえば,今までに何回かそういうパターンの展開はありましたよね。RO(=ラグナロクオンライン)とかMoE(=Master of Epic)とか。

David K.Lee氏:
 なんだかみなさん,割と普通に深夜帯に出すんですよね。なぜなんでしょう。弊社のメイプルはそれを避けて,あえて早い時間にいってみようかな,と思ってます。

4Gamer:
 でもそうすると,コストも広告枠もかなり厳しいんじゃないですか? アニメに広告って結構入りづらいですし。……あぁそうか。メイプルのユーザー層と合わないんですね,深夜だと。

David K.Lee氏:
 そうです。小学生も中学生もいっぱいいますし。広告の絡みも色々と話し合ってますし,それが解決できるといいな,と思ってます。弊社がその中でどこまでカバーするのか,という話を含めて。

4Gamer:
 メインストリームの年齢層が低めですからね。

David K.Lee氏:
 そうですね。そのあたりに対してのリーチは,今の紙媒体やWeb媒体ではちょっと足りないと思ってるんですよ。もっとテレビを通じてアピールしていきたいな,と。
 あとそもそも,弊社がやろうとしていることは,アニメとオンラインゲームの連携です。例えば,アニメで新キャラクターが出てくると,その放送日の翌日とか……そうですね,一週間以内には,そのキャラクターがゲーム内に反映されると面白いだろうなぁ,と。私が子供のころにそういう番組があれば,絶対その番組を見て,そのゲームをやってみたと思うんですよね。

4Gamer:
 なんかパンのアニメと似てますね。アニメに出てくるパンがコンビニで販売されてた。なんでしたっけ……「焼きたて!!ジャぱん」か。でもリアルとの融合というのは,誰もが考えつくけどなかなかできないことですよね。
 しかしアニメは,御社タイトルには向いている展開かもしれませんね。子供達を筆頭に,色々な年齢層を捉えているじゃないですか。

David K.Lee氏:
 ええ,そのあたりのことも考えて,アニメの戦略は主に日本とアメリカだと思っています。あとは,ヨーロッパあたりも。でもヨーロッパは国が多すぎて言語関係が厳しいですね。全部翻訳しないといけない。

4Gamer:
 言語として考えたらいくつあるんでしょうね……。

David K.Lee氏:
 そうなんですよ。今,ヨーロッパでメイプルのクローズドβをやってるんですけど,五つの言語に分かれています。英語,ドイツ語,オランダ語,スペイン語,フランス語。
 言語ごとにサーバーが分かれているんですけど,一つだけ共通のサーバーがあるんです。そこが割と人気ですね。

4Gamer:
 ヨーロッパの人達は,英語で普通に遊んじゃいますよね。ちなみに,どこの国が一番反応がいいんですか?

David K.Lee氏:
 オランダですね。あと反応が良いというわけではないんですけど,イスラエルから接続してくれている人などもいて,びっくりさせられます。

4Gamer:
 先日,ヨーロッパのゲーム協会の人とお話する機会があったんですけど,やはりゲームが強いのは,フランス,ドイツ,イギリスといった国みたいですね。予想どおりというか。
 ところでヨーロッパプレイヤーの年齢層はどんな感じですか?

David K.Lee氏:
 日本にも言えることなんですけど,読めない部分が多いですよね。本当に登録してくれたとおりの年齢なのかどうか分からないですし。弊社側で分かるのは,メイプルはほかのゲームよりピークタイムが早いということです。それで,たぶん小学生とか中学生の人が多いんだろうな,という予想は立つわけですが。
 韓国のように国民番号があって,そこから生年月日と性別がはっきり分かるというシステムではないので,あくまでも推測にすぎないんですよね。しかもヨーロッパは広いですし,時間帯もバラバラですし。年齢層的には,たぶん20代前半くらいでしょうか。

4Gamer:
 大学生くらいですね。

ゲームからアニメに進出を果たした先駆け2タイトル(左:RO,右:MoE)。思ったよりもプロモーション効果が出ていないという実績,アニメーションには大手クライアントが広告を出さないという風習を踏まえ,どのように展開するかが勝負だ

