イベント
ゲーム芸人フジタさんが“愛すべきクソゲー”を語った「黒川塾 八十二(82)」をレポート
今回のテーマは「クソゲー進化論 @ゲーム芸人フジタ」。ゲストに招かれたゲーム芸人フジタさんが,自身のゲームに対するスタンスについて語ったり,「クソゲー」と呼ばれる不条理なゲームのデモプレイを披露したりした。
フジタさんは幼少の頃からゲームにのめり込み,現在でもファミコンソフトやレトロ系ゲームの収集を趣味としている。現時点で3万本以上のゲームソフトを所有し,それらの総額は3000万円以上になるという。
現在は主にゲームをネタにしたお笑い芸人・文化人として活動しているフジタさんだが,一度挫折してお笑い界から離れ,そこから10年の歳月を経て,お笑い界での活動を再開した。「クソゲーコンプレックス」というコンビではゲームの話題を盛り込んだ漫才を披露していたが,昔のゲーム事情を知らない若年層には今一つ受けが良くなかったとのこと。
ピン芸人として活動するようになってからは,往年の携帯ゲーム機であるPCエンジンGTの実機を見せつつ「単三電池6本で1時間プレイできない」という話をするといったように,舞台にゲーム機やゲームのパッケージを持ち込んでネタを披露することにした。
この手法により若い人達にもある程度受けが良くなったため,「それならプレイ画面を見せれば,もっと受けるのではないか」と考えた結果,現在のスタイルになっていったという。
一方,ゲームをネタにすることについてはリスクも伴う。例えばテレビ番組に出演する場合,スポンサーが出しているゲームはネタにできない。またゲームには版権があるので,権利関係でトラブルになる可能性もある。
しかしそんな側面がありつつも,フジタさんと各ゲーム会社との関係は良好であるとのこと。
現在でも地方を営業で回る際には地元のショップをチェックし,希少なゲームソフトを購入しているというフジタさん。その背景には「この機会を逃したら二度と買えないかもしれない」という心理があり,複数所有しているタイトルも珍しくないという。中には3000本所有しているタイトルもあるが,これは買えば買うほど安くしてもらえたという理由があるそうだ。とはいえ,「置く場所を確保するのも家賃がかかるし,少しやり過ぎた」と話していた。
そんなフジタさんが一番好きなのは,幼少時代にのめり込み,さまざまな思い出のあるファミコンのゲームとのこと。当時のほかのゲーム機と比較するとタイトルが多く,パッケージが色とりどりであることも理由だという。
1990年代半ばごろになると,ファミコンは世間的に古い世代のゲーム機と見なされ,フジタさんがどんなにすごいゲームプレイを見せようともバカにされたりしたが,今振り返るとずっと継続してきて良かったと語っていた。
しかしファミコン時代のゲームは,今のゲームのように丁寧なチュートリアルがあったり,プレイ上のヒントやTipsが表示されたりするわけではないし,中には不条理なゲームもあった。誰も何も教えてくれないうえに,不条理を押しつけられる当時のゲームから人生の厳しさや忍耐を学んだというフジタさんは,「当時の愛すべきクソゲーを通過してきた人達は,キレにくいんじゃないか」と持論を披露した。
話題は昨今のゲーム事情にもおよび,フジタさんは「ゲームのプロプレイヤーが,自分の幼少期にも存在していたら良かったのに」「僕も今の時代に生まれたかった」と語った。
また「ゲームクリエイターになりたいと思わなかったのか」という質問には,「小学2年生のときに『ファミリーベーシック』で挫折して以降,作り手になることは諦めた」と回答。なおフジタさんがプランニングしてデベロッパがゲームを作る企画もかつてあったが,アイデアが伝わらず自身が考えたものとは違うものになったため,頓挫したそうだ。ただ,誰かが音頭を取ってくれるのであれば,また自分がプランニングしたゲームのパッケージを出したいと思う気持ちもあると話していた。
- この記事のURL:
キーワード