インタビュー
「Stellar Blade」続編や「NIKKE」,新作プロジェクトを開発中のSHIFT UP本社を訪問。ゲームは“お尻で作るもの”――キム・ヒョンテ氏とちょっとだけ雑談もしてきた
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SHIFT UPの創設者にして代表であり,キャラクターデザイナーやゲームディレクターとして活躍するキム・ヒョンテ氏がこだわり抜いたというオフィスを「見せられる範囲」で,みっちり紹介してもらえたので,レポートしよう。
当然だが,SHIFT UPは開発で多忙を極めている。メディアの取材も,なかなか受け入れられる状況ではないそうだが,ダメもとでコンタクトを取ったところ,「見せられないところが多いですけど……」という前置きのうえで,今回のツアーを了承してもらえた。
オフィスでは,そんなキム・ヒョンテ氏にばったりお会いし,短い時間だが話を聞けた。2ページ目では,4Gamer編集長との雑談をお届けする。
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時は2026年1月下旬。4Gamer取材班は,ソウル近郊のゲーム企業を3日間で回る独自ツアーを実施した。メインの取材エリアは,ソウル南部の板橋(パンギョ)である。
「板橋には“ほぼ全部”の韓国ゲーム会社がある」と4Gamer編集長が称するほど,車で移動するたびに,NEXON KoreaやNCSOFT,KRAFTON,Kakao Games,Webzen,NEOWIZなど,説明いらずの著名企業のビルが目に入る。
そんな板橋で重役に会いまくる取材連戦の締めくくりに訪れたのが,SHIFT UPだ。ソウル南部の瑞草(ソチョ)区にオフィスを構えている。
瑞草区には,大法院(最高裁判所)や国立中央図書館,総合芸術施設・芸術の殿堂などの行政,文化施設がある。人口は40万人ほどで,広さは東京都江戸川区くらいだ。
韓国は地震が少ないこともあって高層ビルが多いが,ひときわビル密度が高いような瑞草区を進み,Apro Squareという15階建てのビルにたどり着いた。SHIFT UPは,ここの12階から15階までを拠点に,340名ほどのスタッフが働いている。
各フロアはスタジオ別となっている。今回訪問したのは,12階・「商品開発部/バックオフィス」,14階・Stellar Bladeを開発する「SECOND EVE STUDIO」,15階・NIKKEを開発する「THIRD NIKKE STUDIO」だ。
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スタジオ名を確認して,NIKKEとStellar Bladeが逆ではないか,と違和感を覚える人もいるかもしれない。リリースはNIKKEのほうが先だが,開発に着手した順では,Stellar Bladeのほうが先なのだ。
Stellar Bladeは,当初「Project EVE」としてアナウンスされた。2019年4月4日に行われた新作発表会で,Project EVEとNIKKE The Goddess of Victoryの2作が同時に発表されている。
関連記事キム・ヒョンテ氏率いるSHIFT UPが2つの新作を韓国で発表。PC&コンシューマ機向け「Project EVE」とスマホ向け「NIKKE」
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キム・ヒョンテ氏率いるSHIFT UPは2019年4月4日,新作発表会を,同社の新オフィスで開催した。そこで,PCとコンシューマ機に向けたアクションRPG「Project EVE」と,スマホ向けTPS「NIKKE The Goddess of Victory」という,2つの新作が発表されている。
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我々を迎えてくれたのは,SHIFT UPの副社長兼CSO(最高戦略責任者)のミン・キョンリプ氏だ。
ミン氏は,韓国の名門大学KAISTのコンピュータ工学科出身で,NEOPLEとNEXON Koreaの開発および事業部門を経てSHIFT UPに合流した。
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オフィスツアーは,会社の玄関となる12階の次に,NIKKEの15階,「秘密兵器」のあるStellar Bladeの14階という順に案内してもらった。
記事は案内してもらった順に紹介するが,気になったフロアから読んでほしい。
12階)商品開発部/バックオフィス
SHIFT UPを訪れてまず案内されたのが,商品開発部兼バックオフィスの12階だ。
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入り口を入って目に入るのは,黄金のDoro像と,数々の賞状である。
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先にDoroではないほうを説明すると,2025年12月10日に開催された韓国のコンテンツ産業アワード「2025 KOREA CONTENT AWARDS」で,キム・ヒョンテ氏がゲーム産業発展功労者として,イ・ジェミョン大統領から贈られた賞だ。
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■「2025 KOREA CONTENT AWARDS」大統領賞
SHIFT UP公式サイト(外部リンク)より
・SHIFT UP(代表取締役)― キム・ヒョンテ