(C)2004 RO Production/RAGNAROK THE ANIMATION 製作委員会


■そして今後NEXONが向かう方向#1
■〜メディア的なポジションに移れればよいかな,と考えています

一種の“流行”であるゲーム内広告ビジネスモデルに,真っ向から疑問を唱える。唱えるだけでなく実践しているところが,さすがである
4Gamer:
 しかし,今まで欧米やヨーロッパのゲーム会社の人と話すと,彼らは驚くほどアジアマーケットに興味を持ってますよね。アジアに行きたい,進出したい。何が売れるの? 何が人気なの? と。
 すでに過当競争に入りつつある韓国や日本,これから立ち上がっていくマーケットであろう中国あたりを考えたると,たぶんNEXONという会社は,そのいずれをも長いこと見て来ていると思っています。そのあたりのマーケットの2,3年後の展開というのは,どのようになっていくとお考えですか?

David K.Lee氏:
 一つだけここで言えるのは,今弊社は,韓国によくあるようなコミュニティサービスとオンラインゲームの境というか,そういうものがなくなると思っているということです。

4Gamer:
 ゲームでもありながら,コミュニティ的な性格を強くしたコンテンツですね。逆でもよいですが。

David K.Lee氏:
 そうです。だんだんとそういうコンテンツが増えてくると思っていますし,そういうものに接する機会が多くなるとも思うんです。例えば,携帯ゲーム機とか携帯電話とか,そういうものを通じてもオンラインゲームが遊べる環境になるんだろうな,と。
 そういう考えをどんどん推し進めていくと,オンラインのエンターテイメントというとことろで,ユーザーの時間をどのくらい使わせられるのか,という問題になっていくわけです。とくにアメリカや日本,中国など――韓国はちょっと国が小さいので微妙ですけど――では,単なるゲームポータルではない,一つ上のレイヤーであるメディア的なポジションに移れればよいかな,と考えています。

4Gamer:
 いまNEXONが実践しつつあることですね。

David K.Lee氏:
 そういう部分を捉えるのに最も適しているのは,おそらく弊社みたいな,カジュアルゲームを作ったり運用したりする会社ではないかと。理由は簡単です。1500円とか14ドルとかのお金を払っているユーザーに対して,わざわざまた広告を見せることはできますか? 現実にはできないと思います。例えば日本のCSのPay per Viewなどで,お金を払ってるのに宣伝を見せられたら,とても腹立たしいですよね。私だって腹立たしいと思います。
 でもViacomのMTVにしても,ただで見ているフリーチャンネルなので,宣伝するのが当たり前ですし,違和感もないじゃないですか。ゲームだってまったく同じだと思います。ユーザーがお金を払って楽しんでくれているのに,さらにそのうえ宣伝まで見せるなんて,さすがにサービスとして良くないと思います。
 弊社の基本料無料のゲームであれば……そうですね,例えばKart Riderでは,ゲームの中で実際にコカ・コーラの宣伝をしてますし,逆にゲームスタート前に露骨に宣伝を見せたっていいと思います。

4Gamer:
 確かに,今みんながしきりに騒ぎ出しているゲーム内広告というビジネスは,まだまだその部分を完全に勘違いしている人が多いですよね。そもそもあなたは,有料ゲームに広告が入って,それを本当になんとも思わないのか,と。

David K.Lee氏:
 そうですね(笑)。また,ちょっと大きな話になってしまうんですけど,とくに北米市場を考えた場合には,やはりローカルテイストに合わせたコンテンツを作らないといけないと思います。韓国で開発されたものであっても,ローカルテイストに合わせてカスタマイズしないといけないし,逆にAlexのところにしても,北米だけでなく,日本ユーザー向けのコンテンツも作らないといけないですよね。


確かに,NEXONにはゲーム内広告“向き”のタイトルが多い気はする(左:メイプルストーリー,中央:ダンシングパラダイス)。一番右は,実際にゲーム内広告が入っている「Kart Rider」。レースものやスポーツものはゲーム内広告に向いていると言われるが,なるほど,コカ・コーラが違和感なく収まっている


■そして今後NEXONが向かう方向#2
■「韓国で成功すれば,それがそのまま世界に通用するんだ」という勘違いはしません

延々と長い話に付き合ってくれたDavid氏。インタビュー最後のほうで,お付きの人に「今何時?」と聞いて「17時半です」と言われたときには青ざめていたが
4Gamer:
 それはもしかして,現状の“海外ゲーム事情”に対してのコメントですね。

