今回は,前回と打って変わってタイトル寄りのお話。RTSで有名な北米の開発者が作る次回作とは? 結局ZerAって日本でどうなるの? などを筆頭に,次回作や将来の予定までを一挙公開。相変わらず本音炸裂のDavidトークを,じっくりとどうぞ。(Interview by Kazuhisa,photo by kiki)
>NEXONの将来展望を語る【前編】は「こちら」から
>NEXONの将来展望を語る【後編】は「こちら」から
■なんと,Relic出身のAlexの新作はRTSにあらず
■〜彼は,RTSが好きだから作っていたわけじゃないんです
![]() |
しかし,Relicを率いていたAlexと組むというのは,一歩先行ってますよねえ。
David K. Lee氏:
北米の開発者で,彼ほどオンラインゲームを理解している人もいないと思うんですよね。そうは聞いていたんですけど,実際会って話したら,これは凄い,と。
ただし,マーケットの外側から見て頭で理解していても,現実に今からやりますといって,面白いカジュアルオンラインゲームを作れるかというと,それは難しい。それをこれから挑戦していくわけですね。なにせ,彼がRelicで集中していたジャンルはRTSじゃないですか。今から作るのは,RTSじゃありませんから。
4Gamer:
……違うんですか?
David K.Lee氏:
ええ,違います。RTSはオンラインゲームとして難しいですよ,やっぱり。
4Gamer:
ええと。しかも先ほど「カジュアル」とおっしゃいましたよね。
David K.Lee氏:
そうです。弊社のポリシーとして,基本料無料のアイテム課金になるのは当然のことですし,ほとんどのプロジェクトが1年半〜2年半くらいで終わらないといけないんです。例外も一つや二つはあるんですけど,ほぼ95%以上のコンテンツは,そのスパンで作られています。Alexとて,例外にはならないでしょう。
ちなみに,「RTSをアイテム課金モデルで成立させるのはとても難しい」というのは,彼も私も一致した意見なんです。
4Gamer:
私には思いつきません。……マップでお金を取るとかそういうレベルですかねえ。
David K.Lee氏:
色々といじっても良いんですけど,それは果たしてRTSとして面白くなるの? という疑問はぬぐい切れません。そういうところはStarCraftがうまくできてましたよね。三つの種族のバランスとか。それをいじるのは至難の業です。
4Gamer:
実はNEXONでの作品もRTSなんだろうなぁ,とすっかり思い込んでいて,用意してあった質問が「AlexのRTSは,StarCraftとWarcraftで埋め尽くされている韓国に持っていくつもりなんですか?」というものだったんですよ。
David K.Lee氏:
違うんです,実は(笑)。でも彼にゲームを作るセンスがあるなと感心したのは,そもそもRTSが好きで作ってたわけじゃないってことですよね。
4Gamer:
あれだけのものを作ったのにですか? またRTSファンが聞いたら卒倒しそうなことを……。
David K.Lee氏:
彼は,その時点でのマーケットで“RTS”が空いている気がしたので,最高のRTSを作ってやろうと思ったらしいんです。そして実際に,Homeworld,Impossible Creature,Warhammer 40,000と,最高のRTSを作ってきました。Company of Heroesが,最後に関わったプロジェクトですね。RTSを作るという意味では膨大なノウハウがあると思うのですが,それは彼が“得意”なジャンルであって,興味があるジャンルではないのです。
4Gamer:
ある意味,純然たるプロですね。
David K.Lee氏:
そうですね。今彼が出しているどのアイデアを見ても,ああ,やはりほかのゲームも十分作れるんだな,というのがよく理解できます。そういう柔軟性が非常に気に入ったし,NEXONの文化にも非常に合うな,と。むろん彼にはこだわりがありますけれど,それはジャンルに対するこだわりじゃないんですよ。
4Gamer:
そういうバックボーンがあって,新作のたびに違う雰囲気のRTSが出てくるんですね,あの人は。RTSというジャンルに振っていいものかどうか悩むものさえ入ってますし。
ところで,彼の作品はいつごろを予定してますか?