独創的なアートスタイルで注目を集めてきた,国内を代表する原画家でありゲーム開発者。27年にわたる継続的な活動を通じて,韓国のゲーム産業の成長に大きな役割を果たした。とりわけ,コンソールゲーム「Stellar Blade」の開発によってグローバル市場で大きな注目を集め,国産ゲームの地位向上と大韓民国のゲーム産業発展に寄与した
その横にある黄金のDoro像は,オ○カーに似ている気がする「Doscar Awards」という賞の像だ。ドロシー主演の映画がノミネートされたとか……という2025年のエイプリルフール企画である。
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大統領賞とは,ある意味で正反対なものを置いているようにも思えるが,当然のように並んでいると違和感が仕事をしない。ちなみに,像の周りに置かれている小さなDoroは,スタッフがよく位置を変えて遊ぶそうで,ふと見返すと配置が変わっている気もした。
?ついに来たぞ…黄金Doro賞!!?#NIKKE #Doro #Golden pic.twitter.com/ckAi13Hmr0
— Kim Hyung Tae, ???, キム・ヒョンテ (@jamm3rd) August 14, 2025
エイプリルフール関連は,もう少し説明したい。この賞状の数々,ぱっと見で分かるものを聞かれたとき,多くの人は金と銀の盾を指さすだろう。
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YouTubeのチャンネル登録者数10万人突破時に送られる銀の盾と,100万人突破時に送られる金の盾だ。
何も聞かずに,この動画を見てほしい。100万人突破を祝う動画だ。キム・ヒョンテ氏が喜んでいる。投稿日を見ると,2025年4月1日である。
……まだ登録していない人は,そっと登録しておいてほしい。
こういった形でオフィスはスタイリッシュでかっこいいが,ところどころに当たり前の顔をしながらボケや遊び心が混ざっている。それも違和感のないクオリティで。
SHIFT UPの社風が表にも現れているのだろう。
そのまま中に進むと,休憩スペースがある。どのフロアも,入ってすぐのところにこういったスペースが用意されている。SHIFT UPは各階で雰囲気がかなり異なるため,この休憩スペースがフロアの顔役のようなところもありそうだ。
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商品開発部が入っているので,グッズが所狭しと並べられている。スタッフが趣味で持ってきたアイテムも混ざっているそうで,他社のキャラクターも普通にいる。
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ほかのフロアと比べて,全体的に明るいのがこのフロアの特徴だ。フローリングや棚,デスクなどは木目調で整えられ,温もりのある雰囲気だ。
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15階)「THIRD NIKKE STUDIO」
次に訪れたのが,NIKKEの開発フロアである15階だ。入ってすぐ,NIKKEのフロアだと分かるグッズの数々が目に入る。
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入り口から,NIKKEのグッズに溢れている。かわいいに紛れて,壁に掛けられているのがいかついモデルガンだ。これらは単なるインテリアではなく,実際に手に取れるようになっている。
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ミン氏は,韓国では徴兵で銃を触る機会があると前置きしたうえで,現実的に可能な体勢か,無理がないかを確認するために,モデルガンを使うこともあると説明した。
メインの開発エリアに進む。開発は,キャラクターを作るチームやクエストを作るチームといった制作するコンテンツ単位ではなく,プログラマや企画,アートといったスキル単位でチームが区切られているそうだ。
ライブサービスでは,新キャラ制作や過去キャラクターの調整などが並行して行われる。そこで班分けは特定コンテンツ単位ではなく,スキル単位の大きな枠で組み,状況に応じて割り振っているという。
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木の温もりを感じた12階と比べると,15階は金属がよく使われている印象だ。グッズの数は相変わらずだが,全体としては,大人びた落ち着きのあるオフィスに感じる。
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15階に限ったことではないが,オフィスに立体感があるのもSHIFT UPの特徴だと思った。フロアの中に段差があり,空間を区切っている。
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ソファが置かれたスペースには,モダニアの等身大スタチューや各種トロフィーが飾られている。VIPな空間だ。
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14階)「SECOND EVE STUDIO」
続いて案内してもらったのが14階。Stellar Bladeの開発スタジオだ。先述したように開発順としてはNIKKEより先なので,「第2」開発スタジオである。
ここの目玉は,なんといっても「秘密兵器」だが,まずはイヴの等身大スタチューが置かれた入り口から紹介する。