David K.Lee氏:
 はい。
 なぜアメリカのソフトが日本で売れないのかは簡単です。日本人は,銃を撃つゲームや乱暴なゲームが好きじゃないんです。あとRPGはFF以外に興味がないんです。
 ……もちろんこれは分かりやすくするための極論に過ぎませんが,概ねの方向性は間違っていないと思っています。何が言いたいのかというと,結局欧米のメーカーはみな,日本や韓国のプレイヤーの好みをまったく何も理解していない,ということです。理解していないしノウハウもないのに,アジア参入といっても無理だと思うんです。もちろん,その逆だってそうです。
 例えばアメリカの会社が本気でアジア圏に参入したいんであれば,日本であれば,国内にスタジオを設立して日本のプレイヤーの好みを“研究”するしかないと思いますし,韓国であれば,オンラインゲームの開発会社を買収するしかないと思います。
 そういうことをせずに,積極的に展開したい,とか興味がある,とか言ってても,それはポーズだけだと思われても仕方ないんじゃないでしょうか。

4Gamer:
 おっしゃることはよく理解できますし同意できますが,実際にそれをやるのはすごく難しいですよね。

David K.Lee氏:
 そうですね。だからこそ,分かっている者,やった者だけが勝てるのです。
 先ほどから何度も話に出ている弊社のメイプルですが,50か国以上でサービスされていて,実際にユーザーがいるわけです。だからといって,「韓国で成功すれば,それがそのまま世界に通用するんだ!」という勘違いはしません。
 1997年に設立したアメリカの子会社も,色々あって失敗してしまいました。色々なゲームを色々な国で配信/運用してきましたが,そういう経験を踏まえて行動することは大切です。製品に自信はありますが,弊社の製品がどこの国のどの層にも受け入れられるとは,決して考えていません。
 カナダにスタジオを設立したのも,Viacomとの連携も,その経験から必要だと考えてのことです。アメリカという国で,弊社がすべてできるわけではないのは,よく分かっているんです。1400万人という実績だけをぶらさげて,上から見たポジションで参入したところで,何も結果を生めないに決まっています。

4Gamer:
 常々私もそう思っていますが,それを経営者の口から聞いたのは初めてです。

David K.Lee氏:
 そういうものですかね。そういうノウハウは,地味に,しかし着々と積み重ねていかないと,絶対に成功できないと思います。たとえ10年かかっても。アメリカに進出した日本や韓国の企業,日本に進出しているアメリカ,ヨーロッパの企業は,結構な確率で失敗してますよね。それを繰り返したくはありません。

4Gamer:
 さすがに冷静にキチンと見ているんですね。今後もがんばってください。
 長い時間,ありがとうございました。

##########

 テープ起こしをしながら「長すぎるな。どこを切ろうかな」と構えていたのだが,David氏は話に無駄がなく,結局,オフレコの話を除いてはまったく切れなかった。そのため,非常に長い,異例の三部作インタビューになってしまったことを,まず読者にお詫びしたい。

 読んでいて気付いてくれた人も多いと思うが,このインタビューに,タイトルの内容に関わる話はほとんど登場していない。NEXONが抱えるタイトルを中心としてまとめた【中編】でさえ,“一般読者向け”の内容にはなっていない。おそらくDavid氏自身も,業界各社,およびオンラインゲームそのものの将来に向けて語るというスタンスを決めて,それをつらぬいたものと思われる。むろん,社長に向かってタイトルの細かい話を聞くのも野暮というものだが。
 ソフトでカジュアルなゲームが売りな「ネクソンジャパン」というオンラインゲーム会社は,実はこういう思想を持って動いているのだ,ということが,その片鱗でも伝わったのなら幸いだ。

 オンラインゲーム大国韓国。その韓国での大手オンラインゲーム会社が軒並み“冬の時代”を迎える中,一人だけ気を吐くNEXON。そのNEXONの考える展開が,近い将来,このまますべて現実のものとなった場合,日本の,韓国の,世界のゲームシーンに大きな影響を及ぼす可能性も,否定できない。
 オンラインゲームを変え,さらにはメディアまでも変えようとするNEXONの,今後数年間の展開が,いまから楽しみでならない。

−−2006年11月27日収録


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