David K.Lee氏:
2年後……再来年の半ばくらいでしょうか。いや,1年半くらいでしょうか。
4Gamer:
2年でカジュアルゲーム。2年かかるカジュアルゲームは割と大規模では? 通常どれくらいで作るものなんでしょうか。
David K.Lee氏:
カジュアルゲームとはいえ,短くても1年はかかりますよ。普通は1年半くらいでしょうか。ちょっと長くなって2年くらい。
……あぁ,ちょうどいい例がありました。今回発表した「Project BF」は,1年2か月でオープンβに入る予定で動いています。それがここ最近では一番最短の制作期間でしょうか。
![]() |
![]() |
![]() |
■NEXONの考える“カジュアルゲーム”,そして気になるZerAの展開
■「新しい課金方法」の話はまだ生きていた
![]() |
なるほど。……ところで,NEXONの考えるカジュアルゲームの定義とはどんなものですか?
David K.Lee氏:
またとても難しいことを聞きますね……。
そもそも,果たして“カジュアルゲーム”という言葉が正しいのかどうかが議論されているところです。とくにアメリカでは,その言葉は通じないですね。どんなものだか,一般の人がパッと思い浮かばないようなんですよ。敢えて思い浮かぶとすれば,ボードゲームみたいな感じのFlashゲームだったり,シェアウェアでダウンロードしてプレイするようなゲームだったり,そんな感じでしょうか。弊社が考えるカジュアルゲームとはすごくギャップがあるんですよね。
4Gamer:
現状の定義を敢えて述べるならばどんな感じでしょう?
David K.Lee氏:
まず,誰でも簡単に始められること,そして,それをマスターするのは非常に難しいこと。パッと見の間口が広くて誰でも遊べそうな作品なのに,やってみたらとても奥深い,そういうものでないといけません。単純だけど,やり続ける理由があるゲーム,といえばいいですかね。難しいなぁ(笑)。
4Gamer:
間口は広く,奥行きは深く,と。なるほど,それならちょっと納得したかもしれません。G★でNanaimoとか見たときに「これカジュアルか?」と思ったんですよね,実は。
David K.Lee氏:
あぁ……Nanaimoはちょっと特殊ですね。マニアックすぎるので,調整しないといけないと思っています。
オンラインゲームをずっとやってきて面白いなぁと思うことがあります。最初からドカンと成功すれば一番嬉しい話なんですけど,そうそう毎回そんなことがあるわけではありませんよね。そんな場合でも,そこに手をかけて,もっといい作品に引っ張ってあげて,それで成功を見ることができるんですよね。
4Gamer:
韓国ではダメだったけど,他国で急に盛り返すようなパターンもありますよね。
David K.Lee氏:
ありますね。韓国では惨敗……どころか,日本でしか成功していないような作品もいくつかあります。
当たり前なんですけど,同じアジア圏でも国によって全然好まれるテイストが違うんですよね。だから,どこまでそれを煮詰められるのかによって結果が変わってきます。いま言った“日本でしか成功していないような作品”も,逆に韓国で中途半端に成功してたら絶対そこまで日本でうまくいってないと思うんですよ。
韓国では誰も否定できないくらいの失敗だったので,逆に日本に開発リソースを集中したんですよね。それがとても良い方向に動いた,と。
4Gamer:
なるほど,当然逆のパターンもありそうですね。なまじ韓国で成功すると,日本や中国などの要求をあまり聞き入れてくれない,と。
しかし先ほどのパターンでいうと,ZerAもそんな感じになりそうじゃないですか? 厳しいことを聞くようですが。本国ではちょっと振るわないというか。
David K.Lee氏:
ええ,同じ流れですね。ちょっとどころじゃないですよ,ハッキリ言って失敗です。
韓国という国はご承知のように,他社作品のいいシステムを機能として内包する傾向が強いですよね。いま韓国で成功している作品にもそれは顕著に見られます。ハッキリ言えばパクり,というか。ZerAにもその選択肢がありました。Lineage,LineageIIをベンチマークして,ユーザーに受けている部分を取り入れていこう,という。
でもそれはやりたくなかった。もっと何か違うことをやりたかった。例えばGranado Espadaなんかもきっと,そういうことが嫌でMCCシステムを作ったんだと思うんですよね。SUNもそうです。きっとそれをやらずに,新たな道を模索しようとした。そして最終的には3作とも……。
4Gamer:
苦戦を強いられている,と。Big3と呼ばれてましたね,そういえば。
David K.Lee氏:
Bigじゃなくなっちゃいましたけど(笑)。でも,だからといって3社とも安易な道には走らないと思いますし,それだけはやってはいけないと考えます。
しかし,ZerAに改善できる余地がないかというと,全然そんなことはありません。とくに,日本向けのコンテンツとしてこの作品を考えたときには,まだまだ足りない部分があります。ですので今,半分以上を作り直しています。
4Gamer:
来年初頭に日本ですよね。ZerAは期待している人多いですよ。
David K.Lee氏:
ありがたいことです。絵柄とか見ても魅力的なゲームだという自負はありますよ。でも日本でサービスするには,ゲームプレイの深さを,もうちょっと直さないといけませんね。
手始めにマップを変更しています。クエストシステムなんかにも手を加えてますよ。……でもこれは日本向けというよりは,ゲームのプレイアビリティ自体の変更ですね。
4Gamer:
当然日本でもアイテム課金ですよね。昔公言していた“新しい課金方式”というのは,一体全体どこにいってしまったんですか?
David K.Lee氏:
実はそれは,ある程度のユーザー数がいないと実現できない課金方式なんです。期待どおりのユーザー数の伸びを見せなかったので,まだ表に出せないんですよ。嘘だったわけじゃないんですよ,お恥ずかしい話ですが……。
4Gamer:
おや,ヒントが。ある程度の数が必要なんですね。しかし逆に言うと,日本でもし成功したら,その新しい課金システムというものが採用されるわけですね。
David K.Lee氏:
もちろんそうです。
![]() |
![]() |
![]() |
4Gamer:
ある程度の数が必要……。うーん,なんでしょう。難しいな。ところで,ネクソンジャパンの公式サイトにあるもう一つのバナー,あれなんですか?
David K.Lee氏:
「BigShot」(ビッグショット)ですね。日本語名が最初「うてうて☆ばんばん」だったんですよ,これ。社内会議で最初に聞いたときにどうしようかと思いました(笑)。
4Gamer:
ずいぶんと潔い名前ですね(笑)。
David K.Lee氏:
最初の印象は「おいおい」という感じでしたけど,冷静になって考えてみたら,意外と悪くないんじゃないの? という気がしてくるから不思議です。ソフトバンクさんじゃないけど“予想外”みたいな感じの(笑)。
4Gamer:
予想外過ぎる気もしますが……。ところで本家には膨大な作品数がありますけど,そのほかのものはどんな感じなんでしょう。目処も立ってないんですか?
David K.Lee氏:
たぶん日本のみなさんが気にするところでは「ルニア戦記」というタイトルがあるんですけど,それも今韓国で改善している作業が色々ありますので,それが終わったら導入されます。早くて来年の夏休み,遅くとも下半期です。
まずは「ダンパラ」をなんとかしたいです。今音源のところで色々と手を打っているので,それが解決し次第,本格的にマーケティング活動に入ります。それをやりつつ,ZerA,ビックショットをやる,と。それ以外に日本に入ってくるのは,ルニア戦記とKart Riderでしょうか。実はそれ以外にも,二つほどシークレットプロジェクトが……。
4Gamer:
お,初めて聞きましたね。どのタイミングで出ます?
David K.Lee氏:
どこにも出してないですからね。一つは,来年内にでも日本展開が発表されると思います。割と早くできそうなプロジェクトなんです。
4Gamer:
ジャンルはなんですか?
David K.Lee氏:
ジャンルは言えません。ジャンルを言うことが,もの凄いヒントになってしまうんです。
4Gamer:
ということは,MMORPGとかFPSじゃあないですね。
David K.Lee氏:
これ以上はノーコメントです(笑)。あと1,2か月待っていてください。
4Gamer:
でも,今情報が出ていない作品なのにそんな速度でもう日本展開ということは,最初から日本をターゲットに入れて作っているんでしょうか。
David K.Lee氏:
そういうわけでもないんですよ。北米なんかにも展開したいですね。
4Gamer:
なんだかだんだん話しづらそうになってきましたね。じわじわ狭めていこうと思ってたんですけど。なかなかそれも難しそうです(笑)。
David K.Lee氏:
ええ,このあたりで勘弁してください(笑)。
![]() |
![]() |
![]() |
■さまざまなタイトルを持ってきてノウハウを得て,
■最終的には日本発のタイトルを作りたい
![]() |
しかし今回のG★,プレイアブルだけで何タイトルでしたっけ。
David K. Lee氏:
プレイアブルだったのは何作品だったですかね……今開発ラインに乗っているだけで12本くらいあります。昨年の上半期のときよりちょっと少ないな,とは思いますけど。
以降四半期に1本くらいは自社開発の作品が出て,そこにさらにパブリッシングの作品が入ってくるので,年内で6〜8本でしょうか。ちょっと大変そうなんですけど。
4Gamer:
しかし,これだけタイトルがありますが,日本に来るもの来ないものが割と明確ですよね。これは,どういう条件付けになってるんですか?
David K. Lee氏:
基本的な考えとして,対戦はちょっとどうかなと思っています。対戦ゲームは,日本人がちょっと苦手なんじゃないかな,という気がするんですよね。あとやはりカジュアル的なものはテコ入れしたいと思っています。次のターゲットはダンパラ(ダンシングパラダイス)ですね。それで様子を見ながら,その後の展開を色々決めていこうかな,と。
弊社としては,コアなゲームはやはり悩ましいです。どうしても“対戦”と繋がってしまうので。PKとかも,日本のユーザーはあんまり好きじゃないですよね。
でも基本的には,あまり先入観を持たずに,数多くのコンテンツを導入したいと思ってます。将来的には,日本でも良いオンラインゲームのコンテンツを作れるようになればいいなと思うんですけど,もうちょっと先の話ですね。
4Gamer:
なるほど。でも,私もそうですけど古い人からみると,NEXONというとMMORPGのメーカー,というイメージが拭えないですね。「風の伝説」とかから綿々と続くイメージ。
David K. Lee氏:
それはあるでしょうね(笑)。でも幸か不幸か分からないんですけど,MMORPGからは結構離れてきましたし。
……あぁ,いや。MMORPGといえば「Project SP1」もありました。でも再来年ですね……。Linegeの初期開発に関わったスタジオの作品なんですけど,それもたぶん来年には韓国展開で,グローバル版権も持ってます。日本に入ってくるのは再来年でしょうか。
4Gamer:
お,グローバルで持っているんですね。しかしMMORPGって,そんな数多く持つものじゃないと思うんですよね。まだまだ喰い合っちゃうことも多いですし。
しかし逆に運営などを考えると,数を増やした方が効率は上がるのは事実ですし。
David K. Lee氏:
そうですね。GMのマネージメントなんかを考えると,そのほうがいいと思いますよ。
あと何気なく重要なのは,ほかのタイトルの動向を見て参考にできるということでしょうか。弊社ではメイプルストーリーの場合がそうですね。そこからノウハウを得て,テイルズウィーバーとかマビノギに提供したこともありますし,会社として非常に良い経験になってます。
4Gamer:
メイプルは強いですよねえ。今,アカウントはいくつくらいなんですか?
David K. Lee氏:
日本では140万くらいでしょうか。月のユニークユーザーが22万ちょっとです。決して無視できる規模のタイトルではないですよね。例えばコンソールマーケットで今20万本売れたら,そこそこのタイトルだと思いますし。
4Gamer:
いや,“そこそこ”じゃないと思うんですけど……。
David K. Lee氏:
それが毎月ですし。
最近地上波で宣伝を打ってみたんですけどね,非常に反応が良かったんですよ。つまりそれって,まだまだ日本ではオンラインゲームがメインストリームまで上がり切っていないということですよね。もうちょっと攻めて行こうかなと思ってます。
でもメイプルは,私が言うのもどうかと思うんですけど,本当に不思議です。3年間ずっと伸びてますから。爆発的な伸びを見せたことはないんですけど,ずっと上がり続けてるんです。
4Gamer:
いつかも申し上げたかもしれませんけど,4GamerのPVも相当高いですよ,メイプルって。コンスタントにベースのPVが多くて,それがちっとも減らないんですよ。いまおっしゃったように爆発的に増えたりはしないんですけど,ずっと上がり続けてます。
David K. Lee氏:
ユーザーの同時接続数なんかも同じような感じで動いてますし,それがそのまま反映されてるんですね。あぁ,そうか。4Gamerさんなら,そういう傾向も全部見えてるんですね。
4Gamer:
爆発的に1記事数十万ヒットとか来ないので目立たないんですけど,よくよく調べると凄いんですよ。
David K. Lee氏:
嬉しいですねえ。
−−以下,次回に続く(2006年11月27日収録)
![]() |
![]() |
![]() |





