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各フロアの顔となる休憩スペースだが,ここはシャンデリアが置かれている。陰影が出る大人びた雰囲気のライティングであり,置かれたフィギュアもそのまま撮るだけで映える。
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他社の作品もかっこよく飾られている。コラボした作品のコンテンツも当然並んでいる。好きなものを持ち寄って飾っている面もあり,好きな作品とコラボしていることが伝わる。
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入り口から少し横道にそれて狭い道を進むと,秘密兵器と対面した。全身を3Dスキャンする大型の機械だ。
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実際に中に入ってみますか,と言われ,中からも機材を見せてもらえた。専用機材ももちろんあるのだが,1つの大規模設備というより,さまざまな機械を組み合わせたマシンであることが分かる。
設備の機材の価格はもちろんだが,場所も取るので,空間的なコストも甘く見てはいけない。
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この機械で人物や衣装,造形物のスキャンを行い,ゲームに取り込むという。実物を作って取り込むプロセスによって,ディテールが高品質になる。プロセスで大事にしているのは,速度や効率ではなく,ディテールや実在感だそうだ。
ディテールを重視するうえで,SHIFT UPが採用している独特な制作プロセスがある。モンスターの制作方法だ。
通常は,デザイナーがコンセプトアートを描き,それを3Dモデリングソフトで作成する流れだが,SHIFT UPでは,粘土をこねて造形物を作り,それをスキャンするアプローチを通常手法とあわせて採用している。
アバドン
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ギガス
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めっちゃ再現されている,と思わずトンチンカンな感想を言ってしまいそうになるクオリティだ。この造形物が,そのままゲームに入り込んだのだ。ぜひ画像を拡大表示して見てほしいが,フォルムだけでなく,筋肉や皮膚の繊維まで作りこまれている。
SHIFT UPでは,画面の中だけでなく,現実で再現して見たときの印象を大事にしているというわけだ。とはいえ,粘土をこねる前にイラストなどですり合わせるものだと思っていたが,そういうものでもないらしい。いきなり造形に入るという。
造形物を実際に作る場合,デジタルに比べてリテイクが大変そうだが,皆がプロフェッショナルなので,信頼で成り立っているそうだ。
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ストーカー
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未確認ネイティブ
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実際にスキャンを体験させてもらったが,撮影からだいたい10分程度でデータ化されていた。
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自分の姿がそのままデータ化されていた。スキャン中は,私物のカメラはレンズが反射するからと預けたが,それ以外の準備時間はほとんどなく,強いフラッシュがたかれたと思うと,撮影は一瞬で終わった。
撮影時の体勢はAポーズと呼ばれるものだ。腕を水平にピンと伸ばすTポーズに対し,腕を斜め下に下ろしたポーズで,衣装のしわも自然な形になる。
スキャン部屋のすぐ近くには,衣装部屋も用意されていた。
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さまざまな衣装が用意されている。実際にマネキンに着せて撮影をするそうだ。真っ黒や真っ白な衣装など,光の反射でスキャンが難しくなるものは,パウダーやマーカーを付けて調整しているという。
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Stellar Bladeの開発フロアは,光の陰影が出ている。ほかのフロアとも比べて一番,本当に会社なのかと疑うようなデザインだ。
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オフィスツアーの最中,キム・ヒョンテ氏と偶然にもお会いした。開発に専念しているキム氏だが,少しだけお時間をいただけたので,次ページで4Gamer編集長との雑談の様子をお伝えしよう。
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- 編集部:或鷹
(C) 2024 SHIFT UP Corporation. All rights reserved. Published by Sony Interactive Entertainment Inc.
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(C)PROXIMA BETA PTE. LTD. (C)SHIFT UP CORP.
